2010年11月30日火曜日

第二百五十八夜/エナガの群れ

 京都御苑もすっかり秋も深まり北から渡ってきた冬鳥たちの数も増えた。雑木の梢では冬場、小鳥達の群れも観察できる。枝先や樹皮、葉っぱの中からしきりに餌をついばむ光景も観察できる。頭の上に小さな小鳥の群れがやってきた。見上げるとエナガがこちらを見下ろしている。一年中見ることができる鳥だが、樹木の葉がないことも手伝って冬場は特によく見れる。人を恐れることはないのだが、あまり地際には降りてこないので写真はおのずとお腹ばかりになってしまう。エナガとは、尾羽を「柄」たとえ、その尾羽が長いことから名前「柄長」がついている。たしかに尾羽の長さは体と同じほどある。体長12.5-14.5cm、体重5.5-9.5gぐらい。体長は長い尾羽の先までの長さを含むので、実際に見た印象はスズメよりずいぶん小さい。くちばしと首が短く丸っこい体に長い尾羽がついたかわいらしい小鳥である。Photo:2010/11/30 @京都御苑

2010年11月3日水曜日

第二百五十七夜/ぬいぐるみのようなガ・アカエグリバ


 銀色のハスの枯葉に、枯葉が一枚、一体これはなんだ? ぬいぐるみのような、古代魚のような、未知の生きもののような風貌。さらに目(複眼)をみるとこっちの目が回りそうな模様、カメレオンのような・・・この生きものは、「エグリバ」(=翅の一部がえぐられてる様に見える)というガの仲間の「アカエグリバ」の成虫。見れば見るほど翅の模様は枯葉そのもの、葉柄も葉脈もある、虫食ったような跡もある。見事! Photo:2010/11/02 @京都御苑、京都市

2010年10月30日土曜日

第二百五十六夜/冬のバッタ・ツチイナゴ

 写真はツチイナゴというバッタ、独特の模様がある褐色の綺麗なバッタである。体型や大きさはトノサマバッタやクルマバッタに似ているが、全身が褐色で、細かい毛が生えている。複眼の下には、涙後のような茶色の模様。このバッタの一番の特徴は、成虫期の大半を過ごす季節が冬なこと。枯れ草ばかりの季節環境だから、体色が保護色。バッタの仲間では唯一、成虫で越冬が出来るが、やはり寒さは苦手らしく、なるべく日当たりが良く暖かい環境に身を置いて冬をやり過ごしているのが実態である。Photo:2010/10/29 @京都府立植物園

2010年10月20日水曜日

第二百五十五夜/アオゲラの羽

 写真は樹林の中に鳥の羽根が散乱する事件現場。羽根は緑色が綺麗である。はたしてこの羽根の持ち主の身に何が起きたのか。羽根を集めるうちに一枚の小さな黒い羽根を見つける、羽根の先端は血が付いた様に赤い・・・これで正体が判った。キツツキの仲間「アオゲラ」である。オオタカがアオゲラを襲った現場だろう、近くに2ヶ所同じ様に羽根が散乱した場所があった。全部の羽根を集めると頭部と胸部そして左右の風切り羽根の一部であることが判った。他の羽根を近くに探すが見当たらない、安全な場所まで運んだのだろう。さて当のアオゲラなのだが、最近この近くに2羽がやってきたとの情報がある。鳥の写真を撮っている人たちはこの2羽の写真を撮ろうと頑張っている。この2羽のうちの1羽なのだろうか?オオタカにとってはそんなこと関係ない。獲りやすい獲物がいれば相手はかまわないのである。しかし人間世界は違って「せめていっぱいいるドバト獲ってよ〜」と声が聞こえてきそうである。Photo:2010/10/20 @京都御苑、京都市

2010年10月19日火曜日

第二百五十四夜/どこに隠そうかな?

 鳥に関しての原稿につける写真を鳥に京都御苑に行く。今回の対象は「カラス」の行動。こんな時に限ってカラスがいない。いてもこちらの心を見透かすかのごとく写真を撮らせない。やっと見つけた一羽のカラス(ハシボソガラス)。双眼鏡で見ていると様子がおかしい・・・回りをずいぶんと気にしている。地面からなにかつまみ上げた・・一枚のビスケットだった。そこには少し前に親子が寝転んでいた芝生。きっと地面に落ちていたビスケットを発見したのだろう。これはごちそうである、しかし食べる気配がない。きょろきょろと回りを見渡し、くわえたまま歩いて時々立ち止まる、この繰り返し。多分、すぐに食べないでどこかに隠しておくつもりなのだろう。見ていると大変に面白い。どこに隠すかと見ていると、散歩のイヌがやってきた。カラスはくわえたまま木の枝に飛びうつり、なおもきょろきょろと回りを伺っている。イヌなんかだったらその場ですぐに食べてしまう、やはりなかなかの知恵ものである。Photo:2010/10/19 @京都御苑、京都市

2010年10月18日月曜日

第二百五十三夜/コゲラ

 時折「ギー」と言う一声が頭の上から聞こえてくる。そこに何がいるのか判っている。でもその姿はなかなか見えないものだ。小さな体で木の幹を上へ下へ、左へ右へせわしなく這い回っているから。日本で一番小さなキツツキ「コゲラ」がその正体。もちろん木を突いて幹の中に潜む昆虫等を食べるが、多くの場合、幹に付くコケや樹皮の間の昆虫やクモを食べている。体がい小さい分、食料も少なくて済む、町中の公園にもその程度の生きものは棲んでいる。巣孔をあけるにもさほど太い木も必要ない・・・だから街中でも見ることが出来るのだろう。この日はサクラの枯れ枝が作った穴を執拗に突いていた。よほどおいしい虫が沢山いたのだろう。これからの季節、シジュウカラなどの小鳥の群れに入り行動する。Photo:2010/10/18 @京都御苑、京都市

2010年10月17日日曜日

第二百五十二夜/アオサギの若者

 そろそろ御苑にも冬鳥がやって来た。池にはマガモがずいぶんと休んでいる。来園者の中にはこのカモ達に餌をあげる人も少なくない。もちろん餌はたいていパンだけど。鴨と鯉がひしめく水面にパンを投げる人を見ると、遠くにいたアオサギの若鳥が近くに舞い降りた。人を怖がる気配もない。カメラをむけてもおかまいなしだ。彼(彼女?)のお目当ては水面のパン・・・だけど脚が届かない水深だから、近くにパンが流れてくるのを待つしかない。もちろんそんなことはあり得ない、そのまえに鯉が食べてしまうから。でも偶然に風で近くに飛んでくる時がある。そんな時はすかさずパクり・・・以前もアオサギがパンを食べるのを見た。これは驚いた。サギは動物食のはず、餌が獲れないとパンで空腹を満たすのか。このアオサギは今年生まれの若鳥・・・新しい食習慣は若者から?さてパンの味をしめたこの若鳥が今後どんな習慣を身につけるのか興味深い。よく見ていると餌を獲る前に一瞬、瞳孔が小さくなる、一見クールな彼だけど表情も結構豊かである。Photo:2010/10/17 @九条池、京都御苑、京都市

2010年10月15日金曜日

第二百五十一夜/クツワムシ


 今日は京都御苑を散歩中に大きなキリギリスの仲間:クツワムシ(♀ Mecopoda nipponensis)を見つける。この虫はめったに昼間であわない、夜行性で昼間は草陰にそっといるだけ、夜に歩くことはめったに無いので夜しか鳴かない虫の場合はその存在が判らない。今回は全くの偶然、クロコノマチョウの終齢幼虫を見ている時に足元にいただけのこと。近づいてもほとんど動かない。♀の個体で産卵管が太くてまっすぐなのが特徴(写真下)、産卵前なのかお腹はパンパンに膨らんでいた。クツワムシの「クツワ」とは、馬のたずなを引くために馬の口にくわえさせる金属の棒のことで、これが馬の動きとともにガシャガシャと音を立てる。その音とこの虫の「ガチャガチャ・・・」という鳴きが似ているのが名前の由来。子どもの頃、父親がこの虫を沢山とってきた、その夜はその鳴きのあまりのうるささで眠れなかったことを想いだす。さてこのクツワムシ、大型で体高が高く、ずんぐりとしたその体の側面積は日本のキリギリス中最大、体重もずっしりと重い。生息地の条件もあっても環境破壊に弱く、各地で減少と個体群毎の絶滅が進み、また一旦破壊された環境がその後回復しても他地からの個体群の回帰がなかなか進まないという。このような大型の昆虫が京都御苑の草地に生息しているということは自然が残っているというよりも、いかに緻密な草地管理がされているかと言うことに他ならない。実際にここの草地には多くの草地生物が棲息しているので年一度の刈り取りしか行われていない。御苑を歩くとそんなほったらかしに見える草地が芝生広場の隣に残っていたりする。これはけっして刈り残したからではなく、意図的に残してあるのだ。きっと今夜も「ガチャガチャ・・・」賑やかなんだろうか。Photo:2010/10/15 @京都御苑、京都市

2010年10月4日月曜日

第二百五十夜/今や普通種のムラサキシジミ

 生きものの話を書いて今夜で二百五十話になった、日本にいるチョウ類が約240種類だからやっとそれに達したわけだ。さてこのチョウ類だが小学生の頃、昆虫採集にどっぷりのめり込んでいた頃は、テングチョウ、マダラチョウ、ジャノメチョウの仲間はちゃんと「科」として分類されていたが近年はその科が廃止され「タテハチョウ科の亜科」として扱うことが多くなった。和名まで変わった種さえある。その種名、科名の変化もあるのだが昔は珍しかった種が今は極めて普通種となったものも多い。写真のムラサキシジミもその一つ。子どもの頃、是非に採集したいといろいろな本や、学校の理科室にあった標本の採集地を参考に探したが結局見つけることは出来なかった。ところがどうだ、今ではごく普通種となってしまった。ムラサキツバメ(これも以前は珍しかった)を探そうとしていると、このムラサキシジミが両手の指をもっても数えきれないほど現れた。いっぱいいるのだから放っておけばいいのに目の前に現れるとつい目で追って、写真に収めてしまう。特に京都御苑では低い生垣にアラカシが使われているので手元の高さで観察できる。さて、かつて珍しかった種を見ることが出来るようになったっと言っても、全体の約1/4種のチョウたちが絶滅の道を歩んでいる現実がある。今、多く見られるからといって将来の保証はどこにも無い。写真に個体は♀。Photo:2010/10/04 @京都御苑、京都市

2010年9月29日水曜日

第二百四十九夜/クロコノマチョウの2齢幼虫

 ススキの葉にクロコノマチョウの幼虫(2齢)を観る。葉の左側には卵跡が白く残り、ちょうど11個がここに産卵されたことがわかる。さて白い跡はあっても卵殻がない・・・これはふ化した幼虫(1齢)が食べてしまうから。若齢幼虫は産まれた集団で行動を共にし、やがて個別の行動となる。この若齢幼虫の集団は全部で5頭、あとの6頭の姿が見当たらない。はやくもクモ等に食べられたか、脱皮に失敗したかだろう。写真ではわかりづらいが頭には左右に小さなツノ状の突起があり、赤ちゃん鬼といった面持ちである。クロコノマチョウの幼虫は、ススキやジュズダマ、ヨシなどを食草とする。Photo:2010/09/28 @京都御苑。京都市

2010年9月28日火曜日

第二百四十八夜/ススキの葉陰からのぞく虫

 草むらでクロコノマチョウの幼虫を探している時に、ススキの葉軸の中に潜んでこちらをうかがう泡吹き虫(アワフキムシ)の一種を見つけた。ゴルゴ13のようなクールな目つきがなかなかイカしている。幼虫時代は身を守るために自分のおしっこ(排泄物)をあわ立てた泡状の巣のなかにいるが、成虫になると写真のように立派(?)なセミ状の体形となる。これからわかるようにこの虫はセミの仲間。幼虫時代のように成虫になった今は逃げも隠れもせず、危険が迫ったらジャンプ一発、すこい速さで逃げ切ってしまう。Photo:2010/09/28 @京都御苑、京都市

2010年9月24日金曜日

第二百四十七夜/生きるも死ぬも大切・ヌートリア


 鴨川に架かる橋(丸太町)を渡っていたらかすかに生きものの腐敗臭がした。周りの道路を見るがそんなものはない。ふと橋から下の川を見ると30mほど離れたところに魚のような形をした物体。形からオオサンショウウオの死体と思い、橋を降りて河原に行く。不思議と近くでは腐敗臭は少なく、風向きで30m以上離れた橋上に匂いが流れているようだ。さて、この死体は巨大なヌートリア(巨大なネズミ)だった。全長90cmはあるだろう、頭部が背骨で骨盤・尾骨につながった状態でねじれている、その他は前脚が一本のみ。かろうじて骨が皮でつながった状態で肉部はほとんどない。口部には特徴のあるオレンジ色の湾曲した大きな歯が見える。鴨川では、この近く(二条大橋付近)で一頭だけ生息を確認している(第百八十二夜・2010年1月11日)。今回の死体はこの個体か、それとも別の個体か。先日の豪雨時に上流から流されて来たのかもしれない。水中にある時は魚などの水生生物に、河原にある時はカラスやトビの餌になったに違いない。生きるのも大切だけど、生きている以上は死ぬことも大切なんだなと思う。Photo:2010/09/24 @鴨川、丸太町、京都市

2010年9月21日火曜日

第二百四十六夜/コガタコガネグモ

 クモを見るとたいていの人はギャーッと言うか、顔を背ける。なんとなくその気持ちは解る。でもよく見ると面白く不思議な生きものではある。今日見つけたのはコガネグモ。網の中心にいるのだが写真を撮ろうとするとすばやく網から飛び下り草むらに隠れてしまう。数分後にみるとちゃんと元のところに止まっている。これを何度も繰り返すもいっこうに背中の模様を見せてくれない。我慢できずにさらに追いかけると今度は地面にへばりついたまま動かない。なんとなく普通のコガネグモと動きが違う。まあ背景は悪いが背中の模様がちゃんと判った。背中の模様は不思議な網目状、よく見るとお尻の先から糸が出ているのがわかる。クモは逃げながらも糸を出し続けるので、もといた自分の網(巣)に迷わずに戻ることが出来る。夜、この背中の模様とこのクモの行動をもとに調べると「コガタコガネグモ(♀)」であることが判った。このクモの「網から飛び下り草むらに隠れてしまう」がヒントとなった。やっぱり生きているものを見ることが大切なんだと思う。Photo:2010/09/21 @京都御苑

2010年9月20日月曜日

第二百四十五夜/コオニヤンマ・風変わりなヤゴ

 買い物がてら自宅近くの鴨川に散歩にいく。少し前の豪雨で中州に発達していた草むらはすっかり流され河原となり、あたらしい生きもののの住処ができたので一度じっくりと観てみたかった。河原には早くも新しい植物が成長し、その水際ではオイカワの稚魚が群れている。川岸で水中の小石を一つひとつめくり上げるとカワゲラやトビケラの幼虫が見つかった。中には風変わりなコオニヤンマのヤゴ(写真)も沢山みつかる。いく匹か捕まえているうちに気付く、そのヤゴの大きさがまちまちなことに。写真のヤゴは、体長(脚を含めず)8mmほど、中には体長30mmほどの大きな個体もいる。大きさの異なるヤゴが同時期に見つかるということは、このトンボの幼虫時代は単年以上必要ということ。大きな個体は来年の初夏に羽化するだろうが、この小さなヤゴは早くとも2年後の羽化となるだろう。羽化までに豪雨・濁流のような大変な場面に遭遇するだろうが、小さなヤゴがそれをやり過ごすことに驚く。コオニヤンマのヤゴは、水中ではひらりひらりとまるで枯れ葉が舞うように泳ぎ逃げていく。名前にオニヤンマと付くが、オニヤンマの仲間でも、ヤンマの仲間でもなく、サナエトンボの仲間である。成虫の複眼の位置と、幼虫の口部の形状でそれと判る。Photo:2010/09/20 @鴨川、丸太町、京都市

2010年9月18日土曜日

第二百四十四夜/オンブバッタ

 秋になると俄然増えてくるオンブバッタ。たいての植物は食べるようで、植木鉢でも庭でも、都市部から田舎までどこにでもやってくるのだから不思議な昆虫だと思う。名前のとおりメスはいつも背中にオスをおんぶしている・・・本当のところはオスが勝手にしがみついてのだが。この状態はバッタ類の交尾の際に観察されるが、他のバッタ類がすみやかに離れるのに対し、オンブバッタは交尾時以外でもオスがメスの背中に乗り続けている。メスは、オスを背中に乗せて葉っぱをもぐもぐ食べている、さてオスはいつ葉っぱを食べているのだろう。このバッタ、ちゃんと翅を持っているのに全く飛ばない、宙に投げ上げても飛ぶどころか、翅も出さずにそのまま地面に落ちてくる。移動はもっぱらジャンプ。Photo:2010/09/18 @近江八幡市、滋賀県

2010年9月15日水曜日

第二百四十三夜/ウラギンシジミ

 修学院離宮の門前で知人と待ち合わせ。時間まで近くを散歩。そこにタイミングよくやって来て翅を開くウラギンシジミ(♂)。名のとおり翅の裏側は脚の先まで銀白色の鱗粉と細毛で覆われている。この蝶が飛ぶと翅裏の銀白色がチラチラと良く目立つが、いったん本来の生息環境である常緑樹(照葉樹)の樹冠部(常緑樹の葉は陽光が当たるとキラキラ光る)を飛ぶとこの「チラチラ」が保護色になる。昔は分類が「ウラギンシジミ科」だったが今は「シジミチョウ科」になっている。Photo:2010/09/15 @修学院離宮、京都市

2010年9月14日火曜日

第二百四十二夜/ササグモ

 クモは苦手だった・・・基本的には今も苦手である。なぜ苦手か、脚が8本とか、目がいっぱいあるとか、動くのが速いとか、色が綺麗でないとか、糸を吐くとか・・・いろいろあるけどつまるところは「よくわからない」から。何事も理解しようとする気持ちで新しい展開が産まれるはず。まずはこの苦手をクリアーしようとササグモとかハエトリグモの辺りから見てみようと思っている。葉の上でツマグロオオヨコバイをくわえたササグモを見つけた。このクモは糸の巣は造らず、獲物を待ち構える「待機型」。獲物を見つけるとぴょんと飛びついて捕らえる。その俊敏さが取り柄で、逃げる時もジャンプして素早い。脚のついている沢山の針状の突起物は獲物を捕らえる時に役立つことが想像できる。Photo:2010/09/14 @京都御苑、京都市

2010年9月8日水曜日

第二百四十一夜/シュレーゲルの旅だち

 台風一過ですこし秋らしい風が吹き始めた。自然の出来事をなんとなく見ているとさほどの変化は無いように思うが、昨年の記録と見比べるとその変化が大きなことに気付く。カエルの行動も少し違っていた、これが猛暑と関係あるか否かはわからない。まだ数年の観察が必要なことは確かである。昨年は8月に入るとモリアオガエルの成体も幼体も水辺を離れ森に帰り始めたが、今年はまだ水辺の周りに残っている。今夜のゲストはそのモリアオガエルの仲間のシュレーゲルアオガエル(幼体)。モリアオガエルに近い種であるが、お肌はなめらかで、体形もすこしスマート、全体的にハンサムな感じ。モリアオガエルよりも水辺に近い場所を住処とする。この幼体は元気に葉から葉へ飛び移り移動していた、食べ物でも探していたのだろう。でもうっかりすると後ろから大きなモリアオガエルが狙っているかもよ、気をつけろよ!カエルにとっては同じ仲間であろうと自分の目の前に現れた口に入るサイズの生きものはどれも餌なのだから。Photo:2010/09/07 @京都御苑、京都市

2010年9月6日月曜日

第二百四十夜/赤紫色に輝く糞虫

 小学校の森案内で京都北山の花背に行く。子どもたちの到着を待っている間に散歩。早速、現れたのがオオセンチコガネ。この辺りのオオセンチコガネは赤紫色の金属光沢に輝く一般的なタイプ。このオオセンチコガネは日本全土に分布するが、地域によってその色味が金緑色、瑠璃色などの大きく異なるので興味深い(同じ種類なのに別種のように色が違う)。森を歩くと本当にたくさんの個体と出会うことができる。この甲虫は一般的に「糞虫(ふんちゅう、くそむし)」と呼ばれる糞食性のコガネムシ。個体の多さは、食べ物がふんだんにあるからだろうか。森の中、林縁問わず鹿の足跡やイノシシが餌をあさった痕がいたるところに有った。オオセンチコガネは森の中を獣の排泄物(糞)を探して低空飛行して、片付けてくれる大変ありがたいお掃除屋さん。彼らがいないと森の中は糞だらけのはず。もちろん糞を主食とするがキノコなんかも食べる。ピラミッドの再生の象徴の虫やファーブル昆虫記で有名な「スカラベ」は世界的に有名な糞虫、このスカラベは別名=糞転がし。残念ながらオオセンチコガネは糞を転がすことは無い。写真の個体はモデルの役を果たし後、触覚をヒクヒク動かし、行くべき方角を確かめ地面を低く飛び去った。森歩きでは子どもたちが糞虫と聞いて「げっ〜、とかきたな〜」なんて言ってるんだけど、すぐにその輝くひかれて手のひらに乗せしげしげと見てる、でもその手でそのまま飴なんかを口に運んでるから面白い。Photo:2010/09/06 @花背交流の森、おすすめの糞虫の本:ふんコロ昆虫記(塚本珪一・共著、トンボ出版)、フンころがしの生物多様性(塚本珪一・著、青土社)

2010年9月2日木曜日

第二百三十九夜/リスアカネ

 今夜は少しさわやかに赤とんぼの仲間。このトンボ、見事にシッポ(といってもこれは腹部)が赤くなったので高々と持ち上げて「どうですか綺麗でしょう」とパフォーマンスしてるんではない。トンボもさすがに暑いらしく、なるべく太陽から受ける熱を最小限にとどめようと体の向きを調整している。暑いからといって木陰で休む訳にはいかない事情がある。成熟した雄である以上は水域近くに縄張りを持ち、他の大型の赤とんぼであろうと他者が侵入してきたら追い出さないといけないのだ。この赤とんぼは和名をリスアカネと言う、かわった名前である。ネズミ目リス科のリス(栗鼠)とは全く関係がなく、英国のトンボ学者の名に由来するもの。他の赤とんぼのように遠くはなれて山のてっぺんまでいくことは無く、羽化後も羽化水域の近くに留まり摂食活動を行う。Photo:2010/08/31 @京都御苑、京都市

第二百三十八夜/クマゼミと蓮

 セミはどうやって樹液を吸う判断をしているのか。見ていると電柱や壁にとまった時にも一応にストロー状の口を差し込もうとしているようだ。つまりとまった場所はどこであれ樹液を吸う試みをするのだろう。人間から見ると不自然に思うが、彼らの棲む自然の中ではコンクリートの壁も電柱もないのだから一番適切で理屈に合った行為なのだろう。今日のクマゼミは、ハスの葉の茎にとまりやはりストロー状の口を差し樹液(?)を吸い始めた。やめる気配がないのできっと吸っているんだろう。色味的にさっぱりとした味わいか? 昔、マレイシアの森で綺麗な色のセミを採った、鮮やかな透き通るような緑色で目まで同じ色だった。あとでゆっくり見ようとしばらく手に持っていたら、強烈な痛みを感じた。その痛みは押しピンかなにかでぐさりと皮膚深く刺された感じ。驚いたことにセミが僕の手のひらを刺したのだ・・・たしかに分厚い樹皮の内部を流れる樹液を吸うのだから人間の皮膚や筋肉程度を貫通するのは容易いこと。手の指を広げるとそこには緑色の目の色一つ変えずクールな表情のままに僕の手を刺し続けているセミがいた。果たして軟禁状態から逃げたくて刺したのか、喉が渇いて刺したのか判らない。確実なことはこの時、セミは僕の血液を微量ながら吸ったはずだ。世界のどこかに吸血性のセミが一種類ぐらいいても不思議じゃないと思った。ナンキン虫なんかの吸血性のカメムシがそれに相当するのかもしれない。話はすこし違うが、セミが電線に産卵しておこるトラブルが少なくないという。産卵管を差し込まれたケーブルは孔だらけになり漏電を起こす。セミの♀は木の枝と電線のケーブルとを混同しているらしい。これも不自然でない、森の中では電線ケーブルなんてそもそも無いのだから。Photo:2010/08/31 @京都御苑、京都市

2010年9月1日水曜日

第二百三十七夜/ムラサキツバメと温暖化

 やっと出会えたシジミチョウの仲間=ムラサキツバメ。かつては京都、三重が生息の北限とされていた。近年の温暖化の影響かその生息地を延ばし、十年ぐらい前には東京でも生息が確認された。もともと京都市内でもそう多くはないチョウなのだが近年は、目撃件数が多くなっていた・・とは言っても自分ではまだ見ていなかった。幼虫の食樹は、常緑性のカシ類:マテバシイやシリブカガシ。マテバシイは都市公園・緑地などの植栽で一般的な木なのでチョウ自らの移動以外に、植栽樹木についた幼虫が北限を延ばしたことも可能性としてあるだろう。このムラサキツバメの面白い生態は成虫で越冬すること、しかもその越冬初期は集団を作ること。昔、宮崎でこのチョウがビワの葉に100頭以上もの集団をつくって越冬していたのを見た。写真の個体は翅の縁がすこし波打っている、羽化してさほど時間が経っていないと思う。翅の表は、濃い紫色だが裏面は見てのとおり地味な茶色、でも光の当たり方でうっすらと紫色が浮かび上がる。今日は4頭ものムラサキツバメを見ることができた。Photo:2010/08/31 @京都御苑、京都市

2010年8月31日火曜日

第二百三十六夜/ナガサキアゲハと温暖化

 まったく9月にもなろうというのに暑さはいっこうに収まる気配がない。庭の草花は完全に夏バテの気配。時々、庭のレモンにナガサキアゲハが産卵にやってくる。写真に収めたいと思うもこちらの気配を察してか、猫の額に満たない庭なのですぐに塀を越えて隣の駐車場に飛んでいってしまう。汗だくのこちらとは違って南国生まれのナガサキアゲハは猛暑にもかかわらず汗一つかかず元気な様子。今日、我が家の庭ではないが、クサギの花蜜にナガサキアゲハがやってきた。なんとか数枚を撮り、これからと言うタイミングでなんとカメラのバッテリー切れ。もちろんこの後、低いところの花にやってきたり、翅を休めたり・・・まさに指をくわえて見ているだけ。生きものの観察ってだいたいこんなところが落ちになるものだ。Photo:2010/08/31 @京都御苑、京都市

2010年8月29日日曜日

第二百三十五夜/ゴキブリ

 僕がおつきあいしている小学校はなぜかゴキブリが多いという。さて今年は夏休みにこれを退治しようと職員室や共有ホールを閉め切って薬剤散布したと聞く。効果てきめんでフロアーにはゴキブリの死骸が転がっていた。それをある先生が拾い集めて作った標本が写真の物だった。どこにでもいる嫌われ者のゴキブリもよく見ると不思議な昆虫だ、なぜか?顔や目は前を向かず下を向いている(頭部は胸部の下に隠れている)。あれほど敏感なのにいつも下しか見ていないのである。しかし床に転がって死んでいる時は必ずと言っていいほどお腹を上に、つまり顔と目を上に向けて死んでいる。この姿は真に「昇天」って感じである。先の標本は、この転がっている姿のままを拾い集め、接着剤で背中を貼ったものだからすべて裏面(腹部)を見せる標本になってしまった。これは偶然にもゴキブリという昆虫のもつ特異な面を見事に表すという結果になった。しかし注目点は他にもある、よく見るとほとんど成虫ばかりである。もっと小さな幼虫は拾われなかったのか、時期的に幼虫が少なかったのか・・・なかなか興味深い。もしちょうど卵のステージであればこれから幼虫が孵化し、しばらくしてからやっぱりゴキブリは現れるんだろうなと思った。Photo:2010/08/28 @近江八幡市、滋賀県

2010年8月22日日曜日

第二百三十四夜/カワラヒワ

 小学校で行う自然教室の下見で京都北山・花背に行く。クマタカの飛翔が見れるかと空ばかり見ていた。川に張り出した大きな木の枝にクマタカらしき猛禽の姿を見るも車で移動中の一瞬こと。繁殖を終えた鳥もさほど鳴かない。残念。ゆっくり見ることができたのは、ツバメの若鳥がしきりに上空を飛び虫を捕らえる場面とカワラヒワのみ。カワラヒワはケヤキの実をついばむ声が樹冠のなかからするが姿は見えず、一羽だけ枝先で見張りをしていた。何かの気配を感じたのか、突然十数羽がこの樹冠から飛び去った。そうそう、花背の奥山でクマゼミの声を聞いた、こんな場所までやって来ているとは驚いた。クマゼミ、ヒグラシ、エゾゼミ、ツクツクボウシの声が聞こえた。Photo:2010/08/20 @花背山の家

2010年8月21日土曜日

第二百三十三夜/キアゲハ

 蝶は生きている時が一番きれいだなとつくづく思う。珍種凡種に限らず完璧な標本がずらりと並んだコレクションを見るのも悪くないが、どんなに普通の種類でも生きている時の姿はなにごとにも代え難い。彼らを見ていると飛んでいるのがたまらなく嬉しと思わせる瞬間がある。蜜花を探しているでもなく、異性を探しているでも無く・・・ただただ飛ぶことが楽しい。人が持つような喜怒哀楽な感情や遊びと言う時間はおそらく彼らにはないだろう、でもなんらかの感情を持ち合わせているとしか思えない一瞬があることは確か。猛暑の中、元気に飛び回ったキアゲハご自慢の後翅はすっかりぼろぼろになってしまった。もうしばらく元気に飛び、蜜を吸い、卵を産む頃には暑さも少しましになっているか。Photo:2010/08/19 @円山、滋賀県近江八幡市

2010年8月20日金曜日

第二百三十二夜/ウチワヤンマ


 西の湖(近江八幡)のヨシ原で見かけた大型のトンボ。尾先の平たい形が特徴的ですぐに判る、この形が「うちわ」に似ているのでウチワヤンマと呼ばれる。オニヤンマと同じヤンマと名前につくがこちらは「サナエトンボ」の仲間。「うちわやんまやで」って言っても「あんたはさなえや」なのである。写真上:産卵中の♀(下)を守る♂(上)、写真下:縄張りを守る♂ Photo:2010/08/19 @西の湖、滋賀県近江八幡市

2010年8月19日木曜日

第二百三十一夜/ミサゴ


 今日は滋賀県立大の学生たちが小学生対象に主催する「西の湖の生きものを知ろう」に協力参加。そこで見つけた「ミサゴ」、魚類を主食とする中型のタカ。八幡山の尾根に目をやると大きな枯れ木(松)で、約2時間以上も休息していた。双眼鏡では、顔部の模様も確認できたが、カメラの望遠レンズでは上の写真が精一杯。このタカ、水面上で水中、もしくは水面の魚に狙いをつけ足から飛び込んで捕らえる。Photo:2010/08/19 @八幡山、滋賀県近江八幡市

2010年8月9日月曜日

第二百三十夜/アサマイチモンジ

 仕事で長野・伊那に行く。仕事の合間、近くを散歩。ハラリヒラリとやってきたのが写真のアサマイチモンジ(タテハチョウ科)、シーズンを生き抜いた個体、翅はひどく痛んでいる。今回、蓼科の標高1000m辺りでナガサキアゲハを見たのは驚きだった。Photo:2010/08/07 @長野県伊那市南箕輪

2010年8月8日日曜日

第二百二十九夜/ベニシジミ

 仕事で長野県・蓼科へ行く。探せばきっといろいろといるんだろうが、足元をちらちらと飛ぶベニシジミについ気がいってしまう。どこにでも、いつも、普通にいるのだけど、その美しさは他のチョウのどれにも引けを取らない。翅の表よりも裏の方がずっときれいだと僕は思う。Photo:2010/08/07 @長野県蓼科

2010年8月3日火曜日

第二百二十八夜/オタマジャクシとカエルの間

 草地にへんてこな生き物発見・・・これはカエルになったばかりのオタマジャクシ(変な表現ですね)、正式にはカエルの幼体。まだ尾が生えている、前足は自信がないのか胸元に隠している、歩いたりするのは苦手そう。でもいざとなると十分に成長した後ろ足でぴょこんと危なげに飛ぶ、さすがカエルだ。なんとなく恐竜みたいだが、口を引き締め、大きな瞳で前を見上げる顔はなんとも凛々しい。写真はモリアオガエル。Photo:2010/08/03 @京都御苑

2010年8月2日月曜日

第二百二十七夜/スズバチ

 夏になると草地で写真の蜂=スズバチ(鈴蜂)が獲物を探している場面をよく見る。今日のスズバチも草木の葉を丹念に獲物を探して飛んでいた。この蜂は人を刺すようなことはないので、できるだけ近づいて見たい。獲物は蛾の幼虫=イモムシ、見つけた獲物に麻酔をかけて泥土の巣に運びいれられ、卵が一個づつ生み付けられる。巣は泥土で作られた縦長の卵状で、十数個の部屋に区切られ、それぞれの部屋にガの幼虫が詰められる。母蜂は卵を生み終わった後、巣入口を泥でふさぐ。卵から孵った蜂の幼虫は麻酔をかけられた獲物を食べて育つ。成長した蜂の幼虫はやがて蛹となり、羽化し泥の巣を破って出てくるという訳。
名の由来は、漢字で「鈴蜂」と書き、つくる巣が鈴の形をしていることから名付けられているそうです。アシナガバチに色も形も似ているから初めての見る人は驚くかもしれないが極めておとなしい蜂。運よければ大きな獲物を重そうに運ぶ姿が見れるはず。Photo:2010/08/01 @京都御苑

2010年7月25日日曜日

第二百二十六夜/アブラゼミの羽化

 今年は少ないと思っていたアブラゼミもすっかり羽化のシーズンを迎えた。今夜もバスを待っている間にそばにある交番の柱に羽化ゼミを見つける。終バスが来るが早いか、セミの翅が伸びるのが早いか・・・少々焦ったが無事見届けた。真っ白の体と翅には不自然なほどの黒い目(複眼)が目立つ。トンボもチョウも、同じように羽化直後なのに目は完全に仕上がっている。つまり羽化の場所を見つけたり、羽化後の危険をいち早く見つけるために体は不完全ながらも目だけは完全に機能している。今夜のセミは無事に成虫になれそうだ。Photo:2010/07/25 @烏丸丸太町、京都市

2010年7月19日月曜日

第二百二十五夜/夏の夜の始まり・セミの羽化

 外出の折り、バス停横の地面にアブラゼミの幼虫がひっくり返って手足をばたばたとしている。近くの植え込みから這い出てきたものの何かの拍子にひっくり返り、硬い舗装面では上手く歩けず、かといって上る場所も無い。蝉の幼虫のこのような場面はなんども見る。どうも彼らは硬い地面では体のバランスが悪くひっくり返りやすいようだ。地面から拾い上げ近くの木の根元に放す。上手く羽化するかなとバスに。さて、帰り道では羽化のシーンに出くわす。もちろん同じセミではない。これまたおかしな状況。石の溝の端での羽化。近くの植え込みの地面から下の溝に落ちてしまったようで、かろうじて這い上がり羽化まで行き着けた。しかしそこには運悪く蟻が沢山いたようで、青白い羽化したての体に蟻がつきまとう。時折、蟻を振り払おうとするように体を振っている。なんともかわいそうだが体や翅が硬化して飛び立つまでには至らなそうである。Photo:2010/07/18 @京都御苑

2010年7月17日土曜日

第二百二十四夜/カヤネズミの巣

 近江八幡にて来週行われる小学校のキャンプ準備で草刈り。背丈ほどの草地を刈り広げていたらススキの株の中程に大人のコブシ大のカヤネズミの巣を発見。ススキの葉を裂いて織り込んでいる。生きた葉を裂いて、生きた葉にからめているのでこのままでも茶色に枯れることはなさそうだ。巣はほぼ完成している様子、ひょっとすると中に赤ちゃんネズミが入っていることもあるから内部を見るのはよした。すっかりあらわになってしまったのでこのままでは子育て環境にたえないと思う。親ネズミには申し訳ない。来週のキャンプで子どもたちに見てもらおうとそこで作業をストップ。小学校のキャンプでは「森と水」の話を予定、どこかでネズミを登場させよう。Photo:2010/07/17 @近江八幡市北之庄

2010年7月15日木曜日

第二百二十三夜/ショウジョウトンボ

 今日の強雨と雷のあとの夕空はすごかった・・・空も、近くの森も、建物もまっかに染め抜いた。かといって夕日が出ていた訳ではない。分厚い雲がその裏にある太陽の光を拡散したのか。少し前に出会ったショウジョウトンボの赤を思い出した。このトンボは、一般の赤とんぼと呼ばれる「アカネ科」ではない、日本ではこの仲間はただ1種のみ。アカネ科に見られるような胸の模様はなくほとんど無地。しかも複眼から尾っぽの先まで真っ赤っかで目立つ。まず他の種類と見間違うことは無い。このトンボの真っ赤な複眼で見た景色は、きっと今日の夕空のように真っ赤に違いない。Photo:2010/06/29 @京都府立植物園

2010年7月13日火曜日

第二百二十二夜/トリバガ

 芥子粒のような、ゴミのような、ホコリのような虫がいる。この手の虫にはあまり近寄らない方がいい。なぜなら何の仲間か判らない・・・調べても「なんとかの仲間」ぐらいにしか判らない。この分野に足を踏み入れると抜け出せなくなるから。今日、見つけた蛾もこの手に近い。これはトリバガの仲間、翅を広げてもせいぜい1cmぐらい。写真を拡大すると体から脚から細かな刺のような突起物が出ている。色は地味だが、体の作りは面白い。もう少し大きければかっこいいのにな・・と思う。Photo:2010/07/13@京都御苑

2010年7月9日金曜日

第二百二十一夜/オニヤンマの羽化

 雨の中、灌木の枝下にオニヤンマを見つける。羽化したばかりだろう、近くには脱け殻のヤゴがあった。複眼はまだオニヤンマ特有のきれいな翠色にはなっていない。羽もたよりなさそうだ。近くには他の脱け殻もあった。灌木のすぐ下は幅20cmほどの砂地の細流。この大きなトンボの幼虫(ヤゴ)が暮らすには思いもかけないほどの場所。雨が止んで、林縁を元気に飛ぶ姿を想像するとドキドキしてしまう、それはそれは本当に美しいから。Photo:2010/07/03 @栗東、滋賀県

2010年7月8日木曜日

第二百二十夜/森に卵?

 植物研究家のKさんにキノコの名前を教わった・・・ほとんど忘れそうな名ばかりだが、これだけは忘れないだろう。その名も「タマゴタケ」(正式にはチャタマゴタケ)、大きくなった物をみると名前の由来が判らないが、幼菌(キノコの子ども時代のようなもの)をみると納得。大きさも鶏卵大。白い卵状の幼菌から、黄色の物体(これが笠になる)が現れた様はまさに卵、それも「ゆで卵」(写真上)。これが大きくなると今度は、目玉焼きになる(写真下)。写真のチャタマゴタケは黄色タイプ、通常のタイプは茶色で、ゆで卵状態の時は中国食材の「ピータン」のような感じ。キノコもなかなか面白い。Photo:2010/07/06 @京都御苑

2010年7月6日火曜日

第二百十九夜/我輩はブンゴツボマツタケである

 我輩は新種のキノコである。和名はまだ無い、もちろん学名も無い。名前がないのも困るので世間では、仮に「豊後壷松茸(ブンゴツボマツタケ)」と呼び始めたらしい。我輩は第一例として2005年7月に大分県佐伯市、その後第二例、第三例が京都御苑で見つかった。ちなみに第二例は種の同定のために大分県に送られた。その第四例目が今日見つかった。最初の一個を除いては、国内では京都御苑以外に見つかっていない。自分でも判らないのだが、アラカシか他のきのこに寄生すると言われている。色も香りもマツタケに似ているが、味は判らない、安全かどうかも判らない。なぜならあまりに少なくてだれも試食してくれないからである。Photo:2010/07/06 @京都御苑、京都市

2010年6月30日水曜日

第二百十八夜/どこから来た? クサガメ


 植物園の北西にあるハーブ園エリアには、2つの池がある。一つは睡蓮池、もう一つは湿生植物池。睡蓮池にはウシガエルが沢山すんでいる。湿生植物池には数種類のトンボが生息する。そこに今年はクサガメがいた。今回初めて見つけた・・・それまでいたのか疑問。考えられることは来園者の放流。亀にとって楽園には違いなさそうだが、たった一匹なのは悩むところ。放流だとすれば無責任で勝手な行為、困ったものだ。Photo:2010/06/29 @京都府立植物園

2010年6月29日火曜日

第二百十七夜/キマダラセセリ

 梅雨の晴れ間、花壇の花(セージ)に来たのはキマダラセセリ。よほどセージの花蜜が気に入ったのか手で触れてもすぐに戻ってきた。小学生の頃、標本作り(展翅)の練習でずいぶんと犠牲にしてしまった。殺して三角紙(とった蝶をいれておくパラフィン紙でできた三角形の袋)に入れておくと硬化してしまう、しかも小さな翅。これを標本にすることはけっこうテクニックが必要だった。沢山の犠牲で僕の展翅技術は、格段にうまくなった。残念なことにそんなどこにでもいた蝶もあまり見なくなった。この蝶の幼虫が食べるイネ科植物(どこにでもあった言わば雑草)が生える草原が身近な場所からなくなってしまったためだろう。Photo:2010/06/29 @京都府立植物園

2010年6月23日水曜日

第二百十六夜/カノコガ

 蛾と聞くと一歩後ろにひく人が多いが、そこを我慢して一歩前に出て見ると結構きれいで面白いことがわかる。昼間飛ぶ種類も多い。この写真は、「カノコガ」という名の蛾。翅の模様の「鹿の子」から名が付けられている。鹿の子とは、鹿の子どもの背中の模様、茶色の毛に白く丸い模様。日本では確か4種類いるが、他の種類を見るとこの仲間が蜂に擬態していると思われる。黒い体にある黄色い帯が蜂の体色に似ている。特に横から見た感じは蜂に似た模様。飛び方は緩やかだから、およそ蜂には見えないが止まっている時には何らかの効果があるのかもしれない。Photo:2010/06/22 @京都御苑