2013年3月30日土曜日

第四百五十五夜/キンクロハジロ

 昔、環境教育の指導会でこのカモの名前を教えてもらった知人は、「金久郎〜!」と歌舞伎の舞台で役者の屋号を呼ぶ様に呼んでいた。確かにそうやって呼びたくなる名前と風貌である。一度、名前を聞けば忘れないだろう、このカモの名前はキンクロハジロ(Aythya fuligula、海ガモの仲間で潜水が得意である。名前の由来は、「金色」の目と体の「黒」、ハジロは羽白(初列風切や次列風切に白い斑紋が入り、飛翔時に白い帯模様に見えることから)。寝癖でたったような後頭部の羽も特徴的でなかなか愛嬌者である。潜水が上手い鳥の仲間は、だいたい後脚が体の後方に付いている。ペンギンがその代表格である、だから陸上ではほとんど直立状態で立たないとバランスがとれない。このカモも同様ではあるが、それほど直立にはならないがやはり陸上に立つのは苦手とみえてほとんど岸辺には上がらない。だから水上で全ての日常を過ごす。Photo:2013/03/27 @蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

2013年3月29日金曜日

第四百五十四夜/ハシビロガモ

警戒心の強いシマアジに比べるとこちらのハシビロガモ(Anas clypeata)は、けっこう露出度がある。こちらが見ていると最初は逃げるが、しばらく待っていると自分たちのペースで行動してくれる。双眼鏡で見ていると、こちらに目を据えてずんずん向かって来るオスなんて結構迫力がある。幅の広いクチバシとくっきりとした色合いが特徴的である。クチバシが大きいせいだろうか他のカモよりも一回りも大きく見える。Photo:2013/03/27  @西の湖、蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

2013年3月28日木曜日

第四百五十三夜/シマアジと言う名の鳥

 
 西の湖に近い蛇砂川でカモ類を観ていると一羽だけ見たことのないカモがいた。周りには、オオバン、バン、カイツブリ、キンクロハジロ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、カルガモが水面を漂っているが、この一羽だけものすごく警戒心が強い、浅瀬の草むらから出てこようとしない。体の紋様も手伝って、動かないとほとんど居場所を見失う。他のカモなら最初、こちらに警戒はするものの、ある程度の距離を保てば自然な行動を観察できる。でもこれは違った、双眼鏡で見るとこちらの様子を終始伺い、まったく動こうとしない。調べてみると体色の特徴からシマアジ(Anas querquedulaの若いメスと判る。春秋の渡りの時期に全国で記録されるが、全体の数は多くないようである。この個体も北への渡りの途中で立ち寄ったのだろう。Photo:2013/03/27 @西の湖、蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

2013年3月27日水曜日

第四百五十二夜/ヨシ焼き

 先月までハイイロチュウヒが舞っていたヨシ原に火が入った。このヨシ焼きは、ヨシズの原材料となる良質なヨシを育てるため春の新芽に障害となる立ち枯れたヨシや刈り取り後の不要な草葉、ヨシ以外の植物を除くため。その他、病害虫の駆除、土壌改良、もう一つは樹林化を防ぐというもの。風の強さと方向を見定めて約1ヘクタールの原に火が放たれた。火は徐々にヨシ原に広がり、真ん中辺りでは時折高さ10mほどの竜巻状の火柱になる。ものすごい迫力。火が落ち着いて来ると、トビが現れ獲物を探している。火に追われたネズミやカエルを狙っているのだろう。やがてヨシ原の外縁の水路で火が収まりヨシ原一面が焼け野原状態になるとカラスが獲物を探す様に歩いていた。ヨシ焼きも終わる頃になり一台のミニパトが現れた。警察官がヨシ焼きをやっていたおじさん達に事情聴取。誰かが通報したのだと言う。事前に地元の警察と消防署に届け出を済ませているので、両者この事情聴取は毎回のことらしい。通報されたら、一応対応しなければならない。このヨシ焼きが終わると一雨毎に暖かくなり、この黒々とした焼け野原もきれいな新緑で覆われる。Photo:2013/03/27 @丸山、近江八幡市、滋賀県

2013年3月17日日曜日

第四百五十一夜/オジロビタキと梅花

 日ごとに春の気配が強くなってきた。冬鳥達も徐々に姿を消し、トビやカラスは巣作りを初めている。梅やロウバイの花も満開を過ぎ、モモの花のつぼみが膨らんできた。 今日は、梅の花に隠れる様にして休むオジロビタキ(Ficedula parvaを観る。顔の辺りから換羽(かんう)が始まっているようで、少し情けない表情に見えてしまう。この個体ももうしばらくするとシベリア大陸に渡ってしまうに違いない。ちょうど暖かくなって虫も出始めた、たっぷりと食べて渡りの出来る体力をつけて欲しい。Photo:2013/03/17 @京都御苑、京都市

2013年3月15日金曜日

第四百五十夜/アブラコウモリ

 窓の網戸にへばりついているコウモリを教えてもらった、アブラコウモリ(Pipistrellus abramusのようである。ここは建物を改修中の学校、ひょっとすると工事中の屋根裏から驚いて飛び出た個体が帰る場所がなくてそのまま網戸に止まったのかも知れない。3、4日前から同じところに止まり動かないと言う。ここで冬眠せざるえないという訳か。コウモリにとっては、ありがた迷惑だろうが、お菓子の箱に穴を開け、捕獲したコウモリを箱に入れ、元の場所近くにぶら下げておいた。捕獲する際に、かすかな声で「チイイ、チィ・・・」と鳴いた。Photo/2013/03/14 @浅小井、近江八幡市、滋賀県

2013年3月14日木曜日

第四百四十九夜/セグロセキレイ

 学校で子ども達がきれいな小鳥が死んでいると教えてくれた。教室に行ってみると床に一羽のセグロセキレイ(Motacilla grandisが落ちていた。さてどこから入ったのかわからないが、まだ新しい。羽を広げて子ども達に見せてあげる。観察した後は、近くの川の草原においてきた。この小鳥を必要としている他の生きものがいるはずである。Photo:2013/03/14 @浅小井、近江八幡市、滋賀県

2013年3月11日月曜日

第四百四十八夜/オオバン

川面に見るのはオオバン(Fulica atraばかり。黒い鶏が川を泳いでいる様である。なんでも食べるからだろうか増加の傾向にある。時折、キンクロハジロと混群して泳いでいる。Photo:2013/03/11 @蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

第四百四十七夜/ヨシ刈りとハイイロチュウヒ

 すっかり春になりハイイロチュウヒも北国へ戻っていった。西の湖周辺のヨシ刈りももうすぐでシーズン終わり。ハイイロチュウヒが舞っていたこのヨシ原もしばらくする野焼きが始まる。ヨシ原を眺めていると、こうやって人がヨシを刈り、また近くに畑を耕すことでハイイロチュウヒの狩り場が生まれことに気付く。冬鳥として北国からやってきたタカも意外なことに人里近くの生きものであることが判る。絶滅危惧種であるタカが健全に棲息するためは、西の湖周辺の文化的景観、そして地域産業であるヨシ刈りが続くことが必要なのである。Photo:2013/03/11 @丸山、近江八幡市