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2015年12月31日木曜日

番外編/八百夜話ごあいさつ

みなさま本年も残すところ数時間となりました。皆さんの穏やかな年越しと新しい年を迎え健康と活躍をお祈りします。つたない文章と写真ではありますが、残す二百話お付き合いください。どのような生きもの達と出会えるか楽しみです。

2015年7月10日金曜日

第七百四十夜/谷戸の風景

 現代の谷戸の風景。アマガエル、ナツアカネ・・・そしてシカ避けネット。この3点セットはどこへ行っても変わらない。シカ避けネットがなければいい風景なんだがね。Photo:2015/07/08 @広河原、京都市

2013年10月8日火曜日

第五百五十夜/寄生もつらいよ

 今日は、路上で不幸にも踏まれて死んだハラビロカマキリを見つける、そばには体中より出て来たと思われるハリガネムシ(2匹)も死んでいた。
 ハリガネムシは、水中で卵を産み→ふ化した線虫は草と共にバッタ(最初の寄主)などの昆虫に食べられ体内に入り込み→そのバッタを食べたカマキリ(最終的な寄主)の体内で成長→やがて大きく成長したハリガネムシは、カマキリの体より脱出し→水中に戻る→そして水中で産卵・・・と言う不思議で、かつ簡単でない、確率性の低い経路での寄生をする水生生物である。ハリガネムシは、水田などの止水域を生活の場としている。
 路上で死んだカマキリと共にどこから来たのだろうか興味深い。この近くの水場といえば鴨川か京都御苑の「トンボ池」、距離からするとトンボ池から路上までは200mほど、カマキリの能力からすると十分可能な移動距離である。つまり京都御苑の中にある水辺でもハリガネムシが生息しているという興味深いことが想像ができる。
 さてこのハリガネムシ・・・最初の寄主がカマキリに食べられるよりも他の生物、例えば野鳥やカエルやハチに食べられる方が確率が高そうである。はたしてそれらの捕食者は「寄主」にならないのか不思議である。 
 残念ながら今回のハリガネムシは路上でひからびて水辺に戻れなかったと言うわけだが、明日台風の雨が降れば、生き返って雨水溜まりで産卵となるかもしれない・・・少々怖いがそのぐらいの能力はありそうだ。Photo:2013/10/08 @京都御苑、京都市

2013年9月23日月曜日

第五百四十一夜/戻って来たアオバズク、大楠はなに想う

 アオバズクがオオタカに食べられたのが8月27日の朝。その後、アオバズク達は休息場所の木からすっかり姿を消してしまった。その後一度だけ夕暮れの樹冠を飛ぶ姿を見たきりどこにいるのか判らない。渡りの時期までにはしばらくある。僕たちが知らない場所で静かに夜を待っているのだろう。アオバズクの営巣木の周りにはもう写真を撮る人もやってこない。今や彼らは南への渡りに立ち寄る小鳥達に夢中なのだ。
 いつもの様に今日もアオバズクが休息に使っている木を見た・・・なんとそこにはアオバズクが2羽仲良くとまっていた。約一月ぶりの姿である。野鳥カメラマン達がいないためだろうか比較的低い位置に休んでいる。こんな時はカメラも双眼鏡も出さないのが礼儀というもの。一枚の写真よりも一本の木の上と下で同じ時間を共有することが大切。
 夜行性の彼らにとっては、これからが一番安全な時間。目をこらしていると、これから一日が始まるのかと思わせる様な体の動きが見て取れた。南への渡りまでの間、アオバズク達はこの大楠の周りを生活の場にするだろう。この大楠は今年もアオバズクや多くのムクドリの営巣の場所となり、食事の場所となった。夕暮れの中、この大楠からは周囲の樹々とは違った気配を感じる。一夏が終わり何を想うのか。Photo:2013/09/23 @京都御苑、京都市

2013年9月9日月曜日

第五百三十夜/食痕、森の謎解き

 谷戸の先にある雑木林にて、コナラの切り株の上にカブトムシの残骸。前翅の数を数えるとちょうど3匹分、他に脚や頭もあった。全てお腹の部分が無い。前翅(堅翅)を見ると鳥のクチバシで刺したような痕跡がある。これは調理の時についた傷だろうか。森の誰かが食べた後であることは確かなようだ。近くの樹液に来ているカブトムシを獲り、この切り株の上で調理して食べたに違いない。他の切り株の上にも同じ状態の食痕があった。近くにはニホンザルのものらしき糞もあった。糞の中には木の実以外にコガネムシの緑色の翅も見える。時折、この森ではカケスを見かける。しかしサルを見たことは一度も無い。この食痕はカケスのものか、猿のものか、それとも他の動物のものか。動物達を直接見なくとも、彼らの残したメッセージは森のあらゆるところに隠されているに違いない。食痕、糞、体毛、足跡、そして体臭・・・昆虫なら小さな翅のかけら。森のなかで見つけるとなぜか嬉しくなる。小さなメッセージはパズルの一片の様なもので、これを見つけ組み立てる事でこの森の本当の姿が見えてくる。Photo:2013/09/08 @栗東、滋賀県

2013年7月4日木曜日

第四百九十三夜/キノコとトビムシ

 梅雨入り後、たいした雨も降らずなんだかもう既に梅雨明けした感じである。こんなことも影響してか、地面に生えるはずのキノコも少なく感じる。そんな中にも一度、雨が降ればにゅこにょこと出て来るから面白い、実にたくましい。地面に一粒のドングリが転がる様に生えているのは、タマゴテングタケモドキ(Amanita longistriata)の幼菌。これから笠の部分を広げる。根元のツボの部分には沢山のトビムシの仲間が来ていた。キノコの一部を食べているのか、キノコが出す液を吸っているのか? さて、このキノコを人間が食べると腹痛を起こすことで「毒キノコ」とされている。でもトビムシ達は大丈夫のようだ。キノコもよく判らない、トビムシはもっと判らない。自然界の食物連鎖(循環)で、植物は「生産者」、動物は「消費者」までは学校で習った、でもこの2者では自然界の循環が完結できないことをキノコの佐野先生に教えて頂いた。ここでキノコが「還元者」として活躍する。つまり消費者が出したものを生産者が利用できる様に還元すると言う訳だ。Photo:2013/07/03 @京都御苑、京都市

2013年3月27日水曜日

第四百五十二夜/ヨシ焼き

 先月までハイイロチュウヒが舞っていたヨシ原に火が入った。このヨシ焼きは、ヨシズの原材料となる良質なヨシを育てるため春の新芽に障害となる立ち枯れたヨシや刈り取り後の不要な草葉、ヨシ以外の植物を除くため。その他、病害虫の駆除、土壌改良、もう一つは樹林化を防ぐというもの。風の強さと方向を見定めて約1ヘクタールの原に火が放たれた。火は徐々にヨシ原に広がり、真ん中辺りでは時折高さ10mほどの竜巻状の火柱になる。ものすごい迫力。火が落ち着いて来ると、トビが現れ獲物を探している。火に追われたネズミやカエルを狙っているのだろう。やがてヨシ原の外縁の水路で火が収まりヨシ原一面が焼け野原状態になるとカラスが獲物を探す様に歩いていた。ヨシ焼きも終わる頃になり一台のミニパトが現れた。警察官がヨシ焼きをやっていたおじさん達に事情聴取。誰かが通報したのだと言う。事前に地元の警察と消防署に届け出を済ませているので、両者この事情聴取は毎回のことらしい。通報されたら、一応対応しなければならない。このヨシ焼きが終わると一雨毎に暖かくなり、この黒々とした焼け野原もきれいな新緑で覆われる。Photo:2013/03/27 @丸山、近江八幡市、滋賀県

2011年1月1日土曜日

第二百五十九夜/謹賀新年・雪に思うこと

 今冬初めての降雪、さっそく日常のフィールドでもある京都御苑に出向く。積雪は10cm少し。これだけの降雪は久しくなかった。樹林地を歩くもほとんど生きものの気配はない。時折、カラスやヒヨドリが飛び去る。この降雪で命を落とす鳥もいるだろうなと思いながら、頭上から落ちてくる雪や小枝に注意し歩く。時折、近くで遠くで枝の裂ける音のすぐ後に大きな音をたてて落枝が地面の落ちる。街中の樹林は降雪に弱いらしく、大きく水平に張り出した枝は地面に触れるように垂れ下がり、頭上の大きな枝は雪の重さに絶えかねて裂けてしまう。雪で出来た幹の傷は新しい生きものの住まいとなり、落枝も同じになるだろう。山間では、積雪で多くの若い鹿が死ぬだろう、そしてこれも他の生きものの糧となる。雪は新しい命を生み出すことにつながる。Photo:2011/01/01 @京都御苑