2012年2月29日水曜日

第三百二十四夜/立つ鳥跡を濁さずって言うけれど

 「立つ鳥跡を濁さず」って言うけれど、今日は直径10mほどの小さな池の水面に羽を残していった。時折、小鳥達が水浴びしたり、水を飲んだりするので小さな羽はよく落ちてるが、今日のは新しいカモの羽だった。この池でカモを観察したのは2年前の春、カルガモのペアだった。それ以後、全く姿を見ていなかったが人が見ていないところでちゃんと来ていたことが判る。でも羽の落とし主がカルガモかどうかは判らない。Photo:2012/02/28 @京都市

2012年2月27日月曜日

第三百二十三夜/早春に産卵するニホンアカガエル


 里山の水田脇でニホンアカガエルの卵を見つける。まだまだ冷たい田んぼの水、そこにはおびただしいカエルの卵があった。親ガエルは冬眠から産卵のためにいったん降雪も終わらない早春に目覚め、産卵を終えた後、もう一度5月頃まで休眠(春眠)するという変わった生態を持つ。多くのカエルやヤモリが水田を産卵場所として利用するなかで、捕食者が少ない早春に産卵し、他のカエルがオタマジャクシの間に、子ガエルとなって雑木林に帰って行く、という作戦なのか。産卵がされていた田んぼのまわりにはおびただしい卵塊以外に、イノシシの足跡と彼らが土を掘り返し荒らした草地があった。近くの水溜まりにはアカハライモリや水生昆虫の姿も見れた、確実に春が来ている。写真:(上)ニホンアカガエルの溺死、(下)水田溝の卵塊 Photo:2012/02/26 @堅田、滋賀県

2012年2月26日日曜日

第三百二十二夜/オナガガモ

 三島池の二大勢力の一つ、オナガガモ。メス(写真手前)は特徴の無い褐色の羽に覆われているが、オス(写真奥)の尾長と頭の模様が特徴的、オスの頭と頬の焦げ茶色の羽は見る角度によって深い緑色に輝く。オスの体の特徴が名前の由来になっていることが判る。オス・メスともクチバシのブルーグレーがきれいだった。どれもすっかりペアになって仲むつまじ。このカモ結構ずうずうしく餌を与える人間が来ると真っ先にやってきてすぐに岸辺にまで上がってくる。カルガモやマガモよりも警戒心が薄いらしい。東京・不忍池でもそうだった。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県

2012年2月25日土曜日

第三百二十一夜/モヒカン頭のヒドリガモ

 三島池にオナガガモと共に沢山いたヒドリガモ。名前はオスの頭と首が緋色「深紅色」から、緋色の鳥「緋鳥(ひどり)」と呼ばれたことから名付けられたと言う。でもその緋色はまるでモヒカンの様でもあるから覚えやすい。オスはピュー、ピューという特徴あるかわいらしく甲高い声で鳴くが、メスは他のカモ同様低い声でガァー、ガァーと鳴く。食性は植物食。水面に浮かぶ植物性の葉や茎・根・種等を採食する。また、昼までも岸や中洲に上がって陸上の植物も食べる。潜水は得意ではないらしく、三島池ではオオバンが潜水してくわえてきた水草を横取りするので嫌われていた。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県

2012年2月24日金曜日

第三百二十夜/ダイサギと言う白鷺

 よく「白鷺」っていうがその名の鳥はいない、よく見かける白いサギをひっくるめて白鷺って言っている。 その中身はダイサギ、チュウサギ、コサギの「大中小」の3種類。みんなまとめてシラサギと呼ばれているように、風貌がどれもにているため、野鳥に興味の無い人は区別して見てない。つまり白い鷺のようなものは全て白鷺なのである。今夜の白鷺は体長は 90cm ほどで、日本ではアオサギと並ぶ最大級のサギ=「ダイサギ(大鷺)」である。全身の羽毛が白色で、雌雄同色。脚と首が非常に長く、くちばしも長い。足は全体が黒い。夏羽ではくちばしが黒くなり、足の基部がわずかに黄色がかる。また胸や背中に長い飾り羽が現れる。眼先が緑がかる婚姻色が現れることもある。冬羽では飾り羽がなく、くちばしが黄色くなる。チュウサギと似るが、チュウサギは体長が小さい。またダイサギはクチバシが長く、また眼下にある口角の切れ込みが眼より後ろまで食い込むことで容易に判別できる。
 チョットややこしいのは、日本国内ではこのダイサギの中に亜種の2種があって、亜種チュウダイサギ(学名 E.a. modesta)が夏鳥として(日本で繁殖して冬は南方へ渡る)、亜種オオダイサギ(学名 E.a. alba)が冬鳥として(中国東北部で繁殖して冬に日本へ渡り越冬する)、それぞれ観察される。夏に見られるのが「中大」、冬に見られるのが「大大」である・・・・が野鳥に興味の無い人は白鷺同様、どうでもいい話なのである。
 だれもがきれいだなと思うのは、この鷺がゆったりと水辺を歩いていたり、舞っている時だと思う。目の前をゆっくりと純白の大きなつばさを広げ飛ぶ姿は本当にきれいなのである。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県

2012年2月22日水曜日

第三百十九夜/アオサギと雪山

 フン虫研究者のT先生、野鳥研究者のN先生と3人で米原の三島池に鳥を観に行く。数日前の積雪で埋もれた池と伊吹山を想像して行ったのだが、なんと池周辺の雪はほとんど溶けてしまっていた、さすがに伊吹山は積雪たっぷりで双眼鏡で見限り山頂の小屋も雪に埋もれている。天気に恵まれ風もなく、暖かな一日。三島池では、ヒドリガモ、オナガガモ、コガモ、カルガモ、マガモ、アヒル(合鴨)、バン、オオバン、ダイサギ、アオサギ、カワウ、エナガ、カワラヒワなどが観られた。時折、パンを持ってやってくる来園者のまわりにカモ達が集まる。池の借景になっている伊吹山(1377m)を見ていると、池端の松の頂にアオサギが止まる(写真)。アオサギも雪山を眺めているよう。伊吹山はまだまだ冬の様相だがアオサギの脚は赤く色づき早くも婚姻色が出始めている。池のカモ達もすっかりカップルが出来上がっている。カモ達の渡りも以外に早いかもしれない。帰り道、西の湖にハイイロチュウヒを見に行くが、ここでも空振りで今日はなにも出なかった。いつもなら風が強いアシ原には全く風がふいていない。猛禽類の狩りは風との関係があるのだろうか。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県
 

2012年2月21日火曜日

第三百十八夜/何かが違う今冬

 自宅の庭にも雪が積もった。西洋ヒイラギの赤い実と雪はよく似合う・・・がさてどうしたものだろう今年は今になっても赤い実がすべて残っている。これは本来喜ばしい事なのだが、そうでもない。例年なら年末にヒヨドリが一日で食べ尽くしてしまうほどなのに今年は違う。山間部では雪が多いと聞くが地方全体ではやはり暖かいのか。この小さな木になる実に頼らなくとも山には豊富に食べ物があると言うのか。仕事で度々通る琵琶湖大橋に近い湖岸道路でも同じ事を気付いた。今年は琵琶湖のカモ類が少ない。北国では例年にない豪雪、ならばカモ類が越冬のためにさらに多く来てもよさそうである。気候の問題か、それとも地震の影響でもあるのだろうか。いろいろな場所で気付く、例年と何かが違う今冬である。Photo:2012/02/20 @京都市

2012年2月18日土曜日

第三百十七夜/雑木林とコサギ

 京都市内にもようやく雪が積もった。北陸や東北の積雪のことを考えると喜んではいられないが、やはり雪が積もって健然な冬期である気がする。早速、植物園に散歩に出かける。雪景色を一目見ようと普段よりも来園者が多い。散歩をしていると不思議な場面に出会った。カシ林の薄暗い林床をコサギが歩いている。普段、コサギは川辺にいる鳥でこのような場所にいる事を見た事が無かった。様子を伺っていると選んでこの暗い林床を歩いている、偶然迷い込んできたのでない事は確かだ。お目当ては餌らしい。小走りに歩いたかと思うと立ち止まり、地面を凝視し、しきりに何かをついばみ食べている。こんな行動を繰り返していた。コサギに習って、同じ様に地面に目を凝らすが何がいるのか判らない。積雪で水浸しになった地面からミミズでも出てきているのかもしれない。それにしても地面に残る雪にコサギの白羽がすっかりまぎれて保護色になっていることは面白い。雪が無ければ目立って仕方ないだろうに。Photo:2012/02/18 @京都府立植物園

2012年2月17日金曜日

第三百十六夜/ノスリの飛翔に見とれる

 タカ類の飛翔を見ていると時間が過ぎるのを忘れてしまう。実に見事。風を読みながら、時にはゆったりと舞ったり、空中に留まり地面の一点を凝視したり、また時にはすべるように上に下にと軽やかに移動する。時折、すとんと落ちる様にヨシ原に入るが獲物に逃げられたのかすぐに舞い上がってくる。是非ともその狩りの様子を見たいと思うのだが、なかなか出会えない。双眼鏡で見ていると目の様子まで判る、正面からこちらに向かってくる時などはゾクゾクしてしまう。この時期、西の湖のヨシ原にはノスリ(写真)、ミサゴ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、オオタカ、チョゲンボウ、トビなどのタカ類が観察できる。それぞれに体形や飛び方が違っていてなれればその判別は容易である。Photo:2012/02/17 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2012年2月8日水曜日

第三百十五夜/葦原を舞うハイイロチュウヒ

 仕事帰りに近江八幡・西の湖のヨシ原に寄る。雪まじりの風、北西からの風がもの凄く強い。遠くに見える工場の煙突から出る煙り(水蒸気?)は、真横にどこまでも流れていた。大きな望遠レンズでチュウヒを狙うバードウォッチャーも今日はそうそうに引き上げていく。午後4時頃、ハイイロチュウヒがどこからとも無く現れた。独特のV型につばさを上げて、畑や水田の地面すれすれ高さ1mぐらいを滑空している。畑の前に障害物(土手や堤防)が現れると一旦、上空に軽く舞い上がり再び降りてくる。時折、急に地面に降りる。獲物のネズミを捕らえたか? 暗くなるにつれ彼らの活動域はヨシ原に移動し、同じような飛行を繰り返していた。一羽、二羽と個体数が増えてくる。午後5時、ヨシ原には七〜八羽以上のチュウヒ、ハイイロチュウヒを見た。少し上空ではノスリが旋回し、近くの電柱にはチョゲンボウが止まる。褐色のチュウヒが時折、ヨシ原に降りる、しかしどこにいるのか判らない。以外に近くから飛び立ち驚く事もある。こちらの「見たい!」という気持ち=気配を察するのか、ヨシの中で用を足していると(気配が消える?)、向い側から現れた。何も出来ず見送るばかり。そんな鳥たちもやがて暗くて見えなくなった、時々ひらりひらりと軽やかに飛ぶのはトラフズクだろう。予想以上に多くの個体を見ることが出来た、こうなったら写真なんてどうでもよくなる。Photo:ハイイロチュウヒ♀ 2012/02/08 @西の湖、近江八幡市