2011年3月29日火曜日

第二百七十九夜/虎斑木菟


 虎斑木菟と書いて「トラフズク」と読む。「虎のような斑紋を持つミミズク」という意味である。ミミズクとは、頭に耳のような冠羽をもつフクロウの総称。今日はこのトラフズクの姿をやっと写真に収める事が出来た。今年になって6羽程度の集団越冬の木を見つけた。しかしいざ写真を撮る段になってみるといなかったり、こちらの気配を察して飛び去ったりして写真にすることが出来なかった。ねぐらの近くには沢山のペリット(消化できないものを塊にして吐き出したもの)が落ちている。その一つを拾ってみると、ご覧のようなネズミの頭骨(黄色い鋭いものが前歯)と毛を見る事が出来る。このペリットは一見動物の糞のように見えるが無臭。毎日拾って水にさらせばその内容物が判別できるし、一日どれぐらいのネズミを食べているかも判るだろう。このミミズク、食べ物のメニューはそれほど広くないようで、転がっていたペリットのほとんどはネズミの毛玉だった。どれほど多くのネズミを周辺の田畑から獲ってくるのかとても興味深い。Photo:2011/03/29 @浅小井、近江八幡市、滋賀県

2011年3月22日火曜日

第二百七十八夜/国鳥・キジ


 川岸の草地を歩いていた時、クズの枯枝の向こうから赤い顔とにらむような黄色の鋭い目が見えた。キジだ!近すぎる。こちらが動けば対岸に飛び去るのは間違いない。体をかがめ向こうが動き出すのを待つしかない。しばらくじっとしているとこちらを伺いながらゆっくりと現れた。顔の様子から先ほどまでの警戒心は伺えない(瞳孔の鋭さが消えている)。時折、地面をつつくように何かを食べている。互いの間の草がキジの顔に重なってよく見えない。欲を出してしまった・・・体を動かした瞬間にキジは小走りとともに、大きな羽音を残して対岸の葭原に飛び込んでしまった。写真のキジは♂で、顔の赤い部分(鶏のトサカにあたる)は皮膚が露出していて、耳のように見える冠羽も目立っている。これは繁殖に入っている証拠。キジはテリトリー(縄張り)が強いので多分ここにくればいつも見れるはず。Photo:2011/03/22 @浅小井、近江八幡市、滋賀県

2011年3月21日月曜日

第二百七十七夜/ヒヨドリと個性

 庭にやってきたヒヨドリ。いつも同じ個体を見ているとその個性もよく判る。ヒヨドリとメジロ・・共に食べ物が同じなので常に敵対関係にあるらしい。庭のえさ場にメジロがやってくるとすかさずヒヨドリが追い散らす。しかしこの個体はどうもそうではないらしい。メジロがやってくる事を許容してる様子。どこかおっとりしている。メジロもそれを知ってか、さほど慌てない。鳥たちを見ていると共通言語を持っているようでもある。それが理解できれば面白いのになとつくづく思う。Photo:2011/03/21 京都市

2011年3月19日土曜日

第二百七十六夜/ツグミの仲間のイソヒヨドリ

 造園工事現場にやってきた珍客イソヒヨドリ(♂)。頭から胸、背中にかけて綺麗なブルー、お腹の辺りは茶色のコンビカラー。職人さんが運んでくる土がお目当てのようで、見ているとミミズとコガネムシの幼虫をついばんでいるようだ。名前に「ヒヨドリ」と付くが行動を見ていると「ツグミの仲間」である事が判る。その動きはとても面白く、立ち止まり胸を張ると次に頭を地面につけるようにしてお尻を高く上げる。地面にいる時はこれを繰り返す。ムシを食べた後は近くの屋根や柵の上で次に運ばれてくる土砂を待っていた。平気で車の下にも入り、この時もカメラに気付くと車の下に隠れた。素知らぬ振りをして樹木や土をいじっていると、すぐ後ろまできていた。あまり人を怖がっていないようだ。Photo:2011/03/18 @守山市、滋賀県

2011年3月13日日曜日

第二百七十五夜/シメ

 ニュースで報じられてる東北関東大震災の悲惨な状況を疑うばかりの穏やかな一日。いろいろなことを思い浮かべながら京都御苑を歩く。こちらが無心で歩いているからか普段は臆病なシメ(文鳥をひと回り大きくしたような野鳥)が目の前の草地で餌を食んでいた。地面に転がった松ぼっくりから種を取り出しているようだ。この野鳥は、ヨーロッパ中部および南部からロシア南部を経て中国東北部、サハリン、カムチャツカ半島までの、ユーラシア大陸中部域に広く分布する。北方で繁殖した個体は、冬季南方へ渡る。日本では北海道や本州の中部以北で繁殖するほか、冬鳥として本州以南に渡来する。もうしばらくするとふるさとに繁殖のために旅立つ。冬場は肌色だったクチバシの色が変わりだしている、はやくも繁殖期の姿が現れてきた。Photo:2011/03/13 @京都御苑、京都市

2011年3月9日水曜日

第二百七十四夜/二種のタカに魅せられる




 今日は葭原一帯に強い風が吹いていた。時折吹く強い風で車が揺れる程。ハイイロチュウヒを見に行ったが見当たらず、変わりにミサゴ(写真上)とノスリ(写真下)が元気よく飛び回っていた。ノスリは獲物でも見つけたのかすごい勢いで葭原に見え隠れした。近くの畑地にはチョゲンボウが地面にとまっていた、強い風を避けているかのようだ。さて仕事でいったん葭原を去り、日暮れにもう一度同じ場所を訪れた。この時間タカ達の姿は無かったが、トラフズク(フクロウの仲間)が複数羽、葭原を元気に飛び回っていた。このトラフズク、越冬時(冬場)は少数の群れで同じ木に止まる習性が有る。実は先日、この群れを葭原近くの木に見つけたのだ。今日も昼間確認すると確かに枝に止まっていたが、夕方にはすでに活動を始めたようでいなかった。日暮れの葭原と畑地に飛ぶトラフズクを双眼鏡で追いかけるが、しばらくしてすっかり日も暮れ見えなくなった。今日はなかなかラッキーな一日。Photo:2011/03/09 @近江八幡市、滋賀県