2016年3月31日木曜日

第八百三十夜/ビル群にさえずるイソヒヨドリ

 名古屋駅ビル13階の手すりでさえずるイソヒヨドリ(Monticola solitariusに出会う。果たしてこんな場所にメスがいるとは思えないけど、彼だって一人でここにやって来たのだから、お相手がいないことは否定できない。きっとやってくるんだろう。外のテラスで食事をしているすぐ側できれいな声を披露してくれた。Photo:2016/03/28 @名古屋駅ビル、名古屋市、愛知県

2016年3月28日月曜日

第八百二十九夜/タシギ

 水田や草地に潜むタシギ(Gallinago gallinagoの写真を撮りに出かける。いそうな場所を探すが、こちらが見つける前に「ジェッ」と一声鳴いて飛び去ってしまう。近くにいるコガモなんかは、さっさと飛び去ってしまうのに、こちらは数m先になってから、もしくは足元近くから飛び出して来るので厄介だ。しかも飛び去って降りた場所が判っていても枯れ草にまぎれて居所が判らない。こんな事を数回繰り返しようやく見つけた。ヨシの切り株の間に身を隠し、身じろぎすらしない。じわりじわりと近づいてようやく撮ることが出来た。さて方向を変えようかと一歩踏み出したところで再び「ジェッ」と一声鳴いて飛び去ってしまった。今日はこれ以上はもうよそう。
Photo:2016/03/27 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2016年3月27日日曜日

第八百二十八夜/キツネの死

 西の湖のヨシ焼きが最盛期となった。ヨシ焼きが終わるとヨシの芽吹きが急速に始まるのでヨシ原の風景が一年で一番変化する時期なので見逃せない。黒化したヨシ原を歩くとその地熱の熱さに驚く、昨日火入れがされたにも関わらずである。遠赤外線なのだろうか体がぽかぽかしてきて歩きながら眠気が襲ってくる。そんなヨシ原の一本道の窪地に1匹のキツネ(Vulpes vulpes japonicaが横たわっていた。最初、寝ているのかと思ったが、残念ながら死んだ♀だった。毛はとても美しくフワフワで、若い個体のようである。毛の表面にはヨシ焼きの灰がほんの少しついていた。外傷無し、ふっくらとした体なので餓死でもない。弱って倒れたようでも無い。車との接触で運転手が窪地においたのかもしれない。またこのキツネにカラスやトビ、タヌキにかじられた後もまったくないので、まだ死後数時間しか経っていないと思った。冬を無事越し、いよいよ春という日を向かえたのに残念だったろう、ただ顔を見ると穏やかな表情が本当に眠っているようだったことに少しほっとした。キツネは美しい動物だと思う。
Photo:2016/03/27 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2016年3月18日金曜日

第八百二十七夜/ヨシ焼きとトビ

 今日、西の湖の近くのヨシ原でヨシ焼きがあった。ヨシ焼きの終わった草地は真っ黒の灰に包まれ所々煙を発している。手をかざすとまだ熱を感じる。周囲には、ツグミ、イソヒヨドリ、モズ、アオサギ、ハシボソガラス、トビなどがやって来て、火にまかれた昆虫やカエル、ネズミを探している。彼らも経験上、餌を得られることを知っているのだろう。今日は、それ以上に興味深い行動を見た。ヨシ原に火が放たれると急速に炎は大きくなり、同時に煙も生まれる。周囲を飛んでいたトビ(Milvus migransがこの煙のなかを舞いはじめた。煙に燻されるために飛んでいるように見えた、「煙浴」とでも言おうか。時間と共に煙は上昇気流を生み、トビ達はこの上昇気流を利用して高度をどんどん上げて行った。果たして、煙浴のためにやって来たのか、上昇気流を目的にやって来たのか判らない。そのどちらも必要だったのかも知れない。理由は判らないが、彼らが人間の行動を利用していることは確実である。Photo:2016/03/18 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2016年3月16日水曜日

第八百二十六夜/さて何羽いる? 琵琶湖のオオバン

 ここ数年来、黒い羽の水鳥・オオバン(Fulica atraが琵琶湖周辺で急増している。琵琶湖で一番多い水鳥、今日も小さな入り江を埋め尽くしていた。昨年の新聞記事によると「10年前の3倍近くに当たる約6万羽の生息を確認。日本で越冬したオオバンの6割が琵琶湖に集中していると推定され、増加分の多くは中国からの「移住組」とみられる。現状では、他の生物が食べないような外来植物を好んでエサにしているが、本来は雑食性のため、急激に増えたオオバンの食生活が湖の生態系に及ぼす影響は不明で、専門家らは事態の推移を見守っている。」という。中国の自然環境、特に水辺の環境悪化が影響しているのだろうか。先日、アシの質の低下がPM2.5の関係ではないかとヨシ刈りの職人さんから聞いたばかり。 オオバン移住組も大気汚染の影響かな。写真に写る個体を数えてみた、全部で314羽、この入り江ではこれの10倍以上、さて琵琶湖全体ではどれほどの個体がこの冬やって来たのだろうか? Photo:2016/03/16 @堅田、大津市、滋賀県

2016年3月11日金曜日

第八百二十五夜/モズのカップル

 一羽のアリスイに多くの鳥カメラマン・・・近くではもっと楽しい鳥の行動があった..少なくとも僕にとってはこちらの方が興味深い。それは一組のモズ(Lanius bucephalus 英:Bull-headed shrikeのカップル。♂(彼)のモズが♀(彼女)の近くでいろいろな声を出している。彼は、自分たちの居場所を他に教えるように大きく高々に鳴いたと思うと、今度はかすかに聴こえる歌うようなやさしい声を彼女の耳元でささやく。その鳴き方はさまざまだった。そして彼はひとしきり歌った後、どこかへ飛び去り、しばらくすると彼女のもとに餌を運んでくる。彼女はその餌を子どもが親にねだるような仕草で受け取る。彼は時おりクチバシで彼女の羽を整え、キスさえもする。枝で2羽がぴったりと体をつけて休む姿も微笑ましい。なんともラブリーな2羽である。この行動を何度も繰り返していた・・・何時間見ていても飽きない。Photo:2016/03/10 @奈良市

2016年3月10日木曜日

第八百二十四夜/アリスイ

 先日、昆虫学のT先生からこんな鳥がいたよと一枚の写真を送って頂いた。それは枯葉色した風変わりな鳥だった。名をアリスイ(Jynx torquilla 英:Eurasian wryneck)と言う。知ってはいるが見た事は無い。場所を聞くと、仕事で度々訪れるところの至近の距離。早速、打合せに入るに出向き探してみた。居場所・・ここも例外ではなくすぐに判った・・・何人もの鳥カメラの御者がデカイレンズを構えていたから。何本ものレンズが見ている一点は、一羽の薄汚れたような紋様の小さな鳥が地面で何やら食べている。色といい、少し猫背になってごそごそと動く様子は、鳥と言うよりも「ネズミ」そのものである。ここで数枚記録として写真を撮り打合せに向かう。仕事を終え、まだ時間があったので同じ場所に向かう。何人もの鳥カメラマンが帰りはじめていた、聞くと「今日はだめだ」と・・・見ると遠くの地面で同じ様にごそごそと動いてばかりだった。確かにこれでは絵にならない。全ての鳥カメラがいなくなってからもベンチに座り見ていた。この鳥、何を思ったか突然、金切り声をあげたかと思うと僕が座っていたベンチの隣の木にやってきた。しばらくするとどの鳥もする様に一日のおわりの羽の掃除、羽が整うと枝に止まりじっとしている。ちなみにこの鳥は、キツツキの仲間である。木はつつかないけど地面はつつく。時おり、クチバシの間から驚く程長いムチのような舌を出す、クチバシの長さの3〜4倍はありそうだ。この長い舌をアリの巣穴に入れてアリをからめとり食べる。アリを吸い取る様に食べるので「アリスイ」の名がついた。哺乳類のアリクイと同じである。同じ食べ物だから、体の作りも似てくる。体の体形や紋様まで似てくるという興味深いことに気付く。写真を諦めかけていたところに曇り空に少し陽がさし、数枚の写真をゆっくりと撮らせてくれた。上空を見たかと思うと再び金切り声をあげ、葉の茂ったカシの木に移る。ここで夜を向かえるのか? ありがとう。Photo:2016/03/10 @奈良市 

2016年3月2日水曜日

第八百二十三夜/テッポウユリとホオジロ

 テッポウユリ?(シンテッポウユリ Lilium x formolongo)の種が散ったあとの草地で休むホオジロのペア(Emberiza cioides  英:Meadow Bunting)。夕暮れまでにまだ少しある、草の種を食べながら周囲を気にして休むことの繰り返し。近くにはハイタカが舞っていた。Photo:2016/03/02 @野洲川、守山市、滋賀県

2016年3月1日火曜日

第八百二十二夜/ハチジョウツグミ

 ハチジョウツグミ(Turdus naumanni naumanni  ツグミ亜種)が現れた。ゲートボール場広場とその林縁がお気に入りの様。昨夜の降雪が寒かったのか、陽光にまどろむ。時々、シロハラに追われるが共存しているようだ。シロハラとツグミ、体格的には同じだがいつもシロハラの方が強いみたい。Photo:2016/03/01 @京都御苑、京都市