2009年7月31日金曜日

第百二十七夜/殿様バッタ

 歩いている時気づいた、一本のサルスベリの枝先で何かが動いた。近づくと飛び出てきたのがトノサマバッタ。トノサマバッタはその名の頭に「殿様」と付く様に腕も太い、頭も大きい、全体的にガッチリした体をもつバッタの仲間。では、殿様バッタは「殿様」だから♂で、♀のバッタは「姫様バッタ」と言って体も小さいかと言うと、そうではなくやっぱり「殿様バッタ」(同じ種類だからあたりまえだが)で、♂のバッタよりもよりがっちりと大きいのが面白い。バッタの仲間は♀の方が♂よりもずっと大きくたくましい。ちなみに生きものの名前で小さいことを表す「ヒメ」は「姫」の意味。Photo:2009/07/30 @京都御苑、京都市

2009年7月28日火曜日

第百二十六夜/昼間のカブトムシ

 おおっ、こんなところにカブトムシが。京都御苑の芝生の中に小ぶりのクヌギの木がある。地面から15cmぐらいの高さの幹から樹液が出ていた。大きなカブトムシとカナブン、そして時々ゴマダラチョウが来ている。まさかこんな場所の樹液にやって来るなんて・・・灯台下暗し。実はこの木の近くでは、カブトムシを好物にするアオバズク(フクロウの仲間)が子育てをしている。こんなに地面に近いとアオバズクも気づかない?
Photo:2009/07/28 @京都御苑、京都市

2009年7月26日日曜日

第百二十五夜/狩りをするツバメ

 ツバメの親鳥は、幼鳥(巣立ちビナ)に獲物(飛んでいる昆虫)の獲り方=狩りを教えると以前テレビで観た。幼鳥は最初から昆虫の獲り方を知っていると言う訳ではなく、親鳥が飛びながら教えるというのだ。親鳥が一度、捕まえた昆虫を空中で放し、それを幼鳥がキャッチする。これを繰り返すことで、幼鳥は何が食べもので、どうやって捕らえるのかを学習すると言う。これを一度、見たくて田んぼに行ってきた。20羽ほどのツバメの群れが稲穂の上を飛び交っていた。半分以上は幼鳥のようだった。親鳥が空中で獲物を放すシーンは僕の双眼鏡なんかでは判らなかった。ただ、時々数羽のツバメが空中でホヴァリングをしていた。これは親鳥が幼鳥を見て獲物を放すタイミングを待っているかどうかは判らない。
その他、面白い気づきがあった。1)雑草の多い田んぼにはツバメが多い→農薬を撒かないので昆虫が多いのかもしれない。(ツバメが多い田んぼと少ない田んぼが隣接しながらもはっきり分かれている)2)ツバメの尾羽は、燕尾服が例える様に2つに分かれているが高速で直線的に飛んでいるときはくっついているようだ(写真上:稲穂ぎりぎりのラインで飛んでいる姿はすごくきれい)。旋回をかける時にぱっと一瞬開く。3)ツバメもオニヤンマも飛んでいる昆虫だけを捕らえて食べる→食べるものが同じなら、空中でのニアミスも起る。さすがに両者飛翔の達人、直近で交わしていた(写真下:左からツバメが、右からオニヤンマが飛んできてすれ違った瞬間)。ただし相互にとって獲物として大きすぎるので交わすだけ。4)空中を飛びながら、きょろきょろして獲物を探している。昆虫よりも速く飛ぶことによって、空中に浮かんでいる昆虫をついばめばいいことになる。だから速く自由に飛ぶことが必要になる。5)幼鳥は餌獲りよりも遊びに興じている時もある様に見える。自由に飛べることが嬉しくってしかたがない? 
いずれにしろ今の田んぼでの狩りは、幼鳥にとって秋の渡りまでに習得し、しっかりとした体を作るための大切な時間なのだ。
Photo:2009/07/26 @栗東、滋賀県

2009年7月24日金曜日

第百二十四夜/アオバズクの憂鬱

 「アオバズクの幼鳥が巣穴から出そうだ(巣立ち)、出たらしい・・・」などと言う話しは、さまざまな人の好奇心を誘うようだ。今日は昼間からそんな噂を聞きつけて集った大勢のギャラリーが巣立ちしたばかりの幼鳥を見ていた。中には、巣のある大樹周辺での昼間の観察ならいざ知らず、深夜から朝方まで人の気配を隠さず(話しをして、歩き回って)、ストロボまで使って写真を撮ろうとねばるギャラリーもいるらしい。これは夜行性の野生動物、とりわけ巣立ちを間近にひかえた鳥類にとってはなはだ迷惑な行為だ。僕はその場を足早に立ち去り、別の巣の様子を見に行く。アオバズクの雄親がいつもの木から巣穴を監視している。こちらの巣立ちはまだのようだ。不思議なことに誰一人としてここには来ていない。ギャラリーの心理を表している・・・「噂のあそこに居れば皆と同じ様に巣立ちが見れる」。確かに皆と同じものが見れるだろう、もしくは皆と同じ様に何も見れないかもしれない。でもそれって少し変。ここは動物園では無いんだから。それよりも、だれもいない場所でこちらも遠くから身を隠して見ているほうがずっと面白い、実際に鳥の様子がよく判る。写真の雄親は、僕の方を見ずに右の樹木の巣穴を見つめている。まるでヒナ達が出て来るのを心待ちにしている様にだ。ここには騒がしいカラスも人もいない、雄親の表情にもとても自然な雰囲気が見てとれた。さてこの場も長居は失礼、帰るとしよう。
Photo:2009/07/23 @京都御苑

2009年7月20日月曜日

第百二十三夜/樹林地の池に現れたイソシギ

 京都御苑で行なわれた「夏の自然教室」に野鳥担当として参加させて頂いた。会での反省会が終り、外に出ると一頭の大型のトンボが近くの池(閑院宮邸跡)に飛び去った。後をつけるも見失う。代わりに現れたのが写真のイソシギ。海岸から河川、湖沼畔などに生息すると図鑑には書かれているが、こんな樹木が茂った場所にも来るんだと驚く。この池の周りはとても静かで、池の向こう岸を行ったり来たり石や草の間にいる昆虫を食べるのに夢中だ。一方、近くではアオバズクの巣立ちを待つギャラリーでいつも以上に賑わっていた。大勢のカメラマンが長いレンズを巣の入口に照準を合せ待っている。中には大きな声でしゃべり、タバコを吸いながら、しかもうろうろと歩きながら待っている人もいる。おおよそ野生動物を見るに値しない姿勢だと思う。いつもながらに親鳥のストレスを思うと悲しい。野生動物を見るには一人もしくは少人数に限る。何事も気遣いが大切。おのずと新しいものが見えて来るものだ。そして数枚の写真が撮れればそれで良い、必要以上にレンズを向けることは彼らにストレスを与えるに他ならないから。
Photo:2009/07/20 @閑院宮邸跡池、京都御苑、京都市

第百二十二夜/トラフシジミ

 子どもの頃、近くの山であこがれのミドリシジミと間違えて採集した蝶・トラフシジミ。表も裏も特徴的な翅の模様はミドリシジミとけっして間違えることは無いのだが、遠くの枝先に止まっているシルエットはミドリシジミの仲間そのもの。しかもその映像に想像が加わりミドリシジミと確信したのだった。苦労の末、採集したものがトラフシジミと判ったときは少々残念だったが、それはそれで満足したことを覚えている。後翅裏側の末端の模様が特徴的、尾状の翅(尾状突起)の先の白点がやけに目立つ。幼虫は、マメ科やツツジ科の植物の花を食べる。今回は、仕事先の公園で見つけた。
Photo:2009/07/19 @小諸市、長野県

2009年7月16日木曜日

第百二十一夜/オオヤマトンボ

 池の水面を行き来する一頭のトンボ・・・ギンヤンマか?あれっ違う。見慣れない。双眼鏡で追うが判らない。こうなれば陸上競技のゴール接戦ならぬ「写真判定」に持ち込もう。まずはトンボが飛ぶコースを観察する(あそこでターンして、次は向こう岸、その後はこの辺りを・・・ふんふん)。次は望遠レンズ(300mm、実際にはカメラとの関係で450mmとなってしまう)を付けたカメラのファインダーで追う(ピントがなかなかあわせられない、カメラにつけているのはマニュアルフォーカスレンズ。こんな場合はオートフォーカスレンズでも使えません)。コースと早さのタイミングが判ればしめたもの、後は時間と集中力が許すだけ粘る。最初の10カットは使えない、次の数カットはなんとかトンボが写ってる使えるものがちらほら、さらに次の10カット・・・実際に写真を撮ってるときは、息を止めているので、数カット毎に深呼吸。長くなれば逆に撮れなくなってくる。手持ちでこの写真は合格としよう。さて、これで特徴的な模様がつかめた、同定は出来そうだ。この写真から顔面の模様、側面の模様を調べる・・・「オオヤマトンボ」。オニヤンマに似たトンボ。高速で飛ぶトンボの場合、空気抵抗がないように全ての脚を体にぴたりと付けていることが判る。そして頭は戦闘機のパイロットがヘルメットをかぶっている様に見える。翅をさほど動かしていない(ように見える)のにそのスピードには驚くばかり、しかも急旋回もお手のもの。トンボの飛翔は見ていて飽きることは無い。
Photo:2009/07/16 @近衛池、京都御苑

2009年7月14日火曜日

第百二十夜/樹液を吸うゴマダラチョウ

 里山のコナラやクヌギの雑木林でおなじみのゴマダラチョウ(国蝶・オオムラサキに近い種類)を見つける。御苑の砂利道の頭上に伸びたシラカシの小枝上の樹液を吸っている。翅にはオオムラサキのブルーの鮮やかさは無いがメリハリの利いた白黒模様に赤い複眼、黄色いストロー(口吻)が美しい。時折吹く強風に体を持っていかれそうになりながらも小枝にふんばって樹液を吸っていた。この個体は、やや小ぶりで黒味が強く、前翅のとがり方も強いので♂と思われる。幼虫は、エノキの葉を食べ、その形はオオムラサキと瓜二つ(背中の突起の数が違う)。関東の一部では近年、(人為的)放蝶されたアカボシゴマダラ(ゴマダラチョウの仲間)が生息数をのばしているが、ここ御苑ではそんないたずらはまだおこっていない。
Photo:2009/07/14 @京都御苑、京都市 Lens:300mm

2009年7月12日日曜日

第百十九夜/カブトムシ死骸のミステリー

 すっかり梅雨明けの気配のある八幡山(滋賀県近江八幡市)に仕事の下見のために出かける。麓の公園の一番奥の園路でカブトムシの死骸が多数転がっているのに気づく。数えてみると少なくとも40個以上。全ての死骸に共通することは、1)ほとんど♂(♀は3個だけ)、2)腹部が無い(中には頭部がまだ動いているものも複数あった)、3)頭部や鞘翅(前翅)には鋭いもので刺したような傷がある、4)死骸の落ちている場所が比較的まとまっている。そこで推理する。♂のカブトムシが多いことは夜間に飛び回る個体が多いこと(♀は比較的土中に留まることから)、街灯に飛来するカブトムシを捕らえている。腹部が無いことは何者かが腹部を選んで食した、死骸に付いた鋭い傷は堅くて食べられない頭部と鞘翅(しょうし、さやばね)を取り除いた(調理した)時に付いた傷(例えばクチバシや爪の跡)。この周辺を見渡すと洞(うろ)を持った大径木がたくさんある。つまりこの状況から仕業は夜行性の鳥類だと思う・・・例えば昆虫類を好んで食べるフクロウの仲間、アオバズク(第百十二夜)。ちょうど今の季節は子育てに忙しい。育ち盛りのヒナ達の食欲を満たすには夜、保安灯に集るたくさんのカブトムシを捕らえるのは合理的。どれも比較的新しい死骸=これはカブトムシの成虫の発生時期(羽化)にあっている。これでカブトムシ死骸のミステリー話しは成り立ちそう。一緒に歩いたTさんはこれを見て「カブトムシってどんな味するんかな?」同じものを見ても考えることは人それぞれ違うんだなと・・・。
Photo:足下を見れば複数のカブトムシの残骸が目につく。@八幡山、近江八幡市

2009年7月10日金曜日

第百十八夜/クモに擬態する蛾?

 1cmにも満たない小さな虫・・・これは何に見えるだろうか。体がオレンジ色をした方が下半身。オレンジ色をした体から左右の後脚をピンと空に伸ばし、絶えず微妙に振わせている。一見して動いてるものが蛾の種であることは判った。さらに僕は直感的にこの動作がカニグモの動きにとても似ていると思った(前脚=第一肢を伸ばして獲物を探る動き)。見れば見るほど不思議な動作だ、写真が動画でないのが残念。しかしこれを「クモへの擬態?」と思うには早い。なぜなら、擬態するにはその訳(理由)が必要だから。無防備な後ろ側から捕食者であるクモに狙われない様に?ならば捕食者のクモがこの動作と体色を見て「クモ」と思う様なクモが同じ環境にいるのだろうか? いやクモ以外の捕食者に「クモだ?」と思わせればそれでも良いのか。例えばカマキリの子どもがこの動作を見て「クモだ!」と思って襲わなければそれでも良いはず。なぜ下半身だけがこんなにも鮮やかで印象的な色彩なんだろうか。 擬態は考えすぎでこの動作は♀へのプレゼンテーション?・・・見れば見るほど不思議でしかたがない。早速、調べてみると、翅や脚の特徴から「カザリバ(飾羽蛾)の仲間」であるらしい。しかし、それ以上は判らない。図鑑には十分に出ていない。研究者のホームページで調べても確認されている種が全種記載されているとも限らない、しかも多くのカザリバガの写真に「未同定」とある。さらにはこの写真の個体と同じものも無い。同定をしようと思うと標本を作り研究者に持ち込むしかないだろうな〜。(といっても今度、見れるとも限らない)やっぱりフィールドは面白い、不思議なことがいっぱいあるなぁ・・・京都市内のど真ん中の京都御苑ですらこれだから。
追記:知人のFさんのお母さんからご指摘をいただいた。「この蛾は”ホソハマキモドキ”の仲間ではないのか?」調べてみると・・・なんと見過ごしていた。「ツマキホソハマキモドキ」を同定とします。蛾の動きもピッタシ合致している。みなさん大変に失礼しました。Fさんのお母さんありがとうございました。
Photo:2009/07/07 @京都御苑、京都市

2009年7月8日水曜日

第百十七夜/陸に上がったアマガエル

 田んぼや水辺の草地にアマガエル(*)の子ガエル(幼体)がたくさんいた。まだ尾っぽを付けたまま(消えていない)ものも多い。どの個体もまだオタマジャクシの面影が残っている。親(成体)の様に手足がしっかりしていない、カエルのトレードマークの目玉も出っ張っていない大きくない、皮膚も薄い。今までの水中でのエラ呼吸から陸上での肺呼吸に大きく体の機構が変化する。餌も変わる、オタマジャクシ時代の様に植物質や動物質の食べ物を口でなめとる食べ方から、陸上で昆虫等を素早く捕らえる食べ方に大きく変わる。「両生類」と言われる由縁である。今まで水中の生活以上に敵も多いだろう。これからしばらく水辺を離れ、いっぱい餌を食べ、しっかりとした体になっていく。
注:*正式には、ニホンアマガエル。Photo:2009/07/05 @栗東、滋賀県

2009年7月7日火曜日

第百十六夜/谷戸に棲む2種のジャノメチョウ


 昨夜の栗東周辺で出会った虫話しの続き。谷戸(やと=谷津)とは、丘陵地の谷部に広がる水田や低湿地を言う。栗東周辺はなだらかな丘陵地に手のひらを置いた様に小さな谷戸が奥深くまで広がる。谷戸周辺の丘陵地は雑木林、松林、竹林、杉檜植林地、草地など変化に富む植物相が、そして森からのしみ水(湧き水)が細流を作り、谷部の水田に流れ、さらに小川へと続く。森から薮、森から草地、草地から湿地などなど環境の変化に富む。コンクリートで固められた畦・護岸も側溝もない。こんな場所には、おのずと生きものの種類も豊かである。タカが頭上を舞い、カワセミが小川で魚を捕り、イタチがあぜ道を歩き、サンショウウオも細流に棲む。今夜の2種類のチョウはこんな自然環境を好む。谷戸に開けた草地と樹林の林縁をいったりきたりしている。
ジャノメチョウ (写真上):陽当たりの良い畦や水田・草地の上を緩やかに呼んでいるが、いざ逃げ込む場所はこんな林縁。草地では目立つ、黒っぽい体色も薮にとけ込んでしまう。地味だが味わい深い模様。樹林の外側(明るい方)を主な活動の場とする。
オオヒカゲ(写真下):裏翅の模様がきれいなジャノメチョウの仲間(日本産で最大種)、たくさんのつぶらな目玉模様にくらくらしてしまう。白っぽい翅の割りには暗い薮が好きでフワフワ・クネクネと器用にシダが込み合った中を飛んでいる。時々、林縁の明るいところに出て来て必ず止まる、驚けばもとの薮に入ってしまう。樹林の内側(暗い方)を主な活動の場とする。同じジャノメチョウの仲間でも林縁を境に好む環境が微妙に違う。
Photo:2009/07/05 @栗東、滋賀県

2009年7月6日月曜日

第百十五夜/イラクサを食べるカミキリムシ


 昨日の森での企画会議の後、周辺の谷戸を歩く。春に草を刈られた畦にはカラムシ(イラクサの仲間の植物)が早くも成長していた。カラムシの葉上には、水色の体におもしろい模様を持ったカミキリムシを見つけた。このカミキリムシ、名前を「ラミーカミキリ」と言う、体長10〜15mmほどの小さな種。胸部は青白く、上から見て黒い斑が2つ見えるのが特徴。この種は江戸時代後期に外国から入って来た外来種と言われている。成虫はカラムシ、ヤブマオ、ムクゲの葉や茎を食べ、幼虫はその根や茎を食べる。植物・カラムシ属亜種にラミー(衣料用の繊維材料として利用、 ラミー=マレー語・フランス語も同発音,チャマもしくはチョマ:中国語)があり、それを食べることから名前が付けらた。写真を撮ろうと近づくとあと一歩・・いいタイミングで飛んで逃げてしまう。体の模様は「ガイコツが黒い帽子にベスト着て、パンツをはいている、なんとベストにはちゃんと左右のポケットまで付いている」ように見えませんか? 
Photo:2009/07/05 @栗東、滋賀県

2009年7月5日日曜日

第百十四夜/山で会ったイシガメ

 今日も森で一日を過ごす、目的は秋に行なう里山遊びの現地下見+企画会議。場所は栗東の街からほどちかい里山の谷戸。森の池にはモリアオガエルの卵塊がいくつも木に着いていた。林縁にある長さ10m,幅30cm、水深15cm程度の水たまりでカエルとイトトンボの写真を撮っていたら、水中から顔をだしたのがこの可愛いニホンイシガメ(まだ10歳ぐらいか?)。体が赤いのは、この谷の水に鉄分が多いため。水中から取り上げて歩き出すのを見ていると、歩きかたが少し変だ。いっこうに後ろ脚を出さない。亀の体をひっくり返して判った・・・後ろ足が半分ぐらい無い。無いと言うよりも極端に短い、無くなっている訳ではなく爪はあるので生まれもってのことだろう。体を見られて、写真を撮られて・・・、迷惑な出来事にも関らず元気にもとの水たまりに戻っていった。この水たまりは湧き水だから干上がることも無い、餌も多い、人も来ない・・暮らしやすい環境だろう。でもこんな場所に仲間はいるんだろうか?もし近い場所に居たとすればどうやって出会うんだろうか?
Photo:2009/07/05 @栗東、滋賀県

2009年7月4日土曜日

第百十三夜/巨大ガガンボ

 今日は、小学生親子40数名と一緒に安土町文芸の里・子どもの森を歩く。午前中に一人で下見。ゆっくりと歩くとたくさんの生きものが現れた。ホトトギスやタカ類の鳴き声も聞こえる。上手くいけばタカも見れるかも・・・今日は期待出来ると思っていたら午後になってから気温が高くなって、また人数が多くて現れるものも現れない、見過ごしてしまう・・・。目にするものは、オニヤンマ、ノシメトンボ、シオヤアブ、オオシオカラトンボ、ツマグロヒョウモン・・・。つい容易に眼につくものに話題が集る、これはまずい。こんな時こそ普段見過ごしてしまうような生きものに目を向けたい。そんな中、現れたのがこの巨大ガガンボ=「ミカドガガンボ」、体長3.5cmほどだが脚を広げると子どもの手の平か、それよりも大きい。日本産のガガンボで最大種。地味だが見ているとけっこう「変」で面白い。本当は谷筋を行き来するオニヤンマが虫を捕らえる場面をじっと待っていたいとこだった。
Photo:2009/07/04 @安土文芸の里、安土町、滋賀県

2009年7月3日金曜日

第百十二夜/アオバズクとムクドリの一木二鳥

 今夜は、「一木二鳥」というか「鳥の二種世帯住宅」と言えば良いのか・・・。営巣を同じ木にした同じでない鳥の話し。大楠の東側の枝の洞(うろ)にアオバズク(フクロウの仲間)が、西側の枝の洞(うろ)にムクドリが営巣している。巣の距離は5mも離れていない。昼間は、巣の入口がよく見える枝にアオバズク(♂)が見張りをしている(写真上)。すぐそばではムクドリの親鳥がヒナの鳴き声にせがまれる様にせっせと餌を運ぶ(写真下)。この鳥達の一番の苦手はハシブトガラスらしく、カラスが近くで騒ぐとアオバズクはそれまで閉じていた眼を見開き、ムクドリは天を仰ぐ。
 アオバズクの巣があるこの大楠は神社の境内にあり、すぐ下から聞こえるお参りの拍手(かしわで)や鈴の音には反応しない(眼をつむったまま)、もちろんお隣一家にもまったく反応しない(心の中では旨そうと思ってるかもしれないが)。犬の声や人の声がすると薄目を開ける。アオバズクは人を怖がらないと時々言われるようだが、これはやはり間違い。巣やヒナを守る為に人が近づいてもその場を動かなかったりする結果。このアオバズクの親鳥、休日等は10人近いカメラマンが長〜いレンズを全部自分に向けるのだからたまらない、そのレンズから向けられる黒く深い反射はとても怖いに違いない。カラスには眼を見開くが、人には眼をつむって耐えている様に僕には見える(怖いから見ないでおこう、夜まで我慢我慢・・・)。アオバズクの止まっている横枝は見張りのベストポジションらしく、日を変えていっても全く同じ場所(その誤差±3cm?)にいる。
そこでこんな時の撮影の作法  1)人が多いときは撮影を止めましょう。2)遠くで静かに待ちましょう。3)待っている時は、よそ見をしながら、レンズの前に手ぬぐい一枚。(いざって時撮れないって・・・それは気配で待つんです)4)欲張りな撮影は止めましょう。何事も腹八分目が大切。5)終わったら「ありがとう」の一言一礼で静かにさいなら。
Photo:2009/07/03 @京都御苑、京都市

2009年7月2日木曜日

第百十一夜/ホシササキリ

 ぼんやりとしている間に7月になってしまった。すっかり夏である。さて夏の一番バッターは何かと思っていたらバッタだった。今夜は地下鉄の出口で虫を見つける。壁に付いていたササキリの仲間。最初、セスジツユムシかと思っていたら、全体にがっちりとした感じ、頭部もツユムシに比べ体の割りに大きい。自宅に戻り、写真を見ながら種類を同定しようとするとこれがなかなか難しい。同定(種類を決定こと)の判断として、体の色とバランス、翅の長さ、目の色、産卵管の形、そして最終的な判断は前翅の縁に並ぶ褐色の斑紋(筋)とし、「ホシササキリ♀」と同定した。やれやれ。実は今もって同定出来ない虫の写真がいっぱいある。
Photo:2009/07/02 @三条京阪、京都市