2014年5月31日土曜日

第六百二十六夜/コガタスズメバチの巣作り

 今日は里山活動の一日。昨年、自力施工で建てた森の図書室の天井にコガタスズメバチ(Vespa analisの初期の巣があった、時おり女王バチが出入りするもののそれほど頻繁ではなく、餌も運び入れていない。おそらく巣は増設中か、もしくは幼虫がいないのだろう。おとなしいコガタスズメバチと言えどもここは高さ2mほどの場所、子ども達が頻繁に活動する場所なので撤去するか、共存するか悩ましい。今後の巣の成長を考慮し今回は撤去をすることにした、下から煙でいぶすと一頭の大きなハチが飛び出て来た。ハチが巣に戻って来たのは約3分後、もう一度煙でいぶし、再びハチが飛び出てたあとに、すばやく巣を根元から切り取る。巣の幼室には数個の真新し卵があった。彼女には申し訳ないが今回は許せ。Photo:2014/05/31 @栗東、滋賀県

2014年5月30日金曜日

第六百二十五夜/コゲラの巣作り

 巣作り真っ最中のコゲラ(Dendrocopos kizuki。今年は子育てが観察できると思っていたら、先日の雨風で巣孔のところから枝が折れて落下。枯れ枝が巣孔を掘ったことで強度不足となり折れてしまった。コゲラにとって巣孔が完成していないことが不幸中の幸い、落ちた枝を見ると、巣孔のところの壁厚(枝の肉厚)が極端に薄いところがあった、あきらかな失敗。言わば子育てにとって家づくりは、枯れ枝の強度と壁厚の構造が大切である、これも経験によるものなのか。Photo:2014/05/20 @京都御苑、京都市

2014年5月29日木曜日

第六百二十四夜/レンガにとまるエダシャク

 買い物帰りに写真館の外壁にとまる小さなガを見つけた。レンガとレンガの間(目地)が1cm程度なのでその大きさがわかる。翅幅は約3cmほどだろうからガの仲間としては決して小さくはない。ガの仲間はものすごく種類があり、さらに同じ種類でも体色の変化が大きいものもある。翅の紋様が個性的な種は別としても、門外漢としてはさっぱり判らない。ただ不思議なもので数を見ることでなんとなく「これは***の仲間」ぐらいは判る様になるものだ。その「なんとなく***」が判らないと図鑑の1ページ目からの絵合わせになり大変な作業である。今日見つけた蛾は、「なんとなくシャクガ」である。体の大きさ、翅の感じ、からつまり「シャクトリムシの成虫」であることは判った。 調べてみるとナカウスエダシャク(Alcis angulifera シャクガ科エダシャク亜科)に酷似している。
ただし本種は体色の個体差が大きく写真からの完全な同定は出来ない。触覚の形状からじゃ雌雄の区別はつく。まあ今夜は「ナカウスエダシャクの♀と思われる」という着地点でヨシとしよう。Photo:2014/05/29 @岡崎、京都市

2014年5月28日水曜日

第六百二十三夜/野鳥の救急入院

 夜、知人より緊急連絡。叔母が庭に置いた「ねずみ取りシート」に小鳥がかかっていたという。なんとかシートからはがしはしたがうまく飛べないとのこと。早速、見に行く、左側の脚、翼、尾羽にトリモチが絡まっている。小鳥を預かり取り急ぎ、動物園の野生動物保護センターに行く。小鳥は、ノゴマ(Luscinia calliopeの♀だった、渡りで立ち寄った庭での事故である。ネズミシートにかかった昆虫を食べようとしたのだろう。足のトリモチはなんとか取れたが、左側尾羽と風切り羽の一部がずいぶんと欠損しているので、換羽を待つまで動物園での生活となるだろう。かわいそうだが今年の繁殖は難しい。くれぐれも「ねずみ取りシート」を庭に置かない様に。小鳥、トカゲ、蛇、大物では野良猫もついてしまいます。Photo:2014/05/28 @京都市

2014年5月25日日曜日

第六百二十二夜/モリアオガエルの季節

 モリアオガエル(Rhacophorus arboreusの産卵シーズンに入った。それにしてもモリアオガエルってのは何とも哀愁の漂う生きものだろうと思ってしまう。オスがメスを誘う鳴き声があちらこちらでしていた。Photo:2014/05/25 @京都市

2014年5月24日土曜日

第六百二十一夜/トンボの季節

 トンボの季節がはじまった。オオシオカラトンボ(Orthetrum melaniaの羽化が多く見ることが出来た。モノサシトンボ、クロイトトンボ、クロスジギンヤンマなどの個体数も多くなって来た。写真は、オオシオカラトンボ♀ Photo:2014/05/24  @京都御苑、京都市

2014年5月23日金曜日

第六百二十夜/レディービートル

 ワタシは、レディービートル(Lady Beetle)。ああっ嫌だ、身の毛もよだつ、一緒にしないで他のテントウムシ達のように肉食じゃありません。ウリ科の草の葉を食べる菜食主義者です。だから時々、畑では害虫と呼ばれますが、そんなこと人間が勝手に呼んでいることです。なんたってワタシは「レディー」なんだから。写真=トホシテントウ(Epilachna admirabilis) Photo:2014/05/23 @京都御苑、京都市

2014年5月21日水曜日

第六百十九夜/ヒオドシチョウの羽化

 数日前に見つけたヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelasの蛹。全部で4つあった。ところが採取するどころか観察するのもためらってしまう、なぜならそこは交番の軒下、しかも人通りがとても多い交差点。バス待ちや信号が変わるのを歩道で待つ時にちらりと見る程度・・・ところが今日はまさに羽化直後だった。こうなったら躊躇なんてしてられない、カメラを取り出し、ストロボを使って記録する。幸いなことにだれも気にしない様子、それとも不審に思うも見てみぬふり? 打合せに向かう午後4時に見つけ、帰宅時の夜10時30分にも同じ状態だった。ここで一夜を過ごし明朝には御苑の森に帰っていくのだろう。 Photo:2014/05/21 @烏丸丸太町、京都市

2014年5月20日火曜日

第六百十八夜/コアオハナムグリ

 コアオハナムグリ(Gametis jucunda、緑色の体に白点を散りばめた小さなハナムグリ。体にはうぶげ状の細かい毛がたくさんはえている、これが見ようによってはクマバチのようでもある。ハナムグリやカナブンの仲間は、前翅の付け根近くの縁に窪みがある、この窪みから後翅をだして飛ぶ、カブトムシやクワガタのように前翅を広げて飛ばず、前翅は体につけたままで素早く飛び回る。これから夏にかけて林の周辺や原っぱで普通に見られ、個体数も多い。花のまわりを盛んに飛び回って花粉を食べる、写真の個体はキショウブの花びらを食べていた。「ハナムグリ」は「花潜り」が転じたものだと言う。体の上面にはまだ土がついていた、羽化して地上に上がって来たばかりだろうか。Photo:2014/05/20 @京都御苑、京都市

2014年5月19日月曜日

第六百十七夜/カラスヘビの幼蛇

 砂場状の窪地に黒い蛇の干物が・・・つつっくと動いた。よく見ると口からカエルの足が出ていた。カラスヘビ(=烏蛇・シマヘビの黒化型、Elaphe quadrivirgataの幼蛇(体長20cmほど)が蛙を追って落ちたのか。ここの主人に聞くとよく小さな蛇が落ちて死んでいるそうだ。そっと拾い上げて横の草地に還す、もう落ちんなよ。Photo:2014/05/19 @美山町、京都府

2014年5月18日日曜日

第六百十六夜/ヨシ原のオオヨシキリ

 ギョシギョシ、ギョシギョシ・・・ケケチケケチ・・・オオヨシキリ(Acrocephalus arundinaceusのさえずりが盛んに聞こえて来る。1羽の雄毎に比較的同じ場所でさえずっていることから、縄張りの面積はあまり広い必要は無いようで、同時にあちこちから聞こえて来る。スズメより大きく、にぎやかなさえずりの草原性のウグイスの仲間。繁殖のために南方より九州以北のヨシ原に飛来する。さえずる姿を撮ろうと近づくとヨシの茂みに隠れてしまう、羽がヨシの色に同じで、ヨシをゆらす風も手伝って鳴き声が聴こえるがその姿はうまく見えない。ヨシ原にはカッコウ類の飛ぶ姿も見れた、ただしオオヨシキリの巣を探すカッコウか、ウグイの巣を探すホトトギスかは判らな無かった。Photo:2014/05/16  @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2014年5月17日土曜日

第六百十五夜/草地に響くキジの声

 畑地に雌を求める雄キジ(Phasianus versicolor)の「ケーンケーン」と鳴く姿が目につく。雄は濃い緑色の体で、繁殖期になると、ハート型の赤い顔が遠くからでも目立つようになる。日本の国鳥で、昔から日本人とかかわりの深い鳥として、「桃太郎」をはじめいろいろな物語に登場する。意外に個体数は多い、大型の鳥で、特に雄は縄張り意識が強いので見通しの良い路や畦に現れる、だから田園地帯を走る電車の車窓から目にすることも多い。写真は車の前10mほどの距離に現れた個体で、静かに車を降り見ることが出来た。さらに近づくと一定の距離を保ちながら歩き、やがて静かにムギ畑に消えていった。Photo:2014/05/16 @近江八幡市、滋賀県

2014年5月16日金曜日

第六百十四夜/ケリの幼鳥

 田んぼ横の道を歩いていると頭の上でけたたましくケリ(Vanellus cinereusの声、それもそのはず、すぐ近くにケリのヒナがいた。ケリの夫婦がすぐ頭の上で警戒の鳴き声を出しながら飛び回っている、その間にヒナが逃げる。草むらにいる時は草影に隠れるのだが、水に入り採餌していたからそんなワケにはいかない。だから親鳥が飛び回っている間になるべく敵(ここでは人間)から離れようとする。今は鳥のヒナの巣立ちの季節だが、ケリやカモなどのヒナは、卵から孵った時点で目がちゃんと見え、クチバシも足も十分に発達している。だからすぐに歩き出し、自分で餌を採ることが出来る。鶏のヒヨコと同じである。今日出会ったケリのヒナも大変にたくましかった。Photo:2014/05/16 @浅小井、近江八幡市、滋賀県

2014年5月14日水曜日

第六百十三夜/綿毛を背負う幼虫

 オニグルミの葉に奇妙な幼虫がいると言うので見に行った。そこには、葉裏にまるで綿くずのようなものがついている。見てみるとわずかながら動いているのでなにかの幼虫であることは確かである。よく見ると葉の主脈に傷を付け、葉をしおれさせてることも判る。これだけ特徴的な幼虫はすぐに調べがついた(体の特徴は蛾ではなくハバチであるから)。毛を背負った蝋をまとったハバチ3種類(ミツクリハバチ,クルミマルハバチ,ババシロアシマルハバチ)のうちの一種、クルミマルハバチ(Eriocampa kurumivoraだった。さて成虫がどのような姿か、調べは続く。Photo:2014/05/13 @京都御苑、京都市

2014年5月13日火曜日

第六百十二夜/水ぬるみスッポン現る

 夏日の今日、さぞかし水も暖かくなったろう。岸辺には大きなスッポン(Pelodiscus sinensis 英:Soft-shelled turtle)が甲羅干しのために上げってきた。他の亀よりも臆病な様で半分水につかり甲羅だけ水面から出している。子どもの頃、友人達と近くのお寺の池でスッポンを網で捕まえたことがあったが、あまりの早い身のこなしと、攻撃的な性格のために結局、触ること無く逃がすはめとなった。臆病さがゆえの攻撃性かはともかく、その面構えは油断ならない気が今もする。Photo:2014/05/13 @京都御苑・九条池、京都市

2014年5月12日月曜日

第六百十一夜/田んぼに蛙の卵

 水の張られた田んぼには、トノサマガエル(Rana nigromaculataの卵塊がいくつも浮かんでいる。その近くではシオヤトンボとクロスジギンヤンマが産卵している。これから日に日に生きものの数が増えていく。田んぼの周りには雑木林が広がるのどかな谷戸の風景である。少し前と変わったことと言えば水田の周囲に鹿避けネットや金網が張り巡らされたこと。今やこれは水田やあぜ道で生きものをみる時の一番の障害となってしまった。Photo:2014/05/10 @栗東、滋賀県

2014年5月10日土曜日

第六百十夜/谷戸のベニシジミ

 天気もいいので谷戸を散策。お天気の割には、鳥も昆虫も少ないのが残念だった。昆虫は、ベニシジミ(Lycaena phlaeas=写真、アカタテハ、テングチョウ、クロスジギンヤンマ、シオヤトンボ、鳥はカワラヒワ、メジロ、オオルリのさえずり、アカゲラ(?)のドラミング、ツバメ、イワツバメ、その他、あぜ道に残るアライグマの足跡。ベニシジミが畦に咲く、ハハコグサ(母子草 =御形=春の七草の一つ)で吸蜜、後ろには水をたたえた水田。まさに春の谷戸の風景、かつてと違うことは周囲を鹿避けのネットが張り巡らされていること。Photo:2014/05/10 @栗東、滋賀県

2014年5月8日木曜日

第六百九夜/葉で巣をつくるアカタテハの幼虫

 道ばたの野草・カラムシ(イラクサ科)の茎先にいくつもの葉を半分におった餃子の様なものがあればそれを少し開いてみるといい、そこには必ずと言っていいほど黒っぽい毛虫が入っている。これはアカタテハ(Vanessa indicaの幼虫の巣だ。葉を少ししおれさせて葉表を内側にして糸で綴って半分にしている。巣に隠れている間は外敵から狙われないで済む一方、葉の裏側が表になるので葉の特徴でもある白銀色が目立ち、その存在が判ってしまう。
 ならば目立つ葉裏をなぜ表にするのか? そこで想像である、たいていの蝶・蛾類の幼虫は葉面に糸を吐いて、風が吹いても雨が降っても落下しない様に足がかりをつくる、その時に平滑な葉表のほうが都合がいい。特にイラクサ科の葉裏側は細かい綿毛が密生していて糸を吐いてもすぐに糸がはがれてしまい、足がかりをつくるには少々厄介なのかもしれない。実際に葉裏に移してもすぐに落ちてしまうことが多いのだ。逆に葉裏を表にすることで外敵もそこには止まりにくいのかもしれない。なかなかよく出来ている。だが昆虫少年にとって、これほど居場所を見つけ易い幼虫は他にいない。Photo:2014/05/08 @知恩院、京都市

2014年5月6日火曜日

第六百八夜/なにを言いたい? ハシボソガラス

 僕は、鳥の中でカラスが一番好きだと思う。今日は一羽のハシボソガラス(Corvus coroneとにらめっこをしてしまった。なにか言わんとするその表情には、あきらかな意識のようなものを感じる。この個体はすぐ頭の上の枝に止まり、逃げずにこちらを見ていた。向こうからすれば、変な人間だなと思っているかもしれないが。カラスは不思議な鳥である。Photo:2014/05/06 @京都御苑、京都市

2014年5月5日月曜日

第六百七夜/ツバメ

 ツバメ(Hirundo rusticaって意外に鋭い顔つきをしている、あきらかに捕食者の面構えである。渡りの疲れもすっかりとれた頃だろう。今は巣作りに余念がない、しかしその合間にも、周囲への注意は怠れない。誰の仕業かはわからないが、今朝も近くの巣が落された。これから虫が多くなる季節、子育てに忙しくなる。古くはツバクラメあるいはツバクロと呼ばれた。Photo:2014/05/04 @花背山の家、花背別所、京都市

2014年5月4日日曜日

第六百六夜/春のヤママユガの仲間・エゾヨツメ

 枯葉に見違えるようなエゾヨツメ(Aglia japonica。日本産のヤママユガ科の中ではもっとも小型で、成虫は春先に出現、日没後に飛来する。本州では山地に生息し発生時期が早春で短い為、あまりお目にかかれない。写真の個体の触覚は、羽毛型なので雄、翅の開は雄では約60ミリ、雌では約90ミリ。木の枝にぶら下がっているとほとんど枯れ葉にしか見えないが、羽を広げると青い紋がある、美しい蛾に出会えた。Photo:2014/05/04 @花背山の家、花背別所、京都市

2014年5月2日金曜日

第六百五夜/クロハネシロヒゲナガ

林の周辺の草地をふわふわとゆっくり飛ぶ蛾の仲間、クロハネシロヒゲナガ(Nemophora albiantennella。名前から判る様に、はね(翅)は「黒色」で、「白く長い触角(ヒゲ)」を持つ。長い触覚を持つのはオスで、体長(13〜15mm)の3倍ほどはあるだろうか、なかなか特徴的な体つきである。やはり飛んでいる時はこの白く長い触覚ばかりが目につく。幼虫は枯葉で蓑をつくり、枯葉を食べるというからこちらもユニークな生活である。Photo:2014/04/30 @京都御苑、京都市