2009年9月20日日曜日

第百四十七夜/手負いのスズメバチ

 お墓参りに出かける。墓地に続く道に一頭のスズメバチ、同じところをぐるぐると歩き回っていた。左の側全ての翅と脚のほとんどを失っていた。こうなると飛ぶことも歩くことも満足にできないハチは、しかたなく右側ばかりを動かすから左回りになってしまう。それでも一生懸命に歩こうとする、時々右前脚と口で触覚の手入れも怠らない。最強のハチにこれだけダメージを与えたものは何者か? Photo:2009/09/20 @黒谷光明寺、京都市左京区

2009年9月17日木曜日

第百四十六夜/アカスジカメムシ

 カメムシの仲間は、形も面白い、色もきれいなものが多いのに・・・どうも過小評価されるきらいがある。そればかりか「不快生物」のレッテルを貼られている。その訳は、多分「臭い!」の一言だろうな。しかしカメムシに代わって弁護するならばそれは「あなたがちょっかいを出す」からである。しかも実体験としてカメムシの匂いを嗅いだ人はいるのかな?つまり多くの場合は、「カメムシ=臭い」のイメージが「ウワサ」として伝えられるようだ。(東南アジア料理で欠かせないパクチー=コリアンダーの香りと大差ない)さて今日はそんなことは忘れて、アカスジカメムシを観てみよう。頭の先からお尻の先までまっすぐに通った黒と赤のストライプが実にシャープなデザインできれいである。だれがデザインしたのか聞きたいところである。まあっ「ピエロ」と言われればそれも近いが、実にしゃれたデザインだと思う。このしゃれたデザインは日本の本州で見られるカメムシ・ベスト3にはいる。秋なるとセリ科の植物の花穂や、種子の汁を吸っている場面がよく見られる。写真はフェンネルの花にやってきたアカスジカメムシ(上が成虫、下が幼虫)。ちなみにカメムシをつかむ時には、お腹(お尻)ではなくて肩部の出っ張りを両側からつまむとけっして臭くはありませんよ。Photo:2009/09/14 @京都府立植物園

2009年9月16日水曜日

第百四十五夜/ルリタテハの親子


 2枚の写真、どちらもルリタテハである。これを見て親子と思うだろうか、幼虫だけを見ているとなかなか連想できないだろう。実際には、この間に「蛹」という時期があって、ここで劇的に変化する。パッと見は、蛹から成虫に脱皮(羽化)するシーンが見応えあるがのだが、実際は蛹をみるとすでに体の表面は、複眼や触覚、脚や翅の形がすでに表面に現れているので、一番の大きな変化は「蛹化(幼虫が蛹になること)」ということになる。この時の「変身」はいつ見ても密かに劇的で不思議だなと感じる。
ルリタテハの幼虫は、写真のとおり立派な毛虫(・・・というよりトゲムシ)である、食草はサルトリイバラ、ホトトギス、ユリ類。
写真(上):ホトトギスを食べる終齢幼虫。写真(下):杭先で縄張りを見張る成虫。Photo:2009/09/14 @京都府立植物園

2009年9月14日月曜日

第百四十四夜/オンブバッタと睡蓮

 植物を調べに府立植物園に出かける。地下鉄の駅を出ていつものコースで園内を歩く。小さな池に時期外れのスイレンの花が一輪、近寄ってみると出来すぎたシーン。ピンクの花にオンブバッタが2頭、上は小さな成虫♂、下には大きな幼虫♀がいた。これは誰かのイタズラか、それとも偶然か。Photo:2009/09/14 @京都府立植物圏

2009年9月13日日曜日

第百四十三夜/幼虫から蛹へ(ツマグロヒョウモンの前蛹)

 ふと立ち寄った道ばたで一休み、まわりにはこれといった虫も見当たらない。田んぼの水路をのぞくとちょうど目の前の草に毛虫が一匹ぶらりとさがっている。これはツマグロヒョウモンの前蛹(ぜんよう)、つまり幼虫が蛹になる前の状態。このあと幼虫は脱皮して蛹となる。このようにぶら下がった状態の蛹を「垂蛹(すいよう)」といい、アゲハチョウの様に枝や壁に垂直にとまり背中にまいた糸で体を支えた蛹を「帯蛹(たいよう)」という。この幼虫、今夜には蛹化(幼虫から蛹への脱皮)するに違いない。ヒョウモンチョウの仲間の蛹は、淡い褐色の体に金属的な光をもつスポット模様がありとても不思議で美しい。Photo:2009/09/13 @坂本、滋賀県 
注:成虫は「第七夜」をご覧下さい。

2009年9月12日土曜日

第百四十二夜/ハシブトガラス

 バス停留所のそばの路面に一羽のハシブトガラス。カラスの目当ては車に引かれたドバトの死骸。普段、ゴミをあさる時のカラスの「家畜的」な安定感(?)や図々しさはなく、すごく「野性的」でまわりをとても警戒している。これは車が来る路面だからと言う訳では無いようで、この時のカラスは自然環境の中でこのような生きものの死骸も処理してくれるスカベンジャーとしての野生の本能が出たかんじ。結局、この一枚しか写真を撮らせてくれなかった。Photo:2009/09/12 @熊野神社、京都市

2009年9月11日金曜日

第百四十一夜/黒いキリギリス

 仕事帰り、車の運転を一休み。こんな時、休む場所は田んぼの畦に面した場所や川沿いに限る、いろいろな生きものに出会えるから。小さな池があったので水際を見ていたら黒いキリギリスが飛出した。全身が黒褐色いヒメギスだった。特徴は、黒褐色の体に胸部の後方の白線のふちどり。翅は普通は短いが、長いものもいるらしい。よく見ていると普通のキリギリスよりひとまわり小さく、逃げるときは力強く跳ぶというよりも草に中を歩いていた。キリギリスの仲間は植物の葉を食べるほか、前脚に鋭いトゲを沢山もっていて昆虫なども捕らえてよく食べる。キリギリスもトンボも脚のトゲがよく発達している、これにはやっぱりちゃんと役割があるのだ。この個体は、草刈り鎌(かま)のような形の産卵管を持っているので♀。Photo:2009/09/11 @途中、滋賀県

2009年9月9日水曜日

第百四十夜/イチモンジセセリ

 部屋に入って来て蛾だといって女性達に騒がれるのが、たいていこのイチモンジセセリ。確かにセセリチョウの仲間は、翅の色は褐色系で、体のまわりには細かな毛が多い、しかも複眼の位置、触覚の形や、口吻のつき方がどことなく蝶離れしている。どことなくぬいぐるみのようでもあり、なかなか可愛い。さて、ここまで書いて気づいた・・・イチモンジセセリは「第二十八夜(2008年10月3日)」に紹介済みだった。しかたがない、好きなチョウの写真は多くなるのだから。ぴかぴかの蝶も、奇妙な形のバリバリの甲虫もいい、だけどセセリチョウはこれで見ていて飽きないし、小さな頃から見慣れた蝶だからかほっとする。なかなか味があっていいのだ。Photo:2009/09/07 @蓼科、長野県

2009年9月8日火曜日

第百三十九夜/クジャクチョウ


 仕事で訪れた長野県・蓼科の高原でひときわ目立っていたのが写真のクジャクチョウ。鳥のクジャクの尾羽の目玉模様に似た模様を持つ。翅の裏側は、木肌にも似た濃褐色の模様だが表はご覧の通り、なかなか魅力的。高原には沢山のアザミが咲いていた、上の写真のように一つの花に、クジャクチョウ、イチモンジセセリ、ハサミムシが蜜を吸いに来ていたものもあった。まあ仲良くと言うよりも、互いに気にせずと言ったところのようだ。変わりやすいお天気の中、だれもが晴れ間をぬって蜜を吸うことに余念がない。Photo:2009/09/05 @蓼科

2009年9月2日水曜日

第百三十八夜/角を持ったカメムシ

 ゾウ、ウマ、カメ、テング、ノミ、シャチ、シギ、スズメ、ツバメ、カラス・・・虫には多くの動物の名前がついている。その理由は、形だったり、色だったりする。今日の虫はウシカメムシ、「亀」にくわえて「牛」と名前に付く。両肩の角によく似た突起物は、黒々と光沢をもち見るからに硬そうで鋭く、かっこいい。カブトムシぐらいの大きさなら誰もが先を競ってとるに違いない・・・が、残念なことにテントウムシほどの大きさしかない。しかもカメムシと聞いて誰もが興味を示さない。Photo:2009/09/01 @京都御苑、京都市