2009年6月29日月曜日

第百十夜/身近な自然の生存競争・アジアイトトンボ

  トンボは肉食性の昆虫だ。同じ仲間だろうと自分の獲物となるサイズであれば基本的には食料とする。写真のイトトンボは、食べている方も食べられている方も同じ「アジアイトトンボ」。また両者とも羽化してさほど日にちが経っていない個体である。水中での厳しい幼虫(ヤゴ)時代を生き延び、やっと成虫となったものの同じ仲間に食べられてしまうこともある。また同じ種類を獲物とした個体も、今度はカエルや他のトンボやクモ、鳥達から狙われている。テレビで見る他国の野生動物の生存競争も、僕たちの身近な自然から始まっていると言うわけだ。
Photo:2009/06/28 @京都府立植物園

2009年6月28日日曜日

第百九夜/アオサギ

 府立植物園の温室前の池にアオサギがいた。アオサギの脚の着く浅さではない、器用に水中のスイレンの茎に止まっているようだ。見ているとスイレンの回りに集って来るメダカ程度の小魚とイトトンボを時々ついばんでいる。すぐそばを流れる加茂川にいったほうがもっと魚がいるだろうにと思うのだが・・・こちらの方が居心地がいいのだろう。ブルーグレーの大きな鷺、この鳥はほぼ成鳥だが、頭と胸、背中の飾り羽が短いのでまだ若い個体だと思う。Photo:2009/06/28 @京都府立植物園

2009年6月27日土曜日

第百八夜/鴨川に巨大ネズミあらわる


 仕事帰りに鴨川にかかる橋(二条大橋)の上から川面(写真下)を見ると、小型の犬が泳いでいる。色から芝犬のよう。その犬は下流側から流れに逆らってどんどんこちらに近づいて来る。おおっ???ヌートリアではないか。琵琶湖で見たことがあるが京都市内の真ん中を流れる鴨川で見たのは初めて。あわててカメラを取り出すが、橋の上からではまだ遠い。すこし待つがこちらの動きを見て潜ってしまった。写真を撮るがご覧の通り、これではネス湖のネッシーではないか・・・(写真上、中央の黒い物体= こんな写真で恥ずかしい)(写真下:ヌートリアが泳ぎ出したのは写真中央左の枯れ草のあたりから)橋から岸に降りるがどこか草地に逃げ込んでしまった。それにしても気持良さそうに泳ぐ姿は、犬と言うよりもビーバーのようだった。いると判った以上、粘ればちゃんと撮れるはず。近いうちにご紹介します。
Photo:2009/06/26 @二条大橋、鴨川、京都市

参考:ヌートリア(nutria)は、南アメリカ大陸のブラジルからアルゼンチンに分布する大型のネズミの仲間。体長は50〜70センチ(尾含む)、体重は5〜15キロ、草食性 で主に河川等の水辺に生息する。もともと日本列島に住んでいた動物ではなく、1930年頃から軍服用の毛皮獣として輸入、飼育されるようになり、その一部 が逃げ出して現在のように西日本を中心とする各地で見られる様になった。

2009年6月25日木曜日

第百七夜/キュウリが大好きなウリハムシ


 小学校の菜園、そこには必ずと言っていいほど、かわいらしいオレンジ色の甲虫がキュウリの葉をかじるのに忙しい。ウリ科の植物を食べる「ウリハムシ」。人はこういう昆虫を「害虫」と呼ぶ。しかしこの虫を食べに他の昆虫や鳥達がやって来る、そしてそれらを人が見て楽しむ。害虫と言うのは、発生する量が問題であって、適量(?)であれば自然生態を支える構成員(種)、拡大解釈すれば「益虫」なのだ。葉っぱの裏側からいたずらっぽくこちらを覗く(写真上)。
Photo:2009/06/23 @北之庄、近江八幡市、滋賀県

2009年6月24日水曜日

第百六夜/ヨツボシホソバ

 今夜も蛾の話し。蛾というのは面白いなと思う。形も色も実にバリエーションに富む。極小から巨大なものまで大変な種類数がいる。そして今日見つけたと言って明日も見つかるなんて保証はぜんぜんない。それはなぜかと言うと多くの場合まだまだ生活がよく判らないからである。森を歩くと「蛾の幼虫」(・・・と言うことは何となく判る)は容易く見つけられる、しかしこの幼虫がどんな蛾になるかなんて誰に聞いたらいいのか? 日本産のチョウの場合は100%判るだろう。蛾はさっぱり判らない。蛾の場合は、幼虫を見つけ・育て上げ「どんな成虫になるかを探る=種明かし」が面白いと聞いたことがある。このヨツボシホソバという蛾の幼虫は地衣類を、例えば木の幹や切り株上のコケのようなものを食べるらしい(あくまでもらしい・・らしい)。成虫は果たして何を食べているのか?なにも食べないのかも判らない。写真の蛾は♂、♀の翅には名前の由来の「ヨツボシ模様」が付いている。蛾を調べる時に図鑑を見るとこれがまた難しい・・・なぜかと言えば図鑑の標本は「展翅」(翅が開かれた状態)がされているからである。蛾の自然の状態は、種毎にさまざまでこのヨツボシホソバはこのような「葉巻状」で葉っぱに止まっているからだ。(葉はマテバシイ、林縁の低い場所で見つけた)なんとも蛾の生態図鑑が欲しくなる。Photo: 2009/06/21 @京都御苑

2009年6月23日火曜日

第百五夜/空飛ぶ海老フライ? それともハチドリ?

  以前、自庭の花にハチドリが来たと言って連絡をもらった事がある。その方は日本にもハチドリがいると子どもの頃から信じていた。話しを聞くとどうも、というかやっぱり「オオスカシバ(大透翅)」のようだった。確かに花に来る姿も色もハチドリのようだものな〜、蛾とは思わないよな〜。しかも羽化したばかりだと翅にも緑色の鱗粉が付いているのでなおさらハチドリのようだ(鱗粉は、すぐにとれてしまって透明な翅になってしまう)。僕の友人はこの蛾を「エビガ」とか「エビバチ」と呼ぶんだと教えてくれた。確かに「海老フライ」のようでもあるものな〜、ハチにも似てるし。よく特徴をつかんで名付けたと感心した。今日のオオスカシバは、写真を一枚だけ撮らせてくれた後、「ブンッ〜」って翅音を残して飛び去ってしまった。その後姿はやっぱりハチドリ的だった、いやハチドリがムシ的なのかも知れないな。クチナシの葉がムシに食われていたら、きっと緑色のイモムシが見つかるはず。それはこの蛾の幼虫だ。
Photo : 2009/06/23 @京都御苑、京都市

2009年6月22日月曜日

第百四夜/雨宿りのモンシロチョウ

 今日は急に雨が降り出す、夏日が一挙に本来の梅雨日に変わった。神社の木の下で雨宿り、横ではモンシロチョウも雨宿り。先日は近くのスーパーマーケット横に置かれていたゴミのキャベツの葉にモンシロチョウが産卵していた。いまや街中ではあまり見かけることが少ないチョウだ。
Photo: モンシロチョウ♀ 止まっている木はナギ 2009/06/22 熊野神社、京都市左京区

2009年6月21日日曜日

第百三夜/これは地球外生物か? コウガイビル



 雨上がりの午後、御苑の森で長い(大きな?)コウガイビルを見つける(写真上)。幅は5mm程度だが、長さは45cmぐらい。この生きもの一見ヒル似で、名前にもヒルと付くが、人の血を吸うヒル(環形動物)ではなく、中学校の生物の授業でおなじみ(?)のプラナリア(扁形動物)の仲間。英名は「Land Planaria=陸のプラナリア」という。ヒルに比べ筋肉や神経系の発達がはるかに劣るため、運動もはるかにゆっくりとしており、ゆるゆると這うだけである。種数は日本に数種以上いるが、詳細は不明であるという。今日見たのは、大型の「オオミスジコウガイビル」(中国からの外来種)。名の通り、黄色い体に三本の黒い筋がある。体の前端は頭部であり、扇形に広がっている。コウガイビルの「コウガイ」は、「郊外」とか「公害」、もしくは「喉外」と思っていたら、昔の女性の髪飾りである笄(こうがい)に、その形を見立てたものであるという(コウガイなんてはじめた聞いた)。陸上生活ではあるが、乾燥には弱いので、湿った土壌、石の下、朽ち木の中などにおり、雨上がりや夜間に野外をミミズ、ナメクジ、カタツムリなどの食べ物を求めて徘徊する。庭の植木鉢の裏なんかにも同じ仲間が住んでいる。この生きもの不思議なことに体の中央腹面に口がある、肛門はない。獲物を見つけるとそれに絡まり、腹面の口から吻を伸ばし、肉を消化しつつ飲み込む。体を半分に裂かれても再生する。ほんと不思議な生きものだ。さて、このコウガイビルは、自転車に引かれていた大きなミミズを見つけ草むらから這い出して来たらしく、はやくも食べ始めた(写真下)。
オオミスジコウガイビルの学名「Bipalium nobile」にnobile(ノービル)と付くが、コウガイビルは驚くほど伸びるのだ(ただし学名のnobileとはまったく関係ありません)。


Photo(上)オオミスジコウガイビルの頭部、イチョウの葉っぱの様な形。
Photo(中)草むらから這い出てきたコウガイビル(下が頭)、その先にあったものは→???
Photo(下)→自転車に引かれた大きなミミズだった。するとコウガイビルはミミズに絞め・絡まる様に食べ始めた。
2009/06/21 @京都御苑(テニスコート横の森)、京都市

2009年6月19日金曜日

第百二夜/ムラサキシジミ

  ムラサキシジミの産卵に出会う。母蝶が幼虫の食樹であるアラカシの新芽近くをせわしなく飛んでいる。このような時は産卵の場所を選んでいる。しばらくすると頂芽の近くの止まり、すこし休み、その後新芽か若葉に卵を産みつける。近くの新芽は、巻き込んだ様になっている、ここにはムラサキシジミの幼虫が潜んでいるはずだ。若葉を返すと5mmほどの若齢幼虫が見つかった。生垣等は絶えず刈り込まれる、すると樹々はいつも若い葉を茂らせる、結果として産卵する場所が増える。ムラサキシジミにとってアラカシの生垣は、格好の産卵場所となると言う訳。アオスジアゲハ(クスノキが食樹)でも同様の事が言える。街中で増える原因がここにある。
Photo(上)産卵芽を探す母蝶。種名は翅表の紫色から付けられている。♂は紫色が翅表の縁近くまで達している。Photo(下)葉の真ん中のクリーム色のものが幼虫。2009/06/19 @岡崎公園、京都市左京区

2009年6月18日木曜日

第百一夜/黒猫と赤耳亀(アカミミガメ)

 今日も異種2匹の超接近遭遇の面白い場面に出くわした。仕事帰りに京都御苑を散歩、ちょうど堺町御門で見たものは・・・黒猫と甲長25cmほどの立派なアカミミガメ(ミドリガメ)。どうもこの亀は産卵をしようとしてる様子。後ろ足で懸命に砂利をかいている。その様子を見守る(?)黒猫。しばらく見ていたがいっこうに穴が掘れないでいる、かちかちの地面に敷かれた砂利ではさすがに産卵出来まい。しかも亀が暮らしている池からは距離もある。例え孵化したとしても子亀が砂利道を辿り池(九条池)に辿り着くことは難しい。こんな所に産卵してもらう訳にはいかず、猫には悪いが亀を池の近くの草地に戻す。猫にとってもこの亀の出現と行動は不思議だったんだろうなと思う。さて、当の亀が無事、池岸近くの草地で産卵し、卵が孵化したとしても、水際に水生植物が無く、鯉がたくさんいる池での生存はほぼ0%だと思う。すこしかわいそうな気もするが、移入種(言い換えれば、ここでは「捨て亀」)であるアカミミガメの増殖を防ぐ為には止む得ない。以前、池のある公園でイシガメが砂場に産卵しようとしたシーンは知っている。都市に住む亀の生息環境は厳しいものがある。そんなわけで草地の護岸を持たない水辺環境では、在来種の亀の少子化が起っている。
Photo: 2009/06/18 @堺町御門・京都御苑、京都市

2009年6月17日水曜日

第百夜/午後の蜜会・クロウリハムシとテントウムシ

 フジの花に2頭仲良く頭を突っ込み蜜を吸っている(食べている)クロウリハムシ(成虫、左)とテントウムシ(幼虫、右)。普段、クロウリハムシはウリ科の植物の葉を食べ(菜食)、テントウムシはアブラムシを食べている(肉食)。菜食主義者も肉食主義者もあまい蜜には目がない。見ているとハムシの触覚や前脚がテントウムシに、テントウムシの前脚がハムシに時折触れている。これは互いに意識はしているはず、ハムシは右足を遠慮気味にしている。さらに見るとハムシの右中脚とテントウムシの左前脚は手をつないでる。なかなか仲良いことだ。「ハムシ:この甘さがたまらんわ〜」、「テントウ坊や:おばちゃんもうソロソロええやろ、代わってえな〜」とか、僕たちには判らないがきっと会話をしているに違いない。平和な午後のお茶タイムとでも言える光景だった。Photo:2009/06/17 @岡崎、京都市左京区

2009年6月16日火曜日

第九十九夜/コオニヤンマ


 動物園に会議の為に出かける。予定時間よりも早く着いてしまったので園内を散歩。ニホンカモシカと遊んでいると(もちろんこちらは柵の外)、近くを飛んでいたトンボに気づく。このトンボ、コオニヤンマという。オニヤンマと名前に付くがサナエトンボの仲間。オニヤンマの仲間は、左右の複眼が真ん中でくっくいているが、サナエトンボの仲間は離れている。コオニヤンマの特徴は、おでこの「角」みたいなとんがり(写真下)と、体の割りに長くて太い後脚(写真上)。見れば確かに小鬼の様だ。名前の由来は「小型のオニヤンマ」だろう・・・、でも「小鬼」のようなヤンマ(大きなトンボの代名詞?)も捨て難い。このトンボの幼虫(ヤゴ)は、水底に沈んだ枯葉のように見えるほど薄っぺらで形も色もそっくり、やたらと後ろ足が長い、口先には小さなシャモジが二枚ついたような出っ張りがある、一度みれば忘れられない。おまけに驚くと脚を体にくっつけてまさに枯葉になりすましヒラヒラと流れて行ってしまう秘技を持ってる。Photo: 2009/06/15 @京都市立動物園

2009年6月15日月曜日

第九十八夜/カラスが教えてくれた事

 今頃の季節、生きもの達も子育ての真っ最中、多くの鳥達も巣立ちをむかえる。先日は仕事先でハシブトガラスの幼鳥を道路脇で見つけた。クチバシの両端がまだ黄色く、全体に幼さが残る。十分に自力で飛べるがまだまだよちよち飛びだろう。無事に巣から飛び出たものの疲れて一休みと言わんばかりに表情だ。僕が気づき立ち止まるとさっそく頭上の電線で両親の大騒ぎが始まった。こんな場面をよく人間は、カラスに威嚇されたとか、攻撃されたとか言うが、僕はいつも疑問に思う。実際にそんな状況も今迄に無かったかと言うと確かにあった。頭上から枝やフンを落とされたこともある。しかし、子ガラスから離れるとそんな騒ぎは収まってしまうのだ。僕はこの親ガラスの騒ぎは、けっして人間への威嚇ではなく「小ガラスへの教育」だと思う様になった。多分、彼らは「早く飛びなさい!」とか「動くんじゃないよ!」とか「頑張ってここまで来なさい!」、「知らない人についていっちゃだめよ!」などと言っているのだろう。いずれにしても注意を促していたり、励ましている言葉であると思う。これは立派な子どもへの教育である。ただし人間と子ガラスとの安全距離(子ガラスが自力で逃げ出せる距離)を超えると親は直接的な保護行動にでるだろう。なぜそう言えるかと言うと、この場面を人間に例えると判りやすい。子どもが道路端にいる時に一台の車だやってきた・・・さてこの時、人間はどう声をかけるだろうか?「車が来ているから気をつけて!」、「動かないで!」、「飛出しちゃだめよ!」、「こっちに来なさい」など言うだろう。最初からだれも車に向って「子どもに近づくんじゃない!」とか「何してるんだ!!」と怒ったりしない(近年は判らないが)、これでは本当にケンカになってしまう。これは最後の保護行動である。そんな様に考えるとカラスの言葉がおぼろげながら判ってくる。だからカラスの騒ぎは、人間への威嚇ではなく子どもへの教育なのである。人間はつくづく自分本位な生きものだと思う。カラスの両親は、ちゃんと子ガラスに人間との距離の置き方や人間の怖さ(?)、逃げるタイミングなどを教えている。一方、人間は自らの子どもにカラスとの距離の置き方を教え無いどころか、被害者意識を植え付ける、「危ない生きもの」と言うレッテルを貼ってしまう。人間はカラスの言葉が科学的に判らないだけである。自分達が(能力的に)理解出来ない生きものを一方的な色眼鏡で見てはいけない。

 話しがそれるが、以前こんな興味深い出来事が2つがあった。
 
 まずはじめに。仕事帰りにカラスの風切羽根を一枚拾った。あまりにも大きく奇麗だったのでカバンのポケットに納めた。そんな僕を一羽のカラスが見ていた。僕もカラスの存在は気づいていた。僕はそのまま仕事場にしていたワンルームマンションまで歩いた。この間、15分ぐらい。不思議なことにそのカラスは僕が玄関に入る迄、電線沿いに付いて来た。そのカラスは、自身か仲間の羽根を拾った人間がどこに帰るかを確実に認識したと思う。

 また別の時はこんなカラスもいた。ある子ガラスは片羽根に障害を持っていたために飛ぶ事が出来なかった。いつも一羽だけで同じ場所で遊んでいた。地面を歩いたり、脚や不自由な羽根を使って低木や灌木に飛び上がり、安全な高さの枝まで移動して止まっていた。幸い、墓地だったので食べモノには不自由し無かったようだが、この幼鳥の親は2年近くもの間、幼鳥がいなくなるまで(野良猫にでも襲われたのだろう)、いつも近くにいて猫や人から守り続けていた。

 カラスを見ていると本当に飽きない。彼らに声をかけると耳を傾ける。一羽一羽の個性が違う、ヒステリックな親ガラスもいればオットリとした親ガラスもい る。ひとえにカラスは云々と言うにはもったいない。実に個性も表情も豊かな生きものである。

 カラスやスズメバチへの話しが起る時にそんなことを紹介するとよく返される意見がある。僕の意見は「自然に詳しい専門家の理想的見解」や「自然愛好家の楽観的見解」であるという。つまり普通の人間はそんな風には思わないと言うのである。極めて普通の僕は研究者じゃないので少々科学的でない事も自由に考えている。テレビでタレント達がおもしろおかしく生きものを擬人化すると言う事ではなく、自分を彼らに置き換えた時に違う見方が生まれる。人間も彼らの言葉や行動にもう少し耳を傾けても損は無い。僕たち人間にいろいろなことを教え てくれるのだ。 

 ただしカラスと付き合う時の大切な約束事があります。カラスに騒がれたらけっして目を吊り上げて怒ってはいけない、拳を振り上げてはいけない、ひるんでもいけない。「大丈夫、大丈夫、何もしませんよ!」と笑顔で答えること。この時、必ず「笑顔」で! 最近のデジカメの笑顔認識モードよりもずっと優れた笑顔認識をしてくれるはず。

やっぱりカラス話しは長くなります。

後日記:昆虫のT先生がカラスにフンをかけられせっかく着たシャツが汚れてしまった・・・と。でも当の先生はちょっと迷惑そうな中にも、笑いがあってどこか嬉しそうにも見えた・・・この許容が生きものと付き合うときの「こころ」かな。(6/16)

Photo:@兵庫県芦屋市

2009年6月13日土曜日

第九十七夜/いつも元気なコミスジ

 コミスジと言うタテハチョウの仲間がいる。少し樹々がある所に行けばどこにでもいる(少なくとも京都には)。日本を出ても、台湾、朝鮮からヒマラヤ、ヨーロッパまでどこにでもいるらしい。そんな蝶だから虫を採っていた時は、とるべき蝶がいない時に練習がてら採っていた記憶がある。さて、写真を探して気づく・・・写真が無い。愚かな事に写真を採っていなかった。いざ写真を撮りにいくといなかったりする、いてもなかなか思う様に撮れなかったりする。少し羽ばたいては滑空するような特徴的な飛び方。小さいがなかなか元気のいい蝶で、林縁や樹間の見晴らしのいい枝の先にとまり縄張りを守っている。ハルジオンなどの花にも来るが、縄張りを守っているときの方がずっといいかっこいい。幼虫の食樹はクズ、ハギ、フジなどのマメ科を広く食べる。コミスジに近い種で「ホシミスジ」というのがいるがこちらは庭木によく使われる、ユキヤナギやコデマリを食べるので近年街でも増えているという。名前は「小さなミスジチョウ」の意味。Photo: 2009/05/31 八幡山、滋賀県近江八幡市

2009年6月4日木曜日

第九十六夜/シロテンハナムグリ

 夏と言えばカブトムシ、カブトムシと言えばコガネムシの親分、分分と言えば「シロテンハナムグリ」。・・・ちょっと強引な誘導。どこでも、身近に見る事ができるコガネムシの一種である。さてコガネムシはとても飛ぶのがうまい甲虫である。カブトムシやクワガタのように不器用ではない。高速で草むらや樹間を飛んでいる。このヒミツは、飛んでいる姿をよく見ると判る=前翅(堅い翅=鞘翅)を体に付けて(閉じて)、前翅の間から後翅だけ出してはばたいている。この写真の前翅(鞘翅)の右横がすこし窪んでいるのが判る、この窪みから後翅が出ると言う訳だ。飛ぶ姿勢もカブトムシの様に「お尻が落ちた万歳姿」でなく、脚を体に密着させ、後翅だけを伸ばした(スキーで言うなら)「前傾姿勢」でいる。名前の「ハナムグリ」とは「花にもぐる」の意、「しろてん」は体の模様を見たまんま。名前から想像出来る様に樹液以外に花の蜜や花粉も大好きなのである。Photo:2009/06/02 @京都御苑

2009年6月3日水曜日

第九十五夜/首が切れても放さない?クビキリギリス

 草の中にクビキリギリス(緑色型)が一頭、こうやっているとまるで葉っぱの一部みたいに見える。この「クビキリギリス」って名前、あまりに面白いので以前、知人に聞いたら「噛む力が強くて、一度噛んだら自分の首がちぎれても放さないからだ」と教えられた。(これが彼の体験から来たものかは判らないが、インターネットで検索すると確かに同じ様なことが書かれていた)でも僕はその時こう思ったのだった。キリギリスの仲間は強いアゴを持っている→噛まれると強烈に痛い→しかもこの虫の口元は赤い→さらにキリギリスの仲間は肉食も多い→おまけにゴルゴ13のような無表情でクールな目つきだ(鮫の目に似ている)。さてこの連想(テレビショッピングの3段活用みたい)をもとに名前の由来を考えると・・・僕ならこう言う「他の虫の首を一発で斬ってしまうからや!」これのほうがなんとも真実味を与えてくれそうな気がすると思いませんか? それで今度、子どもたちに聞かれたらこう付け足そう「きみの指も一発かもな〜?」。 Photo: 2009/06/02 @京都御苑

2009年6月2日火曜日

第九十四夜/ヒメカメノコテントウの狩り

 小さなテントウムシの狩り(食事)のシーンにであう。草の葉っぱの上にチェッカーフラッグ柄のヒメカメノコテントウが食べた(襲った)虫の残骸(翅、脚、その他)がバラバラと散り、そしてテントウムシの目線の先には、次なる獲物=まさに逃げ(まどう?)ようとするアブラムシの群れ。こんな時のテントウムシは、まさに肉食獣の面持ちで、アブラムシは子羊達?のような感じ。もしくは、僕たち人間がアブラムシほどの大きさとして、象ほど大きな肉食獣がどんどこ後ろから迫って来るシーンを思い浮かべよう・・・これはなかなか恐ろしい。昆虫と言えども、肉食性のものはやはり恐ろしい顔をしているものだ。(強面三種は、スズメバチ、カマキリ、ハンミョウかな)Photo:2009/06/02 @京都御苑

2009年6月1日月曜日

第九十三夜/夏の夜の始まり・モモスズメ

 地下鉄の出入口の壁に1頭、木の皮のような文様の蛾が止まっていた。前翅にきめ細かな鱗粉の波形模様と小黒点が一つあり、後翅は薄紅色。これはスズメガの仲間「モモスズメ」、果樹園や雑木林周辺で見られる。灯火によく飛来し、近くの壁に止まっているのに出会う。幼虫は、モモ、ウメ、サクラ、ビワ、リンゴ、ヤマブキなど、いろいろな樹木の葉を食べる緑色のイモムシ。街灯に虫達が集ると、ああっ夏になって来たんだな〜と思う。昆虫採集をしている時はこのような個体を「完ピン」と呼んでいた。羽化したばかりの傷一つない個体をさす。この個体も羽化したばかりだろうか、その翅には傷の一つもない。Photo:2009/06/01 @川端丸太町、京都市左京区