2015年1月15日木曜日

第六百八十九夜/スズメの香り

野鳥写真マニアの人からは「スズメ〜?」って言われそうだが、よく見ればなかなか興味深く、僕たちは実のところ良く知らないことに気付く。僕が好きな鳥でもある。子どもの頃は、いつもスズメが家にいた。これは大学生になっても変わらなかった。なぜか、どこからか、誰かが僕のところに持ち込むのだった。持ち込まれたスズメは、ほとんどは丸裸に近いヒナから巣立ちに満たないものだった。自作の保温機に入れ、定期にすり餌と水を与えた。そんなスズメ達は、とても良く馴れ、部屋の中を我が物顔で飛び回っていた。食事の時は肩に止まり、直接僕の口にエサをねだった。そして僕の枕の上で寝ていた。僕が何より好きなのは彼らの体の香りで、それは太陽に布団を干した後の香りだった。一方で父親に連れられて正月の神社の参道で味わったスズメの焼き鳥もおいしいと思った。
 今日、出先からの帰り道、夕暮れのなか畑の横の物干竿に彼らが並んでいた。エサを食べたり、羽づくろいをしたり、小声で鳴き交わしたり、転がる様に地面に降りたかと思うと、ねぐらへと飛び去った。なにを話していたのだろうか。スズメを見るといろいろなことを思い浮かべる。Photo:2015/01/15 @大和西大寺、奈良市

2015年1月7日水曜日

第六百八十八夜/落ち葉をめくってエサを探すシロハラ

 声や姿に特徴も派手さも無いが、なかなか味わい深い美しさを持つシロハラ(Turdus pallidus 英:Pale Thrush)。今の季節、雑木林の落ち葉を勢い良くめくり昆虫やミミズなどのエサを探す姿を良く見る。Photo:2015/01/07 @京都御苑、京都市

2015年1月6日火曜日

第六百八十七夜/風に舞うハイイロチュウヒ

 黒く重い雪雲、時おり細かな雪が顔に当たる、ヨシ原に強い寒風が吹く。ねぐら入りの前にハイイロチュウヒ(Circus cyaneus 英:Hen harrier, Northern harrier)が数羽舞う。風に舞い飛ぶ姿に寒さも忘れそうである。トビ、オオタカ、ノスリ、チョゲンボウに対してはカラスは、モビング(擬攻撃)を激しく行うが、チュウヒ類にモビングをしている場面には出会わない、気のせいだろうか。英名の「Harrier」日本車のメーカにあったような。Photo:2015/01/06 @西の湖、近江八幡市

2015年1月5日月曜日

第六百八十六夜/アオジ

 このカナリア似のスズメほどの大きさのアオジ(Emberiza apodocephala 英:Black-face Bunting)はもっとも身近な冬鳥かも知れない。まとまった樹木がある緑地や公園でもやって来る。しかも人をあまり怖がらず、地面に落ちている草や木の種子を小さな群れで食べているので、こちらが驚かない限り足元までやってくる時もある。観察するにはもってこいである。地味ながらも、胸の黄色はとても目立ち美しい。Photo:2015/01/03 @吉田山、京都市

2015年1月4日日曜日

第六百八十五夜/積雪の跡のアカゲラ

 今年正月2日間の京都は、61年ぶりの記録的な積雪だったらしい。散歩で近くの吉田山に行くとその影響は確かにあった。コナラの太枝が着雪で折れている姿を随所で見た。ただこの程度の着雪で折れることは、そもそも枝に何らかの問題があることも事実。その折枝に目をつけたのはアカゲラ(Dendrocopos major 英:Great Spotted Woodpecker)だった。このアカゲラは折れた枝の断面をつついていた、しかも別の木に変わりながらも折口ばかりでエサを獲っていた。折れた箇所を観察するとどれもが内部が空洞もしくはスカスカの状態で、おそらくカミキリムシの幼虫かなにかが入っていると思われた。これでは着雪の重さに耐えきれず折れてしまう。降雪は鳥たちにとって大きな環境圧にもなるが、食べ物を得る機会にもなりうると言うことがわかった。ちなみに吉田山でアカゲラを見たのは今回が初めて。今日であった野鳥:アオジ、クロジ、カワラヒワ、スズメ、ジョウビタキ、ウグイス、メジロ、ソウシチョウ、シロハラ、アオバト、ヤマガラ、コゲラ、アカゲラ、ハシボソガラス、トビ。Photo:2015/01/03 @吉田山、京都市

2015年1月3日土曜日

第六百八十四夜/カゴ抜け鳥のソウシチョウ

 自宅近くの吉田山を散歩中に見知らない小鳥の群れを見つける。遠くから見て、その群れの鳴き声や行動に違和感あり。静かに待っているとブッシュの中から現れたのは、ソウシチョウ(Leiothrix lutea  英:Red-billed leiothrix )だった。全部で15羽以上の群れ。ブッシュの下でエサをさがしている。時おり鳴く声は、ウグイスの様な「ジェッ、ジェッ」やヒタキ類の「カッ、カッ」のように聞こえた。この鳥の野外での繁殖は聞いたことがあったが、まさか身近な場所でこれほどの個体がいるとは思っても見なかった。確実にここでも繁殖しているのだろう。この小鳥は、外来生物法で特定外来生物に指定されており、「日本の侵略的外来種ワースト100」の選定種の1種となっている。かつてはペットショップで売られていたが、今では愛玩、観賞目的での飼育は禁止されている。Photo:2015/01/03 @吉田山、京都市

2015年1月2日金曜日

第六百八十三夜/コサギの小技

コサギ(Egretta garzetta 英:Little egret)の脚は、指部分だけが黄色く、靴下を履いたようである。彼らの餌の獲り方はユニークである。前に出した足先を水底でぶるぶると振る。この指の揺れに驚いた小魚やヤゴ等が飛び出てくるのを狙うのである。足先をぶるぶるとしながら静かに一歩ずつ歩く。コサギのぶるぶるに驚き浮き上がって来る魚を側でカワセミが狙う。冬期のように深みに魚が溜まっている時は、カワウが水に潜り追う魚が浅瀬に逃げてくるのを待つ。結果としてカワウの行動につきまとうコサギが現れたり、なかなか面白い異種間交流(?)である。さてこのコサギの足先だけ黄色い特徴的なと魚を捕る行動「ぶるぶる」はなにか関係があるのだろうか。つまり魚が驚く様に足先だけ目立たせているのか、それとも水底にある自分の足先を見やすくするのか? 多分、両方あるのだろうな。Photo: 2015/01/02 鴨川、京都市

2015年1月1日木曜日

第六百八十ニ夜/カワセミと正月

謹賀新年2015年 本年もよろしくお願いいたします。
京都御苑から鴨川方面へといつものフィールドワーク。イカル、ビンズイ、アオジ、カシラダカ、スズメ、モズ、コゲラ、シジュウカラ、メジロ、キセキレイ、ハクセキレイ、シロハラ、ムクドリ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、トビ、アオサギ、コサギ、ダイサギ、カワウ、ユリカモメ、カイツブリ、カルガモ、マガモ、キンクロハジロ、ヒドリガモ、オナガガモ、カワセミ・・・と一通りいつもの面々。そんな中、興味深い場面に出くわす、高野川の河原に造られていた小さな淀みにコサギ10羽、カモ類10羽以上、ダイサギ、カワセミがたたずんでいた。このよどみには川の本流以外にも護岸の石積みからしみ出た地下水が流れ込んでいる。ここの水は本流よりも少し暖かいかも知れない。なかでもコサギは積極的に水底の砂利や落ち葉をいつものように脚でぶるぶるとかき回して飛び出る小魚を狙っている。すぐ横の岸に突き出た小枝では、カワセミ♀(Alcedo atthisがその行動を一部終始見て、飛び出る小魚を素早く狙っていた。冬は小魚が水底に隠れるのでカワセミにとっては獲物を得にくいのだろう。また別のところでは、カワウが水中で追う魚をコサギが浅瀬で狙っていた。時おり頭の上をトビが舞う、カワセミが顔を向け、カイツブリは水に潜ってしまう。エサを獲る、捕食者への警戒・・・この鳥たちのそれぞれの行動は、単に一羽それぞれの行いではなく、それぞれがかつ種類を超え深く結びついていることに興味が尽きない。Photo:2015/01/01 出町柳、高野川、京都市