2013年5月31日金曜日

第四百八十六夜/どちらも大変

 神社の境内の大楠でムクドリ(Sturnus cineraceusが子育て真っ最中。カラスを警戒してるのか、餌を加えたまま周囲を気にしている。何を獲って来たんだろうかと双眼鏡で見ると、羽化したてのオオシオカラトンボ(のようだ)、まだ体が白い。ムクドリは子育てのために四六時中餌探し、一方、トンボは長い幼虫期を経てやっと成虫になり、自由に飛び出す直前。どちらも捕食する側でも、捕食される側でもある。一寸先は闇ではないが、生きると言うことはなかなか大変である。Photo:2013/05/31 @京都御苑、京都市

2013年5月29日水曜日

第四百八十五夜/隠遁の術で身を守る

 モモの幹にコゲラ(Dendrocopos kizukiの巣立ちヒナが止まっている・・・あまりに動かないのでこちらは気付かない。さすがにキツツキ、ヒナ鳥といっても立派にキツツキ止りだ。背中の紋様はりっぱに保護色、親の餌を待っている。じっと我慢することで気配を消してしまう、でも「隠遁の術」も一度動けば術も消えてしまう。こちらが気付いた、さてどうしようかとヒナ鳥が迷ったところに親鳥の「注意しなさい」の一鳴き、親鳥の鳴き声に誘われて飛び去ってしまった。少しずつ経験を積んで立派なキツツキになっていく。Photo:2013/05/28 @京都御苑、京都市

2013年5月27日月曜日

第四百八十四夜/葉に潜む陰

 不用意に動くと葉に潜むクモが狙って来る。イオウイロハシリグモ(Dolomedes sulfureus獲物を捕るためのクモの巣は張らず、近くを通る獲物を待ち伏せるクモの仲間。今日の獲物は、ガガンボの仲間のようだ。しかし自分が動けば、トカゲやカエルから狙われる。獲物を食べている時も不用意には動けない、獲物もろとも自分も「獲物」になってしまう。Photo:2013/05/26 @京都御苑、京都市

2013年5月25日土曜日

第四百八十三夜/テングチョウの新成虫

 テングチョウ(Libythea celtisの新しい成虫が出始めた。2、3日前までは全然見なかったが今日はずいぶんと成虫を見ることが出来た。一挙に羽化が始まったようだ。でもこの成虫達もしばらくすると全く見ることが出来なってしまう。それは独特の生態によるもので、この春、成虫になった個体はしばらく活動したあと夏眠に入ってしまうからだ。夏が終わった頃に目覚め再び活動して、今度は冬眠に入ってしまう。この夏眠と冬眠の前後は数多くの成虫が見れる。つまり5月の羽化した個体は来年の春まで生きている訳だから蝶の成虫では長命な方で、なかなか興味深い生活史だ。Photo:2013/05/25 @京都御苑、京都市

2013年5月24日金曜日

第四百八十二夜/ホシミスジの前蛹

 昨年の秋から観察を続けてきたホシミスジ(Neptis pryeri タテハチョウ科)がようやく蛹に脱皮する準備に入った(この状態を「前蛹ぜんよう」と呼ぶ)。まるで枝にねじれた枯葉がぶら下がったようにしか見えない。たぶん2日後には蛹になるだろう、これがまた枯葉そのもので、楽しみである。Photo:2013/05/24 @京都御苑、京都市

2013年5月23日木曜日

第四百八十一夜/オオヨシキリ

 「ギョギョ・・ギョシギョシ・ギチギチギチ・・・さえずりに誘われヨシ原に入るといたるところから同じさえずりが聴こえる。オオヨシキリ(Acrocephalus orientalis)のオスの縄張り宣言なのだが、それぞれが意外に近くで鳴いている。彼らの縄張りはそれほど広くないようで、数メートル離れた場所で別のオスが鳴いていることは珍しくない。ヨシや灌木の枝の先端に止まりさえずっているので、近くによって聴いていると、警戒するのだろう、すぐ下の込み入った場所に隠れ同じ様に鳴いている。しばらくするとまた先端に止まり鳴いている。休み無く鳴いている、さぞかし体力が必要なことだろう。いったいこのヨシ原に何羽のオオヨシキリがいて、どれほどの巣があるのだろうか。Photo:2013/05/23 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2013年5月22日水曜日

第四百八十夜/アマサギとトラクター

 「あの鳥なんていう名前なんですか?、一人でトラクターに乗って田んぼを耕していると孤独なんですが、周りでちょろちょろしてくれると結構、楽しいですよ。・・・トラクター暑そうだって・・・大丈夫エアコン入れていますから。」これは農家のお兄さんとの話。トラクターが田んぼを耕すとミミズ、カエル、オケラなどいろいろな生きものが泥の中から出て来る。それを狙ってアマサギ(Bubulcus ibisがトラクターの周りに群れていた。その写真を撮っていたら、トラクターのお兄さんが僕のそばに一休みにやって来たと言う訳。アマサギはよく知っていて、トラクターの横で写真を撮っている間は比較的近くまでやって来る。お兄さんの行動をよく知っているようで、一休みが終わるまで田んぼのあぜで水面を泳いで陸地に這い上がる昆虫等をついばみながらトラクターが再び動き出すまで待っているのだった。
 アマサギは、夏季は頭部から頸部、胴体上面はオレンジがかった美しい黄色(飴色)の羽毛で被われ(夏羽)、和名の由来になっている。
 さて【飴色】とは、元はと言えば古来の水飴は麦芽を加えており薄い褐色に色づく、その色のこと。『日本書紀』にも記述がみられ、平安時代には甘味料として用いられていたという。それが江戸時代になると菓子として普及する。現代に言えば、キャラメル色】かな、こちらは砂糖を煮詰めて少し焦がした色。キャラメルは砂糖、水飴、練乳、バターなどを主材料としたソフトキャンディの一種で、ポルトガル語のカラメロ」が語源なのである。Photo:2013/05/22 守山、滋賀県

2013年5月18日土曜日

第四百七十九夜/エダナナフシのあかちゃん

 エダナナフシ(Phraortes illepidusの幼虫というよりも「あかちゃん」と呼ぶ方が相応しいほどのサイズ。体調2cmに満たないほどの大きさで今年ふ化したものだろう。四本足の様だが前脚は触覚にぴたりとつけて前に習えをしている。つつくとぽとりと下の草地に落ちてしまう。こうなれば本当にどこにいるのか判らなくなってしまう。Photo:2013/05/18 @栗東市井上、滋賀県

第四百七十八夜/消えるテングチョウの幼虫

 越冬したテングチョウ(Libythea celtisの母蝶が春になって生んだ卵から孵った幼虫もすっかり終齢幼虫となった。孵化したばかりの小さな頃はものすごく沢山の幼虫が見れるが、この幼虫も日ごとに消えていく。よくよく見ればシジュウカラやエナガ達がついばんでいくようだ。小鳥達も子育て中や、巣立ちヒナの姿がよく見れる、彼らの大切な食料となっているようだ。小鳥達を観ていると実によく蝶や蛾類の幼虫を探し出していることがわかる。特にテングチョウのように幼虫が群れている場合はしきりに同じ場所にやって来る。だから今やテングチョウの終齢幼虫もたった2匹になってしまった。この2匹も蛹に成るまであと数日、それまで生き残れるかその確率は極めて低いと思う。Photo:2013/05/17 @京都御苑、京都市

2013年5月17日金曜日

第四百七十七夜/ミズイロオナガシジミの蛹

 自宅で観察用に飼育しているミズイロオナガシジミが蛹になった。蛹になって数日間は体の関節を動かし「キュキュ・・キュキュ」としきりに鳴いていた(正確には音を出していた)が、その後はあまりその音も出さなくなってしまう。順調に育てば2週間後には羽化するだろう。楽しみです。Photo:2013/05/17 @京都市

2013年5月15日水曜日

第四百七十六夜/シオヤトンボ

 谷戸の田んぼではやっと田植えが始まったばかり、そんな田んぼでもう産卵が始まっていた。シオカラトンボ似のすこし小さなシオヤトンボ(Orthetrum japonicum。Photo:2013/05/12 @栗東市井上、滋賀県

2013年5月13日月曜日

第四百七十五夜/やっと終わった冬越しのトンボ

やっと長い冬越しが終わりました・・・・ホソミオツネントンボ(Indolestes peregrinus。Photo:2013/05/12 @栗東市井上、滋賀県

2013年5月12日日曜日

第四百七十四夜/夕日を浴びてカルガモ

田植えの頃にあぜ道でよく見かけるカルガモの姿。
「今日は暖かないい一日だったな・・・やれやれストレッチでも」と夕暮れに染まる畦から一羽のカルガモ(Anas poecilorhynchaの声が聞こえてきた。Photo:2013/05/12 @守山市、滋賀県

2013年5月9日木曜日

第四百七十三夜/クロスジギンヤンマ

 今年の春は寒かったのでもうすこし先かなと思っていたら出てきた、クロスジギンヤンマ(Anax nigrofasciatus 。しかも産卵中の♀だった。水草に止まると腹部の先端で水中の水草の茎を探り、茎に産卵をする様子が良く判る。ここはいい場所なのだろう、一度止まると360°ぐるりと回り産卵を繰り返していた。こちらがじっとしていればトンボのモデルさんがぐるりと360°回ってくれるなんて滅多に無い好条件。Photo:2013/05/07 @京都市

2013年5月7日火曜日

第四百七十二夜/ミズイロオナガシジミ(終齢幼虫)

ミズイロオナガシジミの幼虫もすっかり貫禄がでてきた。背中の長いたてがみ状の毛が本種の特徴。もう2、3日で前蛹(ぜんよう=蛹に脱皮する前の状態)になり、さらに2、3日で蛹(さなぎ)になる。Photo:2013/05/07 @京都市

2013年5月6日月曜日

第四百七十一夜/シマヘビ

 ようやく暖かくなって来た、散歩で郊外に出る。昔、虫採りに通った里山。そこは春のギフチョウからはじまり初夏のミドリシジミ類、夏のアゲハチョウ類、初冬の卵採取と、じつによく通ったフィールドである。かつての雑木林はすっかりスギ植林に変わり、森全体が薄暗くなっていた。これではもうかつてのような生態はないだろう。それともどこかにまだ彼らは生き延びてるだろうか。すこし落胆気味で歩いていると足元でシマヘビ(Elaphe quadrivirgataが日光浴をしていた。彼らも住みにくいだろうなと思う。Photo:2013/05/05 @岩倉長谷、京都市

2013年5月5日日曜日

第四百七十夜/キセキレイの無念の死

 野鳥観察で訪れた山村都市交流の森のトイレの窓にキセキレイ(Motacilla cinereaが抱卵しているが、その様子がおかしいと聞く。早速、キセキレイの巣を見るが確かにおかしい。親鳥に触れるとすでに息絶えていた(写真上)。親鳥は雄(♂)で、巣には5つの卵があった(写真下)。いったい何が起こったんだろうか、想像してみた。
 キセキレイは雄と雌で交代で卵をあたためる(抱卵)。数日前に雄と抱卵を交代した雌は餌を獲りに出かけたがなんらかの事故に遭い(交通事故か、タカに襲われたか?)、雄が待つ巣に戻れなくなった。一方、雄は雌との抱卵の交代をひたすら待つが、雌は巣に戻ることはなかった。長い時間、抱卵をしていた雄も空腹になってきた、しかしここで餌を獲るために巣を離れると卵達は死んでしまう。空腹のまま抱卵を続け、数日前の寒波がやってきた。結果、卵を抱き続け衰弱のまま息絶えた。雄鳥の気持ちを察するまでもない。なんとも無念だったろう。営巣が数日遅かったとしたら、雌鳥が巣に戻ることが出来たら・・・と思う。キセキレイの巣は、外側にスギの葉が丹念に敷かれ、中程はコケ、次に草の葉、そして一番内側には獣毛(多分、シカの毛)が丹念に敷かれていた。Photo:2013/05/04 @山村都市交流の森、花背、京都市

2013年5月4日土曜日

第四百六十九夜/イワツバメの巣作り

 ツバメの巣作りの近くでは、イワツバメ(Delichon urbicaも巣作りに励んでいた。このペアの巣はほぼ完成。巣の中に1羽、外に1羽がいた。本来は山や海岸の断崖に数十個から数百個の巣を集団で作って子育てする鳥といわれている。ここのコンクリート壁面はその環境に近いのだろうか、4ペアが近接して巣作りをしていた。近くではツバメが電線に止まり休むむ光景を見るが、イワツバメの休み方はこんな感じで壁面に足の爪をかけて、尾を広げて、言わば3点支持の安定した止まり方で休む。なんだか辛そうだが、彼らによっては一番の休み方らしい。Photo:2013/05/04  @花背別所、京都市

2013年5月3日金曜日

第四百六十八夜/巣作り真っ最中のツバメ

 鳥を見に京都北山・花背に行く。花背の地名は、この集落に来るには「都=花」を「背」にして山を越すからだと言う。花背峠を越した谷間は、まだコブシがちらほら咲き残り、ようやくサクラの花の季節だった。京都市の教育施設「花背山の家」の壁面ではツバメ(Hirundo rusticaが巣作りに追われていた。その他、イワツバメが4ペア。巣づくりの合間に電線に止まり休むツバメはゆっくりと観察できる。Photo:2013/05/03  @花背別所、京都市