2014年3月23日日曜日

第五百八十九夜/春彼岸のビロウドツリアブ

 今年もお墓参りで出会った毛むくじゃらの可愛らしい小さなビロウドツリアブ(Bombylius major、ホバリングが大変上手で、空中に完全に静止しながら非常に長い口吻で蜜を吸う姿がまるで吊り下げられているかのように見えるため、「ツリアブ」と呼ばれている。陽が陰り、少し寒くなったせいか、温まった石の上から動かない。成虫は春の彼岸の頃にのみ現れ、幼虫は土中に巣を作るヒメハナバチの仲間の幼虫や蛹に寄生する。不思議な生態である。Photo:2014/03/22 @黒谷、京都市

2014年3月18日火曜日

第五百八十八夜/トビの巣作り

 フィールドに行くと鳥たちの繁殖が既に始まっていることに気付きます。ヨシ原の柳の木でもトビ(Milvus migransが巣作りをしていた。もうしばらくするとヨシ焼きの季節・・・場所的に少し気になるが、幸い広い水面をはさんでいるので巣のある木までは火は届かない。巣は地面から3mほどの高さだが、周囲はほとんど湿地なのでおいそれとは外敵も近づけない。Photo:2014/03/15 @西の湖、近江八幡市

2014年3月16日日曜日

第五百八十七夜/ヨシ原のホオジロ

 今の季節、ヨシ原を歩くとスズメほどの大きさの小鳥がよく目につく。風になびくヨシにとまり上手くバランスをとっている。時おり地面や草むらに降りて種子を採食し、危険を感じるとヨシ原に逃げ込む。写真はホオジロ(Emberiza cioides、オオジュリンと似ているが、餌を採る場所が少し違っていることに気付く。オオジュリンはあまり地面は降りず、もっぱらヨシの茎を割って中の虫を採っているようだ。Photo:2014/03/14 @近江八幡市

2014年3月15日土曜日

第五百八十六夜/出会いは突然やって来た・ホンドタヌキ

 仕事帰りの車の中、電話が鳴った。ちょうど河川敷だったので車を停め、電話の相手と話をしていると3mほど前の草むらにタヌキ形のしたシルエットがあった、暗いのではっきりとは判らない。電話を終え、よく見るとまぎれもなくタヌキ(ホンドタヌキ Nyctereutes procyonoides viverrinusが座っていた。ちょうどこの辺りのあぜ道には、農家が捨てた野菜があり、かじり後のついたダイコン、カブなどが転がっているのは知っていた。これがタヌキのものであることも、貯め糞の場所もいくつか知っていた。でもなかなか会えなかった。ところが出会いは突然やって来たと言う訳だ。しかも2頭いる。脅さない様にゆっくりとカメラを構えまず一枚、もう一枚と思ったら少し離れたところにいた1頭が草むらに逃げ込む、それにつられこのタヌキも後を追って草むらに消えた。しばらくしていると「ギャウギャウ・・」と騒がしい声と共に2頭が草むらから堤防上の道に上がって来た。これから餌を探して徘徊するのだろう。Photo:2014/03/15  @浅小井、近江八幡市

2014年3月14日金曜日

第五百八十五夜/ウバタマムシ

 コナラの幹にウバタマムシ(Chrysochroa japonica japonicaを見つける。あれ、タマムシって幼虫越冬ではなかったかな? 今になってよく知らなかった。おそらく成虫越冬もするのだろう。さてこのウバタマムシは、数日前の陽気で越冬から覚めたのに昨日からの寒さで樹皮に止まったまま動けなくなってしまったようである。手の平で暖めると少し動き出すが、元の樹皮に戻すとまた動かなくなった。もう少し目立たな場所に移しておいた。Photo:2014/03/14@栗東市、滋賀県

2014年3月13日木曜日

第五百八十四夜/オオジュリン

 この季節、一雨毎に暖かくなると言うが今日はちょっと降り過ぎの感じ。寒波がくれば大雪に違いない。さてこの雨のためかぜんぜん鳥たちが見れない、ヨシ原ではオオジュリン(Emberiza schoeniclusだけが群れで元気に目についた。さかんにヨシの茎をクチバシで割り、髄の中に潜む虫を食べる個体もいた。写真の個体(♂)は、羽をだらりと下げ広げて雨に当てていた。この姿勢は水浴びと同じ役割を持つのだろうか。 Photo:2014/03/13 @西の湖、近江八幡市

2014年3月12日水曜日

第五百八十三夜/コガモのカップル

 普段は警戒心が強いコガモ(Anas crecca(写真:左/♀、右/♂)だが今日は食べるのに一生懸命らしく、間近なところからゆっくり観察できた。日本産カモ類の中では最小種のひとつ、と言われるが主な繁殖はユーラシア中部・北部および北米大陸中部・北部だから「日本産」というのは少し抵抗あるなと思う。(ただし、一部は北日本で繁殖)繁殖のために生まれ故郷の北国に渡ってすぐに産卵・子育てが出来る様にかどこもペアが出来ている。カモ類の中では冬の渡りが早く、また春の渡りが遅めだからもうしばらく見ることが出来る。Photo:2014/03/12 @鴨川、京都市

2014年3月10日月曜日

第五百八十二夜/フィールドサインが語るもの

 生きものを観る時に大切なことの一つにフィールドサイン(Fieldsign)から読み解くこと。「ある生きもの」が「その場所」にいた痕跡である。一片の羽や毛、足跡、糞、食べ痕などがそれである。雑木林に散乱していたドバトの羽も大切なフィールドサインである。写真の羽はまだ新しく濡れていない、一部には新鮮な肉片も残っていた。前々日の天候は雨、前日は小雪の状態から考えると、前日の午後または当日の午前中に襲われたものと考えられる。羽の一部が鋭く切られている状況を想像するとオオタカの食痕だろう。でもこの場所のすぐ近くに同じ程度の羽の散乱はあったが、風切り羽や尾羽の主要な部位が無いことから、この場所で襲ったものの、食べるために安全な場所に運び去ったと思う。おそらくこの近くでまたオオタカは狩りをすると想像した。Photo:2014/03/08 @京都御苑、京都市

2014年3月8日土曜日

第五百八十一夜/アオサギの巣造り始まる

 人間界では、ここ数日の寒さで春まだ遠きと言った感じだろうが、鳥界ではすっかり春である。シジュウカラもエナガ達もペアが出来上がっているし、アオサギも巣造りが始まった。昨年は1ペアだけの営巣が今年は3ペアいる。アオサギが巣の上で鳴く、「グウウッ、グウウッ」とか「ガウガウッ」といったとても美声とは言いかねる声も彼らによっては大切なペアのコミュニケーションのようです。そして時おり、首を後ろにそらせてディスプレーをしている、その時、自慢の胸の羽がきれいに広がることがわかる。Photo:2014/03/08 @京都御苑、京都市

2014年3月6日木曜日

第五百八十夜/Do you have any question? ヒドリガモ

 「首を傾げる(くびをかしげる)」を辞書で引くと「 不思議に思ったり、疑わしく思ったりする ときの動作。」とあるが、なかなか可愛くみえるものだ。買い物に行く途中、鴨川の岸を歩いていたら前からヒドリガモ(Anas penelopeの一団が泳いで来た。上流にゆっくりと泳いでいくのだが、一羽だけ立ち止まって(この場合、泳がず)こちらをうかがう雄がいた。なぜか首を傾げたままだったのでカバンからカメラを取り出し数枚写真を撮った。しばらくすると何事も無かった様に仲間の後を急いで追いかけていった。ヒドリガモは「ピューピュー」と意外にかわいい声で鳴く。鴨川では、この時期一番個体数も多く、観ていても逃げないカモである。近くには、コガモ、キンクロハジロ、マガモ、カルガモ、オナガガモ、アオサギ、コサギがいた。Photo:2014/03/06 @鴨川、京都市

2014年3月4日火曜日

第五百七十九夜/タヌキのトイレ

 ヨシ原を歩くといくつかの獣の糞の塊を見つける。糞の一個の大きさは小型犬のものほど。よく観ると草、柿、カボチャの種がたっぷり入っている、どれも新しい。これが【タヌキの貯め糞】、つまり彼らのトイレである。巣穴の近くにいくつかもっているようで、どれも開けた場所や軽トラが通る道の上にあり、貯め糞からはヨシ原の中に向かって細い獣道が続いていた。今度は、この貯め糞の近くに自動カメラを設置しようか。Photo:2014/03/03 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2014年3月3日月曜日

第五百七十八夜/ミコアイサの♂

 先日、ミコアイサの♀を観た場所の近くでミコアイサ(Mergus albellus♂を見つける。ヨシ原の比較的開けた水面にキンクロハジロの群れに混ざっていた。混ざると言っても個体間の距離は近い他の鳥とは違い、すこし離れた場所で単独と言った感じ。先日の♀と同様に警戒心が強くどんどん遠くに行ってしまう。時折、潜り餌を獲っていた、潜水時間を計ると12〜15秒だった。白い体に、目の周りと頭部と背中の一部が黒く、まるでパンダ模様だ。@2014/03/03 @西の湖、近江八幡市、滋賀県