2011年7月24日日曜日

第三百夜/巣の話(キジバト編)

 京都御苑の「夏の自然教室」で鳥の話をする。鳥の話と言っても夏鳥の探鳥会ではない。季節柄鳥たちは子育ての真っ最中。だから鳥の巣の話を主にした。御苑では、ちょうどアオバズクが繁殖中という時期でもあるので、まずアオバズクの話をして、実際に営巣木近くで雄を観察する(雌は巣穴にこもっている)。幸いに雄が巣穴の近くの枝に止まっているのを観察できた・・・とは言えアオバズクの巣を持ってくる訳にはいかないので、ここはキジバトの巣を解説。先日、キジバトの古巣を採取し、巣材をひと枝毎に白紙の上に並べてみた。他の鳥のように巣が細密に造られていないのでばらして、並べるにはさほど苦労しない。並べ終わると面白いある約束事が見えてきた。なにげに見る小枝だが、実際は約半分は細かく分岐した枝、そして半分は湾曲した枝を巣材として選んでいることが判る。両方のタイプとも最長は24cmと同じ。キジバトにとって24cmという長さはヒトのどれほどなのか今後考えてみたい。さて、巣材に使われた小枝は、それぞれ91本と92本、他の細かなのやら、ぐるぐるした枝をあわせると193本。採取の時の落しを含めると200本強といったあたりだろう(いくつかの巣をばらすと平均が判るはず)。個々の枝を見ると、分岐した枝の多くはドウダンツツジ、その枝の切り口を見ると鋭利な刃物の後が伺える。これは剪定した枝を集めたものと想像できる。湾曲した小枝はメタセコイヤが多くあった。キジバトが巣材の落枝を集める光景はよく目にする。実はなにげなく集めているようだが細やかな計画のもと、落枝を吟味している事に気付いた。この巣材でキジバトの巣を造ろうと思ったが、まったく手に負えない。鳥たちの巧みさに驚く。この巣材を見ていて他にいろいろなことも判った。今日、僕に与えられた時間は30分少し、今日もやっぱり時間切れ。この続きは別の機会としよう。Photo:2011/07/22