2015年2月28日土曜日

第七百三夜/水田のタゲリ

 なかなか距離をつめさせてくれないタゲリ(Vanellus vanellus 英:Northern lapwing)、大型のチドリで、夏季にユーラシア大陸の中緯度の広範囲の地域で繁殖し、冬季はアフリカ大陸北部やユーラシア大陸南部等で越冬する。もっぱらひらけた水田で一日をエサ獲りで過ごすが、警戒心がとても強く、不用意に動くと飛び去ってしまう。圃場整備が進んだ今の水田は、冬期乾田のところがほとんどだが、このタゲリは乾田には寄り付かないようだ。この時、タゲリは29羽の群れ。この地域では唯一、冬場も水を張る不耕起栽培の田んぼであるここは、毎年、確実にタゲリの群れが越冬に訪れる。後頭部の冠羽が特徴的である。Photo:2015/02/28 @中主町、滋賀県

2015年2月26日木曜日

第七百二夜/カワウ

 池の中央の石の上で休むカワウ(Phalacrocorax carbo 英:Great Cormorant)の写真を撮ろうと構えてたら勢い良くやってくれた。カワウのコロニー(集団営巣地)では、この糞が樹木を枯らし匂いや、声などその存在は嫌悪されているが、江戸時代にこの糞が肥料として好まれたという。水も温み、カメ達も水面に浮き上がってきた。さて、自分が撮った鳥の写真をみて気付いた、なぜか左向きの立ち位置が多い、なぜだろう。Photo:2015/02/24 @京都御苑、京都市

2015年2月25日水曜日

第七百一夜/モズのはやにえ

 久しぶりに京都御苑で見るモズ(♂  Lanius bucephalus 英:Bull-headed shrike)。彼は、何やら地面ばかりを見ている、きっと昆虫類でも探しているのだろう。時おり地面に降りるが獲物は捕れず、今度はクサギの幹に狙いをつけ移動、すると幹から5センチメートルほどの褐色の昆虫を捕らえた。捕らえた獲物を食べるのかと見ていると、地面から高さ4mほどのモミジの枝の又にそれをきっかけた。モズのはやにえである。以前は真夏にセミを竹に刺すところを目撃した。この「はやにえ」は貯食かどうかはしばらく様子を見てみよう。このモズ、近くの枝で、つぶやくようなメジロにも似た愛らしい声でひとしきり鳴いた後、飛び去った。捕らえた獲物を双眼鏡でみると、なんとか昆虫らしき触覚と翅、そして腹部が見える。今の季節、この獲物の昆虫は、クビキリギリスが妥当な判断Photo:2015/02/24 @京都御苑、京都市

2015年2月24日火曜日

第七百夜/春近し、旅に備えるツグミ

 足元近くからこちらを見る一羽のツグミ(Turdus eunomus 英:Dusky thrush)。それほど人なれする鳥ではないが、今日の個体は違っていた。決して弱っていたり、餌付けされている個体ではないけれど、1mほどまで近づくことが出来た。彼女(彼かな?)は、地面に聞き耳を立てる様にじっとたたずんでいたかと思うと、時おり落ち葉を除けてエサを探していた。それの繰り返し、おそらく彼らには地面で動く昆虫類やミミズの音が聞こえているのだと思う。約15分、1m前後を付かず離れず、このツグミを観察できた。前から後ろから、右左、ほぼ上からといろいろな角度から写真を撮らせてくれた。しかしこれも長くは続かなかった、それを見ていた他の男性が僕の背後に近寄ってきたのでツグミは樹の上に逃げてしまったからである。僕がカメラを構えながら近づいてもほとんど気にすることなくエサを探していたのにである。なにが彼らをそうさせるのか。不思議なものである。このツグミ達もしばらくすると群れをつくり、北帰の旅につく。Photo:2015/02/24 @京都御苑、京都市

2015年2月18日水曜日

第六百九十九夜/クヌギカメムシの越冬卵

 今までこんなにあっただろうかと思うほど、今冬はクヌギカメムシ(Urostylis westwoodiiの卵塊を目にする。不思議なことは、今の時期は鳥たちの食糧難の時期でもある、小鳥達を見ていると枝や幹から昆虫類やクモ類をしきりに探している、一日のほとんどをエサ探しに費やしている。カマキリの卵やイラガのマユ等は、必ず食べられてしまう・・・がこのカメムシの卵塊は食べられる気配が無い。なにか食べない理由があるのか、それともいずれは食べられるのか、これから観察しよう。Photo:2015/02/17 @京都御苑、京都市

2015年2月17日火曜日

第六百九十八夜/ヒドリガモ

 鴨川で冬を越すカモ類(*1)で近年、一番個体数が多いヒドリガモ(Anas penelope 英:Eurasian Wigeon)。他のカモ類がもっぱら水面に浮かびエサを摂るのに対して、こちらは河川敷の公園まで上がって来てエサを摂る。それもそのはず主食は草類で、芝の新芽を一生懸命に食べている。水辺から歩いて芝地までやって来て、人が通るたびに水辺の方に戻る。誰もイタズラしないので飛んで逃げることも滅多に無い。写真の学生さんは、ヒドリガモの20羽ほどの一行が通り過ぎるのを気長に待っている。オスが口笛のような「ピュー、ピュー」という甲高い声で鳴き合う様子はなんとも愛らしい。Photo:2015/02/17 @鴨川、京都市

*1:カルガモ(留鳥)、マガモ、コガモ、オナガカモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、カワアイサ(稀)、カルガモ×マガモの雑種など

2015年2月16日月曜日

第六百九十七夜/ネズミモチを食べるヒヨドリ

 肉食性意外の鳥の食性を理解するのは結構大変である。季節や、子育ての状況により変化するものである。特に今の時期は、もっとも食料を得るのが厳し時期である。秋の木の種子や実は、食べ尽くし、早春の花や蕾はもう少し先である。昆虫類も見つけにくい。今回、ヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis 英:Brown-eared Bulbul)がネズミモチの葉を食べている行動を観察できた。枝に止まり、手当たり次第、近くの葉をついばみ食べる。ヒヨドリにとってネズミモチの実は好物ではあるが、さてこの硬い葉のお味はいかがなものか? さてこのヒヨドリ、食べ物のバリエーションは広く、昆虫類、果実、木の実、蕾、野菜(キャベツなどの葉もの)、花びら、花の蜜、はたまたお供えの献花(菊など)まで食べてしまう。Photo:2015/02/10 @京都御苑、京都市

2015年2月14日土曜日

第六百九十六夜/春はすぐそこ・ハイイロチュウヒ

 西の湖周辺のヨシ刈りも最盛期に入った、もうすぐ刈り取った後のヨシ原焼きが始まる。あと2週間、この辺りのヨシ原焼きが始まる頃には、ハイイロチュウヒ(Circus cyaneusも北に向かい旅立った後だろう。今冬も元気に小雪舞う強風の中を舞ってくれた。写真は水田に休む♀個体。Photo:2015/02/13 @近江八幡市、滋賀県

2015年2月13日金曜日

第六百九十五夜/夕闇にたたずむモズ

 仕事帰りにいつものフィールドに立ち寄る。雪混じりの強風で体が凍る様に冷たい、厚めのフリースの手袋をしている指先もじんじんと痛む。川岸のブッシュにモズ(♂ Lanius bucephalus 英:Bull-headed shrike)を見つける。ほとんど同じ枝から動かず、時おり飛び去るがやはり近くに戻って来る。川面を背景にシルエットが印象的。この季節、エサを獲るのが難しいだろうに、さて雪ふりの今夜はどこで過ごすのだろうか。Photo:2015/02/13 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2015年2月11日水曜日

第六百九十四夜/ルリビタキ

 ジョウビタキと入れ替わるように現れるルリビタキ♀(Tarsiger cyanurus 英:Red-flanked Bluetail)。なかなかすばしこいが、人をさほど恐れないので観察は問題ない。捕食者や競合する他の鳥を気にしているのだろうか、背後にブッシュがあると落ち着いている。Photo:2015/02/10 @京都御苑、京都市

2015年2月10日火曜日

第六百九十三夜/ジョウビタキのお気に入り

 ジョウビタキ♀(Phoenicurus auroreus 英:Daurian Redstart)のお気に入りは杭の上。杭の上から時おり地面に降りてエサを摂っている。面白いことに気付く、ジョウビタキはあまり高枝にはとまらず地面に近い杭や、枝に止まることが多い。時おりやって来るルリビタキも同じような場所が好きで、よく見ているとその止まる枝がかなりの確率で同じもの。僕らが見ればどれでも同じようなものなのだが、彼らは彼らの基準があることが判る。この♀がとまる杭も糞の跡が沢山残っているのでお気に入りの一本だろう。興味深い。Photo:2015/02/10 @京都御苑、京都市

2015年2月4日水曜日

第六百九十二夜/闇に消えるホンドギツネ

 写真の明るさを調整してもあまりにノイズが生じて人にお見せできる写真ではない。でも一応、ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonicaの姿。双眼鏡で見るとまさにこんな感じである。長くふんわりとした尾の先が白く、遠くからでもはっきりとよく判る。このマークは、仲間とのコミニュケーションに使われるのだろうか。キツネの通り道にいた僕を迂回する様に田んぼの畦を歩き出した。Photo:2015/02/03 @西の湖、近江八幡市

2015年2月3日火曜日

第六百九十一夜/キツネとタヌキ

 すっかり暗くなった葭原(よしはら)近くでホンドキツネ(Vulpes vulpes 英:Common Fox)を観察していた。大きな個体で僕の20mほど前の農道に座っていた。双眼鏡で目が合う、向こうもこちらを見ていた。彼はさあどうしようかなと考えあぐねているよう。多分、彼が通りたい道上に僕がいるのだろう。カメラをカバンから取り出し、キツネを見ると既にいない、一瞬のことである。こちらの動きを良くみていることに驚く、僕を避ける様にして田んぼのあぜ道を通り、再び農道に戻る、僕を避けて通ったことになる。なおも双眼鏡で追うと、彼は川の堤防を歩き、途中でおしっこをし、下手の橋を渡り、やがて町の方角に消えて行った。近くの中華料理店のゴミ捨て場にでもいくのかな? 肉眼ではもう見えないが、双眼鏡で見るとシッポの先の白毛が目立つので暗くても判り易い。さてキツネが去ったすぐ後、今度はホンドタヌキ(Nyctereutes procyonoides viverrinus 英:Japanese Raccoon Dogが葭原から騒がしく現れた、2匹がじゃれ合う様に歩いてる。最初の1匹は僕の存在をまったく知らない様にすぐ足先1mを駆け抜けて行く。それを追ってきた後の1匹は僕に気付き、目の前で葭原に引き返して行った。さて先にすり抜けて行ったタヌキはどうしているかと見ると、少し先で後の1匹を待っていた(写真)。キツネとタヌキ・・・どちらも同じ時間に、同じ道を歩いて来たことは興味深い。Photo:2015/02/03 @西の湖、近江八幡市

2015年2月1日日曜日

第六百九十夜/メジロとミカン

 以前から庭の灌木にエサの昆虫を探しメジロ(Zosterops japonicus 英:Japanese White-eye)のペアが来ていた。灌木の間を動き回り、昆虫類やクモ類を食べていた。昨年夏〜秋は、ガ類の幼虫が少なかったことは彼らの存在が大きかったかもしれない。そのお礼と言う訳ではないが、今年になってミカンを灌木の枝先に刺しておいた、案の定、ミカンも食べに来た。野鳥の餌付けはするもんじゃないが、今回は限定的にすることにした。こうすればメジロの習性が判る。その後もメジロ達は、ミカンも食べるが、相変わらず昆虫類も獲っていた。
 今朝は今年になって3回目の少しまとまった雪日、こんな朝は早くからメジロ達はやって来て、普段よりも少し大きめの小声で鳴き交わす「早くミカン下さいな」と言っているようである(多分そうなのだろう)。メジロ達は多くの場合、ミカンを複数置いたとしても2羽同時に食べることはしない、緩やかな縄張り行動でパートナーを追い払い1羽で食べる。一方、追い払われた1羽は近くの枝に止まり周囲を警戒している。先に食事を済ませた1羽が枝に移ると、それまで見張りをしていた1羽が食事をする。なかなか上手くしたものである。しかし、今朝のような積雪日はよほどお腹が減っているのか、2羽同時にミカンを食べることが多い。ミカンの後は、灌木の小枝で昆虫探しである、やはりミカンだけではダメなのである、動物性蛋白や脂肪も必要。メジロが去った後、やってくるのはヒヨドリ、うっかりすると彼らはミカンごとくわえて飛んで行ってしまう。庭にやってくるのは、メジロ(ペア1、単独1)、ヒヨドリ(ペア1)、ジョウビタキ(♂ こちらはミカンは食べない)。時々、キジバト、スズメ(ただし彼らが好む種子系のエサは置いていないので常時来ない)和名の「メジロ」は「目白」の意だが、実際は「目の周りの羽が白い」のである。Photo:2015/02/01 @京都市