2011年5月29日日曜日

第二百九十二夜/ケリの抱卵

 梅雨入りが発表された、生きもの達の様子を見ているともう少し先かと思っていた。驚く事に早くも台風が上陸する勢いでやってきた。今日は台風雨。先日、水田の真ん中で抱卵するケリを見つけた。あぜ道ならまだしも、このケリの巣の高さ(水面から15cmぐらい)では田んぼの増水で没してしまう。巣の近くでは、卵を狙うカラスに雄の警戒が途切れない。このケリは若いカップルなのだろうか、鳥たちの子育ても楽じゃない。Photo:2011/05/27 @近江八幡市、滋賀県
後記:このケリは、台風2号の強雨による増水で水没した巣を放棄しました。(2011/05/29)

2011年5月26日木曜日

第二百九十一夜/風変わりな陸貝

 大きなエノキの根元に転がっていた朽ちた枝をひっくり返すと風変わりなカタツムリ(陸貝)が付いていた。大きさは直径1.5cmぐらい、小さく薄っぺらである、ルーペで見ると殻にかすかな縞模様が見える、一番の特徴は殻の外周につく毛状の刺(?)。図鑑で調べると「ケマイマイ」と言うらしい。それ以上のことは判らない。また一つ、興味深いものに出会った。Photo:2011/05/24 @京都御苑、京都市

2011年5月25日水曜日

第二百九十夜/トビとスズメ

 琵琶湖岸の道を車で走っている途中、道端にトビの巣を見つける。巣は道路から5mぐらい離れた松の木、巣の高さは地面から7m程度。ちょうど親鳥がヒナに餌を運んできたところだった。車を止め、近づくとすでに食事は終わり、2羽のヒナ鳥は体を巣に隠すようにこちらをうかがっている。しばらく見ていた時、巣材の下枝の間からスズメが出入りしている事に気付いた。写真にスズメが写っている。スズメとトビのヒナ鳥との距離は1m程度だろう。猛禽類の巣の近くに小鳥が巣を造る事は聞いた事はある。スズメの巣はよくカラスに襲われる、小鳥が他の捕食者から身を守る知恵だろう。それにしてもスズメもなかなかの知恵者である。Photo:2011/05/25 @中主町、滋賀県

2011年5月24日火曜日

第二百八十九夜/イガイガ・デコボコのハムシ

 キショウブの葉上にゴミとも、小さな糞とも言いようのない小さな塊を見つけた。なんだかムシの予感。こんな予感は結構あたる。まさにゴミのごとく・・・と言った表現が似合うムシだった。頭に二股の鋭い刺を持ち、ごっつい肩はでこぼこ。図鑑で調べると「カタビロトゲハムシ」とあった。判りやすい名前だ。ルーペで見ると、この形に見とれる、カブトムシ程大きければすごい人気がでるだろうに。Photo:2011/05/26 @京都御苑、京都市

2011年5月21日土曜日

第二百八十八夜/マガリケムシヒキ

 水辺の草地でアブが盛んに小さなムシを捕らえている。このアブの名は「マガリケムシヒキ」という体長15~20mm。全体は黒く、胸部背に灰白の模様があり、肢の脛節は黄褐色をしている。♂の腹部先端は丸く、♀は細く尖っている、だから写真の個体は♀である事がわかる。成虫はヨコバイ、ハエ、ガガンボ、ハナアブなどの小型の昆虫を捕らえて体液を吸うが、幸い人の血は吸わない。名前の「マガリケ」は♂♀共に頭部裏にある、前方90度に曲がった毛を持つ事から名前が付けられている。♂♀の腹部の形も曲がった毛も他の人にとっては、どうでもいい食えない話だけど、やっぱり自分の目で実際に確かめたくなる。Photo:2011/05/20 トンボ池(一般公開の日)、京都御苑

2011年5月19日木曜日

第二百八十七夜/ヨツボシトンボ

 府立植物園にクロスジギンヤンマを見に行く。前回は盛んに産卵していたのだが今日はその姿を見る事は出来なかった。変わりにヨツボシトンボを見れた。このトンボ決してどこにでもいる種ではなく、比較的観るのは難しい。主に寒冷地の平地から山地の水生植物が繁茂する池沼や湿地、湿原などに生息する。北海道など寒冷地では春から秋まで比較的普通だと言うが、温暖地では春に限って出現し、個体数も少なく生息地も限られているらしい。翅にある4つの黒色斑が名前の由来。Photo:2011/05/19 @京都府立植物園、京都市

2011年5月18日水曜日

第二百八十六夜/ムクドリとミミズ

 葵祭りを観に京都御苑に行く。祭りの後、御苑を散歩。松林の草地でムクドリが大きなミミズを仕留めたようだ。見ているとなかなか苦戦している。食べずにぐるぐると振り回している。半分に切ろうとしているのだろうと見ていると、なんと振り回している間にミミズの両端をくわえることに成功。つまり輪っか状にくわえたかったのだ。なかなか器用だ。やっと輪っかにしたところで、今度はまっしぐらに林めがけて飛んで行ってしまった。きっと巣にはお腹をすかせたこども達が待っているのだろう。葵祭の観覧の最中に後ろのご夫婦「あの人より、トンビの方がきれいだね・・・」。なにも人とトンビを比べることは無かろうにとその方向を見ると、時代装束の列の上にはトビが風に乗っていたのだった。確かに暑い中ではあるがだらだらとやる気無く歩く祭り人よりもトビの方が明らかに美しい身のこなしで新緑の空を舞っていた。判らないでもないご意見だった。Photo:2011/05/15 @京都御苑、京都市

2011年5月12日木曜日

第二百八十五夜/コチドリ

 仕事先、車で移動中に見つけたコチドリ。水田の畦の上を右へ左へ、あっちにこっちに、こちらのすぐ側まで来たと思うと、向こうへ飛び去り、再びこちらへ忙しく動き回っている。双眼鏡で見ているとしきりに地面をつつき何かを食べている。なかなかかわいらしいチドリである。小学生の頃、釣り好きのH君が僕の家にこのチドリのひな鳥を持ってきた。河原で拾ったので保護した、飼えというのである。その頃、僕に家にはいろいろな小鳥がいた。だから僕に渡せばなんとかなるだろうと言う訳だ。河原の小石にも似た模様の羽で全身を覆った手の中にすっぽりと収まる小さなひな鳥は居間の畳の上を元気に走り回るのだが、いっこうに餌を食べない。ついに朝にはホコリのように箱の隅で動かなくなっていた。チドリの仲間の巣は、地面に小石を敷きならべたくぼみで、そこに卵が産み落される。ひな鳥は、ふ化後しばらくすると歩き出し、親鳥と共に行動し、餌を食べる。スズメの様に巣立ちなんて事はしない。ふ化した時は、すでに目も見え、しばらくすると走り回るほどの状態になる。鶏のヒヨコと同じである。H君は迷子のひな鳥を保護したのではなく、おせっかいにも地面に隠れていたものを連れ帰ったという訳だ。これからの季節、小鳥の巣立ちビナが多くなる。車が走る道路上にいた時は別としても、人間が善かれと思って手を出してはいけないのである。Photo:2011/05/12 @守山市、滋賀県

2011年5月2日月曜日

第二百八十四夜/モンカゲロウ

 水辺のキショウブ葉上に大型のカゲロウを見つける。体色などの特徴からモンカゲロウだろう。足は細くきゃしゃなのに前脚だけは長く発達しており、止まっている時に前脚を前方の空中に突き出すようにしている。これは大きな触覚のように見える。このカゲロウの仲間は幼虫期を水中で過ごし、成虫になるのだが、完全な成虫の前に「亜成虫」と呼ばれる時がある。水中からいったん羽化し=亜成虫、そのあとすぐにもう一度羽化して「成虫」になる。一度、羽化し翅が伸びた後にもう一度脱皮する昆虫は他にいない。成虫は餌を取らず、交尾を終え、水中に産卵すると、ごく短い成虫期間を終える。翅をもった期間は、まったく生殖のためだけに陸上に現れるということだ。はかないものの例えに「かげろう」があるが、これは成虫の期間の短さがその理由とも言われるが、幼虫期にほぼ一年過ごしているのだからけっしてはかなき命と言う訳ではなさそうだ。Photo:2011/05/02 @京都御苑、京都市

2011年5月1日日曜日

第二百八十三夜/ツグミ

 樹木の新緑もすっかり出そろった感じ。夏鳥も姿を現し、繁殖も始まっている・・・なのにまだ居残っている冬鳥もいる。ツグミ(写真)は北国から越冬のためにやってくる。来たばかりの頃は群れだが、冬の間は単独行動。このツグミが再び小さな群れを作るようになった。ふるさとの北国に帰る日も間近なようだ。北国の春から夏は短いので、大慌てでパートナーを見つけ、子育てをしないといけない。今度、御苑にやってくるのは今年の秋。考えてみれば、一年の半分以上の期間を日本で過ごしている事になる。ツグミを正面から見るとけっこうコワモテである。Photo:2011/04/30 @京都御苑、京都市

第二百八十二夜/クロスジギンヤンマの産卵

 なんだか暑くなったり寒くなったり、日ごとに入れ替わる天候に今年の春はちょっとおかしいと思うのは人間だけか。外では野鳥の子育てが盛んだし、水辺でもトンボの産卵が始まっていた。でもこのクロスジギンヤンマ(♀)の産卵早くないか? 植物園の小さな睡蓮池で盛んに産卵を繰り返す。一度、産卵し始めると水中の植物生体内に産卵するために比較的時間が必要、そこで注意深く近づく事で、ほとんど接写状態の写真も収めることが出来た。でもこのぐらいの適度の距離が周りの環境も判っていいと思う。*このクロスジギンヤンマは、第215話(2010/06/10)と、2回目の登場となりました。Photo:2011/04/30 @京都府立植物園