2009年11月25日水曜日

第百七十四夜/リンゴドクガ

 「あんまり触ると・・ひどいことになるよ。背中の黄色い毛が見えないか!」判った判った、おっしゃる通りいたずらしません、触りません・・・とつい口に出てしまうほどの毛虫。でも一応、小枝で突っついてみよう。何事も試すことが肝心。すると、おおっやっぱり・・・尻部上方に赤い毛の束を上げ、4つの黄色の毛の束を盛り上げる、なんと黄色い毛の間に隠されていた黒い毛が現れ隠なかなか不気味! 黄と黒のストライプはやっぱり危険信号だ! 想像以上の反応だ。この体と反応の特徴ですぐにリンゴドクガであることが判った。名前にリンゴとつくがリンゴ以外にミズキやカシ類も食するらしい。この時はアラカシの食べていたようだ。Photo:2009/11/24 @京都御苑、京都市
 

2009年11月24日火曜日

第百七十三夜/シモフリスズメ

 週一回の定点観察調査で京都御苑を歩く、さすがに寒くなってから昆虫は少なくなってきた。すっかり冬支度かと思いきやまだ幼虫でクサギの葉を食べているのに出くわした。まるまると太った10cmほどもある大きなイモムシ。調べてみるとスズメガの仲間のシモフリスズメの終齢幼虫、緑の体には枯葉にも似た茶色の班が入っている。数日の間に地面に降り枯葉の中で蛹になるんだろう。写真は顔の前で、前脚を合せて拝む様にじっとしている幼虫。Photo:2009/11/24 @京都御苑、京都市

2009年11月23日月曜日

第百七十二夜/迷い鳩


 私用で三重県多度町に行く。ここは僕が小学校に入るまで育った場所、家の向うには木曽三川の揖斐川が流れる。昔、魚釣りをした小川を訪れるもすっかりその面影は無く、コンクリート3面張りの溝になっていた。そんな田んぼ道を歩いていると刈り取りの終わった稲の中で一羽のカモメ・・・カモメにしてはおかしな場所にいるもんだと思い眺めていると草むらから出て来てこれがハトだと初めて判った。そのぐらい体つきが大きく、しっかりしていた。双眼鏡で見ると脚環が見えた、青い環には細かな字が書かれている。明らかに伝書鳩(レース鳩)。通常ハトは群れで行動する、そのハトが単独で落ち穂をしきりに食べている・・・これはレースから脱落した個体か、迷子の個体に違いない。幸いにもケガや衰弱した様子は無く、元気に落ち穂を食べている。胸が落ち穂で膨らむのがレンズ越しに判る。よほどお腹がすいているだろう、レース鳩としてはちょっと情けない状況だが、さすがにその体つきはたくましい。家に戻って伝書鳩の情報を調べると数日前に岐阜から練習放鳥が行なわれた様だ。この場所だと岐阜にもとても近い、この練習放鳥の一羽かもしれない。お腹いっぱいになったら元気に自宅に向うことを願う・・・といってもこの辺りハヤブサの仲間がいたりしてけっこう危険だろうな。Photo:2009/11/23 @南之郷、多度町、三重県

2009年11月11日水曜日

第百七十一夜/セスジツユムシ

 朝もずいぶんと寒くなった、真っ赤なヤマボウシの落葉に一頭のセスジツユムシ(♀)。寒さの為に動きが鈍い。陽があたり体が暖まるまでにはもうしばらく時間がかかる。Photo:2009/11/10 @京都御苑、京都市

2009年11月10日火曜日

第百七十夜/背中にハートマークのカメムシ

 エサキモンキツノカメムシ・・・・・長い名前だな、12文字もある。昆虫学者・故江崎悌三博士が記載した、黄色い紋を付けたツノカメムシ(両方の肩が角状に張っている)の意味。背中の真ん中に薄黄色のハート型の紋が印象的で名前はともかく、この模様は忘れることはないだろう。さて、長い名前の虫を調べてみると、12文字程度なんてざらにいる。チョウなんかだと「リュウキュウウラナミジャノメ」、「カラフトタカネキマダラセセリ」が14文字、さらに15文字が「キマダラコシホソトガリヒメバチ」、「シラホシヒゲナガコバネカミキリ」、「クロズジュウジアトキリゴミムシ」など。ああっここに16文字がいた「アトグロジュウジアトキリゴミムシ」。長ければ長いほど身体の特徴を説明した名前になるな。そこで一番短い名前はなにだろうと考える・・・これは簡単、多分2文字の「ケラ」だろうな。Photo:2009/11/10 @京都御苑、京都市

2009年11月7日土曜日

第百六十九夜/カネタタキ

 日射しを受け、材木の上でカネタタキ(♂)が体を暖めていた。夏場には木の葉裏や込みいった枝の陰に身を寄せる昆虫も初冬の寒さの中では、その行動も変わってくるものだ。「♪♪チン・ チン・ チン」と鐘を叩いた様な音を出すことからカネタタキと名付けられた。鐘はカネでも鉦叩(かねたたき)と書き、ゴーンゴーンと鳴る除夜の鐘ではなく、仏前にある青銅のチーンと鳴る鉦(かね)。これでもコオロギの仲間、見ての通り♂の翅はとても小さく飛ばないと・・・本には書かれているが、実際には高いところから飛び降りときにはちゃんとはばたいている。(この状態を飛ぶとするには無理があるかな?)♀の翅は退化してしまって無い。写真を撮って気づいた、触角が体長よりもずいぶんと長いんだな・・・・。Photo:2009/11/04 @京都御苑

2009年11月6日金曜日

第百六十八夜/ジョウビタキ


 仕事で訪れた樹木園、後ろでコツコツという音がしたので振り返ると今降りたばかりの車のサイドミラーにジョウビタキ(♂)が体当たりしている。鏡に映る自分の姿を縄張りに進入した別の鳥と思い込んでいるようだ。ミラーの中に姿が無くなると落ち着き、再び自分の姿が映ると体当たりを繰り返す。見ている分には面白いが、後で「やられた!」と思った。このジョウビタキ自分の姿が映るミラーの上に止まり縄張りを見張っている・・・止まっている時に糞をする。しばらく経ってミラーを見ると糞で白く汚れている・・・汚れると姿が映らなくなるのでどこかへ飛んでいってしまう。樹木園のオーナーさん曰く「紋付(もんつき*1)はいつもミラーを糞だらけにするんですよ・・・」。
*1:この辺りでは、ジョウビタキを羽の白い紋の特徴から「紋付」と呼ぶらしい。Photo:2009/11/06 宝塚市兵庫県

2009年11月5日木曜日

第百六十七夜/ミルンヤンマ

 車で走っていると意外に目につく交通事故のムシ達。特にトンボは車のフロントガラスに当たることが多いようだ。今日も路面に大型のトンボ「ミルンヤンマ」が落ちていた。車を止め、路面から拾い上げ見ていると、死んでいると思っていたトンボがかすかに動き始めた。脳しんとうを起していたのだろうか、触れている間に徐々に脚や翅を動かし始め枝に止まることができる様になった。今日は気温も低く、これから暗くなるので飛ぶことができるかは判らないが、明日になれば再び飛べるかもしれない。和名と学名につけられたミルン「milnei」とは、明治時代に地質学と鉱山学を教えるために来日したイギリス人 Jone Milne 氏に献呈されたもの。Photo:2009/11/15 @近江今津、滋賀県

2009年11月4日水曜日

第百六十六夜/秋深まりてウラナミシジミあらわる

 木枯らし一号・・・やっぱり昨日は寒かった。庭のレモンの木のナガサキアゲハはなんとか蛹になったようだ。ただし居場所はもっか捜索中。今日、庭のセージの花にやってきたのはウラナミシジミ。このシジミチョウ、夏にはまったく姿を見せないのに秋が深まるにつれ目にすることが多い、個体数も増えてくる。普段は菜園なんかで豆科の植物の若い実を食べている。庭には卵を産むための豆は無いが、当分の間セージの花で蜜を吸うことができる。Photo:2009/11/04 @岡崎、京都市