2013年10月26日土曜日

第五百五十四夜/深まる秋とオオアオイトトンボ

 久しぶりにフィールドの里山に行くとオオアオイトトンボ(Lestes temporalis)を数多く見ることが出来た。大型のトンボのようにあちらこちらと飛び回らないので目立ちはしないが、よく見ると林縁や水辺の草地でフワフワと飛んでいたり、草の葉先に休んでいる。産卵を見たかったがあいにく見れなかった。イトトンボの写真を撮っていると周囲にシカの体臭を感じた。先ほどまでシカがいたに違いない、足元にもシカの新しい足跡が無数にあった。写真の個体は♀。

2013年10月12日土曜日

第五百五十三夜/自分はなに色?セスジツユムシ

 セスジツユムシ(Ducetia japonica)には緑色型と茶色型があるのだが、彼らは捕食者から身を守るために自分の体色に合わせた場所をちゃんと心得ているようだ。写真の茶色型のセスジツユムシ(♀)は草の上に落ちたクヌギの枯葉の上に止まっていた。写真を撮ろうと近づくとそれを嫌って少し動いてしまった。逃げる時も相手よりもあまり早く動くと自分の居場所を知らせてしまう、それを嫌うようにそろりそろりとゆっくり逃げるようだ。Photo:2013/10/10 @京都御苑、京都市

2013年10月10日木曜日

第五百五十二夜/不思議な色の蛹

  偶然に自然状態でのクロコノマチョウ(Melanitis phedimaの蛹を見つける。蝶の蛹を自然下で探す事は簡単なことではないが、ふとしたきっかけで見つける事はたびたびある。自分の目が意識の外で絶えず探しているのかもしれない。クロコノマチョウの蛹は、透明感のある美しい鮮やかな黄緑色で、光にすかせば翅脈だけがうっすらと浮かびあがり、体自体はゼリーのように透けてしまう感じ。多くの蝶の蛹と同様にこの蛹も硬いのだが、その質感はとても柔らかなイメージである。どことなく品のよい和菓子の様である。どうすればこのような色が生まれるのか不思議だ。Photo:2013/10/09 @京都御苑、京都市

2013年10月9日水曜日

第五百五十一夜/まちで暮らすのは大変・モンシロチョウ

 通りがかった園芸店の脇で舞うモンシロチョウ(Pieris rapae)。花も無いのに舞うにはワケがあって、この蝶は店の脇に売れ残り、ほとんどゴミ同然の放棄状態になっている野菜苗に産卵をしていた。モンシロチョウってどこにでも居ると思うのだが、街中からどんどん農地が消えていく状況下では、産卵環境にも厳しい事が判る。以前、スーパーマーケット店頭で野菜クズが入った箱の中にあるダイコン葉に産卵している母蝶を見た事がある。その時、トラック(ゴミ回収車)がやって来て作業員の方が箱を荷台に積みはじめたが、なおも母蝶は荷台に積まれた箱の周りを飛び続けていた。街中の街路樹のクスノキを食樹とするアオスジアゲハや園芸ブームで多く売られるスミレ類を食草とするツマグロヒョウモンの様に市街地で増えて来た種もあれば、モンシロチョウやキチョウの様に減ってしまった種もいる。馴染みが深い蝶ほどまちで暮らすのも大変と言う訳か。Photo:2013/10/09 @出町柳、京都市

2013年10月8日火曜日

第五百五十夜/寄生もつらいよ

 今日は、路上で不幸にも踏まれて死んだハラビロカマキリを見つける、そばには体中より出て来たと思われるハリガネムシ(2匹)も死んでいた。
 ハリガネムシは、水中で卵を産み→ふ化した線虫は草と共にバッタ(最初の寄主)などの昆虫に食べられ体内に入り込み→そのバッタを食べたカマキリ(最終的な寄主)の体内で成長→やがて大きく成長したハリガネムシは、カマキリの体より脱出し→水中に戻る→そして水中で産卵・・・と言う不思議で、かつ簡単でない、確率性の低い経路での寄生をする水生生物である。ハリガネムシは、水田などの止水域を生活の場としている。
 路上で死んだカマキリと共にどこから来たのだろうか興味深い。この近くの水場といえば鴨川か京都御苑の「トンボ池」、距離からするとトンボ池から路上までは200mほど、カマキリの能力からすると十分可能な移動距離である。つまり京都御苑の中にある水辺でもハリガネムシが生息しているという興味深いことが想像ができる。
 さてこのハリガネムシ・・・最初の寄主がカマキリに食べられるよりも他の生物、例えば野鳥やカエルやハチに食べられる方が確率が高そうである。はたしてそれらの捕食者は「寄主」にならないのか不思議である。 
 残念ながら今回のハリガネムシは路上でひからびて水辺に戻れなかったと言うわけだが、明日台風の雨が降れば、生き返って雨水溜まりで産卵となるかもしれない・・・少々怖いがそのぐらいの能力はありそうだ。Photo:2013/10/08 @京都御苑、京都市

2013年10月6日日曜日

第五百四十九夜/イソシギ

 鴨川の瀬で水際を尻を上下に振り、歩き回り水性昆虫を探すイソシギ(Actitis hypoleucosを見る。チーリーリーと細くのばす声と共に飛び出し、ああっそこに居たのか・・・と初めて気付く。長くは飛ばずにすぐに、近くの水際に下りるのだがうっかり目を放すと、どこにいるのか判らなくなってしまう。なかなか愛らしい鳥で、長く見たいのだけどすぐにどこかへ飛んで行ってしまう。Photo:2013/10/05 @鴨川、京都市

2013年10月4日金曜日

第五百四十八夜/カルガモの食事

 夕方の散歩で鴨川に行く。アオサギ、コサギの群れ、イソシギ、コガモ、トビ、カラス、セグロセキレイ、スズメの群れ、カルガモの群れ・・・を見る。なかでもカルガモ(Anas poecilorhynchaの食事は興味深かった。水辺、河原ではなく、川堤の遊歩道横の草むらでイネ科の植物の穂先につく種を食べている。ランニングの人、イヌの散歩、自転車・・・多くの人が行き交う横の草むらでである。数えてみると全部で23羽。今年、育った子どもも合わせて複数のファミリーだろう。昼間は川面で休み、夕方になると岸辺や土手上の草地に上がり、食事をする、カモが昼間よりも夜間に行動する事がよく判る。一羽だけ、ビッコをひいている個体がいた、若い個体で片足の指が中程から全て無くなっていた。Photo:2013/10/04 @鴨川、荒神口、京都市

2013年10月2日水曜日

第五百四十七夜/ハリカメムシの幼虫

 カメムシって大変に嫌われてる、しかもこの嫌われ方は「えん罪」的である。確かに腹部をつかむと臭い匂いを出すこともある。その一番嫌われる匂いを実体験した人はどのぐらいいるのだろうかと思う。僕はむしろ興味深くて面白い昆虫である・・・と思う。見ている分には嫌な匂いも出さないし、それどころか美しい。興味深いと思うのは、この虫はセミの仲間で(むしろセミがカメムシの仲間というほうが正しい)「不完全変態」(蛹の段階を持たない)である。蝶の様に蛹の前後で驚く程の様変わりがないものの、幼虫時代は、親(成虫)と色も形もけっこう違うのである。写真のカメムシは、ハリカメムシ(Cletus schmidtiの幼虫である。背中の刺と触覚の節にある扁平な膨らみが面白い。成虫の様に自由に飛ぶことが出来ないので、この形で目をごまかす様に葉っぱの先端の枯れているところにいるのだろうか。Photo:2013/10/01 @京都御苑、京都市

2013年10月1日火曜日

第五百四十六夜/水浴びをするアオサギ

 今日は、鴨川の端でお昼のサンドイッチを食べた。川を見ていると、少し離れた瀬でアオサギ(Ardea cinereaが水浴びを始めた。それは見るからに気持ちよさそうな水浴びだったので写真を撮ろうかとカメラを出したらこちらを意識しはじめた。アオサギは肉眼で見ている分にはいいのだが、双眼鏡やカメラをだすと途端に警戒心が強くなる。サンドイッチを食べて横向きながら視界の隅で観察する。すると水浴びを再会する・・・そして隙を見てカメラで撮る,この繰り返しだ。驚いた事には、アオサギが水浴びをすると体の周囲にグレーの細かな泡と汚れが水に溶け出すのだった。最初は水中で糞でもしたのかと思う程の汚れが漂った。しかし何度も見ているうちにどうもそれは糞ではなく羽の汚れの様だ。それにしても汚い。何度も水につかり、バタバタと水を浴び、クチバシで翼の羽の一枚一枚を、そして脚の指先で首筋を気持ちよさそうにかき、やがて近くの岩の上に移り体を乾かしはじめた。さらに興味深い事は、今度はコサギがまったく同じ場所に来て、同じ様に水浴びを始めた。広い川のどこでも水浴びは出来ると思うのは人間の思いで、実はサギにとって水浴びポイントと言うものがちゃんと存在するらしい。Photo:2013/10/01 @鴨川、京都市