2009年8月30日日曜日

第百三十七夜/シカと接近遭遇


 滋賀県から京都市へ、お馴染みの八瀬の道を車で走っていた。前が見にくい左カーブをすぎると路肩に茶色の大きな動物!!「ホンドジカの若い雄」だった。車との距離差は2.0mもない、驚いた。シカとの接触事故はお互い大事に至る。しばらく走りUターン、シカがいた場所に戻るとびゅんびゅんと脇を走る車を気にせずに路端の草を食べている、ほとんどアスファルトと草地の境。僕がレンズを向けると警戒して、草地にあるシカ道にすこし近づいた。見ているととても危なっかしい。通過する車にはほとんど反応しないが人間(僕)には、少しの警戒をしているのでこちらの動き方一つで事故にもつながりそうだ、うっかり動けない。シカとの距離は道路を隔てて6〜7mぐらい。あいにく今日は望遠レンズを持っていない。写真を撮っている時に車にひかれるのはこちらかもしれない。ようやく写真を撮り終えた時に何かの音に反応して段差1m以上はある後ろの草地に軽々と飛び込んだ。京都も少し郊外の田畑では、シカ・イノシシ避け電気柵が張り巡らせてある。日本全国どこもシカ被害はすごいと聞くが、大型野生動物をまっ昼間に低地で、こんなに近くで、しかもゆっくりと見ることを思うと、本当にその数はすごいのだろうなと思う。この個体はまだまだ若い、小さな袋角が見える。こうした人間や車を恐れない個体がどんどん里におりて来る、これも生活の範囲を拡大する一つの要因なんだろう。ほとんどのドライバーも、写真のバイクもいっこうにシカに気づかず?(速度も落とさず、見ることも無く?)に通りすぎていく。
Photo:2009/08/30 八瀬、京都市

2009年8月27日木曜日

第百三十六夜/ベッコウハゴロモ

 虫と言うものいる時にはいるが、いざ探してもいっこうに見当たらないことが多い。例えばこのベッコウハゴロモもそうである。どこでもいつでも見ている気がするがいざ写真を撮ろうと思って探すとなかなか出会えない。普段あんまり真剣に写真も撮っていない。この虫、セミやカメムシの仲間で全長10mm前後、体長6〜8mmの大きさ。なにぶん小さいのでどうしても見劣りするが、よくよく見るとなかなか面白い形と色をしている、ジェット戦闘機のステルス機のような形がユニーク。複眼も縞模様でけっこうクール。全体の色は、黄褐色から闇褐色まで変化がある。これがクマゼミぐらいの大きさがあればかなりかっこいい。主にクワやクズなどの汁を吸っているが、今回はクサギの葉で汁を吸っていた。Photo:2009/08/25 @京都御苑。京都市

2009年8月26日水曜日

第百三十五夜/怪しげな腰つきのカマキリ


 お尻を背中に付くほど反らせて怪しげな腰つきをするハラビロカマキリの幼虫。カメラを向けると器用に葉っぱの裏側に隠れる、指を近づけるとこんなポーズをして威嚇している。これが特徴。自分の体を大きく見せようとしているのだろう、腹部の先のとんがりに注目させようとするかのようでもある(針を持っている様なポーズだ)。人に例えるとまだ幼児程度なのにさすがカマキリ、腕っ節と気の強さは親ゆずりだ。ハラビロカマキリは、草地よりも樹木の多い環境で見ることができる。名前のとおり他のカマキリよりも腹部の幅が広く、がっちりとした体格をしている。Photo:2009/08/25  @京都御苑、京都市

2009年8月24日月曜日

第百三十四夜/葉付きドングリ落下の仕業は?


 今の季節、雑木林に行くと地面にたくさんの葉っぱの付いたドングリが落ちている。どれも全て葉付きで枝の切り口は、折ってなくて、ナイフか何かで切り落としたようになっている。ドングリを鳥達が食べた後にしては実がまだ残っている。ドングリの表面をみても傷もついていない。実はこの正体、ハイイロチョキリというチョッキリゾウムシの仲間の仕業(注:写真コナラシギゾウムシです)。このゾウムシ、長い口でドングリのキャップ(ヘタの部分=殻斗=かくと)の側から穴を開けて、そこから卵を産みつける。そこで産卵の仕事は終わるのだが、このまま木に付けておくと、他のゾウムシが卵を産むかもしれない。自分も間違って産んでしまうかもしれない。一つの実にいくつも卵を産まれると我子の食いぶちが無くなる、兄弟喧嘩もおこってしまう・・・そこで考えた「産卵の終わった実は葉っぱ付き枝毎切り落としてしまおう」。分厚いキャップ側から産卵用の穴をあけるのは、いくつか理由があるらしい。外側の光に当たっている実の皮は大変に硬い。実際にキャップをはずすとキャップに包まれていた実の皮は白く柔らかい。産卵の為の穴からの乾燥を防ぐ。そしてわざわざ苦労して葉付き落とすのも実の乾燥を防ぐ意味があると思う。秋になるとクリの季節、茹でたクリの実を割った時に出て来るのが写真のコナラシギゾウムシに似ている「クリシギゾウムシ」、「シギゾウムシ」とは、「シギ=鳥の仲間」が持っている長いクチバシに似ている口を持った「ゾウムシ」の意味。「ゾウムシ」とはゾウの鼻の様な長い口をもったムシの意味。だから二つの動物の名前が並んでしまったと言う訳。Photo:2009/08/09 @京都御苑、京都市

2009年8月18日火曜日

第百三十三夜/秋の虫現る・サトクダマキモドキ

 長い梅雨のあと、どこの国だろうかと思わせるような暑さがあった・・・かと思えば、お盆が終わったとたんに急に秋の気配になってしまった。近くの鴨川の草むらではキリギリスの声が賑やかだ。今日はサトクダマキモドキ・・・聞き慣れないキリギリスの仲間に出会った。「サトクダマキ」とは「クツワムシ」のことらしい・・・といっても「クツワムシ」も一般的には聞き慣れない名前だと思う。「くつわ」とは馬に乗るときの手綱をつける為に馬の口に付ける金具のこと、クツワムシの声が「ガチャガチャ・・」とうるさいのでこの名前がついている。このサトクダマキ(=クツワムシ)に似ているので「・・・モドキ」と名前につけられてしまった。さて今度は「サトクダマキ」の名前の由来は?新しい疑問が出てきてしまった。これは宿題としよう。写真の個体は、尾の先に丈夫に反り上がった特徴的な産卵管が見えるので♀の個体。ハスの葉上からこちらをうかがっている。もっとよく見ようと葉を手で寄せたとたん、体型からは似合わず軽やかに遠くに飛び去ってしまった。Photo:2009/08/18 @京都御苑

2009年8月14日金曜日

第百三十二夜/シオヤアブ vs シオヤアブ

 今の季節には、樹林地でも草地でもよく目にするシオヤアブ。草の葉上や枝先に止まっている個体を観察していると必ずと言っていいほど狩りのシーンに出くわす。メニューは幅広く、ハエ、ハチ、小型のトンボ、チョウとにかく近くを飛びすぎる昆虫を見つけると捕らえる。時には自分よりもはるかに体重の重いコガネムシなんかにも平気で襲いかかる。大物ではニイニイゼミを捕らえたのを見たことがある。しかし、ハチなんかのちょっと手ごわい相手は途中で手放すこともある。今日の獲物は、運悪く近くを通りかかった少し小さなシオヤアブ・・・つまり共食い。このアブは獲物を獲物を丈夫な脚で羽交い締めにし、太いストローのような口をぶすりと獲物に突き刺し体液を吸ってしまう。不思議にも捕らえられた獲物はさほど抵抗もせず、たやすく体液を吸われてしまう。この虫よほどツボを知っているのか、もしくは唾液に麻酔剤の様なものが入っているのかも知れない。写真のシオヤアブの尾の先端には白い毛のような飾りがあるこれは♂、♀はこの部分が濃い青色に光っているのですぐに判る。
Photo:2009/08/09 @トンボ池・京都御苑

2009年8月8日土曜日

第百三十一夜/ヒグラシ

 セミの世界がちょっと昔とは、変わってきているようだ。小学生の頃(・・・40年近くも前かな)、家近くの虫採りのフィールドではヒグラシなんていなかった、ミンミンゼミもいなかった。山に行って初めてその声を聞いた。(それともあまりセミに興味が無かったので聞こえなかったんだろうか)ニイニイゼミとアブラゼミ、そしてクマゼミ、お盆が過ぎたころにツクツクボウシ。これが定番だった。今日、自宅近くのお寺でヒグラシを見つける、ツクツクボウシも鳴き始めた。今年はクマゼミもツクツクボウシも少し早いようだ。関東ではクマゼミが、関西ではミンミンゼミが街中でも見ることができる様になった。セミの幼虫が庭木・植木(の根)に付いて日本全国を旅していることが原因と言われるが、それ以外にも環境の変化が大きく影響しているんだろうな。写真のヒグラシをよく見ると腹部の左中ぐらいに茶色の米粒状のものが付いている、これは寄生バエの蛹のようである、どうりで元気が無かった。Photo:2009/08/08 @真如堂、京都市

2009年8月6日木曜日

第百三十夜/トンボ池にシマヘビ現る

 トンボ池(京都御苑)でモリアオガエルを探している時に参加者の一人が水面にヘビを発見。水面から鎌首をもたげ、周囲を伺い、ハスの葉に這い上がってきた。60cm程度の若いシマヘビだ。シマヘビは水田や水辺に見られるヘビで泳ぎも潜りも得意とする。以前、田んぼでこのヘビを見つけ観察しようと執拗に追いかけたことがある、この時行き場を失ったヘビはとぐろを巻きしっぽを上げて小刻みに揺らし始めた。しっぽは周辺の草にふれ「ガサガサガサ・・・」と音を立てた。これには驚いた、まるでテレビで見るガラガラヘビのようだった。ヘビには、のんびりしていた時に執拗に追いかけ大変に迷惑をかけたが、興味深い行動を見せてくれたことに感謝。以前、TVニュースで「河川敷でガラガラヘビがいたと通報があった」と報道された(結局探したが見つからなかった)、僕はニュースを見ていて「ああっ、シマヘビの仕業だろう」とすぐさま判った。Photo:2009/08/05 @京都御苑、京都市

2009年8月5日水曜日

第百二十九夜/シュレーゲルアオガエル


 昨日から京都御苑のトンボ池の一般開放(午前9時〜11時30分)。ハスとキショウブの葉上にシュレーゲルアオガエルを見つける。モリアオガエルに似ているが白目の部分がこちらは黄色い(モリアオガエルはオレンジ色)。モリアオガエル(*1)が水辺に張り出した樹上に卵塊(産卵)を作るのに対して、こちらが池や田んぼの畦、水際に穴を掘って卵塊(産卵)を作る。これも棲み分けなのだろうか。「シュレーゲル」とは江戸時代にシーボルトが持ち帰ったこのカエルの標本を研究したオランダ人の名前、けっして外来種ではない。
*1:第九夜 をご覧下さい。
Photo:2009/08/05 @京都御苑、京都市

2009年8月4日火曜日

第百二十八夜/ハグロトンボ

 ハグロトンボ・・・僕は子どもの頃、このトンボの名を「おはぐろとんぼ」と教えられた。当時、時代劇を見ていて女性が「お歯黒」を付けていたこと、そしてそのお歯黒がけっこう不気味なお化粧だったこともあって、このトンボの名の「お羽黒」をすっかり「お歯黒」と思い違えてきれいな体なのに不気味な名前だな〜と思ってしまった(*注1)。ハグロトンボは、薄暗い林床部をふわりふわりと飛んでいる。飛んでもすぐに下草などに止まる、しばらくするとゆっくり4枚の翅を開き、一瞬で閉じてしまう動作が特徴的。成虫になったばかりの未熟な個体は、近くに水辺が無い場所(庭や神社の境内など)でもけっこう見つけられる。
Photo:2009/08/03 @京都御苑、京都市 
*注1:翅の黒さは「お歯黒を塗った様な」との意味もあるようだ。