2012年10月30日火曜日

第四百二十九夜/これは何ものか?

 写真の虫を見て何ものか判ればあなたは相当な虫好き。体長は約2.0cm、群青色に輝く体、大きな腹部が特徴です。 翅がとれた蜂?それとも女王アリ? さて答えは後日。大変に興味深い生態をしています。Photo:2012/10/29 @栗東市、滋賀県

 
-->その正体とは:キュウシュウツチハンミョウ(Meloe auriculatus
近畿以西から九州に生息し、晩秋に発生するツチハンミョウの仲間。これでも甲虫の仲間ツチハンミョウの仲間の体液には、カンタリジンという致死量30mgの毒物(蛋白質脱リン酸化酵素阻害剤)が含まれ、ツチハンミョウ類の分泌液が皮膚につくと、水疱性皮膚炎を形成し直るのに2週間くらいかかるので要注意。その生態は興味深く、ツチハンミョウの♀は土の中に4千個以上の卵をうみます。 ふ化した幼虫は、地上に現れアザミなどの花にのぼり、蜜を吸いにやってきたハナバチの体にしがみつく。やがてハナバチにつれられて巣に戻った幼虫はハナバチの卵や食料を食べて育つという性質があります。登る草を間違えたり、しがみ付く相手を間違えると生存はできない。その生存率の低さから、4千個以上の卵を生むと言われている。

2012年10月28日日曜日

第四百二十八夜/陰の主は?

 陰の主は、セスジツユムシ(Ducetia japonica(写真は♀)でした。ほっそりとした姿は陰からは想像できない。Photo:2012/10/25 @京都府立植物園

2012年10月25日木曜日

第四百二十七夜/陰の主は?

 アカメガシワの葉裏に映る不思議な陰。葉表の主はだれか? しなやかに伸びる2本の触覚、長く細い後脚・・・・。答えは明日。Photo:2012/10/25  @京都府立植物園

2012年10月22日月曜日

第四百二十六夜/ナイスなキャラのイラガ

 小さく、きれいな蛾を見つける。これは幼虫に刺されると痛いイラガの仲間、ヒロヘリアオイラガ( Parasa lepida lepidaの成虫(♀)。翅の色と紋様、脚につくふさふさの毛(すね毛?)、毛むくじゃらの体・・・なんだかぬいぐるみみたいで、ディズニーのキャラクターにでもなりそうな雰囲気を持、成虫は毒を持たないので触っても大丈夫。Photo:2012/10/22 @近江八幡市、滋賀県

2012年10月20日土曜日

第四百二十五夜/初対面のカメムシ

 今日見たカメムシは初めて見る。普段よく目にするクサギカメムシ(Halyomorpha halysの特徴を備えているが、体の白点がやけに多い、これは個体差と見ていいだろうが、一点だけ気になる部位がある。顔が普段見るクサギカメムシに比べ鈍く尖る様に長いのだった。体の斑紋は個体差としても、体形は個体差として現れにくい。 ゆっくり調べることにしよう。Photo:2012/10/20  @平野神社、京都市

2012年10月17日水曜日

第四百二十四夜/木漏れ日にオオアオイトトンボ

 オオアオイトトンボ(Lestes temporalisの♂が水辺に張り出した小枝で縄張りを占有していた。このイトトンボは羽化した後、いったん水辺を離れ薄暗い林内で未成熟期を過ごす。十分に成熟した後、秋に水辺に戻ってくる。だから初夏に見られた成虫は夏にはまったく水辺では見れない。水辺に戻った♂は縄張り持ち、♀を探す。興味深い習性があり、産卵は水辺に直接行わず、水面に張り出した樹木の枝(樹皮に埋め込むように)に集団で行う。寒さにはめっぽう強く、12月に入っても見られる。Photo:2012/10/13 @栗東、滋賀県

2012年10月16日火曜日

第四百二十三夜/竹林に浮かぶ緑の島

 林床に浮かぶ小さな緑の島を見つけた。ここは竹林の中である。これぐらいの緑ならどこでもありそうだが竹林の林床の植物生態は意外に貧相である。竹林に浮かんだようなわずか直径50cmほどの切り株島には、数種類のシダ類とそれ以上の樹木の実生や草が育っている。なんと10種類以上の植物が寄り添っているようだ。なぜだろうかと考えると、竹林の枯葉が堆積した場所に樹木や草の種が落ちても発根→発芽→成長まで至らない、地面から少しでも盛り上がっていると光が得易いのだろう・・・と想像した。人にとってどうってことない一つの切り株が作る新しい環境、ここに新しい命の可能性が生まれる。Photo:2012/10/13 @栗東市、滋賀県

2012年10月15日月曜日

第四百二十二夜/里山の神・ミドリセンチコガネ

 栗東の里山で森遊びワークショップ。誰かが拾い置いたミドリセンチコガネ(オオセンチコガネの緑色型 Phelotrupes auratusの亡がら。まだ生きているようにきれいに輝いている。ミドリセンチコガネは鹿、イノシシや他の獣糞などを食べるフンコロガシの仲間(糞食性のコガネムシ)。この仲間でもある「スカラベ」は古代エジプトでは、その習性が太陽神ケプリと近似したものであることから同一視され、再生や復活の象徴である聖なる甲虫として崇拝され、スカラベをかたどった石や印章などが作られた。ここ栗東の里山では、ミドリセンチコガネの亡がらになった後も輝く力を観ると、こいつを地面に埋めておくとやがて新しい命となって現れる気がしないまでもない。森を見ていると餌を探して地面すれすれに飛ぶミドリセンチコガネがいた。丸い体で頭でっかちだけど意外に飛ぶのが上手い。Photo:2012/10/13 @栗東、滋賀県

2012年10月14日日曜日

第四百二十一夜/虫採りは一人に限る

 虫を観るなら・採るなら一人に限る。大勢で歩くと肝心の見えるものが見えてこない。今日は仰木の棚田を多くの人と歩いた。歩く端々から沢山の生きものが顔を出してくれるが、ほとんどの人は気付かない。歩いていると棚田の畦に植えられていた目の前のイチジクの実にはキボシカミキリ(Psacothea hilarisがしっかりと汁を吸っている。やはりだれも気付かない、でもこれが普通なんだろうな。農家にとって許しがたい害虫のカミキリムシだが、シーズンを過ぎ、熟れ損じた実につく今は多めに見てもらえるのだろうか。Photo:2012/10/14 @仰木、滋賀県

2012年10月13日土曜日

第四百二十夜/赤とんぼの季節と言うけれど

 稲刈り後の田んぼには、かつて赤とんぼと言われるトンボが無数にいた記憶があるが、近年はどうも様子がおかしい。かつて秋の田んぼに掃いて捨てるほどいた赤とんぼがいない、しかもその代表種のアキアカネが全くいない。
今日も目にしたのは写真のナツアカネ(Sympetrum frequensばかりである。昆虫の変化の原因は、環境の変化である、つまり田んぼの変化。今の田んぼは稲穂が実る頃にはすっかり水が落される乾田ばかりで、稲刈りの後は歩ける程に地面が乾燥し、昔よくあった「ぐじゃぐじゃ」した場所なんてない。水面でも地面でもない「ぐじゃぐじゃ」した場所に直接卵を産むアキアカネにとって、今の田んぼは産卵環境ではなくなっている。おいしいお米で有名な魚沼の山間地は、稲刈りの直前まで水が入っていて(稲刈りの時に足元が不安定なので水を抜く)、稲刈り後は田んぼ湿地になる。こんな場所でなければアキアカネは棲むことが出来ない。乾田化されていない場所で採れる最高のお米とトンボ・・・赤とんぼの種類を見れば、環境の変化もわかる。Photo:2012/10/13 @栗東、滋賀県

2012年10月11日木曜日

第四百十九夜/オオスカシバ

 今日は郵便局からの帰り道、クチナシの葉を食べるオオスカシバ(Cephonodes hylasの終齢幼虫を見つける。食痕と糞の量からして相当数の幼虫がいるはずだが、目につくのは数頭のみ。体のサイズからして、もうしばらくして地面に降り、土中で蛹になりそのまま越冬するはずである。クチナシはビルの周辺や公園によく植えられる灌木なので、これを食樹とするオオスカシバ(蛾の仲間)は街中でもよく見る事の出来るきれいな蛾である。クチナシの食害はけっこうひどいが、その割にはさほど駆除されないのは幼虫が目につきにくいからか、それとも毛虫でないからか。Photo:2012/10/11 @京都市
オオスカシバの成虫はこちら→第百六十夜(2009/10/16)をご覧下さい。

2012年10月10日水曜日

第四百十八夜/ミヤマアカネ

 出張先の小諸・停車場ガーデンのせせらぎにきたミヤマアカネ(Sympetrum pedemontanum 写真は♂)。北海道・本州・四国・九州に分布し、丘陵地や低山地のゆるやかな流れや田んぼに生息するが、ものすごく普通と言う訳ではなさそうだ。特徴は、雄雌とも翅の縁紋から内側にかけて褐色斑があるので多種と見間違う事はない。なかなか敏感で他のアカネ(赤とんぼの仲間)よりも注意深く近づかないとすぐに逃げられてしまう。Photo:2012/10/09 @小諸市、長野県

2012年10月2日火曜日

第四百十七夜/モリアオガエル

 モリアオガエル(Rhacophorus arboreusの今年夏生まれの個体(体長3cmほど)がシュロの葉上で休む。アマガエル程ではないがこのカエルも体色を周囲の色に合わせる事が出来る。写真のモリアオガエルもずいぶんと青みをおびた体色になっている。驚く事に体色だけでなく体にワックスを塗ったようなツヤが出ている。色ばかりでなく質感も似せることが出来るのか?近くには数匹の若カエルを見たがどれもこれほどツヤがない、とまっているのは光沢のないクサギの葉など。これは興味深い。水辺から離れた樹林に生活の場を移し始めているようだ。Photo:2012/10/02 @京都御苑、京都市