2009年10月30日金曜日

第百六十五夜/ナガサキアゲハがやってきた−2

 ゆるゆるゆる・・とカタツムリの目の様な赤橙色の臭角を出すのはだれか?(写真上) その正体は昨日のナガサキアゲハの終齢幼虫でした。(写真下)アゲハチョウの仲間でも種類が違うと微妙に色も違います。ナミアゲハは黄色っぽく、クロアゲハはもっと紅色が濃いのです。匂いは臭いと最初感じるが、その臭味の中にやはり柑橘類の香りがする。臭角(しゅうかく)を出してからなおもつつくと、今度は頭を左右に揺らしながらイヤイヤをするような動きをする。Photo:2009/10/30 @岡崎、京都市

2009年10月29日木曜日

第百六十四夜/ナガサキアゲハがやってきた

 自宅の庭においてあるレモン(鉢植え)に待ち望んでいたナガサキアゲハがやってきた・・・といっても成虫は見ていない。レモンの実を栽培しているので薬剤は一切使っていない。そのレモンの葉にナガサキアゲハの幼虫(大きな方、奥の小さな幼虫はナミアゲハ)がついていたと言う訳である。毎日眺めていると同じアゲハの仲間でもアゲハチョウ(ナミアゲハ)やクロアゲハとは少し行動が違うようだ。アゲハチョウの幼虫が葉表にべたりと止まっている時も、こちらは大きな体を葉の重なっているところや葉裏にいつもいる・・・若齢幼虫では葉表に止まっているが、終齢幼虫では常に陰の様なところに止まっている。鳥等の捕食者から見つからないようにしているのかどうかは判らない。さて終齢幼虫も蛹への脱皮の頃になるとつぎつぎと姿を消していく、蛹になるために木から離れていくのだろう。このレモンは実を育てる為になるべく日当たりの良い場所に置いている、こんな場所にはクロアゲハな滅多にやって来ない。一般的に黒っぽい色のアゲハは日陰が好きなのだが、ナガサキアゲハが日当たりが好きなようだ。成虫も夏の炎天下、グランドの様な日当たりの良い場所を飛んでいる。(逆に言えば、日陰を飛ぶ黒いアゲハはクロアゲハ、炎天下を飛んでいる黒いアゲハはナガサキアゲハと思っていいだろう)成虫は、第十七夜、第九十二夜をご覧下さい。Photo:2009/10/29 @岡崎、京都市

2009年10月24日土曜日

第百六十三夜/ハクセキレイ

 夕方あぜ道を歩いていると、一羽のハクセキレイが水田の溝の横に止まり陽光に体をあたためていた。今日も一日終わった、これから秋が深まるにつれ日ごとに寒くなるな・・・さて、なんて思いながら仲間のいるねぐらに向うんだろうか。Photo:2009/10/22 @蓼科、長野

2009年10月23日金曜日

第百六十二夜/モンキチョウ

 仕事で長野県蓼科へ、休耕田を見て回っているとモンキチョウが異常に多い。牧草として蒔かれたアカツメグサを食草とするからだろう。モンキチョウが20m×20mの面積に100頭ぐらいは飛んでいたような畑もあった、これはちょっと異常な個体数だ。飛んでいる蝶を見ると黄色タイプと白色タイプがいる、この辺りでは多くの場合、白色タイプは♀。空中に停止する様に小刻みに羽ばたく1頭の♀の後ろを黄色の♂が同じく小刻みに羽ばたく場面が多く見られた、これは♂のプロポーズ。1つのペアが道路上に飛んで行った、♀が地面(右下)に止まり、♂(左上)がその回りを飛ぶ。このペアは上手くいくかなと思っていたら、彼らのところに猛スピードで軽トラがやってきた。幸い轢かれはしなかったが、軽トラの起した風でバラバラに飛び去ってしまった。Photo:2009/10/21 @蓼科、長野

2009年10月19日月曜日

第百六十一夜/カラスアゲハ

 写真は今夏のもの、クサギの蜜を吸うカラスアゲハ(♂)。後翅の尾状突起も完璧にそろっている、翅も新しい。このような個体はなかなか出会えない。♀の個体を待ってみたが全く来なかった。昆虫の世界では一般的に♂の出現が早く、次いで少し遅くなってから♀が現れる。だからモンキアゲハ(第百五十八夜)の様に♂はぼろぼろなのに♀は美しいことになる。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月16日金曜日

第百六十夜/オオスカシバの飛翔

 いつも眺めながら写真に撮りたいと思っていたハチドリの様に飛ぶオオスカシバ、思い続ければいつかはチャンスが来る。写真に撮ってみるとやはり虫らしくない。姿、色共にハチドリみたい、違うところは翅と脚の数、触角があること、クチバシが無いこと。目頭から目尻への黒線、緑の毛むくじゃらの体にえんじ色の腹巻き、ピンとのばした触角がかわいい。注:オオスカシバは2度目の登場、第百五夜をご覧下さい。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月15日木曜日

第百五十九夜/モンキアゲハ

 クサギの花は夏の数少ない蜜源植物、やって来たのはモンキアゲハ(♀)。僕たちが身近な環境で見ることのできる一番大きなチョウ。蜜を吸う姿は本当にきれいだ、こうやってみると脚がとても長いことに驚く。モンキアゲハは名前通り♂♀共に翅(後ろ)に黄色の大きな紋がある、♀は後ろ翅の赤い紋がよく発達している。昆虫採集に夢中だった子どもの頃、夏型の♀を展翅するためには特大の展翅板(翅を開いた標本を作るための道具)が必要だったことを想い出す。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月14日水曜日

第百五十八夜/モンキアゲハとアゲハチョウ

 今夏、クサギの花が満開の頃のこと。モンキアゲハ♂(左)が吸蜜にやってきたモンキアゲハ♀(右)にしきりにプロポーズしていた、当の♀はそんなことより花の蜜を吸うのに夢中。そこにやってきたのがアゲハチョウ♂(真ん中のチョウ)、2頭の大きなモンキアゲハの間に入り、♀にプロポーズ。アゲハチョウの♂の方が元気で素早いので翅がぼろぼろのモンキアゲハの♂は常にアゲハチョウの後ろ側。こんな状況がしばらく続いた、やがてモンキアゲハ♀が花から飛び去ると・・・後にアゲハチョウとモンキアゲハの2頭の♂が我さきにとモンキアゲハ♀を追いかけ去った。アゲハチョウ♂の左右の後翅の上部に黒い丸印が見える、これは夏型の♂の印。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月13日火曜日

第百五十七夜/枯れ葉にまぎれる蝶・クロコノマチョウ

 樹林地の中を歩くと足元から黒い蝶が勢い良く飛び出る、少し飛んではまた地面に止まるが・・・どこに止まっているのかさっぱり判らない。またもや足元から飛び出る。しかも踏みそうになるぐらいの場所から。なんどか繰り返すうちにやっと居所がわかる。その正体は、クロコノマチョウ(漢字では「黒木ノ間蝶」と書くらしい)、翅の裏は見事に枯葉状の模様で地面にいる時はご覧の通り(写真上)。緑の葉に止まっていても枯葉がひっかかっている程度にしか見えない(写真下)。地味な蝶も翅表はきれいな赤褐色に目玉模様が並ぶ、裏面も光の具合で体周辺の細毛がほんのりと青く写ったのには驚いた(写真下)、これはなかなかきれいではないか。本来は南方系の蝶で、近年北へと生息域を拡げつつある。食草は、ススキ、ジュズダマなどのイネ科植物だから食うには困らないだろう。写真:秋型♂。Photo:2009/10/13 @京都御苑、京都市

第百五十六夜/森の糞虫・ミドリセンチコガネ

 里山遊びの準備で森のなかの広場の木屑を片付けたり、地面をいじっているとどこからともなく緑色に光るコガネムシが飛んできて、今しがたまで木屑で覆われていた地面を嬉しそうに歩き回っている。様子を見ていると何かを探しているらしい。この山にはシカやイノシシが沢山生息しているので普段はこれらの野生動物の糞を食べているはず、今日は何に反応してきたんだろうか。このきれいなコガネムシは、糞虫(動物の糞を食物としているコガネムシの仲間)で、種名はオオセンチコガネと言う。日本全国に広く分布するが、大きく分けて赤色、緑色、藍色の3つの色彩型に区別される。京都府から滋賀県にかけては主に緑色系が分布し、これはミドリセンチコガネと呼ばれている。この緑色タイプは遠くはなれて北海道の日高地方沿岸部などにも見ることができると言う。飛んできた個体を手に乗せて眺めていると本当にきれいな光沢をしていて、よく見ると僕のすぐ後ろの大きなコナラの樹形がコガネムシの背中に映っていた。今日はこのオオセンチコガネの他に、センチコガネも見ることができた。Photo:2009/10/12 @こんこん山、栗東市、滋賀県

2009年10月11日日曜日

第百五十五夜/枝になった虫

 昆虫の世界はつくづく不思議だ。なぜこれほどまでに自分の姿を植物に見立てることができるのか。今夜のエダナナフシはその最高峰だと思う。この虫は成虫も幼虫も樹木の枝になりきってベジタリアンで、体の動きも緩慢で最低限しか動かさない。もっとも動く枝があればそれは怪しい。成虫の体だけが植物になりきっているかと思えば、なんと卵は植物の種そっくり(ラグビーボール型で縦にしわが入っている)である。さらに不思議なことは、平地や暖地では主に有性生殖を行い、山地や寒冷地では主に単為生殖(雌だけで産卵すること)を行っていると考えられる。母親は枝に止まって卵をぽろぽろと空中から地面に落下させる(種を蒔くって感じ)。以前、飼った時に飼育箱の底に草の種が落ちていた・・・と思ったのが卵だった。実は動物でも同じ様な生きものがいる・・・南米に棲むナマケモノ。こちらはほ乳類だから雌雄いるが、ベジタリアンで、体の筋肉も極力まで落として木の枝にぶら下がり自然の風景にまぎれていると言う。あまりにも筋力が無いから木の上ではぶら下がっている、地上部では4本の手足で体を支えられずぺしゃんこになって這いずり歩く。しかし水中では重力がかからないからうまく泳ぐ、ただし極めてゆっくりと。自分の糞は、自分がぶら下がっている木の根本にする。ほ乳類であれ、昆虫であれ同じ様な生活形態が森の中でされていることも不思議なことだ。写真は、コナラの葉を食べるエダナナフシ、秋のナナフシはなんとなく枯れ枝のようだ。
Photo : 2009/09/30 @蓼科、長野県

2009年10月9日金曜日

百五十四夜/ジョロウグモ

 単純なものである、「日本のクモ」という優れた生態写真の図鑑を入手したとたんに、クモのことを知りたくなる、もしくはクモの姿が目につく様になる。まあこの逆かもしれないが、いずれにしてもクモの存在が気がかりである。写真は、ジョロウグモという名のよく目にする大型の種類、ちょうどクモがミツバチを捕らえたところ。クモは獲物が巣にかかり暴れるとその振動を感じて糸でがんじがらめにしてしまう。数えるとミツバチは全部で5頭。大きなクモの左横には小さなクモも見える。こちらは雄クモ、♀(雌)と♂(雄)では大きさに母と赤ちゃんの差ほどある。雄クモは、雌の巣に居候しているようで不用意に動けば食べられてしまうのか、巣を揺らさない様にそろりそろりと慎重に移動していた(・・・気がする)。Photo:2009/10/01 @蓼科、長野県

2009年10月8日木曜日

第百五十三夜/思い出せないコアシナガバチ

 困ったものだ、出張中の写真を整理しているとコアシナガバチの写真が数カットあった・・・さてどこでいつ撮影したのやらさっぱり記憶が無い。写真の前後を見るとフィールドワークの最中らしい。さらに記憶をたどるとどうも休憩中に飲んだジュースの匂いにつられてハチがやってきた・・・気がする。きっとそれであっていると思うが、やっぱりこわいものだ。徹夜明け・仕事に夢中とはいえ、虫が現れると知らずのうちに写真を撮っていることがこれで判った。コアシナガバチは小型で体色がきれい。ジュースの匂いに誘われて向うからやって来る時はとてもおとなしく、観察するにはもってこい。Photo:2009/09/29 @蓼科、長野県

2009年10月7日水曜日

第百五十二夜/葉っぱに真似る幼虫

  トンボ池で虫の解説をしている時に葉裏のイモムシを発見、ウワミズザクラの葉を食べるモモスズメの幼虫(スズメガの仲間)。これはなかなかいいタイミングに現れてくれた。近づくと人の気配に気づき、頭の部分を精一杯細くしてじっとし始める。なんどもなんども見ているうちにあることに気づく。しっぽに見える部分は、葉の「葉柄(ようへい)」(葉と枝をつなぐ部分)、体の模様は「葉脈(ようみゃく)」、皮膚のざらざら感は「鋸歯(きょし)」、さらに頭を細くすることによって「葉の先端」になりきろうとしているかのようだった。つまり「擬態」=葉っぱに見せることで捕食者から身を守ろうとしている。この解説を聞いていた女性方も最初は恐る恐る見ていたが、僕が触り始めると、興味が湧くのか一人二人と触り始める。「意外にざらざらやん、しっぽは硬いし〜」なんて言っている。そのうちみんなが触るのでスズメガの幼虫もじっとするのを止めて再び葉を食べ始めてしまった。一見気持わるい部類の昆虫も、それを知ることによってなんとなく許容できる関係ができる。つまり相手を知らないことからくる恐怖や不信感が虫嫌いを生み出す。もっともこれは人間の世界でもそうかもしれない。トンボ池の一般開放でここにやって来る人たちは、世間では十分に生きもの好きの部類に属されるだろうから、この許容はもともと幅広いのだろう。そして判っていても避けるのは、「原体験」そして「本能」からくる心理なのかな。ちなみにこの幼虫は、野鳥のヤマガラの好物と西台先生に教えて頂いた。スズメ大の鳥にとっては食べごたえありそうだ。注:写真下の絵は、サクラの葉を半分に丸めてみた時の絵です。なんとなくスズメガの幼虫に似ていませんか?Photo:2009/10/03 @トンボ池・京都御苑 
注:成虫の写真は「第九十三夜」をご覧下さい。

2009年10月6日火曜日

第百五十一夜/ハチみたいなハエ=ホソヒラタアブ

 今夜の虫は、ハチをまねたハエ、ホソヒラタアブ(ハナアブ科)。体の虎模様はミツバチにそっくり、でもよく見ると触覚や口の形が違う、翅も左右2枚しか無い。体色を黒くするとハエである・・・そう、アブはハエの仲間である。ハナアブにこの模様が多いのは、毒をもっていないアブがハチに似せて身を守っているからだと言われている。つまり同じ花の蜜を吸うミツバチに似ることによって効果的に身を守ることができると言う訳。このホソヒラタアブは飛ぶのがとてもうまく、空中で停止したり(ホバリング)、交尾も空中で行なう。成虫は花の蜜を吸うが、幼虫はウジ虫型で草木の葉上でアブラムシを食べる。写真の花はミゾソバ。Photo:2009/10/03 @トンボ池、京都御苑

2009年10月5日月曜日

第百五十夜/コバネイナゴ

 人の気配も、カメラのレンズにもまったく動じずキショウブの葉を食べるコバネイナゴ。耳を近づけるとボリボリボリとかすかな音も聞こえてくる。Photo:2009/10/03 @トンボ池・京都御苑

2009年10月4日日曜日

第百四十九夜/月に鷺(さぎ)

  昨夜は中秋の名月、なかなか見事な満月。一夜明けて今日、仕事帰り見た夕日で稜線がくっきりと強調された比良山系の山並み(琵琶湖の西岸)と安土・きぬがさ山の上空に昇った月も見事だった。すっかり日もくれ月が高く昇った中、僕たち人間にはとても出来ないが、水鳥達にはよく見えるのだろう鷺の群れが川瀬や水田で魚を捕っていた。
写真上:切手の名作「月に雁(かり)」(発行:1949年趣味週間)には及ばないが、満月のしたのアオサギはなかなか絵になっていた、水田のなかに点々とたたずむのがアオサギ・・・ただし写真には難しすぎ。写真下:川瀬で魚を捕るサギ達(コサギ、ダイサギ)。Photo:2009/10/04 @白鳥川・近江八幡市

2009年10月3日土曜日

第百四十八夜/セスジツユムシ


 今日は京都御苑のトンボ池・秋の一般開放日(10月2日、3日)。トンボ池の周辺の草地には、沢山のセスジツユムシが見られた。この間まではその幼虫もなかなか見ることが出来なかったのに今日は成虫がずいぶんと目についた。数多くいた成虫の中でひときわ目立ったのが、写真(上)の褐色型のセスジツユムシ(この個体は♂)。黄色味が強い褐色型なので緑の葉上では目立つ。普通の緑色型は写真の下の個体。但し、この個体は背中の筋が緑色なので♀。雄の背中の筋は、褐色だからすぐに判る。セスジツユムシは後ろ脚を思いっきり伸ばし、前のめりになってよく葉に止まっている。さてこのポーズ、何か訳でもあるのだろうか。Photo:2009/10/03 @トンボ池、京都御苑