2010年9月2日木曜日

第二百三十八夜/クマゼミと蓮

 セミはどうやって樹液を吸う判断をしているのか。見ていると電柱や壁にとまった時にも一応にストロー状の口を差し込もうとしているようだ。つまりとまった場所はどこであれ樹液を吸う試みをするのだろう。人間から見ると不自然に思うが、彼らの棲む自然の中ではコンクリートの壁も電柱もないのだから一番適切で理屈に合った行為なのだろう。今日のクマゼミは、ハスの葉の茎にとまりやはりストロー状の口を差し樹液(?)を吸い始めた。やめる気配がないのできっと吸っているんだろう。色味的にさっぱりとした味わいか? 昔、マレイシアの森で綺麗な色のセミを採った、鮮やかな透き通るような緑色で目まで同じ色だった。あとでゆっくり見ようとしばらく手に持っていたら、強烈な痛みを感じた。その痛みは押しピンかなにかでぐさりと皮膚深く刺された感じ。驚いたことにセミが僕の手のひらを刺したのだ・・・たしかに分厚い樹皮の内部を流れる樹液を吸うのだから人間の皮膚や筋肉程度を貫通するのは容易いこと。手の指を広げるとそこには緑色の目の色一つ変えずクールな表情のままに僕の手を刺し続けているセミがいた。果たして軟禁状態から逃げたくて刺したのか、喉が渇いて刺したのか判らない。確実なことはこの時、セミは僕の血液を微量ながら吸ったはずだ。世界のどこかに吸血性のセミが一種類ぐらいいても不思議じゃないと思った。ナンキン虫なんかの吸血性のカメムシがそれに相当するのかもしれない。話はすこし違うが、セミが電線に産卵しておこるトラブルが少なくないという。産卵管を差し込まれたケーブルは孔だらけになり漏電を起こす。セミの♀は木の枝と電線のケーブルとを混同しているらしい。これも不自然でない、森の中では電線ケーブルなんてそもそも無いのだから。Photo:2010/08/31 @京都御苑、京都市

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