2009年5月19日火曜日

第八十七夜/モノサシトンボ


 今朝は、京都自然観察学習会の西台先生がされている京都御苑の定点観察会に公園協会の杉林さんと共に参加。トンボ池ではカエルの声が多く聞こえる。池縁の草地には、モノサシトンボを沢山見る事が出来た。このトンボ、頭の先から尾(腹部)の先まで4cm〜5cmほどのイトトンボの仲間、腹節の模様が「ものさし」の目盛りのように見える事が名の由来。トンボが餌とする小さなハエやアブ、トンボを餌とするムシヒキアブやクモ・・・そしてそれらの昆虫を餌とするカエルや鳥など、樹林に囲まれた小さな水辺にも多様な生きものが棲んでいる。西台先生は野鳥の息づかいにアンテナを張って、僕は飛びすぎる蝶の存在が気になる。それぞれのアンテナ(センサー)の張り方が違って面白かった。多くの生きものの存在を知るには、こちらも足の裏から頭のてっぺんまでアンテナを張り巡らしておくことが大切なんだろうなと・・・。「ゲゲゲの鬼太郎」が妖怪の存在を感じる時に髪の毛が逆立つシーンがあったが、気持的にはそんな感じ。写真の一番下は、モノサシトンボの脚の拡大。全ての脚が櫛(くし)の様になっている。飛びながら小さな昆虫をこれで抱え込んで捕らえてしまう、いわば捕虫網の役割を持っている。Photo: 2009/05/19 @京都御苑・トンボ池

2009年5月16日土曜日

第八十六夜/小雨の中のヒメウラナミジャノメ

 京都御苑に出かける、あいにくの天気だ。気温も低く、小雨模様。こんな日はお目当てのムシは出ない。そんな中、ハルジオンの花の間で元気に飛び回っているのがこのヒメウラナミジャノメ。快晴の暑い日よりも元気なようだ。北は北海道から、南は屋久島辺りまで平地から低山地までごくごく普通に見る事ができるジャノメチョウである。Photo : 2009/05/16 @京都御苑・バッタ原

2009年5月15日金曜日

第八十五夜/スジオチバタケ

 今夜は先週、京都御苑で見つけたキノコを紹介。どんな生きものでもそうなんだが、見つけようと思っても見つからないものだ。このキノコもそうだった(実際に後日行った時は見つけられなかった)、倒木のそばに立って昆虫を探していた時に偶然目についた。形と色がなんとも不思議で印象的。昔、おやつに食べた「アポロチョコ」(月面探査機のアポロ号に似ていたからだと思う)に似ている。和菓子の様でもある。パラシュートの様でもある。どこか地球外生物の様でもある。早速、図鑑で調べる、「オチバタケ」の仲間らしいが確信が持てない。キノコの佐野先生に写真をメールで送り、名前を教えて頂く。キノコは「スジオチバタケ」であると言う、そして興味深いコメントが・・「押し花のようにして"しおり"に出来ますから、試して下さい。乾燥したきのこをコップの中の水に浸せば、復元しますよ」とあった。やっぱりキノコは不思議な生きものだ。(そんなことを発見した人も不思議だが)Photo:2009/05/09 @京都御苑・母と子の森

2009年5月14日木曜日

第八十四夜/ヨコヅナサシガメ

 写真のカニの様な虫は、ヨコヅナサシガメというカメムシの仲間。名前の「ヨコヅナ」は成虫の腹部の模様が関取の「横綱」の化粧回しに似ているから、「サシガメ」とは「刺す(肉食性の)カメムシ」の意味。ちょうどこの季節、コナラやサクラの落葉樹の樹皮の間に集団で見ることができる。赤い体の虫は、ちょうど幼虫が脱皮して成虫になったばかりもの。しばらく経つと中央上の黒白の縞模様(成虫)のように変色する。右の小さなものはこれから脱皮をする幼虫。他の昆虫を捕らえストロー状の口で体液をすってしまう。いわば流動食なので顎(あご)が発達せず細長い顔をしている。う〜んなんとも恐ろしい。ヨコヅナサシガメは外来種と考えられている。在来種でヤニサシガメと言うのもいる。Photo:2009/05/12@滋賀県近江八幡市八幡山公園

2009年5月13日水曜日

第八十三夜/ごきげんようトノサマガエル姫


 出張のために朝一番で京都駅に向う。午前5時30分、京都御苑のそばの地下鉄(丸太町駅)出入口の階段を駆け下り改札へ、そこでびっくり。改札の近くの床に大きなトノサマガエル(女の子かな)がいるではないか・・・誰かの落とし物ではあるまいし、きっと京都御苑から跳ねて来て、不幸にも階段を下りて来てしまったようだ。仕方あるまい、まだ時間はある京都御苑に連れ戻すか・・・幸い彼女はおとなしかった(でも大きくて手の平に収まらない)。彼女を持って階段を上る。御苑の樹木の下に放す。やれやれ・・・そこで気づいた「しまった!」写真を撮るのを忘れていた。地下鉄に乗れなかったことは「しまった」とは思わないけど(地下鉄のドアが閉まっただけのことだから)、こればっかりは「しまった!」である。英国では、カエルは幸福を連れて来る生きものの象徴だし、グリム童話の「カエルの王様」はハッピーエンドなお話として有名。今朝一番のカエルとの出会い、彼女を森に放したら、魔術がとけてカエルがお姫様に変身したって事は起らなかったが、今日は良い一日だった。感謝。【2009/05/13】Photo: 写真は別の場所で撮影したトノサマガエル @新潟県川西町

2009年5月11日月曜日

第八十二夜/ケラ・ケラ・おけら


 水田近くの側溝にケラ(おけら)が落ちていた。水田の突然土が起され、掘り出されたケラが逃げる時に落ち込んだようだ。ケラの前脚は土中にトンネルを掘ることや泳ぐ事は出来てもコンクリートの壁は登れない。ケラにとてもよく似た動物に「モグラ」がいるが、ケラはバッタやコオロギの仲間、モグラはほ乳類。どちらも生息環境が似ているために、その体のつくり(体型、手足の構造、体の表面を覆う体毛)も非常に似ている。食べ物は雑食性、普段は土中で植物の根や種子、ミミズ等を食している。そんな生活しているため、探そうと思ってもなかなか見つからないが、この時期はこのような状態で良く見つけることができる。立派に翅で飛び、街灯に飛来する。もちろんコオロギの様に翅をつかって鳴く事もできる。泳ぎも達者。(土に)素早く潜る、走る(地面を)、飛ぶ、泳ぐ、鳴く・・・けっこう優れた身体能力を持っている。Photo:2009/05/11 @滋賀県近江八幡市北之庄

2009年5月10日日曜日

第八十一夜/アナグマの死から想像したこと


 小学校のT先生の運転する車で近江八幡から能登川図書館に向う道中、車道前方に交通事故死のタヌキを見つける。横を通り過ぎる瞬間、タヌキではなくアナグマ(正式には、ニホンアナグマ)と判った。しばらくして、やはり気になる。T先生にお願いして車を止めて頂く、車を農道に駐車して歩いて現場に戻る。(車で少し通り過ぎたと思いきや結構、距離があった)やはり事故死の野生動物はアナグマだった。大きさは柴犬(またはビーグル犬)の首と手足を短くした感じ。頭部から左前脚あたりに血が少し付着していた。体には大きな損傷は見られない。軍手をはめて(幸い近くに落ちていた)、アナグマを道路上から歩道脇の草むらに移した。性別は確認していないが、雌かもしれないお腹の大きさが目立つ。鼻先から目周辺にかけて皮膚に感染症らしき様子。体はまだ柔らかく、血痕も乾いていない。昨夜から今朝にかけての事故だろう。道路に出て来て車にひかれるカエルでも探していたのだろうか、はたまた道路周辺の水田・里山間の移動時に運悪く車に接触してしまったのだろうか。いずれにしてもこのような場所にアナグマが生息していたことに驚く。近年、「ミニチュアダックスフント」が人気だが、この「ダックス:Dachs」がドイツ語でアナグマ、「フント=犬:Hund」を意味している、つまりダックフンドは「アナグマ犬=アナグマ狩りの犬」と言うことになる。こんな場面に付き合って頂いたT先生に感謝。Photo:2009/05/10 @滋賀県近江八幡市白王町、(上)事故死のアナグマ、長命寺から大中に向う白王町の(近江八幡彦根線の)路上(昼夜車の往来が多い)。(下)爪が発達した前脚。

2009年5月6日水曜日

第八十夜/水田に残るタヌキの足跡

 ハルリンドウの自生していた畦脇の水田の表面には、タヌキの足跡がいくつもついていた。あまり水田の中には入らず、畦と水田の際を歩いているようだ。カエルでも探しながら歩いていたのだろうか。そのうちのいくつかの足跡は、僕がここに来る少し前のものかと思わせるほど新しいようだった。Photo:2009/05/05 @滋賀県日野町

2009年5月5日火曜日

第七十九夜/ハルリンドウ

 滋賀県日野町の谷戸に水生昆虫を見に行く。田んぼに水が引かれたばかりでめぼしいものは見当たらない。きれいに刈り込まれた畦に無数のハルリンドウの鮮やかなブルーの小花が咲き始めていた。場所的には足の踏み場も無いほど見事な群落。小雨の降り始めた谷戸で足下のハルリンドウと頭上でさえずるキビタキ(小鳥)のさえずりに時間を忘れる。【2009/05/05】Photo:@滋賀県日野町

2009年5月4日月曜日

第七十八夜/ヤマトシジミ

 水田にもすっかり水が引かれ、田植えが盛ん。「減農薬云々」と表示された水田にもいくつか印象深い風景が見られた。一つは、きれいに刈り込まれた畦を持つ田んぼ、もう一つは、まっ茶色の畦に囲まれた田んぼ。後者の田んぼの畦はたっぷりと除草剤がまかれたことを物語。そんな畦に一頭の白っぽいシジミチョウを見つける。最初はなにか判らなかったが、やがてヤマトシジミと判った。街中のアスファルトのすき間に生きるカタバミ(ヤマトシジミの食草)で良く目にするチョウもこんな場所では、ちょっと違うものに見えてしまった。【2009/05/04】Photo:黄色の花は、コメツブツメクサ(帰化植物)@滋賀県近江八幡市北之庄

2009年5月3日日曜日

第七十七夜/アオスジアゲハ

 道を歩いていると歩道に一匹のアオスジアゲハが止まっていた。「?」普通では歩道でこのように翅を広げて休む蝶ではない。注意深く遠くから一枚写真を撮る。なおも近づき今度は近くから一枚。「?」ちょっと様子がおかしい。なんとこの蝶死んだばかりのようで、拾い上げると体はまだ柔らかい。翅にも体にも一つの傷も無くとても美しい。今の時期だと昨年秋に蛹になり、羽化したばかりの個体(春型)のはず、なにがあったか判らないが、やっと羽化したばかりなのにちょっと悲しい。Photo : 2009/05/03 @滋賀県近江八幡市

2009年5月2日土曜日

第七十六夜/早春の蝶・コツバメ


 ミヤマセセリと同様に早春の一時期だけ雑木林に現れるシジミチョウの仲間・コツバメ。ミヤマセセリとよく似た環境にいるのでいつもセットで現れる。翅の模様・色彩もミヤマセセリになんとなく似ている。(ただし翅表は黒地に藍色)早春の寒い時期に現れる蝶の特徴として体を効率よく温めるため陽光が全面に当たる様に体を傾けている。幼虫は、ツツジ類やバラ類の花・実を食べて育つ。止まっているのは野バラの新芽。【2009/04/29】Photo:@長野県姨捨山(冠着山)

2009年5月1日金曜日

第七十五夜/早春の蝶・ミヤマセセリ


 早春の山に行くとおなじみの蝶に会えた。翅の裏も表も地味で色味に欠けるがなんとも味があり好きな蝶だ。このミヤマセセリは、一年でも春一番先、雑木の新芽が吹き出す前にだけ現れる。陽があたると地表近くを活発に飛ぶが、いったん日が陰ると枯れ葉の間に身をひそめ、翅の模様が保護色なり見つけることは出来ない。成虫はまだ芽吹いていないコナラやクヌギの新芽に産卵する。幼虫は新芽が出すころ孵化しゆっくりと成長、晩秋に地表面に降り、枯れ葉を綴って冬を越し、そのままの状態で春を向え蛹になり羽化する。
【2009/04/29日】Photo:ミヤマセセリ♂ @長野県姨捨山(冠着山)

2009年4月23日木曜日

第七十四夜/エナガの巣

仕事の下見で滋賀県近江八幡市の八幡山(標高271.1m)に登る。下りの雑木林の中で同行のNさんがコンクリート製の休憩所の屋根の上に「羽の塊」を見つける。鳥の死骸か? なぜか運良く、傍らに錆びた脚立が・・・こうなれば手に取って見るしか無い。屋根に上がってみるとそれは苔と(鳥の)羽の塊だった。手に取ると驚くほど温かい(と感じた)。ひと言で言えば「苔に覆われた羽布団が爆発した感じ」。その大きさと巣材から考えると「エナガの巣」に間違いないと思う。巣材の羽を見ると、キジバト、アオバト、スズメ、アオサギ、カモ類・・・と判る、多分十数種類の鳥の羽が混じっていると思う。(全て並べて種類を調べてみる予定)それにしても小さなエナガが良くこれだけの羽を集めたのかと感心した。【2009/04/23】Photo:@滋賀県近江八幡市八幡山

2009年4月21日火曜日

第七十三夜/オドリコソウ


 今日は小雨の中、京都御苑を歩く。野鳥は、スズメ、シジュウカラ、コゲラ、メジロ、ハシブトガラス、キジバト、ドバト、ムクドリ、ヒヨドリ、ビンズイ、イカル、シメなどいつもの顔ぶれ。ただし特記としてアカハラ、コマドリが見れた。両者、大きさの差はあるが同じツグミ科の仲間、胸羽が赤いところも似ているのが面白い。コマドリはカメラ視線でバードバスに来て、多くのカメラマンに囲まれていた。一方、アカハラは一羽でしきりに枝垂桜の下で落葉をかき分け、時折なにかをついばんでいた。アカハラが落葉かきをしていた場所で同じ様にしてみたけれどアリぐらいしか見当たらなかった。はたしてアリを食べていたのだろうか?

 公園協会のSさんにオドリコソウの群落を見せて頂く。草地でおなじみのヒメオドリコソウに比べ草丈も高く、花も一回り大きな感じがする。ケヤキの林床に群落を作っているためかヒメオドリコソウのような暑苦しさはない。ここでは、白花と薄いピンクのものが見れた。【2009/04/21】Photo:@京都御苑

2009年4月13日月曜日

第七十二夜/ヒゲナガカワトビケラ


 夜、鴨川の端にある地下鉄の出入口のライトにたくさんの虫が集っていた。これは子どもの頃、鴨川や疎水に魚釣りで昼夜を問わずいつも現地調達できた生き餌だった。当時、現地で魚釣りをしていたおじさん達はこれを「チョウ」と呼ぶと教えたくれた、しかしチョウと言うよりも一見蛾のようである。この昆虫、蝶でも蛾でもない。本名を「ヒゲナガカワトビケラ」と言う。確かに名前の通りヒゲ(触角)が長く、体長以上の長さを持っている。この虫の幼虫は、川底の小石の間に糸で網(巣)を張りそこにかかる落ち葉や藻、昆虫を食べていると言う。この幼虫も成虫同様、いい釣り餌に使える。さらにこの仲間の幼虫は人間も食べ(つまり食用)、長野県伊那谷では「ざざむし」と呼ばれ主に佃煮や揚げ物などにして珍味として売っている。佃煮加工後は見た目ゼンマイかワラビの様ではあるが、生きている状態を知ってる僕は食べる気にはなれない(というのが正直なところ)。
【2009/04/12】Photo:@川端丸太町地下鉄出入口、京都

2009年4月10日金曜日

第七十一夜/コサギ


 芦屋川(兵庫県)にかかる橋の上から川面をみると、一羽のコサギがしきりに魚を捕っていた。川中に立ち黄色い足先で川底を泥を上げない様に注意深く掻いている。踊りのドジョウすくいの時の足の動きにも似ている。時々、小魚が飛出しサギのつくる影に逃げ込むようだ。狙いを定め、水中にクチバシを差し入れる。小魚が逃げれば、早足で追いかける。見ていると飽きない。さて、彼らのお腹を満たすためには一日どれぐらいの魚が必要なのか? 
写真上:足先で川底を「サッサッサ・・」と小刻みに掻き、小魚が飛出すのを待つ。写真下:飛出した獲物を見定め「ズバッ」と水中に頭を突っ込む。【2009/04/10】@芦屋川

第七十夜/テングチョウ

 今日はとても暖かな一日だった、京都御苑を散歩。キチョウ、ツマキチョウ、ムラサキシジミ、ルリタテハ、キタテハ、ヒオドシチョウなどの越冬を終えたチョウをずいぶん見る事が出来た。このテングチョウ(天狗蝶)も越冬を終えて元気に飛び回っていた。地味ながらなかなか愛嬌のあるチョウだ。幼虫はエノキの葉を食べる。【2009/04/09】Photo:@京都御苑・母と子の森

2009年2月27日金曜日

第六十九夜 道でシジュウカラを拾う


 自宅近くの路地で一羽のシジュウカラが死んでいた。羽やクチバシや脚に汚れたところも無く,とても美しい個体だった。健康な個体そのもののように思われた。死因は判らない(解剖すればだいたいの見当はつくのだが)が,建物の窓に追突したように思われた。路上から小鳥を拾い上げ,小鳥の軽さに驚き,そして手にした羽の美しさに見とれたのだった。すぐそばに小学校の道路脇花壇があったので植え込みの中においた。【2009/02/26】Photo:@京都市左京区岡崎

2009年2月24日火曜日

第六十八夜 冬のニホンミツバチ

 仕事の出張先で以前から観察をしているニホンミツバチの巣を見に行く。霊園の中にある一本のヒノキのウロに営巣して5年ほど経つ。人通りの多いところではないが,通常は危険と思われすぐに撤去されてしまう。そこで「ここに巣をつくるミツバチはニホンミツバチです。いたずらしないかぎり刺す事はありません。見守ってやって下さい。」と張り紙をした。実際にとてもおとなしく,この巣の写真を何度も撮った時も,巣の入口に止まっているハチを指で触った事も刺される事は無かった。(でも真似はしないでください)もちろんこの件は霊園管理事務所にも伝え,巣の保護をお願いした。効果があったのか一度の苦情も無く,撤去される事も無く営巣している。今日はその木のウロの下に一片の巣が落ちていた。拾い上げると一匹のニホンミツバチが止まっている。巣には冬の蓄えの蜜はなく,空っぽだったのでこのままで越冬出来るかは確かではないが,巣をウロの奥に入れておいた。暖かな日には梅花の蜜を求めて飛ぶと思う。もうすぐ春だ頑張れ。【2009/02/23】
Photo:2009/02/23 @谷中霊園,東京都台東区

2009年2月13日金曜日

第六十七夜/砂玉のまち



 熱帯雨林の森を後に街に戻る。砂浜に行くと無数の砂団子があった。直径5〜10mm程度。だいたい中心には砂団子の2倍ぐらいのサイズの穴がある。これはカニの巣穴だ。なぜ砂玉が出来るのか。これはカニが昼間に潮が引くと巣穴から砂をかき出しながら現れ、活動を始める。カニは掘り出した砂を団子状にして外に捨てる。これを繰り返したため、巣穴の周りには小さな砂団子が放射状に多数残される。よく見ると巣穴に近い砂団子ほど乾燥して,遠くのものほど湿っている。つまり穴に近い場所から砂団子を捨て始めるようだ。砂団子の間の通路には細かなカニの足跡が残っていた。砂団子の大きさの違いは,カニの大きさの違い。カニが運び出す砂団子を見ているとそれぞれの力関係も判るようだった。
カニは砂の中の有機物やプランクトンを鋏脚でつまんで口に入れ、食物を濾した残りの砂は口の上部に丸く固め、鋏脚で切り取って足元に捨てる。食べかすも砂団子になる。
体表の模様は砂浜に紛れる保護色となり、遠目には砂の塊が動いているようにも見える。砂面に目が慣れて来ると巣穴に逃げ込むカニが判る。中には他の個体の巣穴に逃げ込んで巣穴の主に追い出され、逃げまどうものもいる。歩くと地面に伝わる振動でカニが隠れなかなか見れないが,巣穴の横で動かずに待っていると数分で姿を現した。
砂団子をいくつかの巣穴に転がすと,それぞれいくつもいくつも転がり落ちていった。ただし,どの巣穴もいくつか入れたところでそれ以上は落ちなくなる。2つのシーンが想像できた。一つ目はまっすぐに掘られた穴も途中で横に曲がっている。二つ目は穴の途中にいるカニに砂団子が引っかかってしまった。どちらもカニにとっては迷惑な話しだ。
砂浜に広がる砂団子を見ていると,飛行機から見た時の住宅地や街のようでも,里山と谷戸地形のようでもあった。これがカニ達とっての街そのものなんだろうなと思った。ちなみにこの砂玉のまちは,満ち潮が来ると全てなくなり,引き潮になるとカニ達が再び同じ作業を繰り返す。【2009/02/13】

Photo(上):砂浜に広がる砂団子,飛行機から見る里山の地形に似ている。Photo(中):巣穴から放射状に広がる砂団子。Photo(下):静かに待っているとカニが姿を現した(コメツキガニの仲間と思う)。@Tanjung Aru, Kota Kinabalu, Malaysia. 2009/01/21

2009年2月12日木曜日

第六十六夜/タテハチョウの一種

 
 ブルネイの熱帯雨林の森で粘りにねばって撮れたタテハチョウの一種(Terinos clarissa ♂)。この蝶もなかなか止まらない,風の向きや光の方角を考え慎重に近づくがあと少しと言うところで必ず逃げられてしまった。しかも,決して遠くには逃げず,すぐに戻って来る。これにはなんとも悔しい。この機会を逃せばもう会えないかもしれない。こんな時はじたばた動かず,蝶が戻って来るのを待つ方が良い。そしてやってきたらゆっくり,時にはすばやく近づいて撮る。今回も最後はいつもの様に地面に腹這いになってなんとか撮れた。お腹の下にはアリの行列。これには近くで見ていたガイドも笑ってた。端から見れば面白いに違いない。【2009/02/12】
Photo(上):翅の裏はオレンジ色の地色に銀色の縞模様。Photo(下):翅を広げると全体は黒に近い濃紺色,後翅の一部に鮮やかなオレンジ色がきれいだった。翅には傷の一つもない,羽化したての個体のようだった。@Temburong River,Batang Duri. Brunei 2009/01/17

2009年2月11日水曜日

第六十五夜/朽木に見つけた甲虫

 テレビで見る熱帯雨林には,非常にたくさんの生きものが映し出される。しかし実際に森を歩いてみると意外と昆虫には出会えないものである。今回,甲虫で一番大きかったものがこの朽木に止まる虫。名前は判らない,体長4.5cmぐらい,光沢のある体にオレンジ色の斑紋がきれいだった。これはオオキノコムシの仲間か。朽木に発生したオレンジ色の菌類を食べているようだった。つまみ上げてみると動きは鈍い,指先にかすかな臭みが残った。【2009/02/11】@Batang Duri. Brunei 2009/01/17

2009年2月10日火曜日

第六十四夜/ウラナミジャノメの仲間

 森のテントの周りをしきりに飛び回っているウラナミジャノメ(ジャノメチョウの仲間)が一頭。写真を撮ろうと近づくと逃げられてしまう。そこでいつもの様に観察してみるとある一定の場所を回っている事が判った。お目当ては,葉っぱの上の水滴らしい。この手の仲間は,花になんか来ない。腐った果実なんかが大好物。このチョウを引きつけている葉っぱの水滴は何だろうか,葉っぱに止まりしきりに吸っていた。さて,このチョウの名前をガイドに聞いてみた。答えは「クプクプ」(マレー語で蝶の意味)。違うチョウの名前を聞いてみた。こちらも「クプクプ」。どのチョウもみんな「クプクプ」なのだ。つまり生活にあまり役に立たないものに関しては固有の名前はつかない。せいぜいついて「クプクプ・メラ」程度である。これは「赤いチョウ」の意味。翅が赤ければみんな「クプクプ・メラ」になってしまう。白い蝶の場合は「クプクプ・プティ」。そうだ唯一,彼らが知っている蝶の名前があった。現地で「Rajah Brooke's 」ラジャ・ブルックスと呼ばれる大型のアゲハチョウである。(学名:Trogonoptera brookiana 和名:アカエリトリバネアゲハ)名前は19世紀のマレイシア・サラワク王国初代白人藩王(ラージャ)だったジェームズ・ブルック卿に献名された学名より。ガイド達がこのアゲハチョウの名を知っているのは土産物売り場で展翅されたものが売っているからである。今回は3度,遠くを飛び去る姿を見た。【2009/02/09】

Photo:葉上の水滴を吸うウラナミジャノメの一種 @Batang Duri. Brunei 2009/01/17

2009年2月8日日曜日

第六十三夜/電灯に来たハンミョウ

 夜の電灯にはいろいろな生きものが集る。昼間の森をどれだけ歩いても出会えない昆虫もやって来る。この夜,雨に中を電灯にやってきたのはハンミョウ(体長20mmぐらい)。英語では「Tiger beetle」と呼ばれる。素早く走り回り、獲物を捕まえる姿がネコ科の動物に似ていることからそう呼ばれるようになったらしい。灯火に来た個体は,日本のニワハンミョウに似るが翅の斑紋が赤い(日本のものは白い斑紋)。昼間の森を歩いても見る事はなかった。しかもこの一頭も写真を撮った後,どこかに飛び去ってしまった。熱帯の森に住む生きものは,種の多様性に富むが,その種毎の個体数はけっして多くはない。いつも一期一会なのだ,今度いつ会える? さて,気になる種名だが,東南アジアには500種類以上のハンミョウが分布しており,アフリカ、中米に並んでハンミョウの種類が多いエリアと言う。満足な図鑑はないので種名を知るにはかなり難しそうだが,会えただけで満足である。【2009/02/08】
Photo:電気にやってきたハンミョウの一種(種は不明) @Batang Duri. Brunei 2009/01/17

2009年2月7日土曜日

第六十二夜/極細の脚のカワトンボ

 森の細流を歩くと川面にぴかりぴかりと金属的な緑色の昆虫が飛び逃げる。小さなカワトンボの仲間だが,どうしても写真に撮れない。そんな中やっと撮れたカワトンボの一枚。残念ながら先の金属色に輝くカワトンボではない,しかしなかなかきれいな姿をしている。熱帯の森の林縁は,太陽光の当たる場所と日陰との陰影のコントラストが強く,そんな環境の中を飛ばれると,本当に居場所が判らなくなる。マレイシアには,マレーバクと言うパンダ柄(白黒)のユニークなほ乳類がいる。動物園で見るとその体色で居場所がすぐに判ってしまうが,そのはっきりと分かれた白黒の体色も陰影の強い川岸の風景にまぎれると言う。だから白黒もりっぱな保護色なのだ。金属色の羽色を持つトンボも同じ。きらびやかな翅も止まっている時は黒く見え,飛び始めると川面には反射する陽光や水の流れにまぎれてしまう。【2009/02/07】
Photo:川岸に休むカワトンボの一種,緑色の体色に極細の脚がとても美しい @Batang Duri. Brunei 2009/01/17

2009年2月6日金曜日

第六十一夜/食べて理解・熱帯魚のフライ

 森歩きのガイドが夕食を獲りに行こうと言う・・・といっても場所はテントのそばを流れる川である。道具は,釣針,オモリ,テグスである。餌はその辺りの地面を掘ればいくらでもいるミミズ。川岸から餌をつけた仕掛けを川に適当に投げ入れ,当りを待つ。今日は釣果が良くないらしい。連日の雨で川が濁り,水温も下がっているのが原因か。さすがのガイドの仕掛けにもなかなか当りがこない。粘りに粘り小一時間かかってなんとか自分の食いぶち分の魚をそれぞれ上げた,といってもみんな小物ばかり。釣果はオイカワのような銀色のきれいな魚1匹(20cmぐらい),小さなナマズ1匹,スパイニール(ウナギを平たくした様な魚=熱帯魚店で見た記憶がある)が数匹。僕は小ナマズと小スパイニール。そして最後に尺物スパイニールを落としてしまった。逃げたサカナは大きい。あげくのはて,大切な針を川底に引っ掻け,糸を切ってしまった。結局,時間も道具も失ってしまった。魚の写真を撮ろうと思い,小屋に戻ると既に時遅し,フライなって皿に盛られていた。熱帯魚店で人気のスパイニールは小骨が多く,しかもむちゃくちゃ硬く味なんてもんじゃなかった。釣れない,食えない,撮れないの三重苦だった。但しこの日の夕食は,シダ類の新芽(現地名:キパス,近くの草むらでいくらでも採れた)の炒め物に魚のフライ,そしてチキンカレーとご飯,けっこう多彩なメニュー。全て現地調達の食材だった。そんな訳で今夜は生きものならぬ「あげ物」の話しとなってしまった。生きものを知るためには食べてみる事も大切だ。【2009/02/05】
Photo:中央で姿をとどめているのがオイカワ形のサカナ,周りでバラバラになっているのがスパイニール。@Batang Duri. Brunei 2009/01/17

2009年2月5日木曜日

第六十夜/夜活動するスズメバチ

 森の夜,近くの小屋でハチを見つける。ハチは一般的には昼行性なので気になった。日本のアシナガバチの様に寝てはいない。大きさは日本のアシナガバチを少し大きくした程度(体長25mmぐらい)。活動していたのでいたずらは止した,こんなところで刺されでもしたら大変。写真をもとに調べてみると「オオヤミスズメバチ(Provespa noctarna)」の仲間のようだ。夜行性のハチの特徴として,目が大きく,体の色が淡いなどの共通した特徴があるらしい。【2009/02/05】Photo:@Batang Duri. Brunei 2009/01/17

2009年2月4日水曜日

第五十九夜/アリとシロアリ

 熱帯雨林の夜は,想像以上に騒々しい。日本の森とはケタ違い。これも生物多様性の森のなせる技か。森の我が家・テントの中で横になっていると,すぐ脇から,時には遠くの森から,コオロギやキリギリス,セミ,カエル,鳥,鹿の声をはじめ,何かが地面の落葉を踏む音,川の音,高い樹々の葉に溜まった雨水が地面に落ちる音,などが夕暮れと共に夜明けまで止む事なく続いた。生きもの達の鳴き声は時間と共に内容が変わっていった。時々,近くのロングハウスから犬や鶏の声も聴こえる。朝起きてみると昨夜,ライトに集って来たシロアリ(羽蟻)を小さなアリ(体長3mmぐらい)が襲っていた。アリよりもはるかに大きなシロアリはすぐに逃げられそうに思うのだが,そうではなさそうで,次々に襲わればらばらにされて運ばれていた。【2009/02/04】Photo:小さなアリの集団に襲われた羽蟻(シロアリ)。@Batang Duri. Brunei 2009/01/17 

2009年2月3日火曜日

第五十八夜/蜜を吸う鳥

 ブルネイの街中の花灌木で小さな鳥が吸蜜していた。大きさは日本のメジロより一回り小さく,スリムにした感じ,湾曲した細いクチバシと三色の羽色が特徴。英名:Olive-Backed Sunbird  和名:キバラタイヨウチョウ 学名:Nectarinia jugularis . 英名では「背中のオリーブ色」を特徴として,和名では「腹部の黄色」を特徴としているのが面白い。でも実際は顔から胸にかけての光沢のある紺色と腹部の黄色が目立つ。花はIxora(和名:サンタンカ).【2009/02/03】Photo:@B.S.B, BRUNEI 2009/01/15