2008年9月15日月曜日

第十二夜/窮蛇毒を吐く・ヤマカガシ

秋になると多くの生きものたちは冬の準備に入る。特に越冬する生きものは今の時期たっぷりと食べておかないといけない。秋には虫も増える、それをカエルやトカゲが狙ってる、その背後ではヘビが彼らを狙ってる。今回は今の時期、田んぼの周りで良く見かける蛇の話し。ヤマカガシという小ぶりで、きれいで、おとなしい蛇。ちょうど後頭部から顎下にかけて黄色い模様が特徴。普段はおとなしいが、ちょっかいを出すと首の辺りの黄色い部分を膨らませる。これは「警告色」ここを注意しろよと言ってる。実はこの蛇は猛毒を持っている。毒牙は口の奥にあるのでよほど深く噛まれない限り問題でないと言われるが危険度は変わらない。それ以外にも首から顎にかけての皮膚から毒を出す、猟犬がこの部分を噛んでたびたび昇天する事故があると言う。さらに怖いのは危険が迫ると口から相手の目をめがけて毒液を飛ばすという離れ業も持ってる。写真を撮った時も、首周りを一段と膨らませた後は鎌首を持ち上げた。くわばらくわばら。これ以上の接写は避けよう。「窮蛇毒を吐く」だ。出会う機会もマムシよりずっと多い。きれいな蛇にも毒があるので注意が必要。
  数年前、児童館に勤める友人が「子ども達ときれいな蛇採ってきたので飼い方を教えて」と頼まれて言ってみると、水槽にこの蛇の子どもが2匹入っている。沢山の子ども達が水槽を囲んで見ていた。生まれてさほど日が経っていないのだろうか、体長は割りばしよりも少し長いぐらい、とは言え万が一子ども達が蛇を持った手で目でもこすったら失明しかねない。説明をすると児童館職員である彼は驚いた「今から裏の草むらに逃がしたい」。しかしそれはあまりに勝手過ぎ、採ってきた人間の責任上、週末を待って元いた場所に放すようお願いした。子ども達には、このきれいで愛らしいベビー蛇を飼ってみたい気持は理解出来るが、餌の問題(小さなカエルは手に入らない)と毒蛇と言う二つのことを説明し、諦めてもらうしかなかった。人間の子ども達と子ヘビにとって少し騒がしくも、貴重な数日間の交流体験でした。【2008/09/15】
Photo下:上から見ると首筋の膨らみが判る。(2007年9月@新潟・川西町)

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