2008年9月4日木曜日

第四夜/オオスズメバチ



ニュースを見ていると、「9月3日、新潟県小千谷市の寺が全焼・スズメバチの逆襲」とあった。原因は「住職がスズメバチの巣を焼き払おうとし、竹の棒の先に火を付け、寺の食堂の押し入れ内にあったスズメバチの巣を焼き払おうとした。しかし、スズメバチの逆襲に遭い、火が付いたままの棒をその場に投げ捨てて避難。その間に火が寺に燃え移った。」という。なんとも笑えない話だ。さてこのスズメバチ、身近な昆虫の中では圧倒的な力を持っている。あくまでも肉食(でも樹液は大好き)、破壊的で、防衛的で、見るからに恐ろしい。巣も地中から、崖、樹上、軒下、天井裏と雨をしのげる場所なら何処にでも造る。なるべく関りたくない、いや絶対に関りたくない。しかし、こんな昆虫も自然界の中で捕食者として他の昆虫が増えることを調整している。また死んだ後は、他の昆虫の栄養源ともなる。ここに正しい命の循環がある。一方、人間によって薬剤で個体群とその巣を破壊されることは、ハチにとって壊滅的なダメージを受けてしまう。このような形で自然のなかでの大きな役割を担っているハチが不在になることはどこかでバランスを失うことに他ならない。例えば、農作物に害を与える昆虫の増加などの影響が出ているはずである。やはり僕たちは蜂たちのことをもう少し知る必要がある。人間がいたずらに刺激しなければ、彼らだって決して攻撃することはないからだ。彼らも無駄な戦いは避けたい。なぜなら自然の中では成虫までなるのに大変なコストがかかっている、そのものを失うことは個体にとっても、群れにとっても大変に不経済な行為だからだ。彼らの戦いはあくまでも、食料を得るため、自分自身もしくは巣を守る時にだけにされる。
Photo上:草むらで餌を探す個体(オオスズメバチ)。飛んでいるときは空気抵抗を減らすために体に脚を密着させている、触覚(アンテナ)はピンと前方を向いている. なかなか愛嬌がある。
Photo下:死んでアリに運ばれる個体。よく見ると戦いに敗れたのか毒針が出たままだった。【2008/09/04】

0 件のコメント: