2008年9月17日水曜日

第十四夜/草地に紅一点・ベニシジミ

キアゲハに続いて今夜はベニシジミ。このチョウも日本列島の山地平地を問わずにどこでも見られる。あまりに普通に見ることができるので他の虫なら気にも止めないが、このチョウの場合つい立ち止まってしまうほどなかなか可愛い。緑の草むらの中でも紅色が映える。生きものの写真を撮っていると雑誌であろうと電車の吊り広告やポスターであろうとそこに生きものが写っていると気になって仕方が無い。そんな写真をじっくり観察しているといろいろな場面が見えてくる。写真の背景、写真家の息づかいまでもが伝わってくる。しかし最悪なのは、捕まえた虫を花や葉っぱにとまらせて(置いて)撮った写真。だいたいそんな写真はごまかしを隠すために上からべったーと撮っている。見分けるためにいくつかポイントがある。例えば生きているチョウの正しい姿勢の特徴は、触覚がピンと上を向き、ちゃんと体が脚で支えられている。目が生き生きとして姿勢がいい。これは翅がぼろぼろになってとしても同じ。今までで一番最悪だったのは背中のまん中に虫ピンを抜いた孔があった(これは大胆にも標本を花において撮っている)。こんなのもあった、翅に指でつまんだ跡(鱗粉が指紋でとれていた)が残っている。半殺しのチョウを絶対に来そうにない花の上にとまらせたものもあった。(こんなふうに写真を見るのも普通じゃないと思うが)こんな写真をみるととても不愉快である。最近では、パソコンで合成したものも少なくない。野生の昆虫と言うものは、どのようなものでも死んでしまうと驚くほど早くその美しさを失ってしまう。野生に生きてこそ魅力的なのだ。【2008/09/17】

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