2008年9月12日金曜日

第十夜/ヤモリのやっちゃん

道を歩いていると何かの視線・声を感じるときがある。それは鳥であったり、虫であったり、時には植物であったりする。たぶん知らず知らずのうちに自分も彼らを探しているのだろう。だから電車に乗っても車窓からいろいろな姿や声が伝わってくる。「絶対音感」があるように「絶対むし感」みないなもの?。今日の視線は桜の木からやってきた。桜の幹に開いたウロの中にはヤモリが一匹。見れば見るほど不思議な目でこちらを見ている。ウロの中のヤモリには写真を撮る外の僕がどんな風に見えるんだろう。かつて家の台所にヤモリが一匹棲みついていた。「やっちゃん」と名付けられたヤモリは炊飯器の底側が暖かいので一年中そこにいた。ある時、僕はそいつを捕まえて飼った。餌を沢山与えてるのに日ごとに痩せていった。悲しかった。ヤモリがどれだけの虫を毎日獲ってくれていたのか初めて知ったのだった。【2008/09/12】

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