2013年9月1日日曜日

第五百二十三夜/やむなく飼育、ムラサキツバメの蛹

 野外で昆虫の羽化のシーンを観察しようとしてもなかなか骨が折れる作業である。小さなシジミチョウともなると気が遠くなる、居所が判ってもまずタイミングが合わない・・・そこでどうするかと言えば、まず屋外で幼虫を探し、飼育し、蛹にして、羽化を待つのである。今回はムラサキツバメ(Narathura bazalus シジミチョウ科)の羽化シーンを見ようと思い、先日近くのフィールドから幼虫を1匹持ち帰った(写真上、背中にアリが集まっている、幼虫の下に見える2つの白点はふ化したあとの卵)。幼虫は元気に食樹(マテバシイ)の葉を食し、ようやく蛹に脱皮(蛹化)した。ムラサキツバメは蛹化する時に枝葉から地面近くに降り、樹皮や枯葉の中で蛹になる。同様に今回は飼育容器の底角で蛹化してしまった。仕方なく枯葉の上に移して写真を撮る。実際を知っている者にとって極めて不自然な蛹である。蛹は体長15mm、体幅7mm、体高5mmの「新ジャガ」のような体色である。蛹期は多分10〜12日程度、9月12日頃を羽化日と予想、体色の変化に注意すれば羽化を見逃す事は無い。楽しみである。もちろん成虫になればもとの場所に返す。きっとそこにも羽化したての個体が飛んでいるはずである。フィールドでの観察が大切であるが、飼育することでいくつかの興味深い事を発見することも出来る。Photo:2013/09/01 @黒谷、京都市

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