2013年9月9日月曜日

第五百三十夜/食痕、森の謎解き

 谷戸の先にある雑木林にて、コナラの切り株の上にカブトムシの残骸。前翅の数を数えるとちょうど3匹分、他に脚や頭もあった。全てお腹の部分が無い。前翅(堅翅)を見ると鳥のクチバシで刺したような痕跡がある。これは調理の時についた傷だろうか。森の誰かが食べた後であることは確かなようだ。近くの樹液に来ているカブトムシを獲り、この切り株の上で調理して食べたに違いない。他の切り株の上にも同じ状態の食痕があった。近くにはニホンザルのものらしき糞もあった。糞の中には木の実以外にコガネムシの緑色の翅も見える。時折、この森ではカケスを見かける。しかしサルを見たことは一度も無い。この食痕はカケスのものか、猿のものか、それとも他の動物のものか。動物達を直接見なくとも、彼らの残したメッセージは森のあらゆるところに隠されているに違いない。食痕、糞、体毛、足跡、そして体臭・・・昆虫なら小さな翅のかけら。森のなかで見つけるとなぜか嬉しくなる。小さなメッセージはパズルの一片の様なもので、これを見つけ組み立てる事でこの森の本当の姿が見えてくる。Photo:2013/09/08 @栗東、滋賀県

0 件のコメント: