2013年9月17日火曜日

第五百三十六夜/濁流を耐える魚

 台風は去ったのだが、川は相変わらずの濁流が続いている。水位はすこし下がったものの流れの強さはさほど変わらない。山から流れ出る水にいつもながら驚く。ヌートリアなどの陸上に避難できる生きものはよいとしても魚達にとってこの増水はどうだろうか。その岸辺に魚の様子を見てみた、階段状の護岸には、沢山の小魚(ほとんどがオイカワ)が打ち上げられて死んでいた。そばにはサギの足跡が多く残っている。足跡の周りには魚があまり残っていない。きっとサギ達はこのごちそうを知っていて狙っていたのだろう。川の中を見ると打ち上げられた数をはるかに越す小魚がうじゃうじゃ泳いでいる。しかし、元気なものもタモ網があれば容易にすくえる状態、さらに傷つき、弱りふらふらになって泳いでいるものも少なくなかった。この状況からは魚と言えども台風の大水を耐えるのは容易ではない事が判る。しかも流れが直線の都市河川では、わんどや淵のような隠れ場所、避難場所も無い。川岸には、コサギとアオサギ達が胸の辺りをパンパンにふくらせて休んでいる。ずいぶんと食べたようだ。少し下流の緑地で子育てをしているコサギにとって1週間ほどは獲物に困らないだろう。
 このような増水を見ると想い出す。小学生の頃、大雨の後には必ず岸辺に魚が集まってくるを誰もが知っていて、友達と誘いあわせてタモ網を持って魚取りに出かけた。時々、カメやオオサンショウウオなんかもゲットできた。だから危ないと思いながらも魚取りに夢中になった、幸いにも誰一人として流れに落ちることはなかった。しかし子どもの耳には悲しい事故の情報が入らなかっただけで、きっとどこかで水難はあったのだろう。幸か不幸か、今ではそんな子どもの姿は無くなってしまった。Photo:2013/09/17 @鴨川、京都市

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