2010年1月19日火曜日

第百八十五夜/モズ(百舌)

 町中ではなじみが薄いが、田舎や里山では代表格の野鳥.スズメを一回り大きくしたサイズで、体はがっちり、頭は少々大きめ、タカの様にするどく曲がったくちばしが特徴.憎たらしい顔つきながらもなかなかかわいい.じっとしている時も尾羽はリズミカルに上下左右に動いている.低い枝で周りを見渡しては、時折地面に降りてもとの枝に止まる.顔つきからもかいま見ることができるが、なかなか気が強く、昆虫、トカゲ、小さな蛇、小魚(どうやって穫るのか判らないが)、大物では小さな小鳥まで襲ってしまう.小鳥を襲う時は、相手の鳴きまねをして近くに止まり、相手が油断しているスキを狙って体全体で押さえ込んでしまう.鳴きまねが上手なことから漢字では、「百舌」と書いてモズと読む.体つきとこの性格から昔はタカの仲間にされていたと言う.Photo:モズ♀ 2010/01/19 @京都御苑、京都市

2010年1月16日土曜日

第百八十四夜/マミチャジナイ

 マミチャジナイ・・・おまじないみたいな名前の野鳥。「マミ」=眉、「チャ」=茶、「シナイ」=ツグミの古称。つまり「眉茶鶫」=「眉のある、茶色い、鶫(つぐみ)」ということになる。これだとなんとなく判る。この鳥は、シベリアから越冬のためにアジア地域に渡る途中で日本に立ち寄る「旅鳥」。西日本では少数が越冬するという。地面におりて昆虫類やミミズなどを捕食している。同じ仲間にシロハラ、アカハラ、ツグミ、マミジロ・・・なんてのがいるが知らなければこれらもおおよそ鳥の名前と思わない。Photo:2010/01/05 @京都御苑、京都市

2010年1月12日火曜日

第百八十三夜/ウラギンシジミの越冬


 昆虫は冬の間、いろいろな状態で越冬する。卵であったり、幼虫であったり、蛹(さなぎ)であったり、その種によって違う。成虫で越冬する昆虫もいる。成虫だからといって見つけやすいかというと、これが見つからない。むしろ、卵や幼虫や蛹の方が見つけやすい。食べている木や草の辺りを探せばいいから。写真のウラギンシジミというチョウは成虫で越冬する。今までその越冬成虫には出会ったことがなかった。二日前だった、これが思いも寄らない場所で見つけた・・・日当たり悪く(一日中日陰)、風も防げないようなシダの葉にぶら下がっている。飛んでいるうちに寒くなったのでそのまま越冬してしまった・・・という感じである。僕たち人間にとって冬越しというと暖かな南面を選びたくなるが、昆虫の世界ではそうでもないらしい。彼らにとって南側だと暖かいが、気温の変化が激しく(暖かくなると動いてしまう)、乾燥が避けられない。それよりも気温の変化が少なく、すこし湿った場所がいい。彼らにとって気温よりも湿度が大切なようである。Photo:ウラギンシジミ♂、2010/01/10 @吉田山、京都市

2010年1月11日月曜日

第百八十二夜/鴨川に現れたヌートリア


 昨年6月、鴨川で巨大ネズミ・ヌートリア(*1)を見かけた。その時は橋の上からで泳ぎ去る姿でおわった。今日は、まじかに見ることができた(胴長45cm、尾長30cmぐらい)。川の中洲の巣穴(3箇所ぐらい確認)から出てきたばかりのようで、軽く泳いだ後しきりに毛づくろをしている(写真上)。毛づくろいが終わるとお尻をたかだかと上げて・・・なんとおしっこだった(写真下)。写真を撮っていると後ろで、巨大ネズミに気づいた人がネコだ!、ビーバー?、カピパラがいる!・・・さまざまな声が聞こえていた。さすがに犬とはいわない、でも大きさは犬ほどもある。さてこのヌートリア、琵琶湖から宇治川・桂川経由でやって来たのか。淀川をさかのぼって来たのか。はたして一頭なのか。興味は尽きないのだ。
*1:原産地:南アメリカの中・南部(チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、ブラジル南部)。日本には1907年に上野動物園に初めて輸入された。その後、1939年(昭和14年)に軍用の毛皮獣として150頭が輸入された。第二次世界大戦中は、防寒用の毛皮を採り、肉は食用とするために多数飼育されたが、第二次世界大戦が終わると需要がなくなり、放逐されたり屠殺されたりした。生き残ったものが野生化し、各地で帰化した。毛皮はカワウソのように上質で、カワウソの毛皮と称して売買されたため、カワウソのスペイン語<ヌートリア>がまちがってこの動物の呼び名になったという。Photo:2010/01/11 @鴨川、二条大橋、京都市

2010年1月7日木曜日

第百八十一夜/ドングリを食べる鳩・アオバト

 今の季節、鳥達にとって餌を採るのにきびしい季節となる。あるものは木々の枝に残る実を食べ、またあるものは木々の間に隠れる昆虫を、落ち葉の下の土中にミミズを探す。そのような中でアラカシは毎年たくさんのどんぐりを実らせる。アラカシの木下に行けばいくらでもドングリが食べられる。しかし、なにぶん堅いので食べにくい、しかも渋味が強いので味も良くないと思う。そんなドングリを好んで食べる鳥がいる。ドバトのように明るい場所には姿を現さない森に住むアオバトである。写真のアオバトはドングリをそのまま呑み込んでいた。時々、ついばむが呑み込まずに捨てる・・・いまのドングリはゾウムシの仲間の幼虫が抜け出た孔があいているものが多い、そんな不良の実は食べないのかもしれない。たくさん落ちているものから選んで2個3個・・・5個見る見る間に胸の辺りがどんどんふくらむのが判る。ドングリを割らずにそのまま呑み込む、あの堅い実を消化できるなんてすごいなと思う。写真の個体は♀、♂は肩から背にかけて赤褐色の羽色となる。Photo:2010/01/06 @京都御苑、京都市

2010年1月6日水曜日

第百八十夜/冬のツバメ

 毎週火曜日に行っている生きものの定点調査の帰り道、前方に大型のツバメを発見。寒風がふく川の上を飛び交い空中の昆虫を食べているようだった。たえず3羽で川の上流から下流へ、低所から高所まで高速で飛び交っている。アマツバメの仲間であることは判るが、それにしてもこの時期に現れる種を知らない。Photo:2010/01/05 @鴨川・丸太町通り、京都市

2009年12月27日日曜日

第百七十九夜/セグロセキレイ

 胸を張って、尾っぽを上下に振りながら歩こう・・・八幡堀(近江八幡市)の川べりでそんなことをいいながら歩いていた鳥。セグロセキレイは日本固有種。似た仲間でハクセキレイという種がいるが名前に反して背中は黒い。2種の区別は、ほっぺたが白いのがハクセキレイ、ほっぺたが黒いのがセグロセキレイ。Photo:2009/12/27 @八幡堀、近江八幡市、滋賀県

2009年12月24日木曜日

第百七十八夜/イカル

今の季節、エノキやムクノキ林のなかからぱちぱちと音がすればきっとこの鳥が地面に落ちた実を食べている音。そんな時は梢から「キーコーキー・・・・」と面白いさえずりも聞こえているに違いない。スズメを一回り大きくしたサイズの鳥で、どこか文鳥に似ている。太いくちばしで堅い樹の実を割って食べる。Photo:2009/12/22 @京都御苑、京都市

2009年12月23日水曜日

第百七十七夜/ハヤブサ

林を歩くとぱちぱちとはっきりとした音が地面からする、イカルが地面に落ちた樹木の実をくちばしで割って食べる音だ。近づくと30羽ぐらいの群れがいっせいに飛び立ち近くの梢に移動する。梢をみるとシジュウカラやメジロが枝先にとまり昆虫を探す様子も見れた。しばらくすると梢の向こうに一羽のタカが滑空していた。とっさながらも写真を数枚撮ることができた。オオタカだろうと気にしなかった・・・しかしやはり気になる。オオタカと思いながらもやはりどこか違った。夜、写真を拡大して見るとそこに写っていたのはまぎれもないハヤブサだった。しまった、もう少しじっくり見ればよかった。Photo:2009/12/22 @京都御苑、京都市

2009年12月19日土曜日

第百七十六夜/風変わりなハチ

ハスの葉もすっかりしおれてしまって、枯れた茎にいくつもの茶色く変色した葉が垂れ下がる。この枯葉を眺めているうちに何かいそうだと直感した。早速、いくつもの葉の内側を見るとクモやクサカゲロウが見つかった。なかでも写真のヒメバチは大物だった。ヒメバチの仲間のコンボウアメバチ(コンボウアメバチ亜科
Gravenhorstini 族のなかの1種、詳しい種名は判らない)、体の形と色が面白い。詳しく同定するとなるとこの個体を専門家に見てもらう必要があるが、今回はアメバチがいることが判っただけで十分だ.虫を見つけるコツは、直感を大切に、そして先入観を捨てること。Photo:2009/12/16 @京都御苑、京都市

2009年12月3日木曜日

第百七十五夜/ゴマダラチョウの越冬

 昨日までの陽気が一変して冷たい雨の一日となった。モミジ、イチョウ、桜の色づいた葉がつぎつぎと落ちる。地面に黄色や紅の円形模様が現れる。エノキの葉もずいぶんと落ちている。そろそろ見れるだろうとエノキの根本の落葉をめくるとすぐに見つけることが出来た。頭に2本の角、背中には3対のトゲ状の突起物、これがゴマダラチョウの越冬幼虫。同じ場所に先週はまだ見つけることが出来なかった。Photo:2009/12/03 @京都御苑、京都市

2009年11月25日水曜日

第百七十四夜/リンゴドクガ

 「あんまり触ると・・ひどいことになるよ。背中の黄色い毛が見えないか!」判った判った、おっしゃる通りいたずらしません、触りません・・・とつい口に出てしまうほどの毛虫。でも一応、小枝で突っついてみよう。何事も試すことが肝心。すると、おおっやっぱり・・・尻部上方に赤い毛の束を上げ、4つの黄色の毛の束を盛り上げる、なんと黄色い毛の間に隠されていた黒い毛が現れ隠なかなか不気味! 黄と黒のストライプはやっぱり危険信号だ! 想像以上の反応だ。この体と反応の特徴ですぐにリンゴドクガであることが判った。名前にリンゴとつくがリンゴ以外にミズキやカシ類も食するらしい。この時はアラカシの食べていたようだ。Photo:2009/11/24 @京都御苑、京都市
 

2009年11月24日火曜日

第百七十三夜/シモフリスズメ

 週一回の定点観察調査で京都御苑を歩く、さすがに寒くなってから昆虫は少なくなってきた。すっかり冬支度かと思いきやまだ幼虫でクサギの葉を食べているのに出くわした。まるまると太った10cmほどもある大きなイモムシ。調べてみるとスズメガの仲間のシモフリスズメの終齢幼虫、緑の体には枯葉にも似た茶色の班が入っている。数日の間に地面に降り枯葉の中で蛹になるんだろう。写真は顔の前で、前脚を合せて拝む様にじっとしている幼虫。Photo:2009/11/24 @京都御苑、京都市

2009年11月23日月曜日

第百七十二夜/迷い鳩


 私用で三重県多度町に行く。ここは僕が小学校に入るまで育った場所、家の向うには木曽三川の揖斐川が流れる。昔、魚釣りをした小川を訪れるもすっかりその面影は無く、コンクリート3面張りの溝になっていた。そんな田んぼ道を歩いていると刈り取りの終わった稲の中で一羽のカモメ・・・カモメにしてはおかしな場所にいるもんだと思い眺めていると草むらから出て来てこれがハトだと初めて判った。そのぐらい体つきが大きく、しっかりしていた。双眼鏡で見ると脚環が見えた、青い環には細かな字が書かれている。明らかに伝書鳩(レース鳩)。通常ハトは群れで行動する、そのハトが単独で落ち穂をしきりに食べている・・・これはレースから脱落した個体か、迷子の個体に違いない。幸いにもケガや衰弱した様子は無く、元気に落ち穂を食べている。胸が落ち穂で膨らむのがレンズ越しに判る。よほどお腹がすいているだろう、レース鳩としてはちょっと情けない状況だが、さすがにその体つきはたくましい。家に戻って伝書鳩の情報を調べると数日前に岐阜から練習放鳥が行なわれた様だ。この場所だと岐阜にもとても近い、この練習放鳥の一羽かもしれない。お腹いっぱいになったら元気に自宅に向うことを願う・・・といってもこの辺りハヤブサの仲間がいたりしてけっこう危険だろうな。Photo:2009/11/23 @南之郷、多度町、三重県

2009年11月11日水曜日

第百七十一夜/セスジツユムシ

 朝もずいぶんと寒くなった、真っ赤なヤマボウシの落葉に一頭のセスジツユムシ(♀)。寒さの為に動きが鈍い。陽があたり体が暖まるまでにはもうしばらく時間がかかる。Photo:2009/11/10 @京都御苑、京都市

2009年11月10日火曜日

第百七十夜/背中にハートマークのカメムシ

 エサキモンキツノカメムシ・・・・・長い名前だな、12文字もある。昆虫学者・故江崎悌三博士が記載した、黄色い紋を付けたツノカメムシ(両方の肩が角状に張っている)の意味。背中の真ん中に薄黄色のハート型の紋が印象的で名前はともかく、この模様は忘れることはないだろう。さて、長い名前の虫を調べてみると、12文字程度なんてざらにいる。チョウなんかだと「リュウキュウウラナミジャノメ」、「カラフトタカネキマダラセセリ」が14文字、さらに15文字が「キマダラコシホソトガリヒメバチ」、「シラホシヒゲナガコバネカミキリ」、「クロズジュウジアトキリゴミムシ」など。ああっここに16文字がいた「アトグロジュウジアトキリゴミムシ」。長ければ長いほど身体の特徴を説明した名前になるな。そこで一番短い名前はなにだろうと考える・・・これは簡単、多分2文字の「ケラ」だろうな。Photo:2009/11/10 @京都御苑、京都市

2009年11月7日土曜日

第百六十九夜/カネタタキ

 日射しを受け、材木の上でカネタタキ(♂)が体を暖めていた。夏場には木の葉裏や込みいった枝の陰に身を寄せる昆虫も初冬の寒さの中では、その行動も変わってくるものだ。「♪♪チン・ チン・ チン」と鐘を叩いた様な音を出すことからカネタタキと名付けられた。鐘はカネでも鉦叩(かねたたき)と書き、ゴーンゴーンと鳴る除夜の鐘ではなく、仏前にある青銅のチーンと鳴る鉦(かね)。これでもコオロギの仲間、見ての通り♂の翅はとても小さく飛ばないと・・・本には書かれているが、実際には高いところから飛び降りときにはちゃんとはばたいている。(この状態を飛ぶとするには無理があるかな?)♀の翅は退化してしまって無い。写真を撮って気づいた、触角が体長よりもずいぶんと長いんだな・・・・。Photo:2009/11/04 @京都御苑

2009年11月6日金曜日

第百六十八夜/ジョウビタキ


 仕事で訪れた樹木園、後ろでコツコツという音がしたので振り返ると今降りたばかりの車のサイドミラーにジョウビタキ(♂)が体当たりしている。鏡に映る自分の姿を縄張りに進入した別の鳥と思い込んでいるようだ。ミラーの中に姿が無くなると落ち着き、再び自分の姿が映ると体当たりを繰り返す。見ている分には面白いが、後で「やられた!」と思った。このジョウビタキ自分の姿が映るミラーの上に止まり縄張りを見張っている・・・止まっている時に糞をする。しばらく経ってミラーを見ると糞で白く汚れている・・・汚れると姿が映らなくなるのでどこかへ飛んでいってしまう。樹木園のオーナーさん曰く「紋付(もんつき*1)はいつもミラーを糞だらけにするんですよ・・・」。
*1:この辺りでは、ジョウビタキを羽の白い紋の特徴から「紋付」と呼ぶらしい。Photo:2009/11/06 宝塚市兵庫県

2009年11月5日木曜日

第百六十七夜/ミルンヤンマ

 車で走っていると意外に目につく交通事故のムシ達。特にトンボは車のフロントガラスに当たることが多いようだ。今日も路面に大型のトンボ「ミルンヤンマ」が落ちていた。車を止め、路面から拾い上げ見ていると、死んでいると思っていたトンボがかすかに動き始めた。脳しんとうを起していたのだろうか、触れている間に徐々に脚や翅を動かし始め枝に止まることができる様になった。今日は気温も低く、これから暗くなるので飛ぶことができるかは判らないが、明日になれば再び飛べるかもしれない。和名と学名につけられたミルン「milnei」とは、明治時代に地質学と鉱山学を教えるために来日したイギリス人 Jone Milne 氏に献呈されたもの。Photo:2009/11/15 @近江今津、滋賀県

2009年11月4日水曜日

第百六十六夜/秋深まりてウラナミシジミあらわる

 木枯らし一号・・・やっぱり昨日は寒かった。庭のレモンの木のナガサキアゲハはなんとか蛹になったようだ。ただし居場所はもっか捜索中。今日、庭のセージの花にやってきたのはウラナミシジミ。このシジミチョウ、夏にはまったく姿を見せないのに秋が深まるにつれ目にすることが多い、個体数も増えてくる。普段は菜園なんかで豆科の植物の若い実を食べている。庭には卵を産むための豆は無いが、当分の間セージの花で蜜を吸うことができる。Photo:2009/11/04 @岡崎、京都市

2009年10月30日金曜日

第百六十五夜/ナガサキアゲハがやってきた−2

 ゆるゆるゆる・・とカタツムリの目の様な赤橙色の臭角を出すのはだれか?(写真上) その正体は昨日のナガサキアゲハの終齢幼虫でした。(写真下)アゲハチョウの仲間でも種類が違うと微妙に色も違います。ナミアゲハは黄色っぽく、クロアゲハはもっと紅色が濃いのです。匂いは臭いと最初感じるが、その臭味の中にやはり柑橘類の香りがする。臭角(しゅうかく)を出してからなおもつつくと、今度は頭を左右に揺らしながらイヤイヤをするような動きをする。Photo:2009/10/30 @岡崎、京都市

2009年10月29日木曜日

第百六十四夜/ナガサキアゲハがやってきた

 自宅の庭においてあるレモン(鉢植え)に待ち望んでいたナガサキアゲハがやってきた・・・といっても成虫は見ていない。レモンの実を栽培しているので薬剤は一切使っていない。そのレモンの葉にナガサキアゲハの幼虫(大きな方、奥の小さな幼虫はナミアゲハ)がついていたと言う訳である。毎日眺めていると同じアゲハの仲間でもアゲハチョウ(ナミアゲハ)やクロアゲハとは少し行動が違うようだ。アゲハチョウの幼虫が葉表にべたりと止まっている時も、こちらは大きな体を葉の重なっているところや葉裏にいつもいる・・・若齢幼虫では葉表に止まっているが、終齢幼虫では常に陰の様なところに止まっている。鳥等の捕食者から見つからないようにしているのかどうかは判らない。さて終齢幼虫も蛹への脱皮の頃になるとつぎつぎと姿を消していく、蛹になるために木から離れていくのだろう。このレモンは実を育てる為になるべく日当たりの良い場所に置いている、こんな場所にはクロアゲハな滅多にやって来ない。一般的に黒っぽい色のアゲハは日陰が好きなのだが、ナガサキアゲハが日当たりが好きなようだ。成虫も夏の炎天下、グランドの様な日当たりの良い場所を飛んでいる。(逆に言えば、日陰を飛ぶ黒いアゲハはクロアゲハ、炎天下を飛んでいる黒いアゲハはナガサキアゲハと思っていいだろう)成虫は、第十七夜、第九十二夜をご覧下さい。Photo:2009/10/29 @岡崎、京都市

2009年10月24日土曜日

第百六十三夜/ハクセキレイ

 夕方あぜ道を歩いていると、一羽のハクセキレイが水田の溝の横に止まり陽光に体をあたためていた。今日も一日終わった、これから秋が深まるにつれ日ごとに寒くなるな・・・さて、なんて思いながら仲間のいるねぐらに向うんだろうか。Photo:2009/10/22 @蓼科、長野

2009年10月23日金曜日

第百六十二夜/モンキチョウ

 仕事で長野県蓼科へ、休耕田を見て回っているとモンキチョウが異常に多い。牧草として蒔かれたアカツメグサを食草とするからだろう。モンキチョウが20m×20mの面積に100頭ぐらいは飛んでいたような畑もあった、これはちょっと異常な個体数だ。飛んでいる蝶を見ると黄色タイプと白色タイプがいる、この辺りでは多くの場合、白色タイプは♀。空中に停止する様に小刻みに羽ばたく1頭の♀の後ろを黄色の♂が同じく小刻みに羽ばたく場面が多く見られた、これは♂のプロポーズ。1つのペアが道路上に飛んで行った、♀が地面(右下)に止まり、♂(左上)がその回りを飛ぶ。このペアは上手くいくかなと思っていたら、彼らのところに猛スピードで軽トラがやってきた。幸い轢かれはしなかったが、軽トラの起した風でバラバラに飛び去ってしまった。Photo:2009/10/21 @蓼科、長野

2009年10月19日月曜日

第百六十一夜/カラスアゲハ

 写真は今夏のもの、クサギの蜜を吸うカラスアゲハ(♂)。後翅の尾状突起も完璧にそろっている、翅も新しい。このような個体はなかなか出会えない。♀の個体を待ってみたが全く来なかった。昆虫の世界では一般的に♂の出現が早く、次いで少し遅くなってから♀が現れる。だからモンキアゲハ(第百五十八夜)の様に♂はぼろぼろなのに♀は美しいことになる。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月16日金曜日

第百六十夜/オオスカシバの飛翔

 いつも眺めながら写真に撮りたいと思っていたハチドリの様に飛ぶオオスカシバ、思い続ければいつかはチャンスが来る。写真に撮ってみるとやはり虫らしくない。姿、色共にハチドリみたい、違うところは翅と脚の数、触角があること、クチバシが無いこと。目頭から目尻への黒線、緑の毛むくじゃらの体にえんじ色の腹巻き、ピンとのばした触角がかわいい。注:オオスカシバは2度目の登場、第百五夜をご覧下さい。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月15日木曜日

第百五十九夜/モンキアゲハ

 クサギの花は夏の数少ない蜜源植物、やって来たのはモンキアゲハ(♀)。僕たちが身近な環境で見ることのできる一番大きなチョウ。蜜を吸う姿は本当にきれいだ、こうやってみると脚がとても長いことに驚く。モンキアゲハは名前通り♂♀共に翅(後ろ)に黄色の大きな紋がある、♀は後ろ翅の赤い紋がよく発達している。昆虫採集に夢中だった子どもの頃、夏型の♀を展翅するためには特大の展翅板(翅を開いた標本を作るための道具)が必要だったことを想い出す。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月14日水曜日

第百五十八夜/モンキアゲハとアゲハチョウ

 今夏、クサギの花が満開の頃のこと。モンキアゲハ♂(左)が吸蜜にやってきたモンキアゲハ♀(右)にしきりにプロポーズしていた、当の♀はそんなことより花の蜜を吸うのに夢中。そこにやってきたのがアゲハチョウ♂(真ん中のチョウ)、2頭の大きなモンキアゲハの間に入り、♀にプロポーズ。アゲハチョウの♂の方が元気で素早いので翅がぼろぼろのモンキアゲハの♂は常にアゲハチョウの後ろ側。こんな状況がしばらく続いた、やがてモンキアゲハ♀が花から飛び去ると・・・後にアゲハチョウとモンキアゲハの2頭の♂が我さきにとモンキアゲハ♀を追いかけ去った。アゲハチョウ♂の左右の後翅の上部に黒い丸印が見える、これは夏型の♂の印。Photo:2009/08/29 @八幡山、近江八幡市

2009年10月13日火曜日

第百五十七夜/枯れ葉にまぎれる蝶・クロコノマチョウ

 樹林地の中を歩くと足元から黒い蝶が勢い良く飛び出る、少し飛んではまた地面に止まるが・・・どこに止まっているのかさっぱり判らない。またもや足元から飛び出る。しかも踏みそうになるぐらいの場所から。なんどか繰り返すうちにやっと居所がわかる。その正体は、クロコノマチョウ(漢字では「黒木ノ間蝶」と書くらしい)、翅の裏は見事に枯葉状の模様で地面にいる時はご覧の通り(写真上)。緑の葉に止まっていても枯葉がひっかかっている程度にしか見えない(写真下)。地味な蝶も翅表はきれいな赤褐色に目玉模様が並ぶ、裏面も光の具合で体周辺の細毛がほんのりと青く写ったのには驚いた(写真下)、これはなかなかきれいではないか。本来は南方系の蝶で、近年北へと生息域を拡げつつある。食草は、ススキ、ジュズダマなどのイネ科植物だから食うには困らないだろう。写真:秋型♂。Photo:2009/10/13 @京都御苑、京都市

第百五十六夜/森の糞虫・ミドリセンチコガネ

 里山遊びの準備で森のなかの広場の木屑を片付けたり、地面をいじっているとどこからともなく緑色に光るコガネムシが飛んできて、今しがたまで木屑で覆われていた地面を嬉しそうに歩き回っている。様子を見ていると何かを探しているらしい。この山にはシカやイノシシが沢山生息しているので普段はこれらの野生動物の糞を食べているはず、今日は何に反応してきたんだろうか。このきれいなコガネムシは、糞虫(動物の糞を食物としているコガネムシの仲間)で、種名はオオセンチコガネと言う。日本全国に広く分布するが、大きく分けて赤色、緑色、藍色の3つの色彩型に区別される。京都府から滋賀県にかけては主に緑色系が分布し、これはミドリセンチコガネと呼ばれている。この緑色タイプは遠くはなれて北海道の日高地方沿岸部などにも見ることができると言う。飛んできた個体を手に乗せて眺めていると本当にきれいな光沢をしていて、よく見ると僕のすぐ後ろの大きなコナラの樹形がコガネムシの背中に映っていた。今日はこのオオセンチコガネの他に、センチコガネも見ることができた。Photo:2009/10/12 @こんこん山、栗東市、滋賀県