2013年9月17日火曜日

第五百三十六夜/濁流を耐える魚

 台風は去ったのだが、川は相変わらずの濁流が続いている。水位はすこし下がったものの流れの強さはさほど変わらない。山から流れ出る水にいつもながら驚く。ヌートリアなどの陸上に避難できる生きものはよいとしても魚達にとってこの増水はどうだろうか。その岸辺に魚の様子を見てみた、階段状の護岸には、沢山の小魚(ほとんどがオイカワ)が打ち上げられて死んでいた。そばにはサギの足跡が多く残っている。足跡の周りには魚があまり残っていない。きっとサギ達はこのごちそうを知っていて狙っていたのだろう。川の中を見ると打ち上げられた数をはるかに越す小魚がうじゃうじゃ泳いでいる。しかし、元気なものもタモ網があれば容易にすくえる状態、さらに傷つき、弱りふらふらになって泳いでいるものも少なくなかった。この状況からは魚と言えども台風の大水を耐えるのは容易ではない事が判る。しかも流れが直線の都市河川では、わんどや淵のような隠れ場所、避難場所も無い。川岸には、コサギとアオサギ達が胸の辺りをパンパンにふくらせて休んでいる。ずいぶんと食べたようだ。少し下流の緑地で子育てをしているコサギにとって1週間ほどは獲物に困らないだろう。
 このような増水を見ると想い出す。小学生の頃、大雨の後には必ず岸辺に魚が集まってくるを誰もが知っていて、友達と誘いあわせてタモ網を持って魚取りに出かけた。時々、カメやオオサンショウウオなんかもゲットできた。だから危ないと思いながらも魚取りに夢中になった、幸いにも誰一人として流れに落ちることはなかった。しかし子どもの耳には悲しい事故の情報が入らなかっただけで、きっとどこかで水難はあったのだろう。幸か不幸か、今ではそんな子どもの姿は無くなってしまった。Photo:2013/09/17 @鴨川、京都市

2013年9月16日月曜日

第五百三十五夜/見物人とヌートリア


 台風一過、川岸にはいつにもまして増水した鴨川を一目見ようと沢山の散歩の人・・・濁流の川面の写真を撮っている。この「物見遊山」的な行動は、のんきなことのようだが一種の本能にある「危険回避」のためのものであるらしい。(こんな流れに落ちるとヤバいぞ・・・と言う訳である)そんな川岸に数人の人が「何か」を見ていた。野次馬で行ってみると、そこには1匹のヌートリア(Myocastor coypusが草陰で昼寝中。その表情には、洪水にも余裕の感じすらある。さすがに水辺に暮らす野生動物(ただし特定外来生物)。さすがにと言えども、昨年の台風12号では一家離散してしまった・・・やはり基本的には湿地や止水が生活域であり流水域の生きものではないことが判る。見物人達からは「あれなに?」という会話がしきり、多くの人はよくテレビで見るカピバラと思っているよう。まあっ同じげっ歯目(ネズミ目)だから、長いシッポが隠れていれば判らない。Photo:2013/09/16 @荒神橋、京都市

過去のヌートリアの話題:
第三百五十七夜 2012年6月24日 
第二百四十七夜 2010年9月24日
第百八十二夜  2010年1月11日 

2013年9月13日金曜日

第五百三十四夜/その名もエゴノキタケ

 なんだかエゴノキの元気が無いなと、見上げると枝に不思議なモノを見つける。熱帯の海にあるノウサンゴの様にも、大きなカイガラムシにも見えるが、キノコである事は間違いない。早速、キノコの先生に名前を教えて頂く。エゴノキの枯れ木に好んで生える、エゴノキタケ(Daedaleopsis styracinaだった、日本固有のキノコ(カイガラタケの仲間)と言う。なんとも判りやすい名前である。このエゴノキの樹勢のなさは、このキノコが付くことが原因ではなく、エゴノキの上部には大きな木が枝葉を茂らせている。この日照条件がエゴノキには適さず、枯死にいたる。そこにやって来たのがエゴノキタケである。キノコの少し右には、ハチだろうか、カミキリムシだろうか、すでに穴を開けてしまっている。この木が完全に枯れるのは時間の問題である。枯れた木を早く土に戻し、他の植物が吸収できる養分とするためにキノコの役割がある。それまでの少しの間もさまざまな生きものの食べ物や巣として利用される。自然の生き物はすべてつながっている。僕が観たいのはその繋がりなのである。Photo:2013/09/10  @京都御苑、京都市

2013年9月12日木曜日

第五百三十三夜/謎解き・翅の巻

 少し前である、糞虫研究者のT先生からメールで一枚の写真が届いた「これは何か?」と言うものだった。ご自宅の近くに落ちていたとのこと。
 さてここから謎解きである。これは簡単だった。まず鱗粉が付いた薄い翅であるから、蝶や蛾の仲間である。次に大きさは判らないが、黒い色で赤い斑紋があると言う事は、「黒い色のアゲハチョウの仲間」である可能性が高い。よく見れば翅の下側がびりびりと破れているところに少し白い斑紋が見える。その横にはオレンジ色に黒い目玉模様。今の時期にこの特徴を持つ種は、モンキアゲハとナガサキアゲハ、いずれも大型の黒いアゲハチョウ。写真の翅の上の波打つ部分が翅縁である、この部分にオレンジ色の小さな紋、この特徴は「ナガサキアゲハの♀の後翅」、しかも翅脈の出方を見ると裏返っているようなのでこの翅は「右後翅」。つまり答えは「ナガサキアゲハの♀の右後翅」となる。
 これからはまったく想像、上が外側(翅の縁)、下が内側(体側)。翅の外側(縁部)が鳥等につつかれ破れている(生きている)個体は多く見かける。捕食者は、翅の後の目玉模様を狙ってくるのでここが破れていることは多い。しかしこの翅の様に縁部が残り体側がギザギザに破れていると言うことは、体自体をくわえられ食べる前に要らない翅をむしり取った結果と思う。一枚の翅からいろいろな情景が見えて来る。Photo:2013/09/06 @京都市

2013年9月11日水曜日

第五百三十二夜/クモを狩るハチ

 地面を忙しそうに歩き回る狩蜂の仲間、キオビベッコウ(Batozonellus annulatusこのハチはクモを見つけると背中に針を刺し麻痺させ、その後地面に巣穴を掘り、クモを落し込む。クモの体に卵を産み付けた後、巣穴をふさぐ。巣穴の中では卵からかえった幼虫が、生きた蜘蛛を食べて育つ。なんともクモにとっては、不幸中の幸か眠っている間に食べられてしまうというワケである。地面を歩き回っていたキオビベッコウは、時折立ち止まっては頭を地面に押し付けていた。きっと既にクモを狩ったあとで、巣穴を掘るのに適した場所を探しているようだった。Photo:2013/09/08 @栗東、滋賀県

2013年9月10日火曜日

第五百三十一夜/ハラビロカマキリ

 草むらでこちらの様子を伺うハラビロカマキリ(Hierodula patellifera。こちらが前を通り過ぎると、顔をこちらに向け目で追うような仕草をする。その様子からそうとうに目がよく見えているらしいことが判る。カマキリの仲間は、触覚を立てたり、ねかせたり、頭をぐるりと回したり、かしげたり、体をゆらゆらと動かしたり・・・昆虫の中では表情の豊かさはダントツだと思う。Photo:2013/09/10 @京都御苑、京都市

2013年9月9日月曜日

第五百三十夜/食痕、森の謎解き

 谷戸の先にある雑木林にて、コナラの切り株の上にカブトムシの残骸。前翅の数を数えるとちょうど3匹分、他に脚や頭もあった。全てお腹の部分が無い。前翅(堅翅)を見ると鳥のクチバシで刺したような痕跡がある。これは調理の時についた傷だろうか。森の誰かが食べた後であることは確かなようだ。近くの樹液に来ているカブトムシを獲り、この切り株の上で調理して食べたに違いない。他の切り株の上にも同じ状態の食痕があった。近くにはニホンザルのものらしき糞もあった。糞の中には木の実以外にコガネムシの緑色の翅も見える。時折、この森ではカケスを見かける。しかしサルを見たことは一度も無い。この食痕はカケスのものか、猿のものか、それとも他の動物のものか。動物達を直接見なくとも、彼らの残したメッセージは森のあらゆるところに隠されているに違いない。食痕、糞、体毛、足跡、そして体臭・・・昆虫なら小さな翅のかけら。森のなかで見つけるとなぜか嬉しくなる。小さなメッセージはパズルの一片の様なもので、これを見つけ組み立てる事でこの森の本当の姿が見えてくる。Photo:2013/09/08 @栗東、滋賀県

2013年9月8日日曜日

第五百二十九夜/樹液にやって来たオオスズメバチ

 里山の林縁のコナラ(樹液)に来ているオオスズメバチ(Vespa mandarinia。数頭が仲良く樹液を吸っている。写真を撮るために近づくが少し頭を上げ、こちらを見るだけで、樹液を吸うことに集中している。大勢で観察するとこんな事は出来ないが、一人だとハチが他方から飛来してもその羽音で気付く、樹液に来ているハチだけ注意すればいいので比較的安全。時折、互いに口移しで樹液を与えていた。このコナラの樹液に来ているのは、同じ巣の仲間だけなのでハチ同士のトラブルは起こらない。しばらく観察しているとコナラから巣に戻る飛行コースと、ここにやって来る飛行コースが違うのが興味深い。Photo:2013/09/08 @栗東市、滋賀県

2013年9月7日土曜日

第五百二十八夜/食事に向かうカブトムシ

 里山の路沿いにオオスズメバチの巣があり、頻繁にハチが出入りしていると言うので見に行った。行ってみるとそこにあったのは、ハチの巣では無く地面に近いところから樹液を出していた細いコナラだった。オオスズメバチ5頭、サトキマダラヒカゲ5頭、コクワガタ1頭、そしてカブトムシが3頭(♂2、♀1)が来ていた。念のためにスズメバチの様子を観察してみると樹液を吸ったハチは、ほぼ全て(巣のある)南の方角に飛び去るのだが、樹液にやってくる時は反対の(北側)方角からやってくる事が多かった。しかもダイレクトに樹液に到達するのではなく、近くの林縁に沿ってやって来る。なかなか興味深い。足元で何やらごそごそと音がすると、そこには今まさにカブトムシ(Trypoxylus dichotomaが樹液を求めて地面から這い出て来たばかりだった。カブトムシのシーズンもそろそろ終わりか。Photo:2013/09/07 @栗東市、滋賀県

2013年9月5日木曜日

第五百二十七夜/ムラサキツバメ蛹・続編

 先日のムラサキツバメの蛹はシャーレの底部に付いてしまったので、今回は新たに1頭の終齢幼虫を採取し、比較的自然状態と同じ環境に入れてみた。単純に食樹となる枝葉を立て、その下にいろいろな葉を敷き入れた。すると十分にマテバシイの葉を食べた終齢幼虫は半分枯れた葉に止り、そこで幼虫が作るのと同じ様に糸で葉を所々紡ぎ、筒状の巣を作り中で前蛹(上が頭)となった。前蛹となってもまだアリ達(キイロシリアゲアリ/フタフシアリ亜科)は幼虫が出す分泌液を求めて離れようとしない。幼虫だけでなくアリも同様に持ち帰り、その行動を見ることも大切。この幼虫は2日後に蛹に脱皮するだろう。おそらく自然状態でも同じ事が行われている。これでは屋外で蛹を見つけようにも見つからないはずである。Photo:2013/09/05 @京都市

2013年9月4日水曜日

第五百二十六夜/リボンを付けたイチモンジセセリ

 強雨が断続的に降った、風もふいた、落雷もあった。そんななか蝶達はどうしているのかなと見てみると、雨の合間に花にやって来ていた。そんな中、1頭のイチモンジセセリ(Parnara guttataをみつけた。頭にてっぺんにちょこんとのせた花粉の冠がなかなか似合っている。写真の個体は♀、花粉はムクゲ。Photo:2013/09/04 @京都市

2013年9月3日火曜日

第五百二十五夜/生還したヒラタクワガタ

 クワガタムシがやって来た・・・写真はヒラタクワガタ(Dorcus titanusの♂。彼が僕のところに初めてやって来たのは、7月23日、友人が子ども達のために獲って来たが余ったのでとのことだ。そして2日後、彼は飼育容器のなかで死んでしまった。死んだ時にあるように体の節部、脚も触覚もくたくたに延び、半ば硬直状態になっている。大アゴや脚をいじってもなんの反応もない。暑さのためか、かわいそうな事をした。半日ほどそのままにしておいたがやはりダメだった。
 そこで標本として残そうと考えた。汚れた体をアルコールで拭き、標本づくりに取りかかった。一般的に標本なら背中に針をさすが、僕はこの針が嫌いなので、針を刺さずにマチ針を使って展足(てんそく=脚を左右均等に揃えること)だけする。スタイロフォームの上にばっちりと展足し、大アゴも触覚もきれいに整え、そして乾燥のために涼しい場所に置いておいた。ところが朝起きてみるとマチ針がクワガタの形に並び、クワガタだけがこつ然と姿を消した。彼は完全に死んでいたのだから消えるはずが無かった。しかしクワガタが生返り、マチ針をすり抜け逃げたと思い込むより他無かった。まったく不思議だった。
 ところが友人がくれたのは、このクワガタだけではなかった、子ども達に人気のなかったカブトムシの雌も3頭いた。カブトムシは採卵をしようと飼育している。今日、そのカブトムシの飼育ケースの外側に1頭のクワガタが張り付いていた、ケースの中の手作り樹液の匂いに魅かれてやって来たらしい・・・さてどこから来たの? 
 つまみ上げると、見覚えのある個体だった。一月前にあの展足台から消えた彼だ。彼のここまでの旅を想像してみた。 
 深夜、彼は自由に動けない体に違和感を得た。幸いにも展足台が置かれた場所が風通しの良い場所で、しかも体を貫通する標本針が使われていなかった。蘇生した彼はマチ針の手かせ足かせを解き、本が積み重なった渓谷を彷徨い、電化製品のケーブル林を越え、家具下のホコリ原をくぐり、ようやく階段のところまでやって来た。ここでかすかに漂う樹液の香りを敏感な触覚が察知した。香りの中にはカブトムシの気配もする。ここからは楽だった、香りをたよりにグランドキャニオン階段を落ちる様に下り、カブトムシのところに辿り着いた。彼の体にはホコリがカビのようにまとわり付き、一月以上飲まず食わずで室内の隅々を徘徊していたことを物語る。まったく不思議である。自然の生き物の生命力に驚いた。Photo:2013/09/03 @京都市

2013年9月2日月曜日

第五百二十四夜/尾状突起

 蝶の後翅の一部に突出した部位を「尾状突起」と呼ぶ。例えばアゲハチョウの後翅に延びるあれである。その尾状突起はシジミチョウにも多い。もちろん翅縁がつるんとした尾状突起を持たない種もいる。ベニシジミ(Lycaena phlaeasもこの突起はあまり発達しない、ただし今日観たベニシジミは、尾状突起とまでは言わないまでも「角状突起」程度は言える突起があった。近くにいた別のベニシジミは、ここまで突起が発達していなかったから、この出っ張りはこの個体の形態的個性と言えそうだ。Photo:2013/09/02 @守山、滋賀県

2013年9月1日日曜日

第五百二十三夜/やむなく飼育、ムラサキツバメの蛹

 野外で昆虫の羽化のシーンを観察しようとしてもなかなか骨が折れる作業である。小さなシジミチョウともなると気が遠くなる、居所が判ってもまずタイミングが合わない・・・そこでどうするかと言えば、まず屋外で幼虫を探し、飼育し、蛹にして、羽化を待つのである。今回はムラサキツバメ(Narathura bazalus シジミチョウ科)の羽化シーンを見ようと思い、先日近くのフィールドから幼虫を1匹持ち帰った(写真上、背中にアリが集まっている、幼虫の下に見える2つの白点はふ化したあとの卵)。幼虫は元気に食樹(マテバシイ)の葉を食し、ようやく蛹に脱皮(蛹化)した。ムラサキツバメは蛹化する時に枝葉から地面近くに降り、樹皮や枯葉の中で蛹になる。同様に今回は飼育容器の底角で蛹化してしまった。仕方なく枯葉の上に移して写真を撮る。実際を知っている者にとって極めて不自然な蛹である。蛹は体長15mm、体幅7mm、体高5mmの「新ジャガ」のような体色である。蛹期は多分10〜12日程度、9月12日頃を羽化日と予想、体色の変化に注意すれば羽化を見逃す事は無い。楽しみである。もちろん成虫になればもとの場所に返す。きっとそこにも羽化したての個体が飛んでいるはずである。フィールドでの観察が大切であるが、飼育することでいくつかの興味深い事を発見することも出来る。Photo:2013/09/01 @黒谷、京都市

2013年8月31日土曜日

第五百二十二夜/生き残ることの大変さ

 写真を整理していたらアオバズク(Ninox scutulata フクロウの1種)の羽の散乱シーンを思いだした。忘れていた訳ではないが、その時は結構ショックであまり見たくなかったからである。鳥が補食された痕跡はいくども見ているのでさほどのショックは無いが、ここのところアオバズクが狙われるケースが少なくないからである。狙う相手は、痕跡からおそらくオオタカであることは間違いない。アオバズクは個体数の少ない鳥である、にも関わらず、補食されるケースが割合として多いと言う事は、昼間は枝に止まり休むアオバズクはオオタカにとって捕らえやすい獲物なのか、それともアオバズクを補食すること、居場所を覚えた個体がいるのだろうか。いずれにしてもこの貴重なフクロウの1種を狙わず個体数の多いドバトや他の野鳥を捕らえたらよいと思うのだが(多分、日常的な獲物はドバトだろうが・・・)、これは人間の勝手な言い分であって、野生生物である以上、自分にとってコストがかからない獲物を狙うのが一番合理的である。他の小鳥や小動物を狩るアオバズクと言えども生き延びる事はたやすくないのである。合掌。Photo:2013/06/11 @京都御苑、京都市

2013年8月30日金曜日

第五百二十一夜/草間に潜むアオメアブ

草葉に止り近くを獲物を通るのを待っているアオメアブ(Cophinopoda chinensis写真の個体は♂。金緑色から緑色に輝く大きな複眼、長い足、筋肉質の胸部・・・なかなかきれいな肉食性のアブ。名前の「アオメ」は複眼の色を表すが、角度によって緑から銅色まで複雑に変化する。草の葉上で待ち伏せし、昆虫を捕らえて体液を吸い、けっこう大きな獲物も捕らえてる。脚のとげとげは飛びながら獲物を確実に抱え込むのに役立ち、細い草葉に止まる時も上手く使っている、これはトンボやキリギリスと同じ。Photo:2013/08/29 @京都御苑、京都市

2013年8月29日木曜日

第五百二十夜/労働寄生をする小さなハチ

 腹部を赤いインクビンにつけた様な体色のハチがいた。唐辛子の様でもある。単純ながらも不思議な色分けである。これは初めて見る種類。体長15mm程、一所に止まらず花の蜜を忙しく吸っているのですぐに見失ってしまった。でも特徴的な体色だけはなんとか写真に収めることが出来た。早速、調べるとハラアカヤドリハキリバチ(Euaspis basalisと判った。このハチ、ハキリバチ科のオオハキリバチに労働寄生すると書かれている。聞き慣れない「労働寄生」とは、「宿主の体から直接栄養を得るのではなく、宿主が餌として確保したものを餌として得るなど、宿主の労働を搾取する形の行動を取ることを指す。盗み寄生とも言う。」とあった。しかしながら疑問は残る、今日見たハチは自分でちゃんと花の蜜を求め得ているではないか・・・。このハチの仲間=ハキリバチはその名から想像できる様に植物の葉を切り取り、それを竹筒などの穴に運び入れ、卵を産むための部屋を作り、そこに花粉を運び入れ卵を産みつける。だからこのハチの労働寄生とは、宿主=オオハキリバチが竹筒に運び入れた巣材と花粉の部屋に忍び入り、自分なりのアレンジを行い卵を産みつけると言うものらしい。つまり鳥の託卵にも似ている。巣も作らない、幼虫の餌も集めない・・・だけど他のハチが準備した産卵場所にちゃっかり潜り込み、自分の卵を産み付ける。これだけなら彼らは何もせず楽して産卵しているようだが、実際は「宿主=オオハキリバチ」の行動をちゃんと把握することに全てが懸かっている。宿主の行動が全てを左右する、これも決して楽ではない。なかなか上手くしたものである。やはり昆虫の世界はまったく不思議である。・・・が人間界での労働寄生ももちろんある、これを古くから「ひも」と呼ぶ。花はイヌコウジュ(シソ科)。Photo:2013/08/29 @京都御苑

2013年8月27日火曜日

第五百十九夜/モノサシトンボのペア

 水辺の近くでモノサシトンボ(Copera annulataのペアがいた。交尾中で一般的によく言われるハート形の状態である。セミの声もすっかり勢いが無くなったが、このモノサシトンボのシーズンも今年は後ひと月ぐらいだろう、このペアもこれから産卵に忙しいだろう。この母トンボ(写真の下)が産む卵は、年内に孵化し、幼虫(ヤゴ)で冬を越し、来年の5月頃成虫となる。Photo:2013/08/27 @京都御苑

2013年8月25日日曜日

第五百十八夜/雨のショウリョウバッタ

 突然の強雨がショウリョウバッタ(Acrida cinereaを打つ、外敵が来ると素早く飛び逃げさるオスの様に出来ない体の大きなメスは、近くによっても水に濡れた重い体を「よいしょ.よいしょ」と動かすのが精一杯だった。Photo:2013/08/25 @近江八幡市

2013年8月22日木曜日

第五百十七夜/ヒバリの寝苦しい夜?

 ヨシ原にツバメ、スズメの塒(ねぐら)入りを見に行く。18時30分次々と小群で鳥たちがヨシ原にやって来て、ヨシの葉先に止まっている。まるで頭をたれる稲穂の様に小鳥がなっている。そばの農道の砂利道でヒバリ(Alauda arvensisが砂浴びをしていた。砂浴びは昼間にするものとばかり思っていたので、この時間の砂浴びには驚いた。双眼鏡で見ると「ハアハア・・」と口を開けていかにも暑そう。鳥たちにも寝苦しい夜ってあるんだろうか。それにしてももう少しマシな写真撮れなかったのかと・・・自分に問わざる得ない。Photo:2013/08/22 @西の湖、近江八幡市

2013年8月20日火曜日

第五百十六夜/風に揺れる秋の気配

野生の生きもの達を見ていると暑い暑いと思うのは人間ばかりではない。いつまで暑い夏が続くのかと心配にもあるが、すこしばかり鳴き声に勢いが無くなったセミや、渡り準備をしている野鳥、そして植物の変化を見ていると秋が始まりつつある事に気付く。水辺でギンヤンマの黄昏飛翔が始まろうとする少し前にヨシ原に差し込む光と風、キンエノコロ(イネ科)の穂先が風に揺れとても美しく暑さを忘れさせてくれる。きっと生きもの達もどこかで同じこの風景を見ているはずである。Photo:2013/08/19 @西の湖、近江八幡市

2013年8月19日月曜日

第五百十五夜/なにか御用でも? オオタカとカラス

「なにか私に御用でも?」オオタカ(左)
「その獲物を置いてどこかに行っていただませんか!」ハシブトガラス(右)
今日、 川岸で見た光景。 小鳥を捕らえた、その姿をハシブトガラスのカップルに見つかってしまったのだろう。食事中、すぐそばでしつこく騒がれていたオオタカ(Accipiter gentilis)♂。カラスが直接的なちょっかいを出さなかったが、あまりのしつこさにさすがのオオタカも近くの河畔林に姿をくらしてしまった。こんな時のカラス達はしつこいのである。あまり騒がれると他のカラスも集まり、事が大きくなってしまう・・・タカと言えども多勢に無勢、しかも体の大きさではカラスに劣る、こんな時は逃げるが勝ちなのである。Photo:2013/08/19 @西の湖、近江八幡市 

2013年8月18日日曜日

第五百十四夜/夕暮れとギンヤンマ(黄昏飛翔)

本日のフィールドノートより/ギンヤンマ(Anax parthenopeの黄昏飛翔
17時00分 オオタカ(♂)、ミサゴ(ペア)、トビ上空を飛ぶ。カワラヒワ・ツバメ・スズメ、小群毎(5〜10羽)に葦原に入る。 カイツブリ、バン、カルガモ水面を行き来。ウスバキトンボ群飛、ギンヤンマの縄張り巡回飛行、交尾、産卵、休息(写真)など多数観察。時折、トンボ同士がもつれ、足元に落ちて来たり、水面に落ちたりする。
18時30分 ギンヤンマの摂食飛翔、30頭以上の群飛。水田、草地、地面より2.0〜6.0m程度で盛んに餌を獲る。ギンヤンマに混ざり、時折オニヤンマ、ヤブヤンマ(翅が淡褐色)、コシボソヤンマもいるようだ。
18時45分 コウモリ(アブラコウモリ?)の飛翔多くなる。アオサギ横切る。
19時00分 トンボの群飛に代わり、コウモリが急に多くなる。
Photo:2013/08/18 @西の湖、近江八幡市

2013年8月15日木曜日

第五百十三夜/今年の樹液はいかがですか?

 今年の樹液はいかがですか?「いや〜少なくって大変です」と返事が返って来た(〜気がした)。例年よりも雨量が少ないためか、クヌギの樹液の量がすくないみたい。わずかばかりの地際からしみ出す樹液にやって来たのはヒメスズメバチ(Vespa ducalisとカナブン。このスズメバチは、オオスズメバチにくらべ腹部がスマートで、腹部の先が黒いことから他のスズメバチとは簡単に見分けられる。性質はこの仲間にしては比較的穏和、写真を撮るために20cmほど近づくが威嚇さえしなかった。幼虫のエサは、アシナガバチの幼虫や蛹なのでアシナガバチにとっては天敵と言うわけ。Photo:2013/08/15 @京都御苑、京都市

2013年8月13日火曜日

第五百十二夜/木陰で休むナガサキアゲハ

 連日の35℃超え、さすがに日中元気なのはクマゼミぐらい。今日は木陰で休むナガサキアゲハ(Papilio memnon)♀に出会う。黒いアゲハチョウの仲間が林縁や樹林内の比較的暗い場所を好んで飛ぶのに対して、このナガサキアゲハは炎天下、グラウンドのような開けた場所でも平気で飛んでいる。もし炎天下のグランドを横切る黒い蝶がいたら、それはたいていはナガサキアゲハのオス。ただしメスはあまりそのような場所を好まないようで、そのためかオスよりもずっと見る機会が少ない。ナガサキアゲハのメスは、後翅の白紋が美しい夏を代表する大型のアゲハチョウ。このメスは、日陰で休んだ後はクサギの花の蜜を求めて飛んでいた。お腹がずいぶんと膨らんでいた、彼女がたっぷりと栄養を摂ったら、今度は大切な産卵が待っている。Photo:2013/08/13 @京都御苑、京都市

2013年8月6日火曜日

第五百十一夜/イボバッタ、葉の上では目立つ?

 草の葉の上にいるイボバッタ(Trilophidia japonicaの幼虫。砂利のある地面では効果的な保護色も葉の上ではさほど意味がないが、じっとしていればけっこう目立たないものだ。しかし写真を撮ろうとして気付いた・・・イボバッタの体色と微妙なぶつぶつで上手くピントを合わせられない。ピントが合っていないようで合っている、またその逆も。たとえ彼らが緑の葉の上に止まろうとも、レンズで見る様に捕食者にも同じように見えているのかもしれない。たとえ居所がばれても、最後は自慢のジャンプで姿をくらませてしまう。Photo:2013/08/04 @京都御苑、京都市

2013年8月5日月曜日

第五百十夜/小さなセミの仲間・ヒシウンカ

 木に幹にゴミの様につく小さなセミを見た。ヒシウンカの一種(Cixiidaeらしい。ルーペで見ると、体の特徴はセミそのものだが、体長は1cmぐらいで小さい、マダラの翅を持っていた。Photo:2013/08/04 @京都御苑、京都市

2013年8月4日日曜日

第五百九夜/セスジスズメ

 用を足そうと入ったトイレで上を見るとセスジスズメ(Theretra oldenlandiaeが天井に止まっていた。なかなかきれいな紋様である。このトイレの近くの大木に営巣するアオバズク(フクロウの仲間)の食痕からはこのセスジスズメの翅が比較的多くの見つかる。Photo:2013/08/04 @京都御苑、京都市

2013年8月3日土曜日

第五百八夜/南から来た? ツマアカベッコウ

 見かけた事の無いベッコウバチが大きなクモ(アシダカグモ Heteropoda venatoria)を運ぶ現場を見る。腹部先端のオレンジ色の特徴から ツマアカベッコウ( ツマアカコブベッコウ) Tachypompilus analis と判る。他にも、このベッコウバチは、本来、南西諸島が分布域の北限だったそうだが。温暖化で北上してきたと言う・・・真相はわからないが、どうりで見た事が無い訳だ。ハチは、大きなクモを神社の壁の上まで運び上げようとしている。ただ、獲物が大きく、かつ壁表面は漆喰で足場が滑るためだろう、クモ共々何度となく地面に落ちてしまう。それにしても母蜂の根気強さには驚かされた。このベッコウバチは捕まえた獲物に麻酔を施し、岩の隙間などに堆積したわずかな土に蜘蛛を埋め産卵するらしい。獲物のクモは麻酔をかけられたまま眠り、ハチの幼虫に生きたまま喰われる。Photo:2013/08/03 @京都御苑、京都市

2013年8月2日金曜日

第五百七夜/ムラサキシジミの母蝶

 ムラサキシジミ(Narathura japonicaの母蝶が静かに、丁寧に、ゆっくりとアラカシの生垣の葉に卵を産みつけていた。生垣では春先から徒長した枝の高さを揃える刈り込み作業がされている。幼虫は新芽だけを食べるので、本来なら卵も新芽近くに産みつける。もし徒長した枝に卵を産みつけると、孵化する前に刈り込まれてしまうだろう・・・この母蝶はこのことを知っているかの様に刈り込まれない高さの葉に産みつけている。今、この位置に産みつけておけば、刈り込まれた後にすぐに出て来る新芽にも近く、ふ化した幼虫にも都合が良い。普通ならこんなごわごわの葉に産みつければふ化した幼虫はこの葉を食べる事は出来ないし、また新芽を探すにも困難な状況となる。むしろ産卵場所を同じ条件ではない場所にする事で、一時的な環境の変化にも耐えることが出来ると言う「生き残りのための戦略」だろうか。観ていてまったく不思議な光景だった。Photo:2013/08/02 @京都御苑、京都市