2013年8月29日木曜日

第五百二十夜/労働寄生をする小さなハチ

 腹部を赤いインクビンにつけた様な体色のハチがいた。唐辛子の様でもある。単純ながらも不思議な色分けである。これは初めて見る種類。体長15mm程、一所に止まらず花の蜜を忙しく吸っているのですぐに見失ってしまった。でも特徴的な体色だけはなんとか写真に収めることが出来た。早速、調べるとハラアカヤドリハキリバチ(Euaspis basalisと判った。このハチ、ハキリバチ科のオオハキリバチに労働寄生すると書かれている。聞き慣れない「労働寄生」とは、「宿主の体から直接栄養を得るのではなく、宿主が餌として確保したものを餌として得るなど、宿主の労働を搾取する形の行動を取ることを指す。盗み寄生とも言う。」とあった。しかしながら疑問は残る、今日見たハチは自分でちゃんと花の蜜を求め得ているではないか・・・。このハチの仲間=ハキリバチはその名から想像できる様に植物の葉を切り取り、それを竹筒などの穴に運び入れ、卵を産むための部屋を作り、そこに花粉を運び入れ卵を産みつける。だからこのハチの労働寄生とは、宿主=オオハキリバチが竹筒に運び入れた巣材と花粉の部屋に忍び入り、自分なりのアレンジを行い卵を産みつけると言うものらしい。つまり鳥の託卵にも似ている。巣も作らない、幼虫の餌も集めない・・・だけど他のハチが準備した産卵場所にちゃっかり潜り込み、自分の卵を産み付ける。これだけなら彼らは何もせず楽して産卵しているようだが、実際は「宿主=オオハキリバチ」の行動をちゃんと把握することに全てが懸かっている。宿主の行動が全てを左右する、これも決して楽ではない。なかなか上手くしたものである。やはり昆虫の世界はまったく不思議である。・・・が人間界での労働寄生ももちろんある、これを古くから「ひも」と呼ぶ。花はイヌコウジュ(シソ科)。Photo:2013/08/29 @京都御苑

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