2008年10月8日水曜日

第三十四夜/祈りのイモ虫(キアゲハの幼虫)

ある庭園でフェンネルの葉にキアゲハ(*1)の幼虫を見つける。第二十夜では、黒いクロアゲハの方がキアゲハよりも彩りがゆたかと書いた。しかし幼虫時代はクロアゲハよりもずっとハデで、毒々しささえ感じるほどだ。実際に食草のセリ科(ニンジンの仲間を食べる)の植物は幾分、葉に独特の風味(くせ)がある。おそらく幼虫はこの葉に含まれている「風味=くせ」を体内に蓄えていて、とてもまずいに違いない。やはりこの毒々しさは当ってるのか。鳥などの捕食者(ほしょくしゃ)に対して「私はとってもまずいよ」もしくは「私を食べるとひどいことになるよ」警告しているのだろう。アゲハチョウやクロアゲハの幼虫と模様はずいぶん違うが体型は同じ、やはり頭を触ると臭い角を出す。この幼虫は体の大きな割には食べている草の葉(ニンジンの仲間)が細いので、その葉先で止まっている姿は胸前で手を合わせ、なにかを祈っているかのようだ。【2008/10/08】
Photo : キアゲハの終齢(しゅうれい)幼虫 2008/10/06@兵庫県宝塚市 
*1 成虫は第十三夜をご覧下さい。

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