2013年3月30日土曜日

第四百五十五夜/キンクロハジロ

 昔、環境教育の指導会でこのカモの名前を教えてもらった知人は、「金久郎〜!」と歌舞伎の舞台で役者の屋号を呼ぶ様に呼んでいた。確かにそうやって呼びたくなる名前と風貌である。一度、名前を聞けば忘れないだろう、このカモの名前はキンクロハジロ(Aythya fuligula、海ガモの仲間で潜水が得意である。名前の由来は、「金色」の目と体の「黒」、ハジロは羽白(初列風切や次列風切に白い斑紋が入り、飛翔時に白い帯模様に見えることから)。寝癖でたったような後頭部の羽も特徴的でなかなか愛嬌者である。潜水が上手い鳥の仲間は、だいたい後脚が体の後方に付いている。ペンギンがその代表格である、だから陸上ではほとんど直立状態で立たないとバランスがとれない。このカモも同様ではあるが、それほど直立にはならないがやはり陸上に立つのは苦手とみえてほとんど岸辺には上がらない。だから水上で全ての日常を過ごす。Photo:2013/03/27 @蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

2013年3月29日金曜日

第四百五十四夜/ハシビロガモ

警戒心の強いシマアジに比べるとこちらのハシビロガモ(Anas clypeata)は、けっこう露出度がある。こちらが見ていると最初は逃げるが、しばらく待っていると自分たちのペースで行動してくれる。双眼鏡で見ていると、こちらに目を据えてずんずん向かって来るオスなんて結構迫力がある。幅の広いクチバシとくっきりとした色合いが特徴的である。クチバシが大きいせいだろうか他のカモよりも一回りも大きく見える。Photo:2013/03/27  @西の湖、蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

2013年3月28日木曜日

第四百五十三夜/シマアジと言う名の鳥

 
 西の湖に近い蛇砂川でカモ類を観ていると一羽だけ見たことのないカモがいた。周りには、オオバン、バン、カイツブリ、キンクロハジロ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、カルガモが水面を漂っているが、この一羽だけものすごく警戒心が強い、浅瀬の草むらから出てこようとしない。体の紋様も手伝って、動かないとほとんど居場所を見失う。他のカモなら最初、こちらに警戒はするものの、ある程度の距離を保てば自然な行動を観察できる。でもこれは違った、双眼鏡で見るとこちらの様子を終始伺い、まったく動こうとしない。調べてみると体色の特徴からシマアジ(Anas querquedulaの若いメスと判る。春秋の渡りの時期に全国で記録されるが、全体の数は多くないようである。この個体も北への渡りの途中で立ち寄ったのだろう。Photo:2013/03/27 @西の湖、蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

2013年3月27日水曜日

第四百五十二夜/ヨシ焼き

 先月までハイイロチュウヒが舞っていたヨシ原に火が入った。このヨシ焼きは、ヨシズの原材料となる良質なヨシを育てるため春の新芽に障害となる立ち枯れたヨシや刈り取り後の不要な草葉、ヨシ以外の植物を除くため。その他、病害虫の駆除、土壌改良、もう一つは樹林化を防ぐというもの。風の強さと方向を見定めて約1ヘクタールの原に火が放たれた。火は徐々にヨシ原に広がり、真ん中辺りでは時折高さ10mほどの竜巻状の火柱になる。ものすごい迫力。火が落ち着いて来ると、トビが現れ獲物を探している。火に追われたネズミやカエルを狙っているのだろう。やがてヨシ原の外縁の水路で火が収まりヨシ原一面が焼け野原状態になるとカラスが獲物を探す様に歩いていた。ヨシ焼きも終わる頃になり一台のミニパトが現れた。警察官がヨシ焼きをやっていたおじさん達に事情聴取。誰かが通報したのだと言う。事前に地元の警察と消防署に届け出を済ませているので、両者この事情聴取は毎回のことらしい。通報されたら、一応対応しなければならない。このヨシ焼きが終わると一雨毎に暖かくなり、この黒々とした焼け野原もきれいな新緑で覆われる。Photo:2013/03/27 @丸山、近江八幡市、滋賀県

2013年3月17日日曜日

第四百五十一夜/オジロビタキと梅花

 日ごとに春の気配が強くなってきた。冬鳥達も徐々に姿を消し、トビやカラスは巣作りを初めている。梅やロウバイの花も満開を過ぎ、モモの花のつぼみが膨らんできた。 今日は、梅の花に隠れる様にして休むオジロビタキ(Ficedula parvaを観る。顔の辺りから換羽(かんう)が始まっているようで、少し情けない表情に見えてしまう。この個体ももうしばらくするとシベリア大陸に渡ってしまうに違いない。ちょうど暖かくなって虫も出始めた、たっぷりと食べて渡りの出来る体力をつけて欲しい。Photo:2013/03/17 @京都御苑、京都市

2013年3月15日金曜日

第四百五十夜/アブラコウモリ

 窓の網戸にへばりついているコウモリを教えてもらった、アブラコウモリ(Pipistrellus abramusのようである。ここは建物を改修中の学校、ひょっとすると工事中の屋根裏から驚いて飛び出た個体が帰る場所がなくてそのまま網戸に止まったのかも知れない。3、4日前から同じところに止まり動かないと言う。ここで冬眠せざるえないという訳か。コウモリにとっては、ありがた迷惑だろうが、お菓子の箱に穴を開け、捕獲したコウモリを箱に入れ、元の場所近くにぶら下げておいた。捕獲する際に、かすかな声で「チイイ、チィ・・・」と鳴いた。Photo/2013/03/14 @浅小井、近江八幡市、滋賀県

2013年3月14日木曜日

第四百四十九夜/セグロセキレイ

 学校で子ども達がきれいな小鳥が死んでいると教えてくれた。教室に行ってみると床に一羽のセグロセキレイ(Motacilla grandisが落ちていた。さてどこから入ったのかわからないが、まだ新しい。羽を広げて子ども達に見せてあげる。観察した後は、近くの川の草原においてきた。この小鳥を必要としている他の生きものがいるはずである。Photo:2013/03/14 @浅小井、近江八幡市、滋賀県

2013年3月11日月曜日

第四百四十八夜/オオバン

川面に見るのはオオバン(Fulica atraばかり。黒い鶏が川を泳いでいる様である。なんでも食べるからだろうか増加の傾向にある。時折、キンクロハジロと混群して泳いでいる。Photo:2013/03/11 @蛇砂川、近江八幡市、滋賀県

第四百四十七夜/ヨシ刈りとハイイロチュウヒ

 すっかり春になりハイイロチュウヒも北国へ戻っていった。西の湖周辺のヨシ刈りももうすぐでシーズン終わり。ハイイロチュウヒが舞っていたこのヨシ原もしばらくする野焼きが始まる。ヨシ原を眺めていると、こうやって人がヨシを刈り、また近くに畑を耕すことでハイイロチュウヒの狩り場が生まれことに気付く。冬鳥として北国からやってきたタカも意外なことに人里近くの生きものであることが判る。絶滅危惧種であるタカが健全に棲息するためは、西の湖周辺の文化的景観、そして地域産業であるヨシ刈りが続くことが必要なのである。Photo:2013/03/11 @丸山、近江八幡市

2013年2月27日水曜日

第四百四十六夜/狂気のトビ

 10羽以上のトビ(Milvus migransがものすごい勢いで上下に行ったり来たりしている。その高さはちょうど橋の欄干から数メートル上で、そこから急降下で川面まで降りて、再び舞い上がる。橋上から下を見るとすぐ下にトビの背中が見える、なかなか見ることのないアングル。近すぎて、かつ速いので小さなデジカメでは撮れなかった。トビが騒いでいたその訳は、橋下で女性がカモに与えるパンのおこぼれだった。水面を流れて来るパンに狙いを定め急降下して捕まえようとしていたのだった。その飛び方があまりにもすごかったので歩行者も一様に橋上から下を眺めていく。歩行者のすぐ近くを飛ぶので危険な場面もあった。カモに餌を与える気持ちは解らないでもないが、これがトビへの餌付けとなり、日曜日の川岸のピクニックのお弁当をさらう危険な行動に結びつく。Photo:2013/02/27 @鴨川、京都市

2013年2月26日火曜日

第四百四十五夜/思わぬ場面でやってきたオオタカ

 仕事の出先で打ち合せ中、窓の外にオオタカ(Accipiter gentilisを見つける・・・なんでこんな時にそこに現れるんだ・・・打ち合せ相手の肩越しにタカを見つけてしまった。決して打ち合せをぞんざいにしていた訳では断じてない。ただこちらを見下ろすように枝に休むタカを無意識に自分の目が気付いてしまっただけである。ここはやはり「話を中断するようで申し訳ありませんが、窓の外を見て頂けるとオオタカが・・・・ます」と言うよりほかはないこんなチャンス多くはないからだ。オオタカは、大きな雄の成鳥。さすがに打ち合せ中なので双眼鏡など持ち合わせていない、カバンの中のコンパクトデジカメを取り出し一枚だけ撮る。ゆっくりと休息をした後オオタカは、するりと飛び去っていった。会議室(ここは将来、小学校の職員室)からお茶を飲みながらオオタカが見れるなんてなんと贅沢な会議だろう。Photo:2013/02/26 @浅小井、近江八幡市

2013年2月19日火曜日

第四百四十四夜/スズメバチの越冬(続)

 前回のスズメバチの越冬個体を定期的に見ると興味深いことに気付く。今日は小雪がちらつき大変に寒い。スズメバチが越冬している樹皮裏返しにしてみると、いかにも今日は寒いらしく、脚も触覚も、翅までも体の下側に密着させている。人間が寒いに日に体を丸くしているのと同じだ蜂の場合、表面積の広い翅は特に体温を奪われ易いのかもしれない。樹皮をそっと元の場所にもどしておく。Photo:2013/02/19 @京都御苑、京都市

2013年2月14日木曜日

第四百四十三夜/岸辺の樹で休むトビ

 ヨシ原の岸辺にいい枝振りの柳がある、いつも何かが休息しているのでよく見ることにしている。今日は、トビが一羽休んでいた。写真には入っていないが右側の枝端にはアオサギが止まっている。Photo:2013/02/14 @西の湖、近江八幡市

2013年2月5日火曜日

第四百四十二夜/スズメバチの越冬

 朽木の皮をめくると一匹のコガタスズメバチ(♀ Vespa analis Fabriciusiが現れた。越冬中のスズメバチなんて滅多に見れない。越冬中なので動くことの出来ない彼女(女王蜂)を手に取る様に観察できた。時間が経つにつれて大アゴを動かしたり、腹部の先端を動かしたり、飛ぶことは出来ないと判っていてもやはり慎重になる。静かに樹皮を元に戻しておいた。女王蜂が越冬から目覚めるのは、あと2ヶ月ほどはかかるだろう。Photo:2013/02/05 @京都御苑、京都市

2013年2月1日金曜日

第四百四十一夜/カメの目覚め

 毎年、2月頃にカメが水面に現れる、つまり越冬から目覚める。不思議にもしばらく経つとまた見れなくなってしまう。池の底で越冬していたものが、まさか息継ぎに上がってきた訳ではないだろうが一たん目覚め、また暖かくなるまで池底にもぐるのだろうか。水面にぽかんと一匹だけ浮かんでいたカメ(アカミミガメ)の甲羅は泥だらけである、今まさに池底から浮かび上がってきたようだった。Photo:2013/01/29 @京都御苑、京都市

2013年1月30日水曜日

第四百四十夜/ヒガラのコツコツ

シジュウカラがコツコツとサクラの枝先で餌を食べているとき、その上ではヒガラが枝先にぶら下がったままでコツコツしている。身軽なヒガラ(Parus aterは、枝先の窪みに隠れていた虫を見つけたのだろう。冬場はシジュウカラなどの群れと行動を共にすることが多いが、地面に近いところで餌を採るシジュウカラに比べ、小柄なヒガラは枝先によく見る。少し採餌の場所を変えることで互いに競合しないようにするためだろうか。Photo:2013/01/29 @京都御苑、京都市

2013年1月29日火曜日

第四百三十九夜/シジュウカラのコツコツ

 森を歩くと頭上からかすかに「コッコッコッ・・」と音がした。見上げるとシジュウカラ(Parus minorが何かを両足に挟みクチバシで割る音だった。
 子どもの頃、伏見稲荷の参道でおみくじを引くヤマガラを見たことがある。お金を小さな賽銭箱に入れると、ヤマガラが緋毛せんの台の上に据えられた小さな社の鈴をクチバシで2度、3鳴らし、扉を開け、中からおみくじを取り出す。そのおみくじを止まり木の上で足で挟み封を切り、こちらまで持って来ると言う芸だった。どうやって仕込んだのだろうと、何度見てもそれは不思議で、仕草はとてもかわいかった。
 ヤマガラもシジュウカラもこのような行動はフィールドで盛んに見ることができる。野鳥の行動をうまく利用したとは言え・・・どうやって芸として仕込んだのか? 残念ながら今はこんなおみくじを見ることは出来ない。Photo:2013/01/29 @京都御苑、京都市

第四百三十八夜/ビンズイ

 太陽が雲に覆われ日が陰ると急に気温がさがる寒い日は、陽光の暖かさを本当に感じる。こんな思いは人間だけでなくどうも鳥たちも同じようだ。今日はビンズイ(Anthus hodgsoniが寒そうに枯れ草の上に止まっていた。頭から背にかけて、緑がかったかっ色は大変に地味だけど、なかなか品があっていい。尾を上下によくふっている姿はかわいらしい。Photo:2013/01/29 @京都御苑、京都市

2013年1月28日月曜日

第四百三十七夜/葭原を舞うハイイロチュウヒ

 近江八幡市の西の湖に立ち寄った。この季節、ここのヨシ原ではハイイロチュウヒ(Circus cyaneusを見ることが出来る。変わった名前だがタカの仲間で、学名は「サーカス サイアニス」、ブルーの曲芸師。ひらりひらりと飛ぶ姿に、その体色(ただし♂の成鳥)のブルーグレー(=やや暗い青)を当てはめたのだろうか。今日も数羽のハイイロチュウヒがヨシ原をひらりひらりと舞っていた、残念ながら♀ばかり。
 雌はよくありがちな褐色系だが上尾筒(尾羽の付け根の部分)は明らかに白くて飛翔時にはそれがとてもよく目立つ(写真)。雄も上尾筒が白いようだが上面が灰色なので目立たない。タカなのに、顔はフクロウに似ているのでなんか変である。これはネズミやカエル等を主食として捕るために、それらが立てるかすかな音も捕らえ易くするための構造なのかもしれない。Photo:2013/01/28 @西の湖、近江八幡市

2013年1月27日日曜日

第四百三十六夜/サルスベリとマヒワ

 今日(1月27日)は、定期的に開催されている京都御苑冬の自然教室(主催:京都御苑管理事務所、国民公園協会京都御苑)。野鳥解説担当で参加。前日の小雪が残る御苑は寒い。始まる前にひと歩き、陽光が射してくると野鳥の姿も見れたので一安心。今回の参加者は全員で75名ほど、これが2班に判れて生きものを探りながら歩く。さて野鳥観察本番の前に、昆虫・植物の解説があったので野鳥は少し姿を消してしまたか? どうも上手く鳥が現れない。シロハラ、シメ、シジュウカラ、スズメ、キジバト、トビ・・・個体数も、種類数もなんとも少ない。会が終わり全員が集まり解散の直後、後ろにあったサルスベリの実を求めてマヒワ(Carduelis spinusの群れがやってきた。マヒワ達は、十数分の間、我々の頭のうえで実を食べていてくれた。時折、サルスベリの実が風に舞う様に落ちてくる。野鳥の観察はこちらが思う様に展開しないのが常だが、今回もそうだった。Photo:2013/01/27 @京都御苑

2013年1月23日水曜日

第四百三十五夜/「うごめくもの」これも野生

 人間が生きものを見てどう思うかは彼らの知ったことではない。それは当たり前だろう。しかしながら人間は勝手なもので、見た目で判断してしまうものだ、「気持ち悪い」と。多分、この手の生きものは一般的には気持ちのよいものではないだろう。今日、地面に見つけた「うごめくもの」を最初見た時には僕もそう思ったのは事実である。それはなぜだろう?その動きと体の透明感がそう思わせるのか?体長1cm、黒い頭部に内蔵が透けている透明な体、足はある。その数100匹を下らないだろう。大変な数の個体が絡まり合いながら移動しているのだ。何ものか見当もつかない・・・これが気持ち悪さを増加させる。それでも眺めていると、不思議なことに気付く。何やら訳も判らずうごめいている彼らにも、目指している場所があり、そして不完全ながらも先頭があるらしい。塊の中なら一匹が歩き始めると数匹がそれに続く、しかしながら彼らが先頭となると言う訳ではなく。別の個体が別の方向に行こうとすると、また何匹かがそれに習う様に動き出す。こんなことを繰り返しながら全体の行くべき方向が決まるようだった。彼らの合意形成ってなんだろうか。こうなると気持ち悪さは、すっかりどこかへ消えて、興味が沸いてくるものだ。彼らの正体は、蛾類(メイガの仲間)の若齢幼虫のような気がする。Photo:2013/01/23 @京都御苑、京都市

2013年1月15日火曜日

第四百三十四夜/さすがに野生、これこそ野生

 さすがに野生、店頭で目にするノッポで、色白なキノコとは違います。広葉樹の切り株に発生する冬のキノコ。キノコも上に落ちている葉の大きさから想像できるが、このキノコの株は手のひらの2倍以上もある立派なもの。これが正真正銘の野生のエノキダケ(Flammulina velutipes。採りたい気持ちがいっぱいだけどここはだめです。同じ切り株に毎年発生します。Photo:2013/01/15 @京都御苑

2013年1月6日日曜日

第四百三十三夜/枯葉の下で春を待つ

 新年あけましておめでとうございます。本年も生きものと彼らの生活をお伝えしていきます。よろしくお付き合い下さい。
 自宅の近くのお寺さんまで散歩、子どもの頃はエノキの大木が沢山あったのに今は大半が伐採され、残る木もその姿は痛々しい。 夏の陽光を受けて梢を滑る様に飛び回っていたオオムラサキとかゴマダラチョウはもう観ることはできない。少し足をのばして樹林地のエノキまで行ってみた。そこのエノキは昔からゴマダラチョウやテングチョウが多かった。根元の葉を少し探すと案の定、ゴマダラチョウの越冬幼虫Hestina japonica)がいくつか見つかる。思うところの枯葉を「えいや!」とトランプゲームの「神経衰弱」のようにめくってみる。一発で出ることもあるし、いくらめくっても全くでないこともある。まるで占いをしているようだ。今回は5枚目ぐらいで見つかる。まあまあの出来だろう。写真を撮った後は元の場所に隠しておく。春になって新芽が芽吹く頃に再び降りてきた木の幹を新葉目指して登る。それまでにシロハラ(野鳥)に食べられない様に。Photo:2013/01/06  @黒谷、京都市

2012年12月24日月曜日

第四百三十二夜 X'MAS と ヨーロッパコマドリ

 イギリスの小鳥達は、どうしてここまで人を恐れないのだろうと思う。写真のヨーロッパコマドリ(学名:Erithacus rubecula、英名:European Robin, Robin)は、レンズの先端からわずか30cmほどの至近距離。別に餌付けをされている個体でもなく、写真を撮るために餌で釣っている訳でもいない。枝に止まっている個体に静かに近づいただけである(もちろんいくらかのコツはあるが)。イギリスはバードウォッチャーの国で、誰もが野鳥が大好きなので度々餌を与えることはあるだろうが、それほど頻繁にと言う訳でもなさそうだ。日本との大きな違いは、鳥がいるからと言って人が集まらないこと(基本的にはほっておく)、イヌも大変な躾がされているので鳥も追わない(時々、遊びたいのだろうリスは追っかけているが)。長いレンズをずらりと並べることもないようだ。これらが逃げない訳とは思わないが、お国柄と言えば、それが鳥のお国柄なのだろうか。日本は農耕民族だから絶えず作物を鳥から守る(鳥を追う)行為をしてきた、そのことが鳥の遺伝子に入っていると何かで読んだ。なんとなくうなずいてしまうのである。
  ちなみにこのヨーロッパコマドリは、イギリス人が大好きな野鳥の一つである、ロンドン・タイムズが1960年代初めに行った人気投票でも一位、政府などから正式に制定されてはいないが一般に国鳥とされている。ちょうど今の季節、クリスマスには西洋ヒイラギ(ホーリー)の赤い実にコマドリの絵柄がなからず現れる。Photo:2012/12/16 @エディンバラ、イギリス

2012年11月27日火曜日

第四百三十一夜/アオサギの獲物は?

 池の中でアオサギ(Ardea cinerea が獲った獲物は・・・ウシガエルだった。アオサギの体から判断すると、それはかなり大きめのカエルである。獲物はサギにとってやはり大きいらしく、なんどもなんども半分まで飲み込むが、あと一息のところでカエルの後ろ足が飲み込めない。再び吐き出す、カエルをくわえているのもさ重たいのだろう、くわえている時はクチバシまで水中につけて休んでいるほどだった。同じことを何度か繰り返しやっとカエルの全身を飲み込んだ時は胸の当りがカエルの形に膨らんだようにさえ見えた。この十数分かかった格闘のあとも胸をふくらせたアオサギは水の中に立ちすくんでいた。おそらく飛び立つにも体が重いのか? 以前、鴨川で一羽のアオサギが同様に大きなウシガエルを捕らえる場面に出くわした、その時は捕らえたものの暴れるウシガエルを飲み込めず放棄したことがあった。アオサギの食事メニュの中に大きなウシガエルは特別なものでは無いようである。Photo:2012/11/17  @京都府立植物園

2012年11月18日日曜日

第四百三十夜/ゴミムシダマシの越冬

 昨年来、ナラガレ被害で枯れた大きなコナラ(目通り径75cm 樹高20mオーバー)を伐採した。地面に大きな音と共に倒れた木の幹をみていくと、幹に開いた孔(地上から6mほどにあったカミキリムシの脱出孔)が裂け、中にできた空洞には数種類のゴミムシダマシが集団越冬していた。ニジゴミムシダマシの仲間、キマワリ、ユミアシゴミムシダマシなど4種類以上がびっしりと寄り添う様に詰まっていた。伐採した木の近くにその部位のみ運び立てかけておいた。Photo:2012/11/18 @栗東市、滋賀県

2012年10月30日火曜日

第四百二十九夜/これは何ものか?

 写真の虫を見て何ものか判ればあなたは相当な虫好き。体長は約2.0cm、群青色に輝く体、大きな腹部が特徴です。 翅がとれた蜂?それとも女王アリ? さて答えは後日。大変に興味深い生態をしています。Photo:2012/10/29 @栗東市、滋賀県

 
-->その正体とは:キュウシュウツチハンミョウ(Meloe auriculatus
近畿以西から九州に生息し、晩秋に発生するツチハンミョウの仲間。これでも甲虫の仲間ツチハンミョウの仲間の体液には、カンタリジンという致死量30mgの毒物(蛋白質脱リン酸化酵素阻害剤)が含まれ、ツチハンミョウ類の分泌液が皮膚につくと、水疱性皮膚炎を形成し直るのに2週間くらいかかるので要注意。その生態は興味深く、ツチハンミョウの♀は土の中に4千個以上の卵をうみます。 ふ化した幼虫は、地上に現れアザミなどの花にのぼり、蜜を吸いにやってきたハナバチの体にしがみつく。やがてハナバチにつれられて巣に戻った幼虫はハナバチの卵や食料を食べて育つという性質があります。登る草を間違えたり、しがみ付く相手を間違えると生存はできない。その生存率の低さから、4千個以上の卵を生むと言われている。

2012年10月28日日曜日

第四百二十八夜/陰の主は?

 陰の主は、セスジツユムシ(Ducetia japonica(写真は♀)でした。ほっそりとした姿は陰からは想像できない。Photo:2012/10/25 @京都府立植物園

2012年10月25日木曜日

第四百二十七夜/陰の主は?

 アカメガシワの葉裏に映る不思議な陰。葉表の主はだれか? しなやかに伸びる2本の触覚、長く細い後脚・・・・。答えは明日。Photo:2012/10/25  @京都府立植物園

2012年10月22日月曜日

第四百二十六夜/ナイスなキャラのイラガ

 小さく、きれいな蛾を見つける。これは幼虫に刺されると痛いイラガの仲間、ヒロヘリアオイラガ( Parasa lepida lepidaの成虫(♀)。翅の色と紋様、脚につくふさふさの毛(すね毛?)、毛むくじゃらの体・・・なんだかぬいぐるみみたいで、ディズニーのキャラクターにでもなりそうな雰囲気を持、成虫は毒を持たないので触っても大丈夫。Photo:2012/10/22 @近江八幡市、滋賀県