2009年7月24日金曜日

第百二十四夜/アオバズクの憂鬱

 「アオバズクの幼鳥が巣穴から出そうだ(巣立ち)、出たらしい・・・」などと言う話しは、さまざまな人の好奇心を誘うようだ。今日は昼間からそんな噂を聞きつけて集った大勢のギャラリーが巣立ちしたばかりの幼鳥を見ていた。中には、巣のある大樹周辺での昼間の観察ならいざ知らず、深夜から朝方まで人の気配を隠さず(話しをして、歩き回って)、ストロボまで使って写真を撮ろうとねばるギャラリーもいるらしい。これは夜行性の野生動物、とりわけ巣立ちを間近にひかえた鳥類にとってはなはだ迷惑な行為だ。僕はその場を足早に立ち去り、別の巣の様子を見に行く。アオバズクの雄親がいつもの木から巣穴を監視している。こちらの巣立ちはまだのようだ。不思議なことに誰一人としてここには来ていない。ギャラリーの心理を表している・・・「噂のあそこに居れば皆と同じ様に巣立ちが見れる」。確かに皆と同じものが見れるだろう、もしくは皆と同じ様に何も見れないかもしれない。でもそれって少し変。ここは動物園では無いんだから。それよりも、だれもいない場所でこちらも遠くから身を隠して見ているほうがずっと面白い、実際に鳥の様子がよく判る。写真の雄親は、僕の方を見ずに右の樹木の巣穴を見つめている。まるでヒナ達が出て来るのを心待ちにしている様にだ。ここには騒がしいカラスも人もいない、雄親の表情にもとても自然な雰囲気が見てとれた。さてこの場も長居は失礼、帰るとしよう。
Photo:2009/07/23 @京都御苑

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