2009年7月7日火曜日

第百十六夜/谷戸に棲む2種のジャノメチョウ


 昨夜の栗東周辺で出会った虫話しの続き。谷戸(やと=谷津)とは、丘陵地の谷部に広がる水田や低湿地を言う。栗東周辺はなだらかな丘陵地に手のひらを置いた様に小さな谷戸が奥深くまで広がる。谷戸周辺の丘陵地は雑木林、松林、竹林、杉檜植林地、草地など変化に富む植物相が、そして森からのしみ水(湧き水)が細流を作り、谷部の水田に流れ、さらに小川へと続く。森から薮、森から草地、草地から湿地などなど環境の変化に富む。コンクリートで固められた畦・護岸も側溝もない。こんな場所には、おのずと生きものの種類も豊かである。タカが頭上を舞い、カワセミが小川で魚を捕り、イタチがあぜ道を歩き、サンショウウオも細流に棲む。今夜の2種類のチョウはこんな自然環境を好む。谷戸に開けた草地と樹林の林縁をいったりきたりしている。
ジャノメチョウ (写真上):陽当たりの良い畦や水田・草地の上を緩やかに呼んでいるが、いざ逃げ込む場所はこんな林縁。草地では目立つ、黒っぽい体色も薮にとけ込んでしまう。地味だが味わい深い模様。樹林の外側(明るい方)を主な活動の場とする。
オオヒカゲ(写真下):裏翅の模様がきれいなジャノメチョウの仲間(日本産で最大種)、たくさんのつぶらな目玉模様にくらくらしてしまう。白っぽい翅の割りには暗い薮が好きでフワフワ・クネクネと器用にシダが込み合った中を飛んでいる。時々、林縁の明るいところに出て来て必ず止まる、驚けばもとの薮に入ってしまう。樹林の内側(暗い方)を主な活動の場とする。同じジャノメチョウの仲間でも林縁を境に好む環境が微妙に違う。
Photo:2009/07/05 @栗東、滋賀県

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