2014年5月8日木曜日

第六百九夜/葉で巣をつくるアカタテハの幼虫

 道ばたの野草・カラムシ(イラクサ科)の茎先にいくつもの葉を半分におった餃子の様なものがあればそれを少し開いてみるといい、そこには必ずと言っていいほど黒っぽい毛虫が入っている。これはアカタテハ(Vanessa indicaの幼虫の巣だ。葉を少ししおれさせて葉表を内側にして糸で綴って半分にしている。巣に隠れている間は外敵から狙われないで済む一方、葉の裏側が表になるので葉の特徴でもある白銀色が目立ち、その存在が判ってしまう。
 ならば目立つ葉裏をなぜ表にするのか? そこで想像である、たいていの蝶・蛾類の幼虫は葉面に糸を吐いて、風が吹いても雨が降っても落下しない様に足がかりをつくる、その時に平滑な葉表のほうが都合がいい。特にイラクサ科の葉裏側は細かい綿毛が密生していて糸を吐いてもすぐに糸がはがれてしまい、足がかりをつくるには少々厄介なのかもしれない。実際に葉裏に移してもすぐに落ちてしまうことが多いのだ。逆に葉裏を表にすることで外敵もそこには止まりにくいのかもしれない。なかなかよく出来ている。だが昆虫少年にとって、これほど居場所を見つけ易い幼虫は他にいない。Photo:2014/05/08 @知恩院、京都市

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