2012年7月3日火曜日

第三百六十三夜/虫目、キノコ目

 宮崎駿さんと養老孟司さんの対談集「虫目とアニ眼」という面白い本がある、これとはほとんど関係しないけど「虫目とキノコ目」と言う「目」がある。時には「虫目と鳥目」と言うのもある。フィールドで「あっ!あれ!」って同じ方を見ているのに人によって見つめるものが違う、見つけるものが違う。例えば、エノキの樹冠にとまる小さな蝶を見つけ虫屋が指差す先に、鳥屋(鳥の研究者)は小さな鳥を見つけ、互いに「おおっ!いるではないか!」と言ったりする。あたかも同じものを見ているかごとくにである。しかし話してみるとほとんど違うものを見ていたりするから面白い。先日も知人が「そこに!」と指差した先にあったにょろっとした白いものの向こうに僕は虫を見ていた。「そこ!」って言われてもキノコには目が反応しない、無意識のあいだに虫を見つけようとする。
 地面からにょろっと生えた1cmほどの白い物体は「クモタケ(Nomuraea atypicolaと呼ばれるキノコの一種。通常、このキノコはトタテグモに生じる。このクモは地中に筒状の巣を作り,地面との境である巣の上端は蓋がついている。このクモがキノコの菌に感染したとき,この菌は巣の底にいるクモから長い菌糸の束を出し,蓋を押し開けて地上に伸び出し,その先端に粉状に多数の胞子を作ると言う。これがにょろっとした白い物体の正体。このキノコを掘るとその一番下にはクモの死骸がついていると言う事だ。Photo:2012/06/26 @京都御苑

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