2012年5月22日火曜日

第三百四十一夜/メジロを前から見る

 今の季節、ちょっと樹々があるところにいけばさまざまな鳥の囀り(さえずり)を聴くことが出来る、なかでもメジロは小さい体から驚く程の声量を出して囀っている。特に江戸時代からメジロは鳴き合わせる(競争)道楽の対象となってきた、もっとも近年ではそんな遊びもできないが。その囀りは「忠兵衛・長兵衛・忠長兵衛!」とか「チルチルミチル・チルチルミチル!」と例えられている。さて、この身近な野鳥・メジロのことを今まで書いていなかった。よくよく考えればメジロの写真データはPCのトラブルで消えたからだった。そこで写真に収めようとしても収まらないのが自然の生きもの。しかたなく満足でないが先日に撮ったものを眺めて気付いた、それはメジロの正面写真である(頭から尾までがほぼ一直線にならんだ状態)。正面から見るとなんて円形に近い体なんだと・・・早速、円定規で真円を描いてみる(写真の赤い線)となんと驚くばかりにピッタリ!もちろん写真を加工してなんかいません。考えれば飛行機の動体も真円、これが空を飛ぶ生きものの空力構造なんだろう。メジロのくちばしに付いているのは「よだれ」「鼻水」なんかではありません餌です。写真の画像が悪いのは拡大のせいです。Photo:2015/05/22 @京都市

2012年5月20日日曜日

第三百四十夜/テングチョウの幼虫

訳あってテングチョウの説明を数日後にすることになった。フィールドのエノキでは沢山の幼虫を見つけていたが日に日にその数が減っていく、見ているとスズメやメジロが獲っていくことが判る。このままでは説明時にすっかりいなくなってしまうことが予想できたので5頭の幼虫を自宅に持ち帰った。これらを手持ちのエノキの苗で育てる事にした、持ち帰った幼虫はほとんど終齢幼虫、エノキの葉を食べ尽くし数日後にはすべて蛹となった。そして・・・予想した通りフィールドの幼虫は全ていなくなった。テングチョウの説明は幼虫と成虫の写真と実物の蛹ですることにした。Photo:2012/05/20 @京都市

2012年5月16日水曜日

第三百三十九夜/羽蟻を食べるカラス


 京都御苑で葵祭を観た後、園内を散歩。マツの切り株の上でハシブトガラスがなにやら熱心に食べている。こちらでもあちらでも同じような個体がいる。これは何か訳がありそうだと近づく と・・・ご覧のような状況だった(写真下)。なにか細かなものが切り株を覆い尽くしうごめいている、その中でハシブトガラスがクチバシを切り株の面に平行 になるように・・・例えるならスプーンでビンに残ったジャムをそげ落す様に・・・ 飛び出そうと切り株から出てくる羽アリ(ヤマトシロアリ)を食べている(写真上)。テレビの自然系の番組を見ているようだ。
「濡れ手に粟」という言葉があるが状況はそのもの、クチバシで集めた羽アリを団子にして食べている。口に中には相当量の羽アリ団子が入っているようで喉がぱんぱんに膨らんでいる。カラスにとって羽アリは、大変においしいようで2mほど近くで観ていてもいっこうに止める事はしなかった。軽い羽アリはわずかな風でフワフワと舞い上がり、観ているこちらにも飛んでくる、目にも口にも入りそうだ。
 シロアリの羽アリが飛び立つには、いろいろな気象状況が一致しないと起こらないようである。この日も羽アリの発生はわずかな時間だった、人が観てようとカラスはこの時間を逃す訳にはいかないのである。
 シロアリは数万から数百万頭の単位でコロニー(巣)を形成し、女王蟻と王蟻を中心とした高度な社会生活を営んでいる。役割分担に応じたそれぞれの形態があり、これを階級(カースト)と呼ぶ。ヤマトシロアリの場合、4月中旬から5月中旬の雨が降った翌日などの気温が上がり蒸し暑くなった無風の日の午前中に飛び立つらしい。飛び出した羽蟻は地面に落ちるとすぐに自ら羽を切り落とし、そして雌が誘引物質を出し、雄が寄ってきたところでつがいになり新しい巣を作る。まさに前日の15日は雨天で葵祭が翌日16日になった。気温も上がり、風もほとんどなかった、飛び出す条件がそろったようだ。カラスにとっては「花より団子」・・・この一年の中でも、超旬の食べ物を味あわずにはいられないのだ。このカラスも興味深いが、切り株には 巣立とする羽アリを見送る様に白い働きアリが出てきていた。働きアリは白く、か弱い感じの体つきで枯れ木で孔を掘って暮らすに適した形態、羽もないので飛ぶ事は出来ない。なのに切り株の上まで出てきている。彼らには彼らの感情とか意識があるんだろうなとつくづく思う。人間がそれを感じる能力がないだけでね。図らずもカラスの話題が続いてしまった。メジロやツバメの巣を襲うカラスは憎い存在だが、やっぱり面白い生きものである。Photo:2012/05/16 @京都御苑


2012年5月10日木曜日

第三百三十八夜/マヨネーズとハシボソガラス

カラスと言う鳥は、ほんとうに観ていて飽きない。今日のカラス(ハシボソ)は草地に飛来したかと思うと草の根元からビスケットぐらいの白い四角いものをクチバシで拾い上げた。これはあらかじめ隠してあった食べ物だろう。カラスは食べ物を木のウロや、草むら、時には線路敷きの砂利の下に隠す「貯食」という習性がある。もちろん隠した食べ物はちゃんと後で食べるのである。
写真のカラスはその白いものを脚で押さえてしきりにクチバシで何かしようとしている。しばらく経ってようやく、中身を食べ始めた。クチバシは真っ白に汚れている。やがて満足したように小さなゴミを残し、近くの木に移りクチバシをきれいにし始めた。
さて、何をいったい食べていたのか?僕はカラスがいた場所に行った・・・それはお弁当に付いている「マヨネーズわさび風味」とプリントされた小袋だった。マヨネーズの小袋は隅が三角形に切り取られ、あのクチバシでどうやって食べたかと思う程すっかり内容物が無くなっていた。先ほどまで僕がカラスを観察していたが、今はカラスが僕を観察している。空になった小袋を拾い上げる人間を観てカラスは何を思っているのだろうか?僕はこの小袋をもとあったように置きその場を立ち去った。きっとカラスはもう一度、この小袋をつまみ上げ、「???」と思うのだろうな。
夜中なのに先ほどからカラスが 騒いでいる・・・とこの後「ドンッ!」0時20分地震だ。京都南部震度3。地盤の微妙な揺れは、木の根から幹に伝わり、カラスが寝ている枝に伝わる。この地盤の揺れを察知して騒いだのだろう。カラスは本当に興味深い生きものである。Photo:2012/05/08 @京都御苑、京都市

2012年5月7日月曜日

第三百三十七夜/巣立ちのモズ

 仕事先でモズがしきりに警戒の鳴き声をあげは始めた。今の季節だから近くに巣でもあるのだろうと遠ざかった時に横から巣立ちビナが飛び立った。十分に飛べるのだがまだまだ自由にとは行かずに、このあと横の茂みに逃げ込んだ。ヒナは全部で3羽だった。親鳥が警戒の鳴き声をあげると近くのキンモクセイの刈り込みに逃げ込みじっとしている。この近くで巣をかけていたのだろうか、数本の込み入った樹木のまわりから離れようとしない。近くでは親鳥が子ども達の居場所と外敵の侵入を見張っている。ヒナ鳥の大きさは、親鳥とほとんど同じで、尾羽を上下に動かす仕草もすっかりモズらしい、ただ尾羽の長さは親の1/3ほどでまだかわいい。観察していると近くのケヤキの木にカラスが巣をかけている。どうも親鳥の警戒は僕よりもむしろカラスかも知れない。カラスの巣の近くではムクドリも見張りをしていたから彼らも近くに巣を持っているに違いない。この季節、モズやムクドリにとって卵や子どもを襲うカラスの存在が一番の脅威に違いない。Photo:2012/05/07  @近江八幡、滋賀県

2012年5月6日日曜日

第三百三十六夜/ノコギリクワガタの初もの

滋賀県栗東の里山で森の整備に行く。参加者のTさんが腐った切り株を動かしたら中から現れたのが小振りのノコギリクワガタ(♂)。今の時期に成虫と言う事は、昨年春に蛹から羽化したものがそのまま一年を朽木内で過ごした新成虫である。外に出て樹液に来るのはもう少し先だと思う、写真を撮った後、再び朽木に戻しておいた。この個体を見て子どもの頃よく捕まえたのはこのタイプの小型ばかりだったことを想い出す。牛の角のような湾曲する大アゴを持つ個体は、ほとんど採れなかった。成虫の大きさを決定するのは、幼虫時の環境と言うけれど地域的な特徴もあるだろう。Photo:2012/05/06 @栗東市、滋賀県

2012年5月5日土曜日

第三百三十五夜/街に舞うトビ

  京都の東山連山を代表する大文字山に登る。山頂からはトビが風に乗り空中で停止するのが間近に見える。風に流されたかと思うと上手く気流に乗り上へ下へ、急降下をしても再びももとの空間に戻ってくる・・・トビの尾羽は体(左右の翼)に対して直角になるほど自由に舵をきり、左右の翼と首でも微妙に体重移動をしているように見える。観ていてまったく飽きることはない。時間を忘れて観てしまった。時々、カラスが追いかける、無風なら勝ち目もあるが、こんな強い風に乗るトビにはかなわない。シジュウカラ、キビタキ、アオゲラの声を聞き、ツミと思われる小型のタカの姿も見れた。Photo:2012/05/05 @大文字山、京都市

2012年5月2日水曜日

第三百三十四夜/エノキの虫こぶ

 エノキの新葉にテングチョウの幼虫を探している時に不思議なものを見つけた。葉の表面にドングリのような形の緑色した「こぶ」である、これは「虫こぶ(虫瘤)」と呼ばれるもので、植物の内部に昆虫が卵を産み付けることによって、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のこと。虫癭(ちゅうえい)とも言う。虫こぶは、昆虫の種類と樹種(樹木の種類)の関係が強いようで、どれでもいいと言う訳ではなさそうだ。
 ある特別の関係が必要。今日、見つけた虫こぶの場合=「(植物名)+(部位)+(形状)+フシ」→「エノキ+ハ+トガリ+タマ+フシ」と呼ばれる。この虫こぶの中には、エノキトガリタマバエの幼虫が入っているはずである。この虫こぶは、もう少しすると、葉から脱落して下に落ちてしまう(写真の葉上には2個が並ぶが、葉の中ほどに既に落ちてしまったと思われる丸い痕跡がある)。幼虫は、地上におちた虫こぶの中で、来年の春まで過ごし蛹になり、3~4月に成虫になって虫こぶから出て、エノキの新芽に産卵する。どんなハエか知らないが、全く不思議な生活である。Photo:2012/05/01 @京都御苑、京都市
参考文献:日本原色虫えい図鑑 湯川淳一、桝田長 編著 全国農村教育協会

2012年5月1日火曜日

第三百三十三夜/これでもガの仲間

草地を低く、草葉を縫う様にしてハタハタ・フワフワと小さな虫が飛ぶ。目立つのはその虫の白く長くしなやかな触覚。体長の3倍はありそうなヒゲのためにバランスが少々悪いようだ。ようやく葉に止まる。まぎれも無く小さなヒゲナガガの仲間。調べるとクロハネシロヒゲナガ(ヒゲナガガ科)、種名が読みにくいので・・・クロハネ・シロ・ヒゲナガ(ガ)と区切ると判りやすい。写真は長く立派な触覚(ヒゲ)を持つ♂の個体だが、♀の個体の触覚はもう少し短く、根元が黒く太い。名前の由来は体の特徴の「黒い翅+白い+長いひげ+蛾」より・・・とはいってもこの黒い翅に光があたると一瞬きらりと緑紫のような微妙な色にひかりきれいだった。最初の一頭に気がつくと、辺りの草地に沢山飛んでいることに気付く。ただし全部♂で、彼らはもうすぐ羽化するであろう♀を探し待っているに違いない。果たしてどんな生活をしているのだろうか。Photo:2012/05/01 @京都御苑、京都市

2012年4月25日水曜日

第三百三十二夜/セアカクロキノコバエ

  すっかり暖かくなって樹林地では、ハグロケバエがわんわんと飛び出している。羽化した個体が地面を歩き、梢ではフワフワと舞っている。同じようなケバエが葉に止まっている。こちらは体が赤い種類と思い写真を撮る。最初は気付かなかったのだが頭部の大きさ、触覚の形状でケバエでない事に気付く。体つきは、ガガンボの様でもあり、チュウレンジバチの様でもある。小さな頭部に鮮やかな橙赤色の体、黒い翅が特徴的で触覚と脚が長い。調べるとセアカクロキノコバエと判った。名前から想像できる様に幼虫はキノコ類の菌糸を食べると推定されている。普段は出会っても素通りしてしまうような虫なのだが、ケバエを観ていておまけのごとく気がついた。一度見ると興味が向かう。Photo:2012/04/24 @京都御苑、京都市

2012年4月24日火曜日

第三百三十一夜/テングチョウ

 今日はTシャツ一枚で過ごせる程の暖かな一日。ツマキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、キタテハ、ナミアゲハ、テングチョウなど元気に飛んでいた。エノキの枝先の新芽はすっかり開き始め、そこには産卵をしようとテングチョウが行ったり来たり。ゴマダラチョウの幼虫もそろそろ落ち葉の下から枝先に登りはじめる頃だろうと思う。里ザクラの花も満開、ウワミズザクラとコナラも開花し始めた。テングチョウは今日で3回目の登場です。Photo:2012/04/24  @京都御苑、京都市

2012年4月22日日曜日

第三百三十夜/タヌキのためフン?

京都御苑で見つけた「貯めフン」。習性から察するとタヌキの仕業か? タヌキは行動範囲の中に糞をする場所を決めていて、1頭で約10か所のため糞場があると言われている。今日見つけた「貯めフン」の内容物はほとんど銀杏(イチョウの種)、すごい量である。探してみるとすぐ近くにイチョウの大木がある。それにしてもこれだけの銀杏を食べて体は大丈夫なんだろうか?・・と心配してしまう。 「胃腸」だから大丈夫って? それにしても京都御苑のタヌキは昼間どこに潜んでるのだろうか? Photo:2012/04/22 @京都御苑、京都市

2012年4月13日金曜日

第三百二十九夜/ハナムグリ

 どことなく元気の無いハナムグリ、それもそのはず、よく見ると右側前翅(鞘翅=体を覆っている堅い翅)が一部割れている。鳥に襲われたのかもしれない。完全には割れていないのでこの堅い前翅が身を護ったということか。Photo:2012/04/10 @京都御苑、京都市

2012年4月9日月曜日

第三百二十八/春のキジバト

 所々で落ち葉を掻く音がする。音の主はキジバト。春の繁殖のためのペアリングがどの個体も出来ている。あちらこちらで2羽なかよく落ち葉のなかから木の実や草の種を探し、ついばんでいる。そのうちの小柄な2羽を見ているとどんどんこちらにやってくる、頭を上げて周囲を見ているのでかがんでいるこちらの姿は知っている。じっとしているとなおもこちらにやってきて最後は50cmぐらいの近さまでやってきた。時折こちらを見るがさほど気にせず、落ち葉のなかの餌探しに余念がない。まわりからは、シジュウカラとウグイス、カワラヒワ、イカルのさえずりが聞こえてきた。Photo:2012/04/09 @京都府立植物園

2012年4月7日土曜日

第三百二十七夜/雑木林に棲むサンショウウオ

 今日は滋賀県栗東の里山に行く。街ではサクラが五部咲きというのに、今日は少し肌寒く、あられまで降り出す天気。雑木林の中の路の際に湧水の水たまり。中をのぞくとカスミサンショウウオの卵塊がいくつも水中の小枝にからまっている。ゼリー状のバナナ型の卵塊の中ではオタマジャクシ状の幼生が動いている、今週中にも外に飛び出し泳ぎ始めるだろう。Photo:2012/04/07 @滋賀県栗東市 

2012年3月30日金曜日

第三百二十六夜/春のキジ

 河川敷の草むらに何やら動くものがいた。目を凝らすんだがなかなか草むらの主が判らない。よく見ようと一歩踏み入れたとたんに目の前から♀のキジが走り出した。枯れ草にまぎれてまったく居所が判らなかった。お見事!彼女は一目散に葭原に消えてしまった。写真は後ろ姿だけである。Photo:2012/03/29 @蛇砂川、近江八幡市

2012年3月3日土曜日

第三百二十五夜/薪割りで出てきたもの

 友人から京町家のおくどさん(かまど)で炊いたご飯を食べようと誘われた。ご飯を頂く前に仕事があった。かまどに火を入れる前の作業は薪割りである。杉丸太をかまどに入る様に鉈で割るのである。割った断面から出た虫の脚に気付いた、観るとそれは体長1cmほどの小さなカミキリムシだった。幼虫時代に丸太を食い進み、その穿孔のなかで蛹化したものが、羽化した個体のようだ。孔の中で暖かくなるのを待っているのだろう。カミキリムシは出さずに割った丸太を元に戻し、もらってきた。暖かくなって出てきてからゆっくり観察しよう。さて薪割りの途中で虫を見ている僕にまわりはあきれている。でもこればかりは仕方が無い、薪に入っている虫の方が面白いんだから。Photo:2012/03/03 @四条京町家、京都市

カミキリの種名は「ヒメスギカミキリ」と判明しました。(2012/04/12)

2012年2月29日水曜日

第三百二十四夜/立つ鳥跡を濁さずって言うけれど

 「立つ鳥跡を濁さず」って言うけれど、今日は直径10mほどの小さな池の水面に羽を残していった。時折、小鳥達が水浴びしたり、水を飲んだりするので小さな羽はよく落ちてるが、今日のは新しいカモの羽だった。この池でカモを観察したのは2年前の春、カルガモのペアだった。それ以後、全く姿を見ていなかったが人が見ていないところでちゃんと来ていたことが判る。でも羽の落とし主がカルガモかどうかは判らない。Photo:2012/02/28 @京都市

2012年2月27日月曜日

第三百二十三夜/早春に産卵するニホンアカガエル


 里山の水田脇でニホンアカガエルの卵を見つける。まだまだ冷たい田んぼの水、そこにはおびただしいカエルの卵があった。親ガエルは冬眠から産卵のためにいったん降雪も終わらない早春に目覚め、産卵を終えた後、もう一度5月頃まで休眠(春眠)するという変わった生態を持つ。多くのカエルやヤモリが水田を産卵場所として利用するなかで、捕食者が少ない早春に産卵し、他のカエルがオタマジャクシの間に、子ガエルとなって雑木林に帰って行く、という作戦なのか。産卵がされていた田んぼのまわりにはおびただしい卵塊以外に、イノシシの足跡と彼らが土を掘り返し荒らした草地があった。近くの水溜まりにはアカハライモリや水生昆虫の姿も見れた、確実に春が来ている。写真:(上)ニホンアカガエルの溺死、(下)水田溝の卵塊 Photo:2012/02/26 @堅田、滋賀県

2012年2月26日日曜日

第三百二十二夜/オナガガモ

 三島池の二大勢力の一つ、オナガガモ。メス(写真手前)は特徴の無い褐色の羽に覆われているが、オス(写真奥)の尾長と頭の模様が特徴的、オスの頭と頬の焦げ茶色の羽は見る角度によって深い緑色に輝く。オスの体の特徴が名前の由来になっていることが判る。オス・メスともクチバシのブルーグレーがきれいだった。どれもすっかりペアになって仲むつまじ。このカモ結構ずうずうしく餌を与える人間が来ると真っ先にやってきてすぐに岸辺にまで上がってくる。カルガモやマガモよりも警戒心が薄いらしい。東京・不忍池でもそうだった。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県

2012年2月25日土曜日

第三百二十一夜/モヒカン頭のヒドリガモ

 三島池にオナガガモと共に沢山いたヒドリガモ。名前はオスの頭と首が緋色「深紅色」から、緋色の鳥「緋鳥(ひどり)」と呼ばれたことから名付けられたと言う。でもその緋色はまるでモヒカンの様でもあるから覚えやすい。オスはピュー、ピューという特徴あるかわいらしく甲高い声で鳴くが、メスは他のカモ同様低い声でガァー、ガァーと鳴く。食性は植物食。水面に浮かぶ植物性の葉や茎・根・種等を採食する。また、昼までも岸や中洲に上がって陸上の植物も食べる。潜水は得意ではないらしく、三島池ではオオバンが潜水してくわえてきた水草を横取りするので嫌われていた。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県

2012年2月24日金曜日

第三百二十夜/ダイサギと言う白鷺

 よく「白鷺」っていうがその名の鳥はいない、よく見かける白いサギをひっくるめて白鷺って言っている。 その中身はダイサギ、チュウサギ、コサギの「大中小」の3種類。みんなまとめてシラサギと呼ばれているように、風貌がどれもにているため、野鳥に興味の無い人は区別して見てない。つまり白い鷺のようなものは全て白鷺なのである。今夜の白鷺は体長は 90cm ほどで、日本ではアオサギと並ぶ最大級のサギ=「ダイサギ(大鷺)」である。全身の羽毛が白色で、雌雄同色。脚と首が非常に長く、くちばしも長い。足は全体が黒い。夏羽ではくちばしが黒くなり、足の基部がわずかに黄色がかる。また胸や背中に長い飾り羽が現れる。眼先が緑がかる婚姻色が現れることもある。冬羽では飾り羽がなく、くちばしが黄色くなる。チュウサギと似るが、チュウサギは体長が小さい。またダイサギはクチバシが長く、また眼下にある口角の切れ込みが眼より後ろまで食い込むことで容易に判別できる。
 チョットややこしいのは、日本国内ではこのダイサギの中に亜種の2種があって、亜種チュウダイサギ(学名 E.a. modesta)が夏鳥として(日本で繁殖して冬は南方へ渡る)、亜種オオダイサギ(学名 E.a. alba)が冬鳥として(中国東北部で繁殖して冬に日本へ渡り越冬する)、それぞれ観察される。夏に見られるのが「中大」、冬に見られるのが「大大」である・・・・が野鳥に興味の無い人は白鷺同様、どうでもいい話なのである。
 だれもがきれいだなと思うのは、この鷺がゆったりと水辺を歩いていたり、舞っている時だと思う。目の前をゆっくりと純白の大きなつばさを広げ飛ぶ姿は本当にきれいなのである。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県

2012年2月22日水曜日

第三百十九夜/アオサギと雪山

 フン虫研究者のT先生、野鳥研究者のN先生と3人で米原の三島池に鳥を観に行く。数日前の積雪で埋もれた池と伊吹山を想像して行ったのだが、なんと池周辺の雪はほとんど溶けてしまっていた、さすがに伊吹山は積雪たっぷりで双眼鏡で見限り山頂の小屋も雪に埋もれている。天気に恵まれ風もなく、暖かな一日。三島池では、ヒドリガモ、オナガガモ、コガモ、カルガモ、マガモ、アヒル(合鴨)、バン、オオバン、ダイサギ、アオサギ、カワウ、エナガ、カワラヒワなどが観られた。時折、パンを持ってやってくる来園者のまわりにカモ達が集まる。池の借景になっている伊吹山(1377m)を見ていると、池端の松の頂にアオサギが止まる(写真)。アオサギも雪山を眺めているよう。伊吹山はまだまだ冬の様相だがアオサギの脚は赤く色づき早くも婚姻色が出始めている。池のカモ達もすっかりカップルが出来上がっている。カモ達の渡りも以外に早いかもしれない。帰り道、西の湖にハイイロチュウヒを見に行くが、ここでも空振りで今日はなにも出なかった。いつもなら風が強いアシ原には全く風がふいていない。猛禽類の狩りは風との関係があるのだろうか。Photo:2012/02/22 @三島池、米原、滋賀県
 

2012年2月21日火曜日

第三百十八夜/何かが違う今冬

 自宅の庭にも雪が積もった。西洋ヒイラギの赤い実と雪はよく似合う・・・がさてどうしたものだろう今年は今になっても赤い実がすべて残っている。これは本来喜ばしい事なのだが、そうでもない。例年なら年末にヒヨドリが一日で食べ尽くしてしまうほどなのに今年は違う。山間部では雪が多いと聞くが地方全体ではやはり暖かいのか。この小さな木になる実に頼らなくとも山には豊富に食べ物があると言うのか。仕事で度々通る琵琶湖大橋に近い湖岸道路でも同じ事を気付いた。今年は琵琶湖のカモ類が少ない。北国では例年にない豪雪、ならばカモ類が越冬のためにさらに多く来てもよさそうである。気候の問題か、それとも地震の影響でもあるのだろうか。いろいろな場所で気付く、例年と何かが違う今冬である。Photo:2012/02/20 @京都市

2012年2月18日土曜日

第三百十七夜/雑木林とコサギ

 京都市内にもようやく雪が積もった。北陸や東北の積雪のことを考えると喜んではいられないが、やはり雪が積もって健然な冬期である気がする。早速、植物園に散歩に出かける。雪景色を一目見ようと普段よりも来園者が多い。散歩をしていると不思議な場面に出会った。カシ林の薄暗い林床をコサギが歩いている。普段、コサギは川辺にいる鳥でこのような場所にいる事を見た事が無かった。様子を伺っていると選んでこの暗い林床を歩いている、偶然迷い込んできたのでない事は確かだ。お目当ては餌らしい。小走りに歩いたかと思うと立ち止まり、地面を凝視し、しきりに何かをついばみ食べている。こんな行動を繰り返していた。コサギに習って、同じ様に地面に目を凝らすが何がいるのか判らない。積雪で水浸しになった地面からミミズでも出てきているのかもしれない。それにしても地面に残る雪にコサギの白羽がすっかりまぎれて保護色になっていることは面白い。雪が無ければ目立って仕方ないだろうに。Photo:2012/02/18 @京都府立植物園

2012年2月17日金曜日

第三百十六夜/ノスリの飛翔に見とれる

 タカ類の飛翔を見ていると時間が過ぎるのを忘れてしまう。実に見事。風を読みながら、時にはゆったりと舞ったり、空中に留まり地面の一点を凝視したり、また時にはすべるように上に下にと軽やかに移動する。時折、すとんと落ちる様にヨシ原に入るが獲物に逃げられたのかすぐに舞い上がってくる。是非ともその狩りの様子を見たいと思うのだが、なかなか出会えない。双眼鏡で見ていると目の様子まで判る、正面からこちらに向かってくる時などはゾクゾクしてしまう。この時期、西の湖のヨシ原にはノスリ(写真)、ミサゴ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、オオタカ、チョゲンボウ、トビなどのタカ類が観察できる。それぞれに体形や飛び方が違っていてなれればその判別は容易である。Photo:2012/02/17 @西の湖、近江八幡市、滋賀県

2012年2月8日水曜日

第三百十五夜/葦原を舞うハイイロチュウヒ

 仕事帰りに近江八幡・西の湖のヨシ原に寄る。雪まじりの風、北西からの風がもの凄く強い。遠くに見える工場の煙突から出る煙り(水蒸気?)は、真横にどこまでも流れていた。大きな望遠レンズでチュウヒを狙うバードウォッチャーも今日はそうそうに引き上げていく。午後4時頃、ハイイロチュウヒがどこからとも無く現れた。独特のV型につばさを上げて、畑や水田の地面すれすれ高さ1mぐらいを滑空している。畑の前に障害物(土手や堤防)が現れると一旦、上空に軽く舞い上がり再び降りてくる。時折、急に地面に降りる。獲物のネズミを捕らえたか? 暗くなるにつれ彼らの活動域はヨシ原に移動し、同じような飛行を繰り返していた。一羽、二羽と個体数が増えてくる。午後5時、ヨシ原には七〜八羽以上のチュウヒ、ハイイロチュウヒを見た。少し上空ではノスリが旋回し、近くの電柱にはチョゲンボウが止まる。褐色のチュウヒが時折、ヨシ原に降りる、しかしどこにいるのか判らない。以外に近くから飛び立ち驚く事もある。こちらの「見たい!」という気持ち=気配を察するのか、ヨシの中で用を足していると(気配が消える?)、向い側から現れた。何も出来ず見送るばかり。そんな鳥たちもやがて暗くて見えなくなった、時々ひらりひらりと軽やかに飛ぶのはトラフズクだろう。予想以上に多くの個体を見ることが出来た、こうなったら写真なんてどうでもよくなる。Photo:ハイイロチュウヒ♀ 2012/02/08 @西の湖、近江八幡市

2011年11月27日日曜日

第三百十四夜/カワセミ

 府立植物園に行く、蓮池の四阿に幾人もの鳥を撮る人たち。レンズの先は、池の中央のネットに止まる一羽のカワセミ。決して良くない場所なのにカワセミが動く度に皆さんしきりにシャターを切る。カワセミはそんな魅力を持つ鳥である事はもちろん判っているがどうもこの様な人達の動きと、このような環境での撮影は好きになれない。はなれたところからコンパクトデジカメで一枚だけ押さえた。Photo:2011/11/21 @京都府立植物園

2011年11月9日水曜日

第三百十三夜/モリアオガエルの幼体

 観察を続けているある池のモリアオガエルが冬期どこで越冬するのか知りたかった。毎年探してはいいるものの確実な事は判らない。昨年はハスの枯葉が漏斗状になった中に潜んでいるものを見つけたが果たして春までいたかどうかは判らなかった。今年も探す、やっと一頭の幼いカエルを発見。体長2cmに満たない今年上陸した個体だった。池そばの倒木の地際にあいた孔にすっぽりと収まっていた。如何にも居心地が良さそうだ。乾燥に弱い彼らは以外にも水際からはなれずに越冬していると考えても良さそうだ。Photo:2011/11/02 @京都市

2011年11月1日火曜日

第三百十二夜/秋のオオアオイトトンボ

 オオアオイトトンボ、光沢の強い緑色をした美しいイトトンボ。アオイトトンボに似るが、こちらの方がやや大きい。京都御苑界隈では、秋になってから見る事が出来る。このトンボの産卵習性は面白く、水面におおいかぶさった木の樹皮に産卵する習性がある、そのために木陰のある池でよく発生している。成虫は、池の周辺の林床や、うすぐらい草藪で見かけることが多い。体が大きい割には、脚部がキャシャだからか、草にぶら下がるように止まる。Photo:2011/11/01 @京都御苑