2011年1月19日水曜日

第二百六十五夜/鵺(ぬえ)とトラツグミ

 「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい」は、作家・横溝正史『悪霊島』(あくりょうとう)の映画のキャッチコーピーで記憶に残っている。これは薄暗い森の中から、また夜中に聞こえてくる細い不気味な声の正体が架空の生きもの=鵺(ぬえ)または鵺鳥(ぬえどり)の鳴き声として、気味悪がられることがあったからだ。しかしその声の正体は、この写真の不思議な雰囲気をもつトラツグミ。名は「虎模様のツグミ」からつけられている。明るいところに滅多なことでは現れず、多くの場合薄暗い森やその林縁が生活場所。シダの茂る林中を、するするする・・と音を立てずに歩き、時々立ち止まってじっとしている。地面の落ち葉にクチバシを入れて、聞き耳を立てている。ある時はお尻をふりふりする。多分、この鳥が起こす振動で反応する土中の昆虫やミミズの音を聞いているのかもしれない。派手さもカワイさも無いが、なかなかいい存在感を感じさせてくれる鳥である。Photo:2011/01/16 @京都府立植物園

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