2016年1月30日土曜日

第八百十夜/カワアイサ・羽色の意味

 鳥たちは種によってそれぞれ違った羽の紋様・色を身にまとっているが、それぞれの生活に適した、意味のある物だと思っている。岸辺から見るとお腹の白色が目立つカワアイサ(Mergus merganserだが、魚を食べるこのカモにとって水中からの見た時に魚から存在が目立たない色だろうし、上空から狙う捕食者に対しては頭から背中にかけての黒色と脇の白色は水面の反射にも似た色だと思う。実際に岸辺から見た時に水の色と水面の波の反射で時おり見失うほどだから。写真=カワアイサ♂ Photo:2016/01/30 @鴨川、京都市

2016年1月28日木曜日

第八百九夜/ルリビタキの憂鬱

 ソウシチョウは今日も同じ場所に滞在している。しかしその場所は、ルリビタキ(Tarsiger cyanurusの♂の縄張りでもある。時おり近くに現れては、存在を主張するも相手は多数なので傍観しているようでもある。大きさも、好きな環境も、そしておそらく餌も似ているので、競合する種となるのだろう。その意味では、ソウシチョウ(特定外来生物指定種)の存在は在来種であるルリビタキの脅威となることは間違いなさそうだ。Photo:2016/01/27 @京都御苑。京都市

2016年1月27日水曜日

第八百八夜/ソウシチョウ

 カゴ抜けペットのソウシチョウ(Leiothrix lutea ヒマラヤから中国原産)が京都御苑にも現れた。この寒波を避ける様に大文字山か吉田山から渡って来たのかもしれない。20羽以上の小群で、灌木の中から地面におりて木の種をついばんでいた。尾羽を地面に押し付ける様にして、足の指で種を挟みクチバシで割っている。まるでシジュウカラが両足の間に木の種を挟み、クチバシで割る行動に似ているが、こちらは片足でつかんでいる。そのためだろうか、尾羽を地面に押し付けるのは体を安定させているように見える。Photo:2016/01/26 @京都御苑、京都市

2016年1月26日火曜日

第八百七夜/陽光に暖まるビンズイ

昨日までの寒さがようやく和らいできた。林縁で陽光に暖まるビンズイ(Anthus hodgsoniがいた。目立たぬよう、草の間でじっとしていた。Photo:2016/01/26 @京都御苑、京都市

2016年1月25日月曜日

第八百六夜/ウグイス

 寒い日の後はついぼーっとしちゃうんだよね。観察していると、生垣の間でクモ類を多食していることがわかる。食事後、生垣の上で休むウグイス(Cettia diphone)。Photo:2016/01/25  @京都御苑。京都市

2016年1月16日土曜日

第八百五夜/ホオジロの古巣

 子ども達と西の湖の生きもの観察の会(4)。マガモ、ヒドリガモ、コガモ、カルガモ、キンクロハジロ、オカヨシガモ、カワウ、カイツブリ、ジョウビタキ、ツグミ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、メジロ、ムクドリ、ヒヨドリ、モズ、キジバト、ドバト、ケリ、アオサギ、オオバン、ハシボソガラス、トビ、チュウヒ、ミサゴ・・・そして子どもの低い目線で見つけたホオジロの古巣(写真)。

2016年1月14日木曜日

第八百四夜/カワイアイサ

 今年もカワイアイサ(Mergus merganserがやって来た。毎年、飛来する種ではないし、その個体数も多くはないので、見ることができると嬉しい。今年は、♂1、♀5の6羽を確認した。今日は、♀5羽が川の中の岩場(ただし実際は古いコンクリートの構造物)の上で休息していた。まわりには、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、コガモ、キンクロハジロなどのカモ類がいるが多の種類とは混じることは無いようである。これは食性が完全な動物性、特に魚食性なのが理由かもしれない。Photo:2016/01/13 @鴨川、京都市

2016年1月9日土曜日

第八百三夜/ジョウビタキの目

  ジョウビタキ(写真は若♂と思う Phoenicurus auroreusの後ろ姿を見ると(写真下)、少し顔を一方側に向けているものの左目がはっきり見える。ふっくら丸いと思っている顔(写真上)も実は、正面や後方から見るとかなり扁平していることに気付く。目は側面についていて、しかも飛び出た感じなのでかなりの角度を見ることが出来そうだ。Photo:2016/01/09 @西の湖、近江八幡市、滋賀県


2016年1月5日火曜日

第八百二夜/フクロウの身に何が起こった?

 フクロウ(Strix uralensisの死亡個体があると知らされた。現場に行くと、後頭部、胸部〜腹部が食べられ損傷の激しい死亡個体だった。フクロウは、既に繁殖のペアづくりが始まっているはず、さてこのフクロウの身に何が起こったのか。弱ったフクロウをカラスが襲ったことも否定できないが、カラスであればもう少しきれいに食べ尽くすに違いない。最近、近くでオオタカもよく目撃されているので、こちらも可能性がある。傷口に鮮血もついている、カラスにも見つかっていない・・・ことを考えると昨日に命を落としたのだろう。足の指間には他の鳥の羽と思われるものが握りしめられていた。さぞ残念だっただろう。少し気になったことは、風切り羽、尾羽の先端がすごく痛んでいた、ゲージで飼われていた鳥ならいざ知らず、自然状態の個体でもこんなに痛むものだろうか? Photo:2016/01/05 @京都市左京区

2016年1月1日金曜日

第八百一夜/コサギとカイツブリの連携プレー

コサギは小魚を捕る時にいろいろな鳥と連携する。コサギ×カワウ、コサギ×カワセミ、今日はカイツブリとの連係プレー。コサギが浅瀬で魚を捕ろうとすると獲物は深みへ逃げる、そこにはカイツブリ。一方、深みでカイツブリが魚を捕ろうとすると獲物は浅瀬へ逃げる、そこにはコサギ・・・が待ち構えている。余程、効果的なようで両者嫌うことも無く、この状態は長く続いた。写真は、コサギについて泳ぐ3羽のカイツブリ。Photo:2016/01/01 @高野川、京都市

2015年12月31日木曜日

番外編/八百夜話ごあいさつ

みなさま本年も残すところ数時間となりました。皆さんの穏やかな年越しと新しい年を迎え健康と活躍をお祈りします。つたない文章と写真ではありますが、残す二百話お付き合いください。どのような生きもの達と出会えるか楽しみです。

2015年12月30日水曜日

第八百夜/ミドリセンチコガネ

 ミドリセンチコガネ(=オオセンチコガネの緑色型 Phelotrupes auratus auratusの写真が必要になり、秋に採取/飼育していた個体をもといた屋外に連れ出し自然状態に近くして撮影する。気温も低くなかったので良く歩く。時おり立ち止まり触覚を拡げ、何かを探ろうとしている。緑色に輝く体色が大変に美しい。胸部に撮影する自分の姿が映る。Photo:2015/12/30 @栗東市、滋賀県

2015年12月28日月曜日

第七百九十九夜/葭原の夕暮れとカモ

 
 静かに葭原に日が暮れる。昼間、岸辺の葭原に身を隠していたカモ達が小群となり湖面を移動をし始めた、この後近くの採餌場に飛んで行く。カルガモ、マガモ、コガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、カンムリカイツブリ、カイツブリ、オオバン、バン達が群れをつくる。夕焼け空を背景に柳のシルエットが美しい。Photo:2015/12/27 @北之庄沢、近江八幡市、滋賀県

2015年12月27日日曜日

第七百九十八夜/ジョウビタキを見るモズ

 ジョウビタキの♀を3〜5mの距離でマークするモズ(写真=♂ Lanius bucephalus。♂のモズが♀のジョウビタキに恋する、まさかの異種間交流ではあるまいな? Photo:2015/12/26  @近江八幡市大森町、滋賀県

2015年12月26日土曜日

第七百九十七夜/ジョウビタキ

 街中でも見ることの出来る冬鳥の代表種とも言えるジョウビタキ(写真=♀ Phoenicurus auroreus。群れをつくらず単独行動のため個体数は多くないかもしれないが、どこにでも見ることが出来る。背腰部に白紋があるので「紋付」とも呼ばれる。今日は、モズを観察していてこの個体に出会う。おそらく捕えるためのスキを狙っているようで、250平方mほどの場所を行ったり来たりしているこの個体を3m程の距離を保ちモズ(♂)がしつこくつきまとう。Photo:2015/12/26 @近江八幡市大森町、滋賀県

2015年12月12日土曜日

第七百九十六夜/ハシブトガラス

 先日、父の命日でお墓参り。 鳥の研究者だった父は、カラスに生まれ変わりたいと生前言っていた(らしい)。カラスの生態やその知恵には、面白さが凝縮していたのだろう。お墓参りを終え、近く木の頂きにハシブトガラス(Corvus macrorhynchosを見つける。Photo:2015/12/11 @黒谷、京都市

2015年12月11日金曜日

第七百九十五夜/アオサギの翼

 鳥の飛翔は美しい、左右の翼は広げた時に一枚の大きな主翼となり、尾羽は尾翼になる。翼の先から、初列風切羽、次列風切羽、三列風切羽、肩羽となり、もう片方の翼に連続する。飛行機で言うところのフラップが次列風切羽、三列風切羽にあたるのだろうか。上手く風を捕らえたり、風を逃がしたりするすばらしい機構を持っている。 
アオサギ(Ardea cinerea サギ科)の飛翔は、飛び出しのタイミングが判りやすく、出会えることも多く、かつ面積も大きいので、羽を知るにはもってこいである。Photo:2015/12/09 @鴨川、京都市

2015年12月10日木曜日

第七百九十四夜/ユリカモメ

 京都市内では冬の使者として親しまれているユリカモメ(Larus ridibundus、彼らは毎日東隣の琵琶湖からやって来る。一日を通して穏やかな水環境と人がくれる餌を求めて来るのか?ならばずっとここにいればいいのにと一目線で考えてしまう。一時に比べると飛来数が減ったようである。彼らが翼を広げる時に羽色がようやくわかる。川面をぷかぷかと浮かんでいると思い気や突然、頭から水中に入り魚を獲ろうとしている姿が面白い。水面に浮かぶ時には、船でいう喫水線が浅く、カモやウのように水中に上手く潜れない。だから素早い魚を捕らえるのは苦手のようである。Photo:2015/12/09 @鴨川、京都市

2015年12月9日水曜日

第七百九十三夜/オナガガモの飛翔

 鳥はやはり飛んでいる姿が美しい。鳥によって普段見えない場所の紋様が見えたりする仲間同士の認識に役立っていることは理解できる、その他、体の軸と翼のつき方、翼の動かし方に特徴があるのでシルエットでもだいたい区別がつく。写真はオナガガモ♂(Anas acuta カモ科)。Photo:2015/12/09 @鴨川、京都市

2015年12月8日火曜日

第七百九十二夜/キイロスズメバチ

  朽木の皮をめくると現れたのがキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera スズメバチ科)。如何にも寒くて体が動かない様子だったが、写真を撮るために陽光を少しあてると腹部を徐々に動かし、少し飛んでみせた。止まった木をそっと再び元の場所に戻した。夏場はとてもじゃないが手元で観察できる相手ではないが今日はゆっくり観察させてもらった。以前は同じ場所にオオスズメバチが越冬していた、少し暗くてひんやりと湿った倒木の場所だった。体表の細かな毛に水滴がついていた。Photo:2015/12/07 @京都御苑、京都市

2015年12月5日土曜日

第七百九十一夜/トホシカメムシ

 地面の枯葉の上をトホシカメムシ(Lelia decempunctata カメムシ科)が歩いていたので撮影。しばらく観察した後、さてどうするかと近くでみていたら、餌を探していたムクドリが食べてしまった。今のカメムシは匂いが少ないのか、トホシカメムシは匂いがしないのか・・・ムクドリはカメムシの匂いなんて気にしないのか? 鳥にとっては大切な食料であることには間違いない。Photo:2015/12/05@京都御苑、京都市

2015年12月4日金曜日

第七百九十夜/ゴマダラチョウの幼虫

 ゴマダラチョウ(Hestina japonica タテハチョウ科)の幼虫が冬越しのためにエノキの根元に降りはじめた。木の根元に降りた時は体色はまだ緑色だが、数日すると緑からオリーブグリーンそして茶色に変わる。この体色の変色が枯葉の変色に上手く合っているのにはいつも感心する。落葉したばかりの葉は最初、緑がかった黄色だが、徐々に褐色へと変わっていく。もう一つ興味深いことは、複数の幼虫が同じ葉についていること・・・葉っぱはいっぱいある、どれでもよさそうなものなのに、彼らに聞いてみたいものだ。Photo:2015/12/03 @京都御苑、京都市

2015年11月15日日曜日

第七百八十九夜/オオハナアブの不思議な眼

 不思議な色と紋様の複眼。オオハナアブ(Phytomia zonataはどんな世界を見ているんだろうか?Photo:2015/11/14 @鹿背山、木津川市、京都府

2015年11月4日水曜日

第七百八十八夜/2匹のセグロアシナガバチ

 仕事の出先でのこと。ふと頭に何かが当り地面に落ちた。足元を見るとそこには2匹のセグロアシナガバチ(Polistes jokahamaeがいた。左の個体が右の個体の首に噛み付いている、争い事のようで明らかに左の個体が優勢と思われた。両者は2〜3分から絡み合いながら、地面を転がっていた。一瞬、噛み付いていた個体の大アゴが外れたようで、2匹は別々の方向に飛び去った。さて何だったのだろう。Photo:2015/11/04 @西大寺、奈良市

2015年10月28日水曜日

第七百八十七夜/ウラギンシジミ

 今朝は寒かった、陽光で体を暖めてから飛び出そう・・・ウラギンシジミ♂(Curetis acuta)。成虫で越冬し、翅表の斑紋がオレンジ色のこの個体は♂、♀は斑紋が銀色。この蝶が飛ぶと特徴である「翅裏の銀色が目立つ」と、本には書かれていることが多い。しかしこの蝶は南方系の種で、実際には東南アジアの熱帯雨林の樹冠は陽光の照る箇所と葉陰の強弱がもの凄くある、この条件下でこの蝶が飛ぶと、この陰陽のなかに完全にとけ込んでしまうことを実際に見た時に始めこの翅色の意味が判った。目立つどころか溶け込んでしまう。生きもの達の体の特徴や色は、やはりひとつひとつ意味があるのだと。Photo:2015/10/27 @京都御苑、京都市

2015年10月27日火曜日

第七百八十六夜/クロヒカゲ

 夏の雑木で元気だった蝶たちもそろそろ出番を終える。雑木林の樹液を求める一匹のクロヒカゲ(Lethe dianaを見つける。鱗粉が落ち、ご自慢の目玉紋様も欠いている。地味だけど綺麗な蝶。Photo:2015/10/17 @鹿背山、木津川市、京都府

2015年10月21日水曜日

第七百八十五夜/オオスカシバ

 自宅前の隣地の壁に見つけたオオスカシバ(Cephonodes hylas hylas。この個体は寒いのか陽光を浴び、時おり翅を振るわせていた。それにしても翅のなんとも美しいことか。体形も、触覚もいいバランス。一番好きな蛾はなんですかと聞かれれば、真っ先に名前が出るだろう。Photo:2015/10/21 @岡崎、京都市

2015年10月18日日曜日

第七百八十四夜/ツマグロオオヨコバイ

 普段見慣れている虫も見る角度を変えれば、「こんな顔してたっけ?」となる。これはツマグロオオヨコバイ(Bothrogonia ferruginea、色も面白い。Photo:2015/10/16 @鹿背山、木津川市、京都府

2015年10月16日金曜日

第七百八十三夜/小さな秋の虫・クマスズムシ

 小さなコオロギの仲間、クマスズムシ(Sclerogryllus puctatus。触角の途中が白く、脚は黄褐色をしている。隣のドングリと比べると大きさが判る。後脚はあまり発達せず、ジャンプ力も弱く、歩いている。落ち葉の多い地表に生息しているので目につかないがどこにでもいるよう。写真は♀個体。Photo:2015/10/16 @京都御苑、京都市

2015年10月15日木曜日

第七百八十二夜/ホンドタヌキ

 ヨシ原の農道を歩いていると向いからこちらに気付かずに歩いて来たホンドタヌキ(Nyctereutes procyonoides 英:Raccoon dog)の若い個体。立ち止まって待っていると、ようやく5メートルほど前でこちらに気付き、迷った末に横の草むらに入って行った。もう一度見たいと思い同じ場所で待つこと30分、今度はすぐに気付かれた。先ほどと風向きが変わり、待っていた位置が風上になっていた。じっとしていても匂いでこちらの存在が瞬時で判るようだ。Photo:2015/10/15 @西の湖、近江八幡市、滋賀県