2011年5月12日木曜日

第二百八十五夜/コチドリ

 仕事先、車で移動中に見つけたコチドリ。水田の畦の上を右へ左へ、あっちにこっちに、こちらのすぐ側まで来たと思うと、向こうへ飛び去り、再びこちらへ忙しく動き回っている。双眼鏡で見ているとしきりに地面をつつき何かを食べている。なかなかかわいらしいチドリである。小学生の頃、釣り好きのH君が僕の家にこのチドリのひな鳥を持ってきた。河原で拾ったので保護した、飼えというのである。その頃、僕に家にはいろいろな小鳥がいた。だから僕に渡せばなんとかなるだろうと言う訳だ。河原の小石にも似た模様の羽で全身を覆った手の中にすっぽりと収まる小さなひな鳥は居間の畳の上を元気に走り回るのだが、いっこうに餌を食べない。ついに朝にはホコリのように箱の隅で動かなくなっていた。チドリの仲間の巣は、地面に小石を敷きならべたくぼみで、そこに卵が産み落される。ひな鳥は、ふ化後しばらくすると歩き出し、親鳥と共に行動し、餌を食べる。スズメの様に巣立ちなんて事はしない。ふ化した時は、すでに目も見え、しばらくすると走り回るほどの状態になる。鶏のヒヨコと同じである。H君は迷子のひな鳥を保護したのではなく、おせっかいにも地面に隠れていたものを連れ帰ったという訳だ。これからの季節、小鳥の巣立ちビナが多くなる。車が走る道路上にいた時は別としても、人間が善かれと思って手を出してはいけないのである。Photo:2011/05/12 @守山市、滋賀県

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