2009年1月27日火曜日

第五十三夜/野生のドリアン

  今の季節,マレイシアは果物の王様と言われるドリアンのベストシーズン,僕も久しぶりに大好物のドリアンを沢山食べた。ドリアンの楽しみは食べるだけにあらず。トラックの山積みドリアンの中から自分の好みの味を探す事から始まる。柄の状態,針の感じ,重さ,振った時の振動,そして最後に皮をすこし開いて香りを確かめる。探すのに15分,やっとありましたこれぞと思える一個。やっぱりうまい。田舎に行けば市場で野生のドリアンを売っている(街で売っているのは果肉の多い栽培種)。今回もいろいろなドリアンを見る事が出来た。中でもブルネイの森で食べた野生のドリアン(実の表皮が赤く,棘が緑,そして中身が濃い黄色)は果肉は少なかったのだが,いままで食べたドリアンで一番濃厚な味で美味しかった。山では,ナタ(パラン)で棘を全部取り去ってから,半分に割って食べます。食べ終わった種を川に捨てると残った果肉に魚が群れます,森に捨てるといろいろな動物や昆虫がにおいにつられてやってきます。みんなドリアンが好きなんですね。不思議に現地の人も食べ終わった種を遠くに投げ捨てます。そうやってドリアンの種は森に暮らす生きものによって遠くに運ばれます。ドリアンは甘い果肉を野生動物に食べさせることによって子孫を森に広げる。そして森に住む民(ここではイバン族)は,ドリアンやラタンを始め森に暮らすために必要な様々な草木(有用植物)を守り・残していく。一見,全く手つかずに見える森にも自然生態系の一部に組み込まれた森の民が大きく関っている事が判る。上手く出来ていますね。だからドリアンは森で食べて,種を遠くに投げるのが正しい食べ方?【2009/01/27】
Photo(上):野生のドリアン,直径20cm〜25cm,実の表面は赤く,棘が緑。Photo(下):ナタで半分に割って果肉を食べます。中に見える楕円形の白い部分は種の断面,種と皮のあいだのクリーム色の部分が果肉 @Batang Duri. Brunei 2009/01/16

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