2012年10月13日土曜日

第四百二十夜/赤とんぼの季節と言うけれど

 稲刈り後の田んぼには、かつて赤とんぼと言われるトンボが無数にいた記憶があるが、近年はどうも様子がおかしい。かつて秋の田んぼに掃いて捨てるほどいた赤とんぼがいない、しかもその代表種のアキアカネが全くいない。
今日も目にしたのは写真のナツアカネ(Sympetrum frequensばかりである。昆虫の変化の原因は、環境の変化である、つまり田んぼの変化。今の田んぼは稲穂が実る頃にはすっかり水が落される乾田ばかりで、稲刈りの後は歩ける程に地面が乾燥し、昔よくあった「ぐじゃぐじゃ」した場所なんてない。水面でも地面でもない「ぐじゃぐじゃ」した場所に直接卵を産むアキアカネにとって、今の田んぼは産卵環境ではなくなっている。おいしいお米で有名な魚沼の山間地は、稲刈りの直前まで水が入っていて(稲刈りの時に足元が不安定なので水を抜く)、稲刈り後は田んぼ湿地になる。こんな場所でなければアキアカネは棲むことが出来ない。乾田化されていない場所で採れる最高のお米とトンボ・・・赤とんぼの種類を見れば、環境の変化もわかる。Photo:2012/10/13 @栗東、滋賀県

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