2016年3月10日木曜日

第八百二十四夜/アリスイ

 先日、昆虫学のT先生からこんな鳥がいたよと一枚の写真を送って頂いた。それは枯葉色した風変わりな鳥だった。名をアリスイ(Jynx torquilla 英:Eurasian wryneck)と言う。知ってはいるが見た事は無い。場所を聞くと、仕事で度々訪れるところの至近の距離。早速、打合せに入るに出向き探してみた。居場所・・ここも例外ではなくすぐに判った・・・何人もの鳥カメラの御者がデカイレンズを構えていたから。何本ものレンズが見ている一点は、一羽の薄汚れたような紋様の小さな鳥が地面で何やら食べている。色といい、少し猫背になってごそごそと動く様子は、鳥と言うよりも「ネズミ」そのものである。ここで数枚記録として写真を撮り打合せに向かう。仕事を終え、まだ時間があったので同じ場所に向かう。何人もの鳥カメラマンが帰りはじめていた、聞くと「今日はだめだ」と・・・見ると遠くの地面で同じ様にごそごそと動いてばかりだった。確かにこれでは絵にならない。全ての鳥カメラがいなくなってからもベンチに座り見ていた。この鳥、何を思ったか突然、金切り声をあげたかと思うと僕が座っていたベンチの隣の木にやってきた。しばらくするとどの鳥もする様に一日のおわりの羽の掃除、羽が整うと枝に止まりじっとしている。ちなみにこの鳥は、キツツキの仲間である。木はつつかないけど地面はつつく。時おり、クチバシの間から驚く程長いムチのような舌を出す、クチバシの長さの3〜4倍はありそうだ。この長い舌をアリの巣穴に入れてアリをからめとり食べる。アリを吸い取る様に食べるので「アリスイ」の名がついた。哺乳類のアリクイと同じである。同じ食べ物だから、体の作りも似てくる。体の体形や紋様まで似てくるという興味深いことに気付く。写真を諦めかけていたところに曇り空に少し陽がさし、数枚の写真をゆっくりと撮らせてくれた。上空を見たかと思うと再び金切り声をあげ、葉の茂ったカシの木に移る。ここで夜を向かえるのか? ありがとう。Photo:2016/03/10 @奈良市 

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