2010年2月12日金曜日

第百八十八夜/カワウ

 京都御苑の南西に九条池がある。夏場は鯉と亀で賑やかだが冬場はひっそりとして、マガモが数羽漂っているだけ。そんな池に今日は、鵜(う)が一羽魚を狙ってしきりに潜水を繰り返している。飲み込める大きさの魚がいないのだろうか獲物はさっぱり。餌穫りをあきらめ、水に濡れきった体で重々しく水面を蹴り上げやっとのことで飛び上がる、池を一周しほとりに建っているお茶室の屋根に止まる。ぶるぶると体を振るい水を飛ばすと、羽をひろげ乾かし始めた。こうしないと鵜の仲間は飛ぶことが出来ない。羽に塗るための脂線(尾羽の付け根にある)が未発達で脂を羽に塗れない、泳ぐと羽毛が濡れ飛べなくなるからだ。棟瓦のシャチホコのとなりで翼を乾かしながら時折見せる背中をそらせたポーズが面白かった。さて、鵜と言えば人が鳥を使って魚を捕らえる漁法「鵜飼い」が有名だが、鵜飼いの鵜はこのカワウではなく、ウミウを使う(ただし一部の地域と中華人民共和国ではカワウ)。カワウは人になれにくいのが理由と言う。このカワウは体全体が茶色がかっていて、なんとなくしまりがなく顔もどこか幼い、これは若鳥。Photo:2010/02/09 @九条池、京都御苑、京都市

0 件のコメント: