2011年8月10日水曜日

第三百一夜/お面を持つベッコウハゴロモ


 昆虫が持つ翅や体の色や斑紋を見ていつも不思議に思う。なぜそれが必要なのだろうか、どんな時にそれが役立つのだろうか。そして時としてその意味が観察で判ることがある。今日のベッコウハゴロモとクサギカメムシがそうだった。クサギの枝にとまるベッコウハゴロモを写そうと観察していた時、正面からクサギカメムシがやってきた。クサギカメムシがハゴロモの前まで来たその時、ベッコウハゴロモは逃げること無く翅を垂直に、つまり正面から来る相手に対して最大に見える状態にして翅の斑紋を見せつけた(写真上)。瞬間、カメムシの脚がとまり、ハゴロモを避けるように通り過ぎたのだった。なんらかの効果はあったようだ。昆虫の写真を撮る時は頭を上位置にしてしまいがちだが、ベッコウハゴロモの場合、頭を下にした時に翅の左右にある斑紋が「鋭くにらむような目」に見えることが判った。目に見える斑紋は左右の端にあるのでまるで大きな顔に見える。なんと太い眉もある、きりりとした鼻筋も見える(写真下)。そして一番大切な頭部はなんの斑紋もそなわっていない。おそらく捕食者の一撃は翅の目にむけられるだろう、しかしその時は逃げれば良い。大切な身体の部位にはまったく影響は無いのだから。翅の斑紋はまるでパプアニューギニアの原住民のお面のようでもある。Photo:2011/08/09 @京都御苑

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