2013年1月30日水曜日

第四百四十夜/ヒガラのコツコツ

シジュウカラがコツコツとサクラの枝先で餌を食べているとき、その上ではヒガラが枝先にぶら下がったままでコツコツしている。身軽なヒガラ(Parus aterは、枝先の窪みに隠れていた虫を見つけたのだろう。冬場はシジュウカラなどの群れと行動を共にすることが多いが、地面に近いところで餌を採るシジュウカラに比べ、小柄なヒガラは枝先によく見る。少し採餌の場所を変えることで互いに競合しないようにするためだろうか。Photo:2013/01/29 @京都御苑、京都市

2013年1月29日火曜日

第四百三十九夜/シジュウカラのコツコツ

 森を歩くと頭上からかすかに「コッコッコッ・・」と音がした。見上げるとシジュウカラ(Parus minorが何かを両足に挟みクチバシで割る音だった。
 子どもの頃、伏見稲荷の参道でおみくじを引くヤマガラを見たことがある。お金を小さな賽銭箱に入れると、ヤマガラが緋毛せんの台の上に据えられた小さな社の鈴をクチバシで2度、3鳴らし、扉を開け、中からおみくじを取り出す。そのおみくじを止まり木の上で足で挟み封を切り、こちらまで持って来ると言う芸だった。どうやって仕込んだのだろうと、何度見てもそれは不思議で、仕草はとてもかわいかった。
 ヤマガラもシジュウカラもこのような行動はフィールドで盛んに見ることができる。野鳥の行動をうまく利用したとは言え・・・どうやって芸として仕込んだのか? 残念ながら今はこんなおみくじを見ることは出来ない。Photo:2013/01/29 @京都御苑、京都市

第四百三十八夜/ビンズイ

 太陽が雲に覆われ日が陰ると急に気温がさがる寒い日は、陽光の暖かさを本当に感じる。こんな思いは人間だけでなくどうも鳥たちも同じようだ。今日はビンズイ(Anthus hodgsoniが寒そうに枯れ草の上に止まっていた。頭から背にかけて、緑がかったかっ色は大変に地味だけど、なかなか品があっていい。尾を上下によくふっている姿はかわいらしい。Photo:2013/01/29 @京都御苑、京都市

2013年1月28日月曜日

第四百三十七夜/葭原を舞うハイイロチュウヒ

 近江八幡市の西の湖に立ち寄った。この季節、ここのヨシ原ではハイイロチュウヒ(Circus cyaneusを見ることが出来る。変わった名前だがタカの仲間で、学名は「サーカス サイアニス」、ブルーの曲芸師。ひらりひらりと飛ぶ姿に、その体色(ただし♂の成鳥)のブルーグレー(=やや暗い青)を当てはめたのだろうか。今日も数羽のハイイロチュウヒがヨシ原をひらりひらりと舞っていた、残念ながら♀ばかり。
 雌はよくありがちな褐色系だが上尾筒(尾羽の付け根の部分)は明らかに白くて飛翔時にはそれがとてもよく目立つ(写真)。雄も上尾筒が白いようだが上面が灰色なので目立たない。タカなのに、顔はフクロウに似ているのでなんか変である。これはネズミやカエル等を主食として捕るために、それらが立てるかすかな音も捕らえ易くするための構造なのかもしれない。Photo:2013/01/28 @西の湖、近江八幡市

2013年1月27日日曜日

第四百三十六夜/サルスベリとマヒワ

 今日(1月27日)は、定期的に開催されている京都御苑冬の自然教室(主催:京都御苑管理事務所、国民公園協会京都御苑)。野鳥解説担当で参加。前日の小雪が残る御苑は寒い。始まる前にひと歩き、陽光が射してくると野鳥の姿も見れたので一安心。今回の参加者は全員で75名ほど、これが2班に判れて生きものを探りながら歩く。さて野鳥観察本番の前に、昆虫・植物の解説があったので野鳥は少し姿を消してしまたか? どうも上手く鳥が現れない。シロハラ、シメ、シジュウカラ、スズメ、キジバト、トビ・・・個体数も、種類数もなんとも少ない。会が終わり全員が集まり解散の直後、後ろにあったサルスベリの実を求めてマヒワ(Carduelis spinusの群れがやってきた。マヒワ達は、十数分の間、我々の頭のうえで実を食べていてくれた。時折、サルスベリの実が風に舞う様に落ちてくる。野鳥の観察はこちらが思う様に展開しないのが常だが、今回もそうだった。Photo:2013/01/27 @京都御苑

2013年1月23日水曜日

第四百三十五夜/「うごめくもの」これも野生

 人間が生きものを見てどう思うかは彼らの知ったことではない。それは当たり前だろう。しかしながら人間は勝手なもので、見た目で判断してしまうものだ、「気持ち悪い」と。多分、この手の生きものは一般的には気持ちのよいものではないだろう。今日、地面に見つけた「うごめくもの」を最初見た時には僕もそう思ったのは事実である。それはなぜだろう?その動きと体の透明感がそう思わせるのか?体長1cm、黒い頭部に内蔵が透けている透明な体、足はある。その数100匹を下らないだろう。大変な数の個体が絡まり合いながら移動しているのだ。何ものか見当もつかない・・・これが気持ち悪さを増加させる。それでも眺めていると、不思議なことに気付く。何やら訳も判らずうごめいている彼らにも、目指している場所があり、そして不完全ながらも先頭があるらしい。塊の中なら一匹が歩き始めると数匹がそれに続く、しかしながら彼らが先頭となると言う訳ではなく。別の個体が別の方向に行こうとすると、また何匹かがそれに習う様に動き出す。こんなことを繰り返しながら全体の行くべき方向が決まるようだった。彼らの合意形成ってなんだろうか。こうなると気持ち悪さは、すっかりどこかへ消えて、興味が沸いてくるものだ。彼らの正体は、蛾類(メイガの仲間)の若齢幼虫のような気がする。Photo:2013/01/23 @京都御苑、京都市

2013年1月15日火曜日

第四百三十四夜/さすがに野生、これこそ野生

 さすがに野生、店頭で目にするノッポで、色白なキノコとは違います。広葉樹の切り株に発生する冬のキノコ。キノコも上に落ちている葉の大きさから想像できるが、このキノコの株は手のひらの2倍以上もある立派なもの。これが正真正銘の野生のエノキダケ(Flammulina velutipes。採りたい気持ちがいっぱいだけどここはだめです。同じ切り株に毎年発生します。Photo:2013/01/15 @京都御苑

2013年1月6日日曜日

第四百三十三夜/枯葉の下で春を待つ

 新年あけましておめでとうございます。本年も生きものと彼らの生活をお伝えしていきます。よろしくお付き合い下さい。
 自宅の近くのお寺さんまで散歩、子どもの頃はエノキの大木が沢山あったのに今は大半が伐採され、残る木もその姿は痛々しい。 夏の陽光を受けて梢を滑る様に飛び回っていたオオムラサキとかゴマダラチョウはもう観ることはできない。少し足をのばして樹林地のエノキまで行ってみた。そこのエノキは昔からゴマダラチョウやテングチョウが多かった。根元の葉を少し探すと案の定、ゴマダラチョウの越冬幼虫Hestina japonica)がいくつか見つかる。思うところの枯葉を「えいや!」とトランプゲームの「神経衰弱」のようにめくってみる。一発で出ることもあるし、いくらめくっても全くでないこともある。まるで占いをしているようだ。今回は5枚目ぐらいで見つかる。まあまあの出来だろう。写真を撮った後は元の場所に隠しておく。春になって新芽が芽吹く頃に再び降りてきた木の幹を新葉目指して登る。それまでにシロハラ(野鳥)に食べられない様に。Photo:2013/01/06  @黒谷、京都市