2013年9月12日木曜日

第五百三十三夜/謎解き・翅の巻

 少し前である、糞虫研究者のT先生からメールで一枚の写真が届いた「これは何か?」と言うものだった。ご自宅の近くに落ちていたとのこと。
 さてここから謎解きである。これは簡単だった。まず鱗粉が付いた薄い翅であるから、蝶や蛾の仲間である。次に大きさは判らないが、黒い色で赤い斑紋があると言う事は、「黒い色のアゲハチョウの仲間」である可能性が高い。よく見れば翅の下側がびりびりと破れているところに少し白い斑紋が見える。その横にはオレンジ色に黒い目玉模様。今の時期にこの特徴を持つ種は、モンキアゲハとナガサキアゲハ、いずれも大型の黒いアゲハチョウ。写真の翅の上の波打つ部分が翅縁である、この部分にオレンジ色の小さな紋、この特徴は「ナガサキアゲハの♀の後翅」、しかも翅脈の出方を見ると裏返っているようなのでこの翅は「右後翅」。つまり答えは「ナガサキアゲハの♀の右後翅」となる。
 これからはまったく想像、上が外側(翅の縁)、下が内側(体側)。翅の外側(縁部)が鳥等につつかれ破れている(生きている)個体は多く見かける。捕食者は、翅の後の目玉模様を狙ってくるのでここが破れていることは多い。しかしこの翅の様に縁部が残り体側がギザギザに破れていると言うことは、体自体をくわえられ食べる前に要らない翅をむしり取った結果と思う。一枚の翅からいろいろな情景が見えて来る。Photo:2013/09/06 @京都市

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